カスタマーズボイス一覧

サン=サーンス: 交響曲第3番「オルガン付き」、組曲「動物の謝肉祭」、プーランク: 組曲「典型的動物」<タワーレコード限定> / ジョルジュ・プレートル、他

こらまでプレートルの「オルガン付き」を聴いたことがなかったわけではないが、今回のSACD化でじっくり聴いた。盛大なパイプオルガンが響き渡るが、録音会場のデータを見るとサル・ワグラムとある。元々舞踏会場(ダンスホール?)だったサル・ワグラムにパイプオルガンがあるわけもなく、どうやってパイプオルガンの音を挿入したのだろう?と疑問に思っていたが、サンドオイルさんのカスタマーズボイスを見て納得できました。デュリュフレがオルガニストをしていたサンティティエンヌ・デュ・モン教会での録音だったのですね! ご教示ありがとうございました。それを知ると確かに教会録音らしいプレゼンスだなとますます納得。ワーナー発売エラートレーベルの「ザ・シンフォニック・レコーディングスICON」(CD17枚組)にもサル・ワグラム録音となっているので、元々のデータ自体が間違っているのでしょう。
この曲は同じタワレコ・ディフィニション・シリーズからも出ているマルティノン=フランス国立放送管の1975年録音のものを愛聴していますが、これもパリの別の教会での録音です。(交響曲全集で他の曲はサル・ワグラム録音というのも面白い。)
マルティノン盤は11年もあとの録音なので、プレゼンスもすっきりまとまっていてその上ダイナミックな力感もある。 その点、プレートル盤はマスターテープの経年劣化があるのでしょう、テープヒスがありヴァイオリンの音などザラついてきつい音になっているのが残念。プレゼンスもマルティノン盤のすっきりに比べて雑然とした感があるが、考えてみると雑然としているのがフランスだという気もする。その意味ではフランスらしい演奏・録音と言えるかも。
それより、感心したのはオリジナルジャケット! 仏パテ・マルコニ盤LPのジャケットでしょうか? まさにこの曲にぴったりのセンス溢れる教会をデザイン。 同時発売の「新世界交響曲」のジャケットも素晴らしく、この時代の仏パテの質の高さはどうだ! プレートルの「新世界」なんて全く興味もなかったのに、ついつい「ジャケ買い」してしまった(笑)。(ちなみに両方のジャケットの左下に小さくデザインしたアトリエらしき名前が書いてあります。)現代のCD製作者さんたちもジャケットデザインまで頑張ってもらいたい!
参考:ブリリアントレーベルで最近発売になったCD3枚のジャケットも素晴らしかった。

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ムジークフェラインさんが書いたカスタマーズボイス

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ステレオ初期にドイツ本流・ドイツ正統派ピアニストは、デッカのバックハウス、ドイツ・グラモフォンのケンプ、そしてEMIのリヒター=ハーザーという三人がそれぞれ素晴らしいベートーヴェンやブラームスを聴かせてくれ素晴らしい録音を残してくれた。
その中でリヒター=ハーザーは録音数が少なかったためか、ネームバリューがやや小さいような気がするが大変素晴らしいドイツ正統の大家だ。バックハウスやケンプはよく知っていたがリヒター=ハーザーは全く知らなかった頃、友人宅でこのピアノ協奏曲集のLPを初めて聴いてひどく感心した思い出がある。
それが良質のSACDにリマスターされ素晴らしい音で発売され喜びに絶えない。マスターテープの再生回数が少なかったのか極めて良好な音質でとても嬉しい。
それと今回特に感じたのは、使用楽器がベーゼンドルファーだということがよくわかりそのベーゼンドルファーの素晴らしい音が堪能できることだ。バックハウスの弾くベーゼンドルファーと双璧だ。(ケンプもそうだと思うのだが、録音のせいか今一つはっきりせず自信がない。詳しい方は教えてください。ポリーニなどはスタインウェイだとはっきりわかる。)
演奏家がどんな楽器を選択しているかでその演奏家の考え方を伺い知ることができる。最近古楽器の録音などでは使用楽器をデータとして明記してくれるケースが増えたが、現代楽器でもそうしてくれると聴く楽しみもさらに増えるのにと思う。レコード会社に強く要望したい。
それにしてもヤマハに吸収合併されたベーゼンドルファーは以前と同じ品質水準で生産が続けられているのだろうか? 詳しい方は教えてください。
皆さん!このSACDは買って得をすることはあっても損をすることは絶対にありません!最新録音にも劣らない素晴らしい音質です。そして演奏ときたら!最高級の贅沢が堪能できます。品切れにならないうちにぜひどうぞ!
そしてカラヤンと共演のブラームスのピアノ協奏曲第2番もぜひSACDリマスターで再発売お願いします!

