メンバーズレビュー一覧

ハイドン: 《音楽時計のための作品集》(オルガン演奏) / 塚谷水無子

オルガンによる ハイドンの音楽時計のための作品集!

この珍しい作品集のアルバムを 塚谷水無子さんが、なんと トイピアノに続いて、オルガンで作ってくれました!

このアルバムでは、パイプオルガンでハイドンの作曲した全32曲を収録したのち、3種類のリードオルガンで 再び32曲から10曲を選んで(比較?)演奏を聴かせています。

ブックレットは 14頁のオールカラーで写真もふんだんに撮り入れた 素敵なもの。収録にあたっての経緯が詳しく書かれている上に、これらの曲目の解説もついています。

トイピアノの可愛らしい この曲集の録音のあと、今度は ハイドンの等身大の姿を描くと同時に、おまけとして ハイドンの庶民的な一面をも描いた このCD、歓喜せずにはいられません!

家でのBGMにも最適ですが、車の運転でリラックスしながら聴くにも、子どもの子守歌の代わりに流すにも 素敵なアルバムだと思います。
ぜひ、家庭に1枚!

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北十字さんが書いたメンバーズレビュー

(全1334件)

メータの指揮するハイドンのオラトリオ『天地創造』!

ハンナ=エリザベス・ミュラーのソプラノ、マクシミリアン・シュミットのテノール、ミヒャエル・ヴォッレのバリトン
フィレンツェ五月音楽祭管弦楽団と合唱団
指揮:ズービン・メータ
通奏低音はチェンバロとチェロです。
アリアや合唱曲においても、チェンバロの演奏が入っています。ただ それほど目立つようなバランスではありませんが、ちょっとした光沢を加えたような感じで響いています。

テンポは全体的に、今の感覚でいうと遅めです。そのため、ソロの歌手は 多少の凸凹はあるものの、表情は細かく歌いこまれている印象です。
ソリストは3人で、ガルリエルとエヴァ、ラファエルとアダムは同じです。そしてビブラートも細かいながらも適度に掛けた艶やかな歌唱です。再現部や描写の場面では 曲にやよって小さな装飾を加えたりと、歌手の自主性を生かした音楽作りが聴こえます。

惜しむらくは、オーケストラの精度の甘さでしょう。私の耳には、東京藝術大学のオーケストラの方が確実に『上』と言えます。

そして「しっかりとした」ブックレットに、通奏低音の楽器名どころか、演奏者の名前が無かったのが残念です。

トータルで考えれば、オーソドックスな『天地創造』と言えますが、オーケストラの点で『5』はつけられませんでした。ただ、第2部での描写音楽に全力で取り組んでいる姿勢は、モダンオーケストラの演奏としては高く評価できます。

これ、舞台(映像)がついたら超名演でしょう!
そんなことで 想像力に満ちた方、ドイツ語のわかる方には お薦めできます!

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アーノンクールの指揮する J.S.バッハの教会音楽選!

ニコラウス・アーノンクール指揮、ウィーン・コンツェントゥス・ムジクスと アーノルト・シェーンベルク合唱団による演奏。
ソリストは
クリスティーネ・シェーファー(ソプラノ)
アンナ・コロンディ(ソプラノ)
ベルナルダ・フィンク(アルト)
イアン・ボストリッジ(テノール)
クリストファー・モルトマン(バス)
という布陣です。伸びのある若々しい声が素敵です。
アーノンクールの指揮は、宗教音楽ということで 大胆な読み替えや表現を避けていて、聴きやすい温かみのある音楽づくりになっています。

J.S.バッハの声楽作品が3曲演奏されています。
🎵カンタータ 第61番「いざ来れ、異邦人の救い主よ」 BWV61
🎵カンタータ 第147番「心と口と行いと生活」 BWV147
🎵マニフィカート ニ長調 BWV243

演奏は言うこと無しです!
微妙に音より映像が遅れ目になっています。が、ほとんどの方は気にならないかもしれません。

メルク修道院での演奏会の録画です。天井画をはじめ 室内を装飾も見ることができるのが嬉しいです。
そしてピリオド楽器の装飾まで、しっかり入っています。

宗教音楽、及び バッハの音楽が好きな方には 無条件でお薦めできる素晴らしいコンサートの録画です。

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コープランド・コンダクツ・コープランド!

ロサンゼルス・フィルハーモニー管弦楽団をコープランド自身が指揮した1976年の映像です。
鮮明さは落ちるものの、矍鑠としたコープランドの指揮や、グッドマンの熱演を見ることができるのは、嬉しい限りです。

収録曲は
🎵市民のためのファンファーレ
🎵「エル・サロン・メヒコ」
🎵クラリネット協奏曲
🎵「ロデオ」より『ホーダウン』
🎵「入札地」組曲
協奏曲のソロは ベニー・グッドマンです。
最後の「入札地」での合唱は ロサンゼルスマスターコラールです。

それぞれの曲を聴けばわかりますが、コープランドの指揮する音楽は、穏やか かつ 生命力あふれるもので、決して特定のパートを抉り出したりするようなことのない、バランスの取れた 耳に優しい音楽になっています。
映像と音もずれることなく(敢えて言うなら指揮台でのタイミング!客席よりも早い音で!)ストレスなく観ることがてきます。

テレビ放映のフィルムをそのまま使ったかのような、それぞれの曲の始まる直前に、アナウンサーの簡単な説明が、コープランドが指揮する直前の静止画とされて加えられるのが、イマイチですが…

コープランドの愉しそうに指揮する姿が印象的なDVD です。コープランドの好きな方には お薦めの1枚です。

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メルカダンテのフルート協奏曲集!

ジェームズ・ゴールウェイのフルート、クラウディオ・シモーネ指揮、イ・ソリスティ・ヴェネティの演奏による、華やかなフルート協奏曲のアルバム。

収録作品は
🎵メルカダンテ:フルート協奏曲 ニ長調
🎵メルカダンテ:フルート協奏曲 ホ短調
🎵メルカダンテ:フルート協奏曲 ホ長調

3曲とも明るく陽気で、フルートの華麗な響きが堪能できる作品ばかり。
ゴールウェイのモダンフルートの艶のある音色は、ピリオド楽器の雅さとは対極の魅力にあふれた音色です。イ・ソリスティ・ヴェネティのモダン楽器オーケストラとともに、キラキラと輝くような光沢に満ちた音楽は メルカダンテの再評価を問うにぴったりのアルバムです。

フルート音楽の好きな方はもちろん、古典派音楽を幅広く聴かれる方にもお薦めです。また、作曲当時の楽器て聴くことにこだわっておられる方にも聴いていただきたいアルバムです。

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メルカダンテのフルート協奏曲集!

ジェームズ・ゴールウェイのフルート、クラウディオ・シモーネ指揮、イ・ソリスティ・ヴェネティの演奏による、華やかなフルート協奏曲のアルバム。

収録作品は
🎵メルカダンテ:フルート協奏曲 ニ長調
🎵メルカダンテ:フルート協奏曲 ホ短調
🎵メルカダンテ:フルート協奏曲 ホ長調

3曲とも明るく陽気で、フルートの華麗な響きが堪能できる作品ばかり。
ゴールウェイのモダンフルートの艶のある音色は、ピリオド楽器の雅さとは対極の魅力にあふれた音色です。イ・ソリスティ・ヴェネティのモダン楽器オーケストラとともに、キラキラと輝くような光沢に満ちた音楽は メルカダンテの再評価を問うにぴったりのアルバムです。

フルート音楽の好きな方はもちろん、古典派音楽を幅広く聴かれる方にもお薦めです。また、作曲当時の楽器て聴くことにこだわっておられる方にも聴いていただきたいアルバムです。

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シュナイダーとメンデルスゾーンの知られざるオーケストラ作品選!

ジギスヴァルト・クイケン指揮、ピリオド楽器オーケストラの カペラコロネンシスによる演奏の、初期ロマン派作品のアルバム。

収録作品は3曲
🎵シュナイダー:交響曲第17番 ハ短調
🎵メンデルスゾーン:ヴァイオリン協奏曲 ニ短調
🎵メンデルスゾーン:交響曲第1番 ハ短調 作品11

シュナイダーとメンデルスゾーンの交響曲は、どちらも 初期のシューベルトやウェーバーの交響曲に近い響きの秀作です。その形式はハイドン似ですが こちらは ホールでの演奏を考えて作られた 新しい時代の響きとなっています。

メンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲は、有名なホ短調の前に書かれた習作のような位置付けがされている作品。ヒロ・クロサキの端正なソロが この作品の魅力を存分に引き出しています。

指揮者、オーケストラ、ソリストとも、普段は他のレーベルで活動するトップの方々が集まっての一期一会的なアルバム。コンサート前後の収録だったのでしょうか? 素晴らしい仕上がりをみせた記録です。

シューベルトの初期の交響曲など、古典派の香りの残るロマン派の作品の好きな方にお薦めのアルバムです。

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ヘルマン・シェルヒェンの指揮するハイドンの交響曲選!

