旧友(盟友)Paul Williamsの『We've Only Just Begun … Songbook』が発売された際、アルバムのレビューで(個人的は”決定版”だと思っている)Roger Nicholsとのコラボ盤『Songbook』に触れたことがある。本作もPaul Williams単独の”歌集”同様、後続の再編集盤なのだが、CD2枚に拡張収録されたことで、ほぼ完璧なラインナップとなっている。
“欲を言えば、この楽曲は〇△□のレコードの方が…”といった、半ばリスナー側の我がままは聞こえてきそうだが、アルバムを通して聴いてみると、R・ニコルス色がしっかりと出ているし、楽曲のトーンが揃えられているので、イージーにリスニングできる”歌集”として楽しめる。むしろ、アート・ガーファンクルの「青春の旅路」などは”超定番”的なオーラがあって、少し浮いた感じがしないでもない。
ちなみに、個人的に大好きな「The Drifter」は、オリジナルのThe Small Circle Of Friends版の演奏を忠実にトレースしたレコードが取り上げられていた。
余談(半ば文句)だが、本企画盤の発売元はSony Music Japan Internationalで、CD2枚組で2,860円(税込み)という良心的な価格設定で新譜発売されている。一方、1991年リリースの谷村有美のミニ・アルムの再編CD盤は1枚モノで3,850円(税込み)だ。発売元はSony Music Directとなっている。同じ系列会社で、和洋の違いはあるが、後者は新譜CDイコール3,500円(税抜き)の”壁”を破る先駆者としての使命感に燃えているのだろう。CDが売れない時代における会社のベクトル(あるいはアプローチ)の違いが鮮明に表れている。