こらまでプレートルの「オルガン付き」を聴いたことがなかったわけではないが、今回のSACD化でじっくり聴いた。盛大なパイプオルガンが響き渡るが、録音会場のデータを見るとサル・ワグラムとある。元々舞踏会場(ダンスホール?)だったサル・ワグラムにパイプオルガンがあるわけもなく、どうやってパイプオルガンの音を挿入したのだろう?と疑問に思っていたが、サンドオイルさんのカスタマーズボイスを見て納得できました。デュリュフレがオルガニストをしていたサンティティエンヌ・デュ・モン教会での録音だったのですね! ご教示ありがとうございました。それを知ると確かに教会録音らしいプレゼンスだなとますます納得。ワーナー発売エラートレーベルの「ザ・シンフォニック・レコーディングスICON」(CD17枚組)にもサル・ワグラム録音となっているので、元々のデータ自体が間違っているのでしょう。
この曲は同じタワレコ・ディフィニション・シリーズからも出ているマルティノン=フランス国立放送管の1975年録音のものを愛聴していますが、これもパリの別の教会での録音です。(交響曲全集で他の曲はサル・ワグラム録音というのも面白い。)
マルティノン盤は11年もあとの録音なので、プレゼンスもすっきりまとまっていてその上ダイナミックな力感もある。 その点、プレートル盤はマスターテープの経年劣化があるのでしょう、テープヒスがありヴァイオリンの音などザラついてきつい音になっているのが残念。プレゼンスもマルティノン盤のすっきりに比べて雑然とした感があるが、考えてみると雑然としているのがフランスだという気もする。その意味ではフランスらしい演奏・録音と言えるかも。
それより、感心したのはオリジナルジャケット! 仏パテ・マルコニ盤LPのジャケットでしょうか? まさにこの曲にぴったりのセンス溢れる教会をデザイン。 同時発売の「新世界交響曲」のジャケットも素晴らしく、この時代の仏パテの質の高さはどうだ! プレートルの「新世界」なんて全く興味もなかったのに、ついつい「ジャケ買い」してしまった(笑)。(ちなみに両方のジャケットの左下に小さくデザインしたアトリエらしき名前が書いてあります。)現代のCD製作者さんたちもジャケットデザインまで頑張ってもらいたい!
参考:ブリリアントレーベルで最近発売になったCD3枚のジャケットも素晴らしかった。

ジャケットのデザインに魅せられて購入した…ブリリアントレーベル「ジャケ買い」3部作の最後のもの(あと2つについては後述)。
実は、先日リリースされたヘレヴェッヘの「フォーレ/レクイエム」の再録音盤でのドロテー・ミールズの絶唱に心奪われて、ミールズの録音を検索していて本CDを見つけ、ジャケットデザインの素晴らしさに魅入られたのがことの始まりだった。(ミールズはヘレヴェッヘのバッハのカンタータ録音の常連でしたね。それなら沢山CD持っていたのに…。いかに持っているだけで聴いていないか…(汗))
スペインの田舎の小さな教会の屋根の上の鐘であろうか。(録音がスペインで、ジャケット写真についてもスペイン人らしき女性写真家の名前の記載があるので。)奥に広がる田舎の風景もあわせ、「救い」のタイトルにまさにふさわしい。ジャケットを眺めているだけで心が洗われるような素晴らしい写真とデザインだ。
ドロテー・ミールズのご両親はドイツ人とウクライナ人だそうで、ロシアによるウクライナ侵略開始後しばらくしての録音なので、その痛ましい犠牲に対する鎮魂の意味があるのだろうか。バッハとショスタコーヴィチのそのような作品が並ぶ。(ミールズにとってショスタコーヴィチは新たな挑戦でもあったに違いない。)これらの作品集がどのように「救い」を表出しているのか、私はまだ十分に感じ取れていないが、これからもそれを考えながら聴くだろう。それほどの内容と水準を持つ作品・演奏だった。
このCDには共演するG.A.Pアンサンブルの面々の使用楽器のデータまできちんと記載されていて、聴く方の参考に供している。私も聴きながら大変参考になった。このような配慮も素晴らしい。
最近発売されたブリリアントレーベルの3CDのジャケットデザインは秀逸だった。バッハの「マタイ受難曲」と「中世のパラダイム~14世紀イタリアの音楽」で、それぞれのCDにカスタマーズボイスを書いたので興味があればご参照ください。
あまり売上げは多くを期待できないであろうに、このような真面目なCDをリリースし、しかもそれ自体芸術ともいうべき素晴らしいジャケット意匠で仕上げて我々に提供してくれる(しかも何という低価格だ!)ブリリアントレーベルに最大の尊敬をもって賛辞を申し上げたい! 今後ともその最高に高い見識でもって素晴らしいCDをご提供ください。 応援しています!

「ことのは ゆかし~日本のうた」というアルバムで心をわしづかみにされ大ファンになってしまった秋本悠希さんの歌が収録されているということで即座に購入しました。
草川信さん作曲の童謡が5曲歌われています。「ことのは ゆかし」のときには秋本さんは「ソプラノ」という表記がされていましたが、本CDでは「メゾ・ソプラノ」という表記になっています。聴いてみるとなるほどメゾ・ソプラノの低い声で太めの声が聴こえます。「ことのは ゆかし」と並べて聴いてみると秋本さんはソプラノからメゾ・ソプラノまでの広い声域をカバーできる実力のある人だということがよくわかります。
5曲とも誰もが知っている童謡ですが、秋本さんで聴くと最高に素敵です!(完全に惚れた者の弱みだな~(笑))「どこかで春が」は現在通常歌われているのとは延ばす音価の長さが違うのが面白いです。原曲はこうなんですね。でも現在では短く歌われているのも感覚としてわかる気がします。
もっともっと秋本さんの歌が聴きたい!歌うお姿が見たい! 関係者の方よろしくお願いします!(笑)
「ファンタジア三部作」では同じ曲が3つの編成で編曲されています。わかりやすい曲で途中に「浜辺の歌」が出てきて面白いです。
草川信…こんな作曲家を埋もれさせず歴史に刻もうというこのような企画はとても尊いです。日本の音楽の歴史が豊になります。演奏者たちも手弁当で?企画に参加されたのかもしれません。「(CDの)デザイン:秋本悠希」とクレジットされています!すごく素敵なCDデザインです。ますます応援しています!