ウィーン国立歌劇場管弦楽団 他のオーケストラをシェルヒェンが振ったハイドンの交響曲が6曲入ったアルバム。
1942年~1958年にかけての録音です。

収録曲は
🎵交響曲第45番 嬰ヘ短調「告別」
弦を刈り込んだ第2楽章がユニークです。第4楽章では冒頭のPrestにも関わらずかわらず遅めのテンポで開始されます。そしてあのAdagioに入ると 一人ずつ『帰ってしまう』ところで それぞれの奏者が「Aufwiedersehen!」と言って去っていきます。これは以前、日本盤としても発売されたウェストミンスター盤と同録音です。
🎵交響曲第48番 ハ長調「マリア・テレジア」
今では使われなくなった、トランペットとティンパニが加わった、オイレンブルク版を使っての演奏です。音が悪く トランペットが明瞭でないのと、ティンパニが荒れているのが残念。オイレンブルク版を聴く目的ならば、ヤニグロ盤がベストです。
🎵交響曲第92番 ト長調「オックスフォード」
優雅で気品を感じさせる名演奏です。
🎵交響曲第94番 ト長調「驚愕」
ウィンタートゥール管弦楽団による演奏。
遅めのテンポの落ち着いた演奏。レコード針のノイズが目立ちます。
🎵交響曲第100番 ト長調「軍隊」
ロイヤルフィルによる演奏。
メリハリのあるモダンな演奏。終楽章の快速テンポの打楽器の威勢の良い演奏は、気持ちいい
🎵交響曲第101番 ニ長調「時計」
端正で安定した構築感の備わった堂々とした音楽。

シェルヒェンの個性輝くハイドンです。
どうしても音の古さが感じられるので、「シェルヒェン」の音楽を聴く目的の方にお薦めです。
『ハイドンの交響曲』を聴くのであればステレオ録音をオススメしちゃいます。モダンオーケストラなら、マリナーを筆頭に、バレンボイムやヘルヴィッヒ、コリン・デイヴィスあたりなら間違いないでしょう。

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珍しい ベートーヴェンの舞曲集!

ミヒ・ガイクの指揮(ヴァイオリン)、オルフェオバロックオーケストラによるピリオド楽器による演奏。
雅なピリオド楽器の音色にぴったりの温かな、そして生き生きとしたリズムのベートーヴェン。

収録作品は
🎵12のコントルダンス WoO.14
第7曲は『英雄交響曲』の第4楽章のテーマ。第8曲と第12曲は弟カールの作曲、第8曲は打楽器が華やかさが印象的!
🎵12のドイツ舞曲 WoO.8
🎵6つのメヌエット WoO.9
交響曲からは考えられない穏やかで優しいメヌエット。
🎵11のメーテリンク舞曲 WoO.17
真作と断定できない作品集。

滅多に聴く機会のないベートーヴェンの舞曲を紹介してくれる、好企画のアルバム。ピリオド楽器の温かい音色が素敵です。

ハイドンの交響曲のメヌエット楽章の好きな方、モーツァルトの舞曲集の好きな方なら、間違いなく楽しめるアルバムです!

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ピリオド楽器による ハイドンの交響曲『朝・昼・晩』!

ピリオド楽器のヴェルサイユ王室歌劇場管弦楽団によるハイドンの三部作。コンサートマスターはステファン・プレフニャク。5-5-3-3-1+チェンバロ+ファゴットという編成。
才気煥発、生命力あふれる素晴らしいハイドンが聴けます。反復後の装飾は少ないですが、ソロヴァイオリン中心の 即興やアインガンクなどがしっかり加えられたアルバムに仕上がっています。

収録曲は
🎵ハイドン:交響曲 第6番 ニ長調 「朝」Hob.I:6
🎵ハイドン:交響曲 第7番 ハ長調 「昼」Hob.I:7
🎵グルック:『精霊の踊り』(ハープ独奏)
🎵ハイドン:交響曲 第8番 ト長調 「晩」Hob.I:8

この録音は、バレエの伴奏音楽として用いるためのものだった様。そのため『昼』と『晩』との間にグルックが組み込まれた模様です。ソロハープによる『精霊の踊り』の美しさは絶品です!←これだけを聴く価値もありです!

ピリオド楽器によるハイドンの『朝・昼・晩』の三部作の素晴らしいアルバムになっています。速めのテンポの爽やかさは現代的とも。また、ソロヴァイオリンの即興をどう捉えるかで好き嫌いが出るでしょう。私的にピリオド楽器盤では、穏やかな ハーゼルベック、オケ全体のアンサンブル(即興)の愉しさ満載のフライブルクに次ぐ、元気いっぱいのアルバムです。

この作品を初めて聴く方にもお薦めできますが、私的には、聴き比べとして手に取って欲しい1枚と言いたいです。

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フランツ・ダンツィの交響曲全集!

スイスで最も精力的に活躍している指揮者、ハワード・グリフィスが指揮した、スイス・イタリア語放送管弦楽団による演奏です。
ここでもグリフィスの「知名度なんのその」という姿勢が生かされた選曲が楽しめます。ダンツィの6曲の交響曲が「全集」というかたちで収録されています。

収録作品は
🎵交響曲第3番 ロ長調 P. 222
🎵交響曲 ニ短調 作品19 P. 220
🎵交響曲 ニ長調 P. 218
🎵交響曲第4番 ニ長調 P. 223
🎵交響曲 ハ長調 作品20 P. 221
🎵交響曲 変ホ長調 P. 219

古典派からロマン派を感じさせる作風。5曲がゆっくりとした序奏のつく作品。ちょっぴり退屈に感じられる作品もありますが、交響曲第4番などは 堂々とした引き締まった音楽が楽しめます。

ハイドンの後期の交響曲からベートーヴェンの初期の交響曲が好きな方には ドンピシャのアルバムです。とは言うものの、忘れ去られた理由もわかるところも。そこが星5つに足らなかったところです。

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ヴォルフ=フェラーリの管弦楽曲集!

ハインツ・レークナーがベルリン放送交響楽団とベルリン室内管弦楽団を指揮して録音をした、ヴォルフ=フェラーリのオーケストラ作品集。

前半は 5つのオペラのオーケストラ作品。
「マドンナの宝石」以外、名前すら知らない作品ばかり(しかも「マドンナの宝石」からの曲も、有名な間奏曲は入っていません!)。でも、みな優しい旋律の美しい曲ばかりです。なかなか演奏されない曲ですが、聴く価値ありです!
後半は弦楽セレナード。
4楽章形式の簡素な作品。耳に優しいメロディーにあふれた作品です。

日本では知られない作品ですが、コンサートでも取り上げても遜色のないものばかりです。

チャイコフスキーやドヴォルザークのセレナードの好きな方や、ロマン派以降の美しい旋律の作品の好きな方に、お薦めのアルバムです。

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ヴォルフ=フェラーリの管弦楽曲集!

ハインツ・レークナーがベルリン放送交響楽団とベルリン室内管弦楽団を指揮して録音をした、ヴォルフ=フェラーリのオーケストラ作品集。

前半は 5つのオペラのオーケストラ作品。
「マドンナの宝石」以外、名前すら知らない作品ばかり(しかも「マドンナの宝石」からの曲も、有名な間奏曲は入っていません!)。でも、みな優しい旋律の美しい曲ばかりです。なかなか演奏されない曲ですが、聴く価値ありです!
後半は弦楽セレナード。
4楽章形式の簡素な作品。耳に優しいメロディーにあふれた作品です。

日本では知られない作品ですが、コンサートでも取り上げても遜色のないものばかりです。

チャイコフスキーやドヴォルザークのセレナードの好きな方や、ロマン派以降の美しい旋律の作品の好きな方に、お薦めのアルバムです。

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カール・シュターミッツの交響曲集!

ミヒャエル・アレクサンダー・ヴィレンズの指揮する、ピリオド楽器アンサンブルの ケルン・アカデミー(5-5-2-2-2)~チェンバロ無し~による演奏。
ここでは カール・シュターミッツの交響曲が4曲 収録されています。
ヴィレンズとケルン・アカデミーの演奏は、スコアに忠実な真摯なスタイルで安心して聴けます。描写的な「田園交響曲」も、過度な強調などはなく、広々とした平原での自然と人とのかかわりを客観的に描くのに成功しています。

収録作品は
🎵交響曲 ニ短調 作品15-3
🎵交響曲 ト長調 作品2-3
🎵交響曲 変ホ長調 作品6-2
🎵田園交響曲 ト長調
4曲とも色彩感豊かな作品です。マンハイム楽派らしいクレシェンドの魅力ある楽章もありますが、意外と抑え気味なのは残念です。
最後の「田園交響曲」がこのアルバムでの推しでしょう。ベートーヴェンの「田園交響曲」に連なる標題交響曲の先駆けの1つとして注目の作品です。

古典派音楽、標題音楽の好きな方にお薦めの1枚です。

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日本名歌集2 さくらさくら|ゆりかご

水野貴子

4:
☆☆☆☆☆
★★★★★

水野貴子の日本名歌集の第2巻!

ソプラノの水野貴子、ピアノ伴奏 大塚めぐみによる日本歌曲の2枚目のアルバムです。
1枚目よりも「歌曲」を中心に据えたプログラムで 24曲が歌われています。

この第2巻でも 流麗で温かみを感じられる歌唱です。控えめなビブラートは清楚で、日本歌曲にぴったりです。歌詞もしっかりと伝わってきます。

「ペチカ」では、山田耕筰の自筆スコア通りに歌っています。
「七つの子」では「可愛」を「かわい」と歌っています。

ピアノの穏やかで角のとれた丸い音が、優しい歌唱を引き立てています。
第1巻と同様、こちらでは少し地味なプログラムに魅力を感じた方に お薦めできます。

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日本名歌集/水野貴子

水野貴子

4:
☆☆☆☆☆
★★★★★

水野貴子の日本名歌集!

