ルカサーが久々のソロアルバムを出した。盟友、ジョセフ・ウィリアムズも同じ時期に同じレーベルからアルバムを出していることを考えると、いずれも、今秋から再活動するTOTOに向けたデモンストレーションなのだろう。本サイトに掲載された宣伝資料に詳しい制作経緯とエピソードが書かれているので、それらを読んだ上で納得したなら、本作を買うと良い。何故なら、ルカサーはほとんど新しい挑戦をしていないからだ。むしろ時代に逆行して、サウンドは70年代80年代の匂いがぷんぷん漂っている。ということは、かなりプライヴェートな立ち位置で、本作は制作されたに違いない。おそらくルカサーは、再活動を前にして原点へ還りたかったのであろう。気心の知れたメンバーを集めて自由に楽曲を創り、意外かつ新鮮な印象のカバー曲を選んでいる。何しろあのリンゴ・スターがドラムを叩いているのだ。昔に還ることで、未来の方向性を見出したかったのかも知れない。タイトル曲の歌詞にはその思いが色濃く滲んでいる。聴きどころはM3,M4,M6,M8におけるギターソロだ。ほぼ一発録りに近いパフォーマンスながら実に美しい、気持ちの籠ったソロ演奏を堪能できる。ソロ・パートだけは本気でやっているから聴き逃すなよ、と語っているかのようだ。こう言ったら、本人には怒られるかも知れないが。