ジャケットに魅せられて購入してしまった…いわゆる「ジャケ買い」の典型。ブリリアントレーベルが最近リリースした3点(後述)はジャケットのデザインが素晴らしいので、価格安さもあいまって「ジャケ買い」でもお買い得だった。
中世のイタリアの街らしい暖かい色使いの風景画…私はこうゆうのに弱くすぐ魅せられてしまう…と思いながらCDケースを開くと、さらに感動が待っていた。 表紙の絵が右側の透明プラスチックから透けて見え、左側の解説書の裏にはその絵のさらに左側の絵が展開し、横長のこの絵の全貌が見開きで見える作りになっている! なんと凝った作りだ! 安価なCDながら製作側の「この音楽・演奏を14世紀イタリアの雰囲気を味わいながら楽しんでもらおう」という愛情が感じられそれがとても嬉しい。
「ベッキオ宮殿から望む1470年代のフィレンツェ」と解説書に小さく記載がある。絵の左側には川遊びに興じる若者たちの姿が見える。
そんな風景を味わいながらCDを聴く。ランディーニの名高い「春は来たりぬ」が最初に入っているのも購入の理由だが、中世イタリアの世俗音楽らしくタンモーラとかフラウト・ドッビオとかチェッコラなどという珍しい楽器を含む器楽合奏を伴ってリズミックに快活に歌われる。デヴィッド・マンロウのアルバムと同じ路線だ。私としてはアノニマス4のような優雅で優美な歌い方も好みなのだが、14世紀にはどのように歌われていたのだろう。そんな感慨に浸りながら全曲を聴く。器楽合奏を含めた中世イタリアの世俗音楽が2022年録音という最新の古楽考証による演奏で堪能できて楽しい。
ブリリアントレーベルの製作に携わった見識の高い方々、このような素晴らしいアルバムを安価に届けてくださったことに感謝します。 木製の素朴な十字架をあしらった「マタイ受難曲」(コメント済み)やドロテー・ミールズの「救い~バッハ・ショスタコーヴィチ作品集」(じきに届くのでまたコメントします)の素晴らしいジャケットを皆さんに御覧いただきたい。 ブリリアントレーベルの皆様また素敵な製品をよろしくお願いします!

ジャケットのデザインに魅せられて購入した…典型的な「ジャケ買い」である。LP時代にはままあったが、CDになってからは珍しい。ブリリアントのCDは安価なので手を出しやすいのもあってついつい買ってしまった。
貧しい農民のものであろうか、素朴な木製の手作りの十字架…。「素朴な信仰」の尊さを感じさせてくれる素晴らしいジャケットである。「マタイ受難曲」にまさにふさわしい。
実はよく見ると使われた木は無垢板ではなく、現代の薄い板を貼り重ねた合板のように見える…と言えば興ざめだが、それでもこのジャケットのためにデザイナーが作ったと思えばやはり尊い。
購入前には予想だにしなかったが、この価格ながらブック形式の豪華な紙製ジャケットであるのに驚いた。お買い得感がすごい。イギリスのシグナムレーベルのライセンス生産とあるが、素晴らしいのはシグナムか?ブリリアントか?
演奏は1990年代のイギリス人による小編成の古楽アンサンブルで、今でも十分水準の演奏が聴ける。大家の上段に振りかぶった演奏と比べると「素朴な信仰」の演奏でむしろ好感が持てる。コストパフォーマンスと合わせお買い得感は半端ないので、皆さんにお勧めする。
実は最近のブリリアントレーベルのジャケットデザインの素晴らしさは秀逸で、他にもあと2点ジャケ買いをした。「中世のパラダイム~14世紀のイタリアの音楽」とドロテー・ミールズの「救い~バッハ・ショスタコーヴィチ作品集」(4月中旬発売)である。それぞれのCDにカスタマーズボイスを書きたいと思わせてくれる素晴らしいジャケットだ。(実際に書きます!)
各メーカー、各レーベルは演奏者の顔写真などという安易なジャケットでお茶をにごさず、このような後世に残る良いデザインのものを提供してほしい。製品に芸術性を持たせられるジャンルはそうそうないのだから。
ともあれブリリアントレーベルの見識の高さに最高級の敬意を表する次第です! 今後とも素晴らしい作品をご提供ください。

先にリリースされた「春の祭典/火の鳥」も好演だったが、この「ペトルーシュカ」はさらに素晴らしい演奏だ。「ペトルーシュカ」は今はもう演奏様式が確立されているので誰が演奏してもあまり変わり映えしない演奏になりがちだが、マケラの思い切った演奏はなかなか痛快で面白く聴けた。とても生き生きとした演奏で好感が持てる。
最後ペトルーシュカが死に警官が駆け付けペトルーシュカの亡霊が出るあたり、通常よりあっさりとしたユーモラスな表現で肩透かしを食ったような印象が初めはあったが、考えてみれば人間ではなく所詮人形だ。登場人物のカリカチュア的な扱い。そんな解釈も面白い。
マケラの指揮に加えてパリ管のフルートやオーボエ、弦楽器の冴え冴えとした音色が聴いていて快感だ。 ドビュッシーの「遊戯」と「牧神」にはさらにその音色が生きている。「牧神」の後半の盛り上がりなどやるせなくていつまでも余韻が残る。 パリ管は今もフランスを代表するオーケストラだ。パリ音楽院管時代のようなフランスの音色を聴かせてくれるのもうれしい。
録音もサル・ワグラムではなくパリのフィルハーモニーホールとのことだが、優秀な録音で全く不足を感じない。
「春の祭典/火の鳥」から1年後の録音だけにマケラとパリ管とがしっくり馴染んでよい練れ具合になっている。 好演です。皆様にお勧めします!