ソプラノの水野貴子、ピアノ伴奏 大塚めぐみによる日本歌曲のアルバムです。
日本を代表する唱歌から歌曲、18曲が歌われています。

全体的に、流麗で 優しい視線での歌唱です。適度なビブラートは清楚で、日本歌曲にぴったりです。
ただ、テンポの揺れを、フレーズの間(休み)で取ることがあるので、聴いていて リズムから落ちる感じがするのが、私には気になりました。

「荒城の月」は山田耕筰編曲版で歌われています。
「砂山」は中山晋平の作品ですが、こらはテンポが速すぎ、かつサッパリしすぎ。

ピアノの穏やかで角のとれた丸い音が、優しい歌唱を引き立てています。
選曲に魅力を感じた方に お薦めできます。

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『18世紀のナポリの驚異』と題されたアルバム!

ファブリツィオ・ファラスカのヴァイオリン。
古楽器アンサンブルの ラ・レアル・カペッラ・ディ・ナポリをイヴァノ・カイアッツァが指揮した演奏です。
今ではほとんど知られることのない、イタリア、はナポリの4人の作品を聴くことのできる 貴重なアルバム。
5-3-2-3-1という、しっかりとした古楽器合奏による演奏です。演奏の技術はしっかりしたもの。演奏スタイルは、端正でスコアに記された音を忠実に再現することに徹したような、潔癖な音楽が楽しめます。

収録作品は4曲
🎵D.サッロ:歌劇『シーロのアキッレ』~シンフォニア
前古典派様式の、3楽章の小さなシンフォニア。
🎵F.コッレ:ヴァイオリン、弦楽とチェンバロのための協奏曲 ハ長調
前古典派の響きと、古典派の規模をもつ協奏曲。
🎵F.フィオリッロ:ヴァイオリン協奏曲 変ロ長調
古典派らしい堂々とした協奏曲。柔らかで温かい音楽が魅力的です。
🎵G.マンナ:シンフォニア 変ホ長調
管楽器の色彩豊かな響きの 前古典派の4楽章形式の明るいシンフォニア。

古典派とバロック音楽の境目に当たるような音楽の好きな方に喜ばれる音楽が詰まったアルバムです。
真摯に音楽に向かった演奏は、見事です!

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ミヒャエル・ハイドンの交響曲集!

ハロルド・ファーバーマンの指揮、ボーンマス・シンフォニエッタによるデジタル録音最初期(1983年頃)にまとめてLP として出されたシリーズから、CD2枚に編集されての抜粋盤。
ミヒャエル・ハイドンの交響曲を連続して録音を行った、初めてのシリーズです。
編成を絞ったモダンオーケストラによる演奏。チェンバロの参加があります。

収録作品は
🎵交響曲 ハ長調 Perger 12
4楽章形式の堂々とした、ミヒャエルを代表する交響曲。

🎵交響曲 変ロ長調 Perger 28
3楽章の小さなティンパニつきの派手な作品。

🎵交響曲 ヘ長調 Perger 32
管楽器の音色を生かした3楽章の交響曲。

🎵交響曲 ト長調 Perger 16
モーツァルトの交響曲第37番の原曲です!

🎵交響曲 ヘ長調 Perger 30
後期に書かれた緻密な小型さな交響曲。

🎵交響曲 ハ長調 Perger 10
Andante はオーボエの活躍が聴きどころ。

🎵交響曲 ニ長調 Perger 43
地味な3楽章の作品。

🎵交響曲 ハ長調 Perger 19
明るく元気で爽やかな3楽章の交響曲。

そして気になるのが、まずはトラックの切り方。楽章ごとではなく作品ごとなので 楽章を取り出して聴くのが不便です。
そして アルバムに納められている5ページほどの解説。ミヒャエル・ハイドンの交響曲の作品全体を概観するための資料としては、極めて コンパクトで有用なものになりそうなのですが、その番号がペルガーでもMH 番号でもないため、どの作品をさしているのか雲をつかむような様。

とは言うものの、初めてミヒャエル・ハイドンの交響曲を聴かれる方にもお薦めできる1枚です。

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ミヒャエル・ハイドンの交響曲集!

ハロルド・ファーバーマンの指揮、ボーンマス・シンフォニエッタによるデジタル録音最初期にまとめてLP として出されたシリーズからの抜粋盤。ミヒャエル・ハイドンの交響曲を連続して録音を行った、初めてのシリーズです。
編成を絞ったモダンオーケストラによる演奏。チェンバロは加わっています。

収録作品は
🎵交響曲 ハ長調 Perger 4
3楽章形式でメヌエットが終楽章の明暗のコントラストの効いた交響曲

🎵交響曲 変ロ長調 Perger 9
反復の省かれた 4楽章からなる爽やかな作品。Andantinoの冒頭のソリや後半のヴァリアントは聴きもの。

🎵交響曲 ホ長調 Perger 44
ほとんど演奏されない4楽章形式の端正な古典派らしい作品。

🎵交響曲 イ長調 Perger 15
トランペットソロが活躍するメヌエットのトリオがユニークな作品。

弦楽合奏の部分でもソロ(ソリ)にしたり、反復後に装飾を加えたりと、積極的な姿勢の演奏が聴けます。そしてチェンバロが通奏低音から独立して 素敵な刺繍を加えていきます。
センスの良さは、その後録音された様々なディスクに負けてはいません。私的には「最も愉しく聴けるミヒャエル・ハイドンの交響曲が ファーバーマンの録音」です。

上のように絶賛をしましたが、このアルバムは後半の2作品があまりに地味すぎます。初めてミヒャエル・ハイドンの交響曲を聴かれる方は『RRC1189』がお薦めです。こちらはミヒャエル・ハイドンの作品に慣れた方や 古典派作品全般を広く聴かれた方にお薦めです。
また、古典派音楽の反復時のヴァリアントなど、スコアプラスアルファを勉強されている演奏家の方にも 良いヒントを与えてくれる録音にもなっています。

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ミヒャエル・ハイドンの交響曲集!

ハロルド・ファーバーマンの指揮、ボーンマス・シンフォニエッタによるデジタル録音最初期にまとめてLP として出されたシリーズからの抜粋盤。ここでは1984年と85年録音の4曲を聴くことができます。
ミヒャエル・ハイドンの交響曲を連続して録音を行った、初めてのシリーズです。編成を絞ったモダンオーケストラによる演奏。チェンバロは加わっています。

収録作品は
🎵交響曲 ト長調「グラーツ」Perger番号なし
4楽章形式の堂々とした交響曲。
🎵交響曲 ト長調 Perger 7
4楽章形式の流麗で明るい作品。
🎵交響曲 ニ長調 Perger 11
最も規模の大きい 聴き応えのある ミヒャエル・ハイドンの交響曲の代表曲。
🎵交響曲 イ長調 Perger 33
メヌエット抜きの3楽章形式の作品ですが、それぞれの楽章は緻密かつ耳には地味な、味のある作品。

ソナタ形式の第2主題やメヌエットのトリオで、弦楽器をソロ(ソリ)にしたり、反復後に装飾を加えたりと、積極的な姿勢が聴けます。
時にチェンバロが通奏低音から独立して 素敵な刺繍を加えています。
センスの良さは、その後録音された様々なディスクに負けてはいません。私的には「最も愉しく聴けるミヒャエル・ハイドンの交響曲が ファーバーマンの録音」です。

初めてミヒャエル・ハイドンの交響曲を聴かれる方に 安心してお薦めできる1枚です。そして古典派音楽の反復時のヴァリアントなど、スコアプラスアルファを勉強されている演奏家の方にも 良いヒントを与えてくれる録音です。

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ドヴィエンヌのフルート協奏曲集!

パトリック・ガロワのフルートと指揮、スウェーデン室内管弦楽団のモダン楽器による 華やかな演奏。

収録作品は4曲。
🎵フルート協奏曲第1番 ニ長調
🎵フルート協奏曲第2番 ニ長調
🎵フルート協奏曲第3番 ト長調
🎵フルート協奏曲第4番 ト長調
番号順の4曲。4曲ともに急~緩~急の3楽章形式の明るく躍動感あふれる作品。

軽快なテンポで気持ち良い音楽てすが、具体的に言うのであれば、第3番の第1楽章のオーケストラの提示部などは、マンハイムの打ち上げ花火のようなクレシェンドが生きるスタイルなのてすが、ガロワの指揮は大きな強弱をつけない、端正なスタイルなのはちょっぴり残念。

古典派ど真ん中の作品です。フルート吹きの方はもちろん、古典派音楽ファンには外せないアルバムでしょう。

第1集と銘打たれ、番号順に録音されているので、全集を目標に録音する予定の様です。

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ヴュータンのヴァイオリン協奏曲集!