名曲フォーレのレクイエムにまた名盤の誕生だ。ヘレヴェッヘの再録だけに期待していたが予想以上の名演奏だ。
まず冒頭を聴き始める。コレギウム・ヴォカーレ・ヘントの合唱の音程(ピッチ)が物凄く良くてそれだけでも気持ちがよくて圧倒される。 聴き進むにつれて録音の良さに気付く。ライブ録音とあるが演奏が終わって拍手が始まるまでそのことを忘れていたほどだ。聴衆ノイズは全くなく、適度なホール残響を伴いながらオーケストラも合唱もきわめて分離が良い。解説書に載っている演奏風景の写真の通りの自然な定位で、まるで会場で生で聴いているようだ。昔の録音を多く聴いているせいか最新録音の優秀さを実感する。それにしても優秀録音であることは間違いない。
美しい音楽がずっと続くが、一番心に残ったのはドロテー・ミールズの歌う「ピエ・イエズ」のソプラノ・ソロだ。夢見るように美しい。デービス=シュターツカペレ・ドレスデン盤のルチア・ポップの名唱に並ぶ。解説書にバッハ・コレギウム・ジャパンと共演とかサントリー財団サマーフェスティバルに出演とあるので、日本で実演を聴かれた方もあるかもしれないが、地方に住む私は名前を聞くのも初めてだったが、心に染み入る名歌唱だ。ライナーノーツに載っている写真を見るとなかなかの美人だ(音楽には関係ない(笑))。バリトンも悪くない。
ヘレヴェッヘも曲が高調してきてもトロンボーンなどの金管楽器をあまり強奏させることなく穏やかで終始美しい音楽作りで嬉しい。
少し違和感があるとすれば、最後の「楽園にて」のオルガン(解説写真を見るとポジティブ・オルガンを使用している)のアルペジオの音がなんか子供のおもちゃの水笛のような変わった音だというくらいだが、これはヘレヴェッヘの意図なのか? こんなに耳の良い人で古楽の大家だ。意図したものだろうね。
ともあれ素晴らしい演奏・録音です。皆さんに強くお薦めします!

26才(大卒4年目)の若造が名門パリ管の70⁓80人の前に立つだけでも足が震えない方がおかしいのに、これほどの演奏ができればそれは立派な「天才指揮者」である。 26才でパリ管の音楽監督なんて凄すぎる!
「春の祭典」は若い勢いのある演奏だけれど決して横滑りはしない。今や多くの指揮者・オケにより演奏される定番曲だけに、他と違う圧倒的な演奏は難しいだろうが、若々しい勢いのある演奏を求められる方には強くお勧めする。
だが、むしろ「火の鳥」の方がマケラの美質をより感じさせる良い演奏だ。(私は美しくてロマンティックなこの曲が好きだ。)随所に彫りの深い表現が聴こえ、この曲の良さを際立たせてくれている。
またこの2曲の初演地のパリの最高のオケの音色が嬉しい。「春の祭典」冒頭のフランス式バソン(ファゴットではありません)やオーボエなどのフランスらしい音が聴けるのは実に嬉しい。
録音も最新録音らしく分離がよく定位も自然で非常に好ましい。実に鮮明な音質だ。
今後のマケラ=パリ管の活躍が楽しみだ。

じつはこのSACDは購入していないが、mejiさんのコメントに深く同意するためあえてコメントさせていただきます。
同時発売のオネゲルの交響曲に☆5つ付けた上でコメントを書いた。そこでは今回のSACDを褒めておいたが、じつは音質的には期待したほでではない、というのが本音です。「SACDシングルレイヤーSHM仕様」とうたわれていれば、どんなに音質的に向上しているのだろうとすごく期待して購入する。実際、良心的なSACDリマスター発売など感動に打ち震えるほど素晴らしい音質向上のものもある(タワレコのものなど)。しかし、これはただSACDのフォーマットで発売しましたよ、というだけのことではないですか? 評価できるのは極端に言えばオリジナルジャケットで発売してくれたくらいだ。
mejiさんのコメントの「このような高品位ディスクを購入するユーザーは、昔からこの演奏を愛し…」以下の文面に深く同意するとともに「よくぞ言ってくださいました」と賛意を表したい。 私もまずLPを購入し(それもまず国内盤、そのあとドイツプレスをと2枚)、次に初出CDを、CDがオリジナル・ビットイメージ・プロセッシングで再発売になればそれを購入し、さらにSHM-CDを購入し、同じ演奏を何枚持っているの?と人にあきれられるくらいオネゲルのこの演奏を愛しているのです。 発売元はこのようなリスナーを舐めない方がいいと思います。
発売元は高額な商品を売りつけて儲ければそれでいいのでしょうが、高価だからこそ品質が伴わないとしまいにユーザーに見切られてそっぽを向かれますよ。 解説書にしても「学生の感想文のような」くだらない解説書のなんと多いことか! 少し鬱憤がたまっていたので過激な文章になってしまいました。しかしこれを機会にメーカーには猛省して良い商品を世の中に提供してほしい。切に望みます。

オネゲルの2大傑作交響曲のカラヤンによる超名演奏の待望のSACD化である。
第2番にはこの曲を得意とするミュンシュによる名演もあるが、カラヤンはそれをも凌駕する。巨匠になり厚化粧になる以前の1960年代最後のカラヤン=ベルリンフィルの最良の姿が刻まれている。

カラヤンの良さは(あまり一般には思われていないが)案外楽譜に忠実なことである。第2番の最終楽章の終結部のトランペットのファンファーレへと突き進む盛り上がりではどうしてもテンポ・ルバートしがちだが(ミュンシュも若干ルバートしている)、カラヤンはとにかく楽譜通りのイン・テンポを貫き通し突き進む。そのおかげで絶大な推進力を持った大団円が実現する。チャイコフスキーの交響曲第5番の最終楽章の終結部(ダダダダンの3連符)然り、ブラームスの第1番の最終楽章の頂点で序奏部のアルペンホルンが再現するところ然り、テンポを落として大見えを切りたくなる場面でイン・テンポを貫くことで最高のクライマックスが形成されている。
第3番「典礼風」第1楽章「怒りの日」の戦争の嵐もこれほどの壮絶な圧巻の演奏は聴いたことがない。カラヤンの素晴らしさと共にベルリンフィルの優秀さを痛感する。第2楽章以降の祈りの表現も見事だ。

今回のSACDの音質を確認するため、以前のSHM-CD国内盤と比較してみた。SHM-CDはやはりCDらしく鋭い音で極端な言い方をすると白黒のレントゲン写真のような印象。鋭く分離がいいので楽器がそれぞれやっていることが割によく聴きとれる。第2番の弦楽器のアタックなど鋭くてなかなか良い。デジタル的な印象。
それに対して本SACDはアナログのカラー写真のような印象。鋭さは若干後退するがCDのデジタル的=金属質に対しアナログ的=木質の感じがする(本録音はアナログ録音である)。やはりこちらが本来の姿なのは間違いない。CDが骨皮筋衛門だとしたらSACDの身体には肉がついている。

それと今回のSACDで特筆すべきはオリジナルジャケットの使用! CDのときはカップリングのストラヴィンスキーのジャケットが使われており残念な思いをした(カラヤンのカッコいい写真の方が売れ行きがいいという営業的判断だろう)。このオレンジを基調としたオネゲルの肖像画のジャケットの素晴らしいこと! ようやく溜飲が下がった
皆さんにこの素晴らしいSACDをお勧めします!

私は本場至上主義者ではないけれど作曲家・指揮者・オーケストラともにフィンランドという本場ものの最新録音でおまけにBISレーベルのSACDときては購入意欲がわかないはずがありません。今フィンランドの人はどんなシベリウスを演奏するのか?に興味深々です。そして「カレリア組曲」「恋するもの」「レミンカイネン」とくればなおさらです。
①「カレリア組曲」…若書きのせいか退屈で曲の質が落ちる第2曲「バラード」(この曲をカットして録音している指揮者もいたな…誰だっけ?失念!)をチェロの伴奏音型を強調することでアルカイックな哀愁の音楽に仕上げて退屈な曲をなかなか聴かせる。マルッキという指揮者は初めてきいたけど、やるな、スザンナ姉さん!(笑)
②「恋するもの」…昔から「恋人」という曲名で馴染んでいたが、「恋するもの」が原題に近いのかな?「ラカスターヴァ」という原題もロマンティックで大好き。清潔で情感豊かな演奏。
③「交響詩レミンカイネン」…「レミンカイネン組曲」「四つの伝説曲」そろそろ曲の呼び方を統一しませんか(笑)? 神秘的で精神性の深い「トゥオネラの白鳥」。私の大好きな「レミンカイネンの帰郷」(この曲はカッコいい!)は激しく刺激的な演奏ではないけれど、本場フィンランドの余裕さえ感じられるまっすぐな演奏。
久しぶりに良いシベリウス演奏を聴いた実感があり、皆さんにお勧めします。ヘルシンキ・フィルも良い。特に金管楽器が地味だけど滋味ある音で素晴らしい。BISの録音(音取り)の良さも特筆もの!
またBISの見識の高い商品作りにも敬意を表します。SACDが基本フォーマットという点、エコ素材を使った極めて薄い紙ジャケット(CDの置き場に困っているコレクターには有難いこと!)など、他のメーカーも見習ってほしい。今後も応援しています!

タワレコ復刻盤が出たので久しぶりにじっくり聴いた。50年代・60年代のカラヤンの良さがよく出た演奏で一気に聴いてしまった。巨匠になってからの厚化粧とは違って素直な演奏、曲の良さを素直に聴かせてくれる良い演奏。カラヤンはあまり一般にそう思われていないが、実は意外に楽譜に忠実な人でその良さもよく出ている。さすがに59年の録音なので、音場の広がりや鮮明さ・奥行きは物足りないが鑑賞に不足というほどではない。さすがウイーンフィル、第2楽章など震えるほど美しい。この楽章の終わりのボスコフスキーのヴァイオリンソロ、そのあとの弦のピチカートの美しいこと! エース・オブ・ダイアモンド(廉価盤)で再発売のジャケットはさすがに安っぽすぎる。が、国内盤のカラヤンの指揮姿の写真のジャケットも無味乾燥でつまらないので、RCAの初発売時のソリア・シリーズのジャケットとかがよかったのでは?さてタワレコさんに復刻のリクエストですが、メータ=ロスアンゼルスフィルの「シェヘラザード」(DECCA 74年録音)をぜひお願いしたい。この曲の最高の名演奏と評価していますが、今は普通CDでも入手困難です。オリジナルのジャケットも素晴らしかった! タワレコの素晴らしいSACDリマスターでぜひ皆さんに聴いていただきたいと思います。よろしくお願いします!

このメルヘン・オペラは今までショルティ=ウイーンフィル(DECCA、何と言ってもルチア・ポップ様のグレーテル!)やアイヒホルン=ミュンヘン放送管(オイロディスク、何と言ってもポップ様の眠りの精!)を愛聴してきました。このクリュイタンス=ウイーンフィル盤は64年録音でローテンベルガーとか歌手も古いからな~と敬遠してきましたが、このタワレコ・ディフィ二ッション・シリーズでの復刻を機に真面目に聴き直してこれまでの認識が全く間違っていたと反省しました。冒頭のホルン四重奏による「夕べの祈り」からその深々とした四重奏に圧倒されます。特に中低音のホルンの深々とした音色のなんと素晴らしいこと! 楽器も古いウインナ・ホルンを使っているのでしょう。全曲の随所にこの素晴らしい音色が聴こえてきて、そのたびにゾックっとしてたまりません。このウイーンフィルの素晴らしい古い音はもはや廃れてしまったのでしょうか? (これを聴いた後ではショルティ盤のウイーンフィルの物足らないこと!)ウイーンフィルらしく弦も最高です。ローテンベルガーやゼーフリートも古いと言ってごめんなさい、トラック4の「一緒に踊ろう」では手拍子しながら歌ってとても楽しい。歌手も楽しんでいるのがよくわかる。ワルター・ベリーのお父さんもいいな。この人の歌は好き。アイヒホルン盤のフィッシャー・ディースカウの小賢しい歌い方と大違い。ディースカウのこういうところが大嫌い。脱線しましたが、これは素晴らしい名演です! マスターテープも再生回数が少なかったためか極めて良好で、さすがタワレコの復刻で64年録音とは信じられないような明瞭・良質な音です。この録音の真価が明らかになりました。またタワレコさんに感謝感謝の復刻盤を入手です。皆さんも品切れになる前に入手されておくように心からお勧めします。ぜひ聴いてください。

昔、伊藤京子さんのLPアルバムで「日本のうた」に目を(耳を)開かれ、鮫島有美子さんの4枚のCDアルバムで興味を拡げてもらった私が久々に日本のうたを聴きたいと思い、お三人のアルバムをまとめて購入しました。比較するわけではありませんがその中で最も心惹かれたのがこの秋本さんのCDでした。秋本さんは全く存じ上げませんでしたが、私と同郷の広島県尾道市のご出身ということもあり、一度に大ファンになりました。私が大好きな滝廉太郎の「花」や鮫島有美子さんでしか聴いたことがない山田耕筰の「松島音頭」が入っているのも嬉しかった。「花」…日本歌曲の古典ですが、ばかにしてはいけません。めちゃくちゃ良い曲です。「松島音頭」も古来の民謡風でありながら現代的な伴奏がさすが山田耕筰! その良さが生きた演奏です。「夏の思い出」などしみじみと歌われる秋本さんのうたもとても好きです。武満徹の「小さな空」は岩城宏之=東京混声合唱団のLP以来久々に聴きましたが、しみるなあ⁓。この曲は。日本人の琴線に触れるんだろうな~。秋本さんもしみじみと泣かせる! クラウドファンディングの「荒城の月」録音時の動画を観ましたが、CDでは淡々と歌っておられるように聴こえるけど、実際はあんなに情感を込めて歌っておられるのだなと感銘を受けました。広島のような地方に住んでいると秋本さんのご活躍に直に触れることは難しいですが、YouTubeをフォローして少しずつ応援していきたいです。紀尾井ホールでのリサイタルも行きたかった。それにしてもなんと美しい女性でしょう! 男なら誰でも惚れてしまいますぞ!(笑)

「新世界」は以前のESOTERIC盤を入手し損ねたので待望のSACD化だったが、タワレコのヴィンテージSACDコレクションとあっては文句なし、ゾフィエンザールでのDECCAの優秀録音と相まってこれが1961年の録音?と言いたくなる素晴らしい音が聴ける。それにしても録音時ケルテスは31才。にもかかわらず今聴いても若々しく現代的な生気あふれる素晴らしい演奏が繰り広げられている。この人は44才で不慮の事故で早世してしまったが、長生きしていたらどれほどの巨匠になっていただろう!ベームなんか真っ青だったに違いない。本当に惜しい人だった。それと今回ビックリしたのはイスラエル・フィルとの「売られた花嫁」序曲!1962年のイスラエル・フィル?どへたくそなローカルオケに決まっているじゃんと思ってこれまで敬遠してきたが、確かに管楽器には問題があるけどさすが弦の国、弦楽器は唖然とするくらい素晴らしい。アンチェル=チェコ・フィルと双璧の大名演だ。ケルテスはその弦楽器にフレージングやアーティキュレーション、ボウイングの指示をキッチリ指導して演奏させているのがよくわかる。シューリヒトもそうだけど実力のある指揮者はそれによって実に緊張感に溢れた生気ある音楽を生み出す。真ん中くらいの展開部にあたるあたりの弦楽器の掛け合いの素晴らしいこと!スラヴ舞曲集も豊かなニュアンスと勢いが溢れている良い演奏。タワレコさん、今回も素晴らしい音質と贅沢なカップリングでの発売をありがとう。こんな素晴らしい復刻を沢山お願いします!

この際、①GS-2115と②本GS-2297と③2019年に日本のソニーミュージックエンターテインメントから発売されたSACDのSICC-10286-94の交響曲全集のうちのSICC-10289と④米国プレスのLPのMS-6012(いわゆる六つ目の初期盤ではなく二つ目盤)を聴き比べてみました。①はなかなか立派な音でオーケストラの各パートの動きが手に取るように聴こえる。しかしながら響きがやや平板でマッシブな響きでないので少しざらついた音にも聴こえる。②はマッシブで潤いのある響きで各パートの分離は①には及ばないが実に立派な音。③は「2019年ニューヨーク・スワン・スタジオでのオリジナルアナログマスターテープからのトランスファー、DSDリマスタリング」とありエンジニアの名前の記載がある。だが、これが一番ダメだ。変な分離や遠い音源などのオンパレードの不自然な音響で、最近の「最新リマスタリング」と称して変な音に変えられている典型。最近はこのようなリマスターが多く嘆かわしいことこの上ない。④は盛んにLPを聴いていた頃はすごくいい音でいたく満足していたのだが、①や②を聴いた後では物足りないのにいささか驚いた。LPらしい自然さはもちろんあるのだが…。ということで①の分離の良さに後ろ髪を引かれながらもやはり潤いのある響きの②がベストか?グランド・スラムのオープンリールテープからのリマスタリングを高く評価するとともに、今後もますます良い復刻盤を提供いただけるよう期待しています!

うーん、よくわからない…わからないので詳しい方は教えてください。私はタワレコdefinition seriesのリマスター盤の大ファンで音質の良さと演奏選択の見識の高さを高く評価しています。今回この復活盤と2017年にワーナーから国内盤で発売されたUHQCDを聴き比べてみました。タワレコSACDはさすがにオーケストラの音の解像度・奥行感・空気感などCDにまさっていますが、ただ一つCDに比べて不満が…。それは大活躍するピアノの打鍵のきらめきです。この曲はそれが極めて大切な要素だと思うのですが、充分な煌めきのUHQCDに比べてこのSACDはまろやかになりすぎて煌めきに欠けるような気がします。大体に平板だが鋭いCDに比べてSACDの音はまろやかで、良いケースもあれば物足りないケースもある…。両方兼ね備えるのは難しいのか?と常に疑問に感じます。まあしかし、両方聴きながら「いい曲だな、この曲は」とご満悦なので世話はありません。絶対に必要なSACDです。また良い復刻を期待しています!

これは名演奏だ。ユジャ・ワンはもう10年も前にドゥダメルやアバドとラフマニノフやプロコフィエフの協奏曲を録音していて、それらもとても良い演奏で注目していたが、今回のは演奏・録音ともにそれらを超えて素晴らしい。ユジャ・ワンの小気味いいピアノの打鍵とドゥダメルとともに勢いのある音楽は実に爽快だ。ロシア的な憂鬱な詩情がもう少しあれば、という向きもあるかもしれないが、ウクライナ侵略以後私はロシアが大嫌いなのでそれはこの際いいことにしよう。以前の録音はライブ録音だったが、今回のは万全のスタジオ録音なので録音も申し分ない。以前のCDのジャケット写真に見るユジャ・ワンの奇抜なメイクにはいささか引いたが、今回CD写真の彼女のトレードマークの露出の多いステージ衣装姿を見ると、大人の色気があってとても良い。今年36才だそうな。容姿も演奏の実力も大変充実したこのピアニストは今後も大注目ですぞ! 現在のところラフマニノフのピアノ協奏曲全集のイチオシのセットです。

このジャケット、懐かしいなぁ。懐かしいと同時に心から憧れたジャケットでした。 当時13才、中学一年生。欲しかったけどLP何枚組かの豪華ボックスでとてもではないが手が出なかった。BEETHOVEN EDITIONの大きな金文字と遥かにウィーンの街を臨む風景画をただただ憧れの気持ちを持って眺めているしかなかった…。ノスタルジーの極致で今回の再発売を知り、CD4枚組でこの安さ、買わないわけがありません。3名人にライスターの参加、最近の演奏家の鋭いスタイリッシュな演奏とは違い名人たちが堂々としながら力みもせず滋味あふれるしみじみとした演奏で、現代の水準からするといささか古臭く感じる方もおられるでしょうが、歳をとったらこんな演奏がいいんだな…。部屋に流しっぱなしでずっと聴いていられる、そんな演奏です。13才の無念をようやくこの歳になってとんでもなく高額の利子を付けて払ってもらったような、すごく得をした気分です。そういえば13才くらいの頃、巌本真理四重奏団が2日にわたってベートーヴェンのピアノ三重奏曲全曲演奏会を催され聴きにいきましたが、13才の幼稚な耳には曲が渋すぎてあまりよくわからなかったので今聴いて正解かもしれません。余談になりましたが、タワレコさんのこういう復活リマスター発売は本当にありがたい! 今後も今回のような恩恵をたくさんいただけますようお願いします。応援しています!