アルテュール・グリュミオーのヴァイオリン、マニュエル・ロザンタールの指揮する、コンセール・ラムルー管弦楽団による名演奏。録音は1963年~65年にかけてのグリュミオーの全盛期のもの。

収録作品は
🎵ヴァイオリン協奏曲 第4番 二短調 作品31
🎵ヴァイオリン協奏曲 第5番 イ短調 作品37
の2曲です。
ロマン派のど真ん中を駆け抜けたヴュータンの代表作品。とちらも グリュミオーの完璧な技巧と、楷書的に弾き分けた目の覚めるような元気なヴァイオリンに魅了されます。

演奏会に取り上げられるロマン派のヴァイオリン協奏曲の中からこぼれてしまった感じも否めないヴュータンですが、この演奏を聴けば 十分にブルッフやヴェニアフスキーに並ぶ作品であることがわかるはずです。

ロマン派音楽、ヴァイオリン音楽の好きな方のベースとして手元に置くべき1枚といえるでしょう。

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ショパンの時代の音楽シリーズ!
~ドブジンスキーとレッセル~

ピリオド楽器のオーケストラ、コンチェルト・ケルンを、最初の序曲をミヒャエル・ギュットラーの指揮で。ピアノ協奏曲をハワード・シェリーのフォルテピアノと指揮で聴けます。

最初は
🎵ドブジンスキの歌劇『モンバル、または海賊』~序曲
色彩感あふれるロマン派らしい序曲としては充実の作品です。
2曲目は
🎵レッセルのピアノ協奏曲 ハ長調 作品14
古典派様式の作品。モーツァルトやベートーヴェン初期の協奏曲と似た作品です。初めて聴いても すぐに親しくなれる 明るく優しい作品です。第3楽章の独特の民族色がユニークです。
3曲目は
🎵ドブジンスキのピアノ協奏曲 変イ長調 作品2
第2楽章、第3楽章と民族色の濃い音楽が楽しめる素敵な作品です。この作品では 古典派からすでにロマン派への脱却が済んだ印象がうかがえます。

ショパンの少し前の時代の 消えてしまった作曲家たちの音楽が聴ける 好企画。それらの作品の魅力を再発見できます。

古典派からロマン派にかけての音楽の好きな方や、ピアノを弾かれる方にお薦めできるアルバムです。

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古典派のコントラバス協奏曲集!

エディクソン・ルイスのコントラバス、クリスティアン・ヴァスケスの指揮、シモン・ボリバル交響楽団という異色のグループによる、珍しい古典派のコントラバス協奏曲作品集。

3曲のうち、2曲はヴァイオリン協奏曲をコントラバスに移しての演奏です。
🎵ディッタースドルフ:ヴァイオリン協奏曲 第1番 変ホ長調
🎵ホフマイスター:ヴァイオリン協奏曲 第1番 変ホ長調
🎵ヴァンハル:コントラバス協奏曲 変ホ長調

ディッタースドルフの作品は残念ながら、原曲の良さを減じてしまったような感じです。
ホフマイスターは、彼らしい流麗な旋律美を存分に歌い上げる作品ということもあり、コントラバスをしっかりと歌わせた素敵な演奏が聴けます。
オリジナルのヴァンハルは、今までに録音された様々な演奏より 両端楽章を快速に飛ばした若々しいスタイル。ただ それでソロが窮屈になってしまった感じもあるのが残念てす。

私的には、ディッタースドルフとホフマイスターについては、わざわざ編曲作品を選ぶのではなく、オリジナルのコントラバス協奏曲を演奏して欲しかったです。そこでオススメ度が4です。

上に書いたように、初めて古典派のコントラバス協奏曲を聴くのであれば、入手は難しいとは思いますが、他のアルバムをお薦めしちゃいます。コントラバスを弾かれる方のレパートリー拡大のための資料、ヴァンハルの参考資料としては有用なアルバムになると思います。

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M.バーメルトの『モーツァルトと同時代の作曲家』シリーズ~G.J.(Abbe)フォーグラー

マティアス・バーメルトがロンドン・モーツァルトプレイヤーズ(モダンオーケストラ)を指揮したシリーズ。1000人程度のホールのコンサートを想定した 比較的大きな編成のオーケストラでの演奏です。

ここではフォーグラーの2曲の交響曲と2つのバレエ組曲、それに序曲が3曲収録されています。

最初に入っている 交響曲 ニ短調は 1782年、革命前のパリで作曲された作品。急~緩~急の3楽章からなる 古典派らしい堂々とした作品。バーメルトの力強い演奏が生きています。私はAndanteの 管楽器から始まる、フランスの民衆の歌を思わせるところに注目しちゃいました。

マンハイムで1779年に書かれた単一楽章(急~緩~急)の交響曲 ト長調。性格の異なる3つの部分からなる 序曲のスタイルの佳曲です。

2つのバレエ音楽は、オペラからの作品の様ですが、私には フランスの民衆の歌から引用したかのように、親しみのある旋律にほっこりさせられました。

他の序曲も古典派らしく 親しみの持てる素敵な作品です。

私には フォーグラーというと「革命歌」を思い出してしまいます。
このような器楽作品でも 耳に優しく 聴衆に愛される音楽を作っていたことを再確認することのできる1枚になりました。

フランス革命の研究者はもちろん、その時代の音楽を聴く方に、是非ともチェックしておきたい貴重なアルバムです。

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ポーランドのオーケストラ作品集!

カロル・リピンスキとモニューシュコの管弦楽作品が聴けるアルバム。
演奏は{oh!} オルキェストラ・ヒストリチナ。指揮はハイドンの交響曲の素敵なアルバムを出しているディルク・フェルミューレン。ここでもバランスのとれた爽やかな音楽を聴かせてくれます。

まずは
🎵モニューシュコ:
演奏会用序曲『おとぎ話』
次々に変化する風景が楽しい ロマン派の響きの佳作。

次にリピンスキの交響曲が2曲
🎵交響曲 ハ長調 Op.2-2
🎵交響曲 変ロ長調 Op.2-3
ハ長調の作品は第1楽章を聴いた瞬間、シューベルトの交響曲のパクりだと思うでしょう。そして変ロ長調の第2楽章ではハイドンの交響曲のパクりだと!
そう、シューベルトの初期の交響曲やハイドンの後期の交響曲そっくりの(模倣した)作品です。ソナタ形式でのしっかりとした展開もみられ、また、木管楽器の効果的な利用も秀逸な、隠れた名作(迷作)といえるでしょう。

ハイドン~シューベルト(グノーあたり)の交響曲が好きで、音楽に素直に身を委ねられる方にお薦めです。
この楽章は誰の何に似ている、と愉しめる方向きです。
一流の音楽を探そうとする方は止めた方がいいです。

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やるせないアリア 郡愛子 愛を歌う

郡愛子

4:
☆☆☆☆☆
★★★★★

郡 愛子の日本のうたのアルバム!

映画音楽、ニューミュージックから歌曲まで、日本の心に沁みる歌を10曲、感情豊かに歌い上げたアルバム。

低めの声域なので、歌詞もしっかりと聴きとれるのがいい。ビブラートは適度に掛けています。古楽を聴いている私でも抵抗を持つほどではありません。

最初の『やるせないアリア』は久石譲作曲の映画音楽です。大林宣彦監督映画『はるかノスタルジィ』の挿入音楽の1つです。ここでは歌詞が大林宣彦監督によって書かれたものを歌っています。映画を観た時には、ラフマニノフのヴォカリーズの模倣作品だと思って聴いていたのですが、久石作品だったとは!

10曲とも緩やかなテンポの作品。それぞれの歌唱は素晴らしいものの、同じような歌が続いているのは どんなものか… というところで、お薦め度を4にしました。

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ハイドンのスターバト・マーテル!

ファビオ・チョフィーニ指揮のアカデミア エルマン。
マリアン・マチュー、グロリア・バンディテリ、ミルコ・ガダニーニ、セルジオ・フォレスティのソリストとコーロ・カンティクム ノーヴムによる温かな演奏。

ハイドンの2つの宗教作品が収録されています。
🎵スターバト・マーテル
🎵リベラ・メ・ドミネ

どちらも自然なドームの様な残響の漂う中での 温かい演奏です。
ソリストの真摯な歌唱と 曲を包んでいくようなオーケストラと合唱がいいです。
そして、名曲、スターバト・マーテルのあとに、聴く機会のほとんど無い『リベラ・メ・ドミネ』が収録されています。この演奏も美しく宗教的な清廉なもの。

ハイドンをはじめとする、バロックから古典派の宗教曲を聴かれる方に お薦めできる1枚です。

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ミヒャエル・ハイドンの交響曲集!

ハンス−ペーター・フランク指揮するヘルシンボリ交響楽団による、ミヒャエル・ハイドンの交響曲アルバム。1990年~1992年にかけての録音です。
チェンバロの参加はありません。

収録曲はすべて3楽章形式の4曲。ここでの番号は ペルガー番号に拠ります。
🎵交響曲第31番 ハ長調
3楽章形式ながらコンパクトで引き締まった秀作。
終楽章は「フガート」と記された通りの緻密で聴き応え十分の音楽です。

🎵交響曲番号無し 変ホ長調
ミヒャエル・ハイドンの交響曲のうち、こちらは小型のディヴェルティメントなどにも通ずるスタイルで書かれた交響曲。とは言うものの、第1楽章の執拗な動機の積み重ねなど緻密な作品。第2楽章のファゴットソロで語られる歌もとても美しい。そしてこの終楽章も「フガート」です。

🎵交響曲第18番 変ロ長調
序奏つきの丁寧に書かれたAllegro楽章から開始。ミヒャエル・ハイドンらしい終止句が聴こえます。

🎵交響曲番号無し ニ長調
この作品も序奏つきの第1楽章をもつ作品。穏やかで控え目に歌うAndanteが隠れた聴きどころかもしれません。そして天真爛漫な主題の終楽章で締めます。

4曲の交響曲ですが、前半が小型で終楽章に「フガート」を置いた緻密な、前古典派寄りの作品。後半が序奏をもつ 中規模のしっかりとした構築の古典派らしい交響曲。それを比較して聴くのも良いかもしれません。

ミヒャエル・ハイドンを代表するような交響曲が入ってはいませんが、聴かせるコンセプトがしっかりとしたプログラムは かなりの通向きかもしれません。ミヒャエル・ハイドンの交響曲を聴き込んだ方に十分に満足することのできるアルバムです。しかし ハイドン兄弟やモーツァルトの周辺の作曲家までしっかり聴こうと考えている 古典派音楽の好きな方にもお薦めできるアルバムになっています。

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M.Haydn: 4 Symphonies

Hans-Peter Frank、他

5:
☆☆☆☆☆
★★★★★

ミヒャエル・ハイドンの交響曲集!

ハンス−ペーター・フランク指揮するヘルシンボリ交響楽団による、ミヒャエル・ハイドンの交響曲アルバム。1990年~1992年にかけての録音です。
チェンバロの参加はありません。

収録曲はすべて3楽章形式の4曲。ここでの番号は ペルガー番号に拠ります。
🎵交響曲第31番 ハ長調
3楽章形式ながらコンパクトで引き締まった秀作。
終楽章は「フガート」と記された通りの緻密で聴き応え十分の音楽です。

🎵交響曲番号無し 変ホ長調
ミヒャエル・ハイドンの交響曲のうち、こちらは小型のディヴェルティメントなどにも通ずるスタイルで書かれた交響曲。とは言うものの、第1楽章の執拗な動機の積み重ねなど緻密な作品。第2楽章のファゴットソロで語られる歌もとても美しい。そしてこの終楽章も「フガート」です。

🎵交響曲第18番 変ロ長調
序奏つきの丁寧に書かれたAllegro楽章から開始。ミヒャエル・ハイドンらしい終止句が聴こえます。

🎵交響曲番号無し ニ長調
この作品も序奏つきの第1楽章をもつ作品。穏やかで控え目に歌うAndanteが隠れた聴きどころかもしれません。そして天真爛漫な主題の終楽章で締めます。

4曲の交響曲ですが、前半が小型で終楽章に「フガート」を置いた緻密な、前古典派寄りの作品。後半が序奏をもつ 中規模のしっかりとした構築の古典派らしい交響曲。それを比較して聴くのも良いかもしれません。

ミヒャエル・ハイドンを代表するような交響曲が入ってはいませんが、聴かせるコンセプトがしっかりとしたプログラムは かなりの通向きかもしれません。ミヒャエル・ハイドンの交響曲を聴き込んだ方に十分に満足することのできるアルバムです。しかし ハイドン兄弟やモーツァルトの周辺の作曲家までしっかり聴こうと考えている 古典派音楽の好きな方にもお薦めできるアルバムになっています。

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ミヒャエル・ハイドンの交響曲集!

ヴォイチェフ・チェピエルの指揮する ワルシャワ シンフォニエッタによる、ミヒャエル・ハイドンの交響曲アルバム。1990年頃の録音てす。
チェピエルに小型オーケストラが元気いっぱいの天真爛漫な演奏を聴かせてくれます。
チェンバロの参加はありません。

収録曲は3曲。ここでの番号は ペルガー番号に拠ります。
🎵交響曲第10番 ハ長調
4楽章形式の古典派らしい堂々としたつくりの作品。Andante 楽章でのオーボエのソロが それほど目立っていないのがいい。終楽章の快活さも印象的。

🎵交響曲第11番 二長調
4楽章形式で書かれたミヒャエルを代表する交響曲作品のひとつ。この交響曲の白眉は第2楽章、フルートソロを中心に 管楽器のソロが光る楽章です。終楽章は生気溌剌のリズミカルな音楽が魅力的。

🎵交響曲第20番 ニ短調
ミヒャエル・ハイドンの疾風怒濤の交響曲といえる3楽章形式の作品。第1楽章や終楽章の引き締まった音楽は、兄やモーツァルトに引けをとりません。

速い楽章は元気に! ゆっくりとした楽章はしっかり歌う! 真摯にスコアに向かっている様子が伝わってくる演奏は、聴いている人々をホッとさせる力を持っています。

ハイドン兄弟やモーツァルトの周辺の作曲家までしっかり聴こうと考えている 古典派音楽の好きな方にお薦めできるアルバムです。

尚、この録音のディスクですが、他にも「FREQUENZ」や「KOCH」からも異なるジャケットで発売されています。

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ミヒャエル・ハイドンの交響曲集!

ヴォイチェフ・チェピエルの指揮する ワルシャワ シンフォニエッタによる、ミヒャエル・ハイドンの交響曲のアルバム(第2巻)。1990年頃に別レーベルで交響曲集を録音していたので、これが第2巻になりますね。
チェピエルの元気溌剌の指揮に小型オーケストラが良い反応を示しています。オーケストラの粗さは感じられますが、前向きに音楽を作ろうという姿勢がそれを上回っています。
チェンバロの参加はありません。

収録曲は4つ。ジャケット等にはペルガー番号、MH 番号とも表記されていません。下記のペルガー番号は私の知っている範囲で書き加えたものです。
🎵交響曲 二長調(1788)
3楽章形式で10分以内の小型交響曲。地味な作品てすが、快活で目覚ましにピッタリのスタートです。

🎵交響曲 ト長調(1788)
前の作品と同様、3楽章で10分以内の作品ですが、こちらは管楽器の扱いが華やか。色彩感あるれる佳曲です。

🎵交響曲第9番 変ロ長調(1766-1772)『P.9』
ペルガー番号9として知られる作品。そしてジャケットには『B』となっていますが、ドイツ語表記なのでロ長調ではなく変ロ長調です。
4楽章形式のコンパクトな(ソナタ形式での反復記号無し)作品。モーツァルト中期、ハイドンの初期の交響曲のような充実した作品です。

🎵交響曲第42番 二長調『P42』
この作品もP42として知られる作品。序奏つきの3楽章形式の作品です。ミヒャエル・ハイドンらしい特徴的な終止句のついた愛すべき交響曲です。

真面目で 優しさあふれる演奏です。速い楽章は元気に! ゆっくりとした楽章はしっかり歌う! 真摯にスコアに向かっている様子が伝わってくる 安心して聴ける1枚です。

ハイドン兄弟やモーツァルトの周辺の作曲家をしっかり聴こうという古典派音楽の好きな方にお薦めできるアルバムです。

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G.カルミニョーラによる ハイドンのヴァイオリン協奏曲全集!

ピリオド楽器による ハイドンのヴァイオリン協奏曲全集。編成は5-6-4-3-2にチェンバロという、しっかりとしたオーケストラ。第1ヴァイオリンが1名少ないのは、カルミニョーラがソロとリピエノを兼ねて弾くからでしょう。

ホーボーケン番号順の収録で、『メルク』協奏曲の管楽器は外されています。

スタイルは3曲とも 軽快で爽やかな春風を運んできます。光の射し込む林の下に ピンクのカタクリが可憐な花を咲かせている様。

ヴァイオリンソロは ハイドンの書いたスコアを尊重しながら、ちょっとした装飾を加える程度の節度をわきまえた演奏。ところが 時にリピエノの方で一斉に装飾を加えるなどもあり、とても新鮮に音楽が蘇っています。
ハ長調の第2楽章では、チェンバロがリュートストップを使って、ヴァイオリンとの二重奏のような語らいが聞こえてきます。

全体的には 古典派らしい しっかりとした枠組みの中での表現といえるでしょう。
ハイドンのヴァイオリン協奏曲の模範的なディスクとして挙げても良いと思います。

誰にでもお薦めできる素敵なアルバムです。

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ミヒャエル・ハイドンの交響曲集 第3巻!

ミヒャエル・ハイドン所縁のルーマニアのオラデアのオーケストラによる ミヒャエル・ハイドンの交響曲集の第3巻。1993年にルーマニア、エレクトレコードの録音が原盤。
ロメオ・リンプの指揮、オラデアフィルハーモニック管弦楽団による演奏です。オーケストラは小編成です。オーケストラの技術は日本の音大の学生レベル。

収録作品は4曲。番号はペルガー番号に準拠します。
🎵交響曲第12番 ハ長調
4楽章のそれぞれがはっきりとした個性が光る秀作。第2楽章はオーボエのソロが活躍。リスト室内管弦楽団(テルデック)の素晴らしい録音があるため どうしても比較してしまう…

🎵交響曲第43番 ニ長調
3楽章形式ですが、それぞれ充実した楽章をもつものの、陰影の濃い地味な作品。

🎵交響曲第44番 ホ長調
メヌエットつきの4楽章の作品。この作品もとても地味な作品。終楽章のちょこまかするような様子が可愛らしい作品。

🎵交響曲第32番 へ長調
管楽器の明るい響きが映える、3楽章の秀作。立体的な構築の中で ソロが光るオーボエが印象的な終楽章がこのアルバムの白眉かも。

第1巻から21年、およそ10年毎に録音が進む、ミヒャエル・ハイドンの交響曲集。第3巻になって指揮者が変わりましたが、これは残念でした。音楽の推進力が低下し、ミヒャエル・ハイドンの弱い部分が露呈されたような演奏になったから。

古典派音楽を深く聴きたい方。ハイドン兄弟やモーツァルトの交響曲の聴き比べを目的としている方にのみ お薦めできるアルバムです。

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ミヒャエル・ハイドンの交響曲集 第1巻!