知らなかった…なんてことだ…こんな録音があったなんて知らなかった…。なんてことだ!ルチア・ポップ様の大ファンを自認していて、ポップ様の公式な録音は網羅して所有していたつもりだったのに、こんな録音があるなんて知らなかった…恥ずかしい(涙) それくらい埋もれた名盤をだったということだ。長いことLPは廃盤だったしCD発売もなかったですよね。それをこんなに素晴らしい音質で復刻してくれてタワーレコードさんありがとう!マスターテープも良好でとても1966年の録音とは信じられないくらい。おまけにモーツァルトが得意なクリップスの指揮でそれもウイーンフィル!ローテンベルガー、ニコライ・ゲッダ、ゴットローブ・フリックなどと贅沢な歌手陣で言うことなしではないですか。クリップスの鋭くなく優しい音楽作りものんびりできて嬉しい。当時27歳のポップ様のお声とお顔のなんと可憐なこと!たまりませんなあ!(お顔はライナーノーツの素敵なお写真を参照ください。)今回は「魔笛」と「後宮」というモーツァルトの2大ジングシュピールを心ゆくまで堪能させて頂きました。(おかげで寿命が5年は伸びたわい。)タワーレコードさんの見識ある復刻には心からの敬意を表します。今後も素晴らしい復刻をお願いします!

懐かしい「魔笛」の復活です。これ以前にもクレンペラー盤やベーム盤という名盤がありましたが、久し振りに聴いてやはり私にとって「魔笛」はこの演奏だったなと思いました。ルチア・ポップの夜の女王やヴンダーリッヒのタミーノとかの傑出した歌手はいないけど、歌手陣は当時のバイエルン国立歌劇場のスター歌手揃いだし、何より南ドイツ・バイエルンの明るく柔らかな音色がこのメルヘン・オペラにピッタリです。また今回再認識したのはサヴァリッシュの指揮の素晴らしさ。NHK交響楽団との共演でサヴァリッシュに馴染みがあり過ぎて有難味が薄くなってしまっているが、柔らかいがダレがちなところはきりりと引き締めてさすがの名指揮者。もうひとつ驚いたのがマスターテープの劣化が全くといっていいほどないこと。聴きこんだLPとほぼ変わらないかもっと広い空気感を感じることができる素晴らしいリマスター復刻です。このような埋もれた名盤を次々と素晴らしい音質で復刻してくれるタワーレコードさんには感謝申し上げます。広く称賛されるべき功績です。今後も埋もれた名盤の復活を心より期待しております。ブラボー!

歳月の経つのは早いものでもう20年も前(!)の話になるが、バッハのヴァイオリン協奏曲というのは聴いていて面白くないと思っていました。ところがこの演奏を聴いた途端、目から鱗が落ちるとはこのこと(いや耳から鱗か)、こんなに良い曲だとは!当時はヴァイオリン協奏曲というと古典派やロマン派の協奏曲のようなソロ対オーケストラという演奏様式が普通だったので、それだとバッハの協奏曲は真価がわからず面白くなかったのです。この演奏のようにソロヴァイオリン対ほかのソロ楽器という様式(コンチェルト・グロッソ的な様式?)がバッハの様式ではないでしょうか。現在はこのようなピリオド様式が普通になりましたが、バッハがカフェ・ツィンマーマンでコレギウム・ムジクムとした演奏はこのようなものだったろうなと想像して当時の雰囲気に浸ります。バッハのヴァイオリン協奏曲を聴きたい時はまずは真っ先にムローヴァ姉さんとそのお仲間の素敵な演奏に触手が伸びます。併録のオーボエとヴァイオリンの協奏曲も素敵です。このCDを皆さんに強くお勧めします!

これは名演奏だとかねがね思っていたが、CDの再発売もないしましてやSACDで発売など夢の夢と諦めていたので、この復刻発売には狂喜乱舞しました。それも私が最高の音質と評価するタワレコDefinition Seriesでのリマスター復刻だなんて嬉しすぎて涙がでそうです。タワーレコードさん、ありがとう‼旧EMI(現ワーナー)はArt&Son Studioなどという粗製乱造のくだらないリマスターが主流だが(おそらくリマスター製作費が格安なのだろう)、タワレコのリマスターとは天と地の差ですよ!オルフ「カルミナ・ブラーナ」という曲はいまや誰もが知る曲になり、ありきたりの演奏が大半になってしまったが、このブルゴス盤は合唱の子音を強調した地声に近い発声法など、本来のバーバリズムを前面に出し中世の修道院の修道僧の抑圧された情念を感じさせてくれる。だって「英国の女王をこの腕に抱けたら死んでもいい」とか「かって私が白鳥だった頃は美しかったが今は串に刺され焼かれている」なんて世界ですよ!お行儀のいい演奏なんてこの曲には無縁でしょ(笑)。そしてなんと言ってもわが愛する若きルチア・ポップ様の「ゆれ動くわが心」の名唱がまた素晴らしい音で聴ける!発売後に聴いてからとか思ったけどタワレコリマスターは素晴らしいに決まっています。皆さんに強くお薦めします!

以前DENONから出ていたSACDシングルレイヤー盤を持っていたので長らく購入をためらっていましたが、間違っていました。カスタマーズボイスで〇