ミヒャエル・ハイドン所縁のルーマニアのオラデアのオーケストラによる ミヒャエル・ハイドンの交響曲集の第1巻。1971年とても1984年にルーマニア、エレクトレコードに録音されたシリーズからの復刻盤。

エルヴィン・アチェルの指揮、オラデアフィルハーモニック管弦楽団による演奏です。オーケストラの編成は、西側の肥大したスタイルではなく、室内管弦楽団のスタイルです。オーケストラの技術は日本の音楽大学の学生レベルくらいでしょう。

収録作品は6曲。番号はペルガー番号に準拠します。
🎵交響曲第52番 変ロ長調
ミヒャエル・ハイドンを代表する田舎風の素朴な4楽章の交響曲。とても丁寧に演奏しています。掴みは十分です!

🎵パストレッロ ハ長調 P.91
カッサシオンの協奏曲楽章から 2つの楽章を抜き出されて「パストレッロ」として出版されたと考えられる作品。伸び伸びとした優雅な音楽が魅力的です。第2楽章の主題は「8人のヘボな仕立て屋」から借りてきたものですね。

🎵交響曲第42番 ニ長調
序奏つきの堂々とした3楽章の交響曲。引き締まったこの作品はミヒャエル・ハイドンの交響曲作品での実力を垣間見れる作品といえます。

🎵交響曲第28番 変ロ長調
カッサシオンやディヴェルティメントを思わせる、小型の3楽章の交響曲。終楽章のロンドの明るくリズミカルな音楽は印象的。

🎵交響曲第26番 変ホ長調
変ホ長調らしい幸福感あふれる音楽の、第28番と同様の小型の交響曲。Adagietto は魅力的なファゴットソロのある楽章です。

🎵交響曲第29番 ニ長調
端正で古典派らしい こちらも小型の交響曲。第2楽章の温かさと終楽章の鮮烈さの対比が見事。

1971年と1984年に録音された ミヒャエル・ハイドンの最初期のレコードからの編集盤。音も思った以上で安心して聴けます。
演奏も真摯にスコアに対峙した好感の持てるスタイルなので、安心して聴くことができます。

古典派音楽を幅広く聴きたい方や、ハイドン兄弟、モーツァルトの交響曲の好きな方にお薦めのアルバムです。

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Haydn, M: Symphonies

Savaria Baroque Orchestra、他

5:
☆☆☆☆☆
★★★★★

ピリオド楽器によるミヒャエル・ハイドンの交響曲集 第3巻!

ハンガリーのピリオド楽器団体、パール・ネーメトの指揮するミヒャエル・ハイドンの交響曲集の第3巻は
「グロスヴァルダイン時代のミヒャエル・ハイドン Vol.2 」
というタイトルで、サヴァリア バロックオーケストラのピリオド楽器による演奏です。なおメンバーの名前の表記が無いので、第1巻、第2巻のカペラサヴァリアとの違い、及び弦楽器の人数も不明ですが、チェンバロとファゴットの通奏低音は引き続き加えられています。

収録作品は、ミヒャエル・ハイドンの「メヌエットが第3楽章に付いた4楽章形式の」交響曲が4曲です。番号表記はペルガー番号です。

🎵交響曲第35番 ハ長調 MH.23
カッサシオンやディヴェルティメントにも通じる小型の可愛い交響曲。

🎵交響曲 ヘ長調 MH.25
こちらも小型の交響曲ながら、第1楽章の引き締まった音楽の充実さは 立派な響きで惹き付けられます。

🎵交響曲 ト長調 MH.26
ト長調ながらホルンの響きが印象的な、色鮮やかな作品です。

🎵交響曲第2番 ハ長調 MH.37
Andante の温かでゆったりとした響きと、Menuetto の管楽器の鮮やかな音色とリズムとの対比が見事です。

とても引き締まった、端正で温かさ溢れるピリオド楽器特有の雅な音色の素敵な演奏が聴けます。

解説文は英語、仏語、独語、洪語の4ヶ国語です。

古典派音楽を古楽器で聴きたい方や、ハイドン兄弟やモーツァルトの交響曲の好きな方にお薦めのアルバムです。

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ピリオド楽器によるミヒャエル・ハイドンの交響曲集 第2巻!

ハンガリーのピリオド楽器団体、パール・ネーメトの指揮する カペラ・サヴァリアによる、ピリオド楽器による ミヒャエル・ハイドンの交響曲集の第2巻が発売されました。今回は『1780年代の交響曲』と銘を打たれた作品集です。弦楽器の編成は4-3-2-2-1にチェンバロとファゴットの通奏低音つき。

収録作品は、ミヒャエル・ハイドンの「3楽章形式の」交響曲が4曲です。番号表記はペルガー番号によります。

🎵交響曲第31番 ハ長調
兄のハ長調交響曲を彷彿とさせるような、ティンパニやトランペットの入った 元気な作品。カッサシオンやディヴェルティメントにも通じる小型の交響曲。

🎵交響曲第18番 変ロ長調
31番と異なり、序奏つきの第1楽章をもつ 堂々とした交響曲作品。ミヒャエル・ハイドンらしくて細かいテーマを連続で聴けるのが魅力です。Andante 楽章でも管楽器の活躍が聴けます。

🎵交響曲第17番 変ホ長調
反復の無い思索するような第1楽章のあとに続く、夢見るようなAdagietto が聴きどころです。

🎵交響曲第20番 ニ短調
兄の疾風怒濤期の交響曲作品を彷彿とさせる 熱量の高い第1楽章。管楽器のアンサンブルの光明が素敵な第2楽章。第1楽章と対を成す第3楽章。最後に長調に転じて明るく終えるのがいいですね。
このアルバムを締めるに十分な作品です。

演奏はドイツなどの古楽器団体のような刺激的なスタイルとは対極の、温かさ溢れるピリオド楽器特有の雅な音色が堪能できます。

解説文は英語、仏語、独語、洪語の4ヶ国語です。

古典派音楽を古楽器で聴きたい方にピッタリです。そしてハイドン兄弟やモーツァルトの交響曲の好きな方にも聴いてもらいたい1枚です。
私的には、初めてミヒャエル・ハイドンの交響曲を聴かれるのであれば「第1巻から」と申し添えておきますね。

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Michael Haydn: Symphonies

カペラ・サヴァリア、他

5:
☆☆☆☆☆
★★★★★

ピリオド楽器によるミヒャエル・ハイドンの交響曲集!

ハンガリーの精鋭、パール・ネーメトの指揮、カペラ・サヴァリアによる、初のピリオド楽器によるミヒャエル・ハイドンの交響曲の素晴らしいアルバムが発売されました。弦楽器の編成は4-3-2-2-1にチェンバロとファゴットの通奏低音が入っています。

収録作品は、ミヒャエル・ハイドンの交響曲が5曲。番号表記はペルガー番号によります。
🎵交響曲第41番 ニ長調
4楽章ながら12分という、聴く機会のほとんど無い 小型の作品。終楽章の狩りの風景を彷彿とさせる音楽が秀逸です。

🎵交響曲第6番 イ長調
4楽章形式のモーツァルトの中期の交響曲と同等の優れた作品。温かく優しさあふれる音楽を 心を込めての演奏が素敵です。特に Andante の第3楽章はこのディスクの白眉です。

🎵交響曲第8番 ト長調
弦楽合奏の単一楽章の作品。これは カンタータ『讚美(Applasus)』の序曲としても利用された?(を抜き出した?)作品。快活で素敵な序曲です!

🎵交響曲第11番 ニ長調
同じハンガリーのリスト室内管弦楽団の素晴らしいテルデック盤と被る録音。都会的なスマートな前者に対して、ピリオド楽器のこちらはひなびた田園風景の広がるのんびりとした風景。比較して聴くのもいい。

🎵交響曲第42番 ニ長調
序奏つきの第1楽章をもつ3楽章形式の作品。ミヒャエル・ハイドンらしさが詰まった佳作。ナチュラルホルンの見事な安定した吹奏が隠れた名演奏でしょう。

演奏はドイツなどの古楽器団体のような刺激的なスタイルとは対極の、温かさ溢れるピリオド楽器特有の雅な音色に浸れる素敵なアルバムです。

解説文は英語、仏語、独語、洪語の4ヶ国語です。

古典派音楽を古楽器で聴きたい方には、大推薦。そしてハイドン兄弟やモーツァルトの交響曲の好きな方にもぜひ聴いてもらいたい1枚です。

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M.Haydn: Symphonies Vol.2

パトリック・ガロワ、他

5:
☆☆☆☆☆
★★★★★

ミヒャエル・ハイドンの交響曲集!

パトリック・ガロワがチェコ国立室内管弦楽団パルドビツェを指揮してミヒャエル・ハイドンの交響曲を4曲録音したアルバムです。
モダン楽器のオーケストラによる しっかりとした合奏による近代的な「交響曲」様式にはまった響きで聴くことができます。80年代の室内管弦楽団による古典派交響曲の録音の好きな方にピッタリです。
ただ このアルバムでは、ジャケットの演奏家にしっかりと記載されている『チェンバロ(ハープシコード)』の通りに、通奏低音のチェンバロが「とても派手に活躍しちゃって」います。そこが好き嫌いの分かれ目になりそうです。「モーツァルト(もしくは、兄ハイドン)の交響曲にチェンバロが入っている方が好き」という方には良いですが、チェンバロが目立つのはちょっと…という方には、お薦めできかねます。

収録作品はすべて3楽章形式の4曲。番号はペルガー番号によります。
🎵交響曲第42番 ニ長調
序奏つきの優雅な室内交響曲。ミヒャエルらしい小さな締めのワンフレーズがお洒落な佳作。
🎵交響曲第18番 変ロ長調
宮廷の空気が感じられる 素敵な作品。
🎵交響曲第17番 変ホ長調
管楽器の温かな響きが生かされた 色鮮やかな交響曲。終楽章は「狩」の音楽。
🎵交響曲第22番 ヘ長調
この4曲の中で 最もミヒャエルらしい作品。

私的には、第1集より チェンバロの響きがオーケストラの中に溶け込んだ感じで、煩さは抑えられたのが良いです。また選曲も知られていない作品ばかりですが、温かな旋律の魅力はこちらの方が上です。お薦め度は第1集は4.5でしたが、こちらは自信をもっての5です!

古典派の交響曲の好きな方には、お薦めのアルバムになります。

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M.Haydn: Symphonies Vol.1

パトリック・ガロワ、他

5:
☆☆☆☆☆
★★★★★

ミヒャエル・ハイドンの交響曲集!

パトリック・ガロワがチェコ国立室内管弦楽団パルドビツェを指揮してミヒャエル・ハイドンの交響曲を4曲録音したアルバムです。
モダン楽器のオーケストラによる しっかりとした合奏による近代的な「交響曲」様式にはまった響きで聴くことができます。80年代の室内管弦楽団による古典派交響曲の録音の好きな方にピッタリです。
ただ このアルバムでは、ジャケットの演奏家にしっかりと記載されている『チェンバロ(ハープシコード)』の通りに、通奏低音のチェンバロが「とても派手に活躍しちゃって」います。そこが好き嫌いの分かれ目になりそうです。「モーツァルト(もしくは、兄ハイドン)の交響曲にチェンバロが入っている方が好き」という方には良いですが、チェンバロが目立つのはちょっと…という方には、お薦めできかねます。

収録作品は4曲。
🎵交響曲第16番 ト長調
昔、モーツァルトの交響曲第37番と言われていた作品の原曲。第1楽章の冒頭の序奏が無いのが原曲です。
🎵交響曲第21番 ニ長調
優雅な序奏つきの、これぞ室内交響曲の響きという作品。
🎵交響曲第19番 ハ長調
優雅さと堂々とした響きを完備した秀作。
🎵交響曲第15番 イ長調
この作品だけメヌエットのある4楽章形式。

今では数多く発売されたミヒャエル・ハイドンの交響曲のアルバムの中で、古楽器のパール・ネーメト盤を除くと、ヤーノシュ・ローラ盤に次いでお薦めできるアルバムです。ただ こちらはモーツァルトの交響曲第37番の原曲が聴けるという点で、ポイントが高いでしょう。

ミヒャエル・ハイドンの交響曲を「初めて」聴いてみたい方や、モーツァルトの交響曲の延長として他の作曲家の交響曲を探している方には、チェンバロが目立つのを良しとするならば、お薦めです。

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グレゴール・ヨーゼフ・ヴェルナーの宗教作品集!

エスターハーズィー公爵家のハイドンの前の楽長として名前を残している、ウェルナーの宗教的な声楽曲と器楽曲のアルバムです。
マグダレーネ・ハラー他のソリストと8人の小さな合唱団。それにラヨシュ・ロヴァトカイの指揮と8人の弦楽合奏とオルガンによる演奏。

収録曲は
2曲の🎵ミサ曲 を最初と最後に配置。
最初の作品はバロック風ですが、最後の作品は 古典派の響きに変わっています!
その間に4曲の🎵モテット。
モテットの間に器楽(弦楽合奏と通奏低音)の🎵ソナタ
というシンメトリックで盛り沢山のプログラムです。

清楚な声楽と、端正で統率のとれた器楽合奏による演奏は安心して聴くことができます。作品に寄り添った温かな演奏が素敵です。
穏やかな音色の美しい音楽に溢れた1枚です。

後期バロック〜古典派の声楽作品の好きな方、ハイドン音楽の好きな方には外せないアルバムではないでしょうか。

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ポーランドの古典派音楽、ヨゼフ・ザイドレルのミサ曲とハーベルのシンフォニア!

マルチン・ナウェンチ=ニエショウォフスキの指揮するシンフォニエッタ・クラコヴィアと、ポーランド室内合唱団、他4人のソリストによる演奏。
小型のモダン楽器によるオーケストラに、素直な発声の声楽陣による、素朴さ溢れる 日本てはまず紹介されないであろう、ポーランドの古典派音楽の佳作のアルバムです。

前半に収録された作品は
🎵ヨゼフ・ザイドレル:ミサ曲 ニ長調
ラテン語のミサ通常文によるミサ曲。
古典派らしい 美しく端正な温かな作品です。ハイドン兄弟やモーツァルトの初期の宗教曲を思い出す、30分強の愛すべき作品です。

後半は
🎵 アントニ・ハーベル:シンフォニア ニ長調
4楽章形式の前期古典派を思わせる、可愛い作品。
第2楽章では、ヴァイオリンをさはじめとする、弦楽器のトップ奏者によるソロ(重奏)が素敵です。
穏やかで 耳に優しい演奏は、おまけの収録というレベルを超えています。

どちらも日本では聴くことのできない ポーランドの古典派の作曲家です。資料的にも貴重なアルバムです。
古典派音楽のお好きな方には お薦めの1枚になります。

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ヨーゼフ・アントン・ステファンのチェンバロソナタ集!

ミッツィ・メイヤーソンのチェンバロによる、鮮やかな演奏が素敵です。

収録作品は5曲
🎵ソナタ ト短調 《マリアツェルの行列》 S.20
3楽章の表題音楽。
🎵ソナタ ト長調
単一楽章の温かみのある音楽。
🎵ソナタ ハ短調
表情豊かな、色鮮やかな、疾風怒濤のソナタ。
🎵ソナタ 変ロ長調
単一楽章の可愛い作品。
🎵ソナタ 変ロ長調
古典派らしい流麗な旋律が冴えた音楽

前古典派から古典派の様式による作品たちです。
チェンバロ作品、古典派音楽の好きな方にお薦めできるアルバムです。

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サリエリの序曲と舞台音楽集!

トーマス・ファイの指揮、マンハイム・モーツァルト管弦楽団による目の覚めるような演奏で、サリエリのオーケストラ音楽のアルバムの第2弾。

収録曲は
🎵「あべこべの世界」序曲
🎵「タラール」序曲
🎵「オルムスの王、アクスル」〜第4幕の小シンフォニア
🎵「ペルシャの女王パルミーラ」序曲
🎵「黒人」序曲
🎵「黒人」〜第2幕の小シンフォニア
🎵「トロフォーニオの洞窟」序曲
🎵「魅惑の女」〜第2幕の二重オーケストラのシンフォニア
🎵「ダリーゾとデルミータ」イントラーダ
🎵「ダリーゾとデルミータ」第1幕のロッタ
🎵「ナウムブルクの前のフス教徒」序曲 と4つの間奏曲
🎵「アンジョリーナ、あるいはざわめき結婚」序曲

世界初録音を含む、サリエリの再評価を促すような、鮮やかなオペラのオーケストラ作品集。
短い曲を通して、多様な音楽を聴かせてくれます。

ファイの目の覚めるような指揮が冴えた1枚です。
古典派音楽の好きに方には、是非聴いて欲しいアルバムです。

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グルベローヴァが歌う『バスティアンとバスティエンヌ』!

レイモンド・レッパードの指揮する フランツ・リスト室内管弦楽団に、エディタ・グルベローヴァを迎え、ヴィンソン・コールとラーズロ・ポルガールを配した、モーツァルトの初期の可愛いジングシュピールのアルバムです。1989年のCD時代初期の録音です。
1960年代からバロック〜古典派音楽で、日本では知名度が低いのが残念ですが、端正かつ流麗なスタイルの演奏を聴かせてくれたレッパードが ここでも好サポートを聴かせてくれています。

🎵歌劇『バスティアンとバスティエンヌ』K.50
台詞も最低限 入っています。グルベローヴァをはじめ、3人は歌唱のみならず 語りもしっかりとした感情をこめた丁寧仕上がりです。
可憐なグルベローヴァの声に魅了されます。

余白はモーツァルト アリア集。
🎵歌劇『フィガロの結婚』のための挿入アリア「喜びに胸はときめき」K.579
🎵歌劇『フィガロの結婚』~レチタティーヴォとアリア「とうとう嬉しい時が来たわ〜恋人よ早くここへ」K.492
2曲ともスザンナのアリア。声質がグルベローヴァにピッタリです。
🎵歌劇『後宮からの逃走』~レチタティーヴォとアリア「哀れな者よ、おお夢よ目覚めよ〜まわりにそよぐ微風」K.431
こちらはヴィンソン・コールのあ甘いテノールの歌で。
🎵挿入アリア「娘よ、お前との別れに際し」K.513
最後はラーズロ・ポルガールのバスによる歌唱。

昭和時代のモーツァルトのオペラの録音を聴いてきた耳には、小編成の鮮やかなオーケストラの音色による、モーツァルトのオペラは新鮮な輝きをもたらす1枚でした。
古楽器による演奏に慣れた現在では、中途半端な感じが否めませんが、日本の今の状況、古楽器奏者の育っていない中での地方でのオペラ上演の ひとつの模範ともなるアルバムともいえるでしょう。

古典派以前の音楽を、爽やか かつ穏やかで 温かなスタイルで聴いている方にお薦めできるアルバムです。

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ヴィットリオ・ネグリによる チマローザのレクィエム!

ネグリがローザンヌ室内管弦楽団を振った 1968年の録音。ソプラノにエリー・アメリンク、バスにクルト・ヴィドマー他を配置したもの。合唱が モントルーフェスティバル合唱団とちょっぴり弱いですが、人数の多さでカバーしているのは、1970年前後のバロック〜古典派音楽の演奏スタイルをそのまま映した録音といえるでしょう。

古典派らしい旋律美に溢れた佳作です。ネグリの作品に真摯に向きあった、チマローザの温かな音楽が満喫できる録音です。
1970年代後半から廉価盤(1500円)でのLPで再発売もされた名盤です。
1997年に新たに書かれた 戸口幸策氏の丁寧な日本語の解説文も貴重な資料になります。

古典派音楽、宗教曲の好きな方はもちろん、チマローザの小曲を聴いて関心をもたれた方にもお薦めできるアルバムです。


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クルピンスキの歌劇『チョルシュティン城』2幕(世界初録音)

ポーランドの古典派作曲家、カロル・クルピンスキのジングシュピール。歌詞はポーランド語です。
指揮はミハウ・ニェジャウェク、管弦楽は ポーランド交響楽団、ユヴェントゥス。それに5人のポーランドのソリストたち。素直で清楚な発声ですので、イタリアオペラのような派手さはありませんが、地方の優秀なオペラを聴いたような清々しさが残るアルバムになっています。

序曲と台詞とアリア、重唱による作品。ポーランド語がわからなくても、古典派らしい親しみやすく 耳に優しい音楽です。オーケストラもここぞとばかりの時には、ガツンと良い音を鳴らしています。

日本では まず聴くことのできない作品ですが、このような英語の解説のついたアルバムで聴くことができることは、嬉しい限り。古典派ファンやポーランド音楽ファンには 貴重な1枚てす。

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モーツァルトとミヒャエル・ハイドン の ヴァイオリンとヴィオラのための二重奏曲集!

レイチェル・ポッジャーのバロックヴァイオリンと、ジェーン・ロジャーズのバロックヴィオラによる、ミヒャエル・ハイドンの二重奏曲(モーツァルトのお手伝い作品つき)から抜粋。
ピリオド楽器の温かな音色にどっぷりと浸れる1枚です。
有名な、ミヒャエルの病のために モーツァルトが6曲のうち2曲を代筆したという逸話の作品です。ここではモーツァルトの2作品と ミヒャエルの2作品を聴くことができます。

収録作品は
🎵モーツァルト:ヴァイオリンとヴィオラのための二重奏曲第1番 ト長調 K.423
🎵M.ハイドン:ヴァイオリンとヴィオラのための二重奏曲第1番 ハ長調 P.127
🎵モーツァルト:ヴァイオリンとヴィオラのための二重奏曲第2番 変ロ長調 K.424
🎵M.ハイドン:ヴァイオリンとヴィオラのための二重奏曲第2番 ニ長調 P.128
アンコール?に
🎵モーツァルト:ホルンのための二重奏曲 K.487 ~メヌエット

ポッジャーとロジャースの雄弁な二重奏は、逸話など無くても 聴く価値のある、表情豊かで豊穣な響きのアルバムです。
このアルバムを聴けば、ミヒャエル・ハイドンとモーツァルトの実力が同じであることがわかるでしょう。でも、今の知名度は大差。知名度から音楽を選んでいると、大きな損失となることを知らさられるアルバムです。

こモーツァルトや古典派音楽好きの方、ヴァイオリン、ヴィオラ弾きの方以外にも聴いてもらいたい録音です。

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ミヒャエル・ハイドンの交響曲と協奏曲集!

ヴィルフリード・ベッチャーの指揮するカペラ・コロニエンシスによる演奏。交響曲は1970年代前半の録音なので現代楽器による演奏。協奏曲が1975年録音なので、ミュラー・ブリュールなどと古楽器を用いての演奏を行うようになった頃の演奏。そのスタイルの違いがしっかり感じられます。
ピリオド楽器の受容の動きが感じられる記録にもなっています。

収録作品はすべて ミヒャエル・ハイドンの作品です。
🎵交響曲 ト長調 P.27
3楽章、10分未満の小さな作品。

🎵ヴィオラとオルガンのための協奏曲 ハ長調 P.55
フランツ・レールンドルファーのオルガン、ウルリヒ・コッホのヴィオラ。
歯切れの良い端正な、これぞ古典派という演奏です。通奏低音のチェンバロの音も程よく聴こえてきます。
Adagio の第2楽章の美しさが聴きどころです。

🎵交響曲 変ロ長調 P.9
4楽章の古典派らしい しっかりとした交響曲。ミヒャエルの交響曲の特徴を詰め込んだような作品です。

🎵交響曲 イ長調 P.33
3楽章ながら しっかりとした形式でまとめられた交響曲。フーガで開始される終楽章は、モーツァルトのお手本になった?と思われるもの。

指揮をするベッチャーは、兄 ハイドンの初期の交響曲録音などでも温かな演奏を聴かせてくれた、20世紀の隠れハイドン指揮者の1人です。LP 時代に廉価盤で出ていた録音を、うまくまとめて再発させた企画です。

録音の古さは一切感じません。70~80年代の室内管弦楽団による古典派交響曲を聴いて楽しんだ方にお薦めです。優しい音楽作りになっています。

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ハイドン兄弟、故郷(ハインブルク)を後にして
〜18世紀オーストリア、古典派の原風景〜

フローリアン・ヴィーニンガー指揮のピリオド楽器のアンサンブル・ドルチェ・リゾナンツァの演奏です。
また、オルガン作品は、アントン・ホルツァプフェルのポジティフオルガンです。

収録作品は
🎵アルブレヒツベルガー:前奏曲とフーガ ハ長調 作品6-1
🎵ハイドン:サルヴェ・レジナ Hob.XXIIIb-2
🎵ハイドン:音楽時計のための三つの小品 Hob.XIX-12~14
🎵フックス:第6ソナタ K366
🎵ミヒャエル・ハイドン:第五旋法によるマニフィカト(わたしの魂は主をあがめ)MH176
🎵ミヒャエル・ハイドン:アドヴェントのための受難曲『ああイエス、その慈悲なる膝に』MH131
🎵ヨハン・ゲオルク・ロイター(1708-1772):オルガン協奏曲 ヘ長調
オルガンを中心とする、教会音楽を中心としたプログラムの秀逸な選曲。

ハイドン兄弟の声楽つきの2作品が 大きな双耳峰を成した編集となっています。
そして ハイドンの最初の音楽の先生とも言われる、ロイターのオルガン協奏曲まで聴ける! ハイドンファンにとっては、「驚愕」かつ「奇跡」の、「誕生日」プレゼントみたいなアルバムです。
ジャケットがハインブルクの地図という、洒落たデザインも秀逸てすね!

ハイドンのファンはもちろん、古典派音楽や宗教音楽をお聴きになる方にお薦めできる、ちょっぴりマニアックな、良質のアルバムです。
日本語盤には 丁寧な解説(訳)が付いています。

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ミヒャエル・ハイドンの珠玉の室内楽曲集!

ザルツブルク・ホフムジークによるミヒャエル・ハイドンの4曲のディヴェルティメント集。ピリオド楽器とモダン楽器を使い分ける団体との紹介がありますが、ここではピリオド楽器の温かく雅な音色が素敵に響いています。

収録作品は
🎵ディヴェルティメント ハ長調 P.99
ヴァイオリン、チェロとコントラバスと通奏低音のチェンバロによる、しっかりとした古典派作品の形式をもつ 4楽章形式の作品です。
温かく雅で優しい音楽に包まれます。

🎵ピアノのための変奏曲 ハ長調 P.132
アントン・ヴァルターのフォルテピアノによる演奏。親しみやすい主題は、自作の『アルムの結婚式』からのもの。ミヒャエルの珍しい鍵盤作品は 可愛くて 愛すべき小品です。

🎵ディヴェルティメント 変ホ長調
ヴィオラとチェロとコントラバスの三重奏曲。
親しみやすいAdagioの変奏曲から始まる3楽章形式の作品です。兄のバリトン三重奏曲を聴いている感じの秀作です。

🎵ディヴェルティメント 二長調 P.93
弦楽四重奏とチェンバロの編成による行進曲から始まる5楽章からなる作品。このアルバムの中で 最も古典派の機会音楽のスタイルに近い作品です。ゆったりと音楽に揺られながら浸るには、最適の作品です。

聴く機会の少ないミヒャエル・ハイドンの室内楽曲の魅力が詰まった1枚です。ピリオド楽器の素晴らしい演奏も魅力です。弦楽器中心の地味なアルバムですが、楽章ごとの性格の描き分けが明瞭ですので、古典派音楽や室内楽の好きな方に 自信をもってお薦めできるアルバムです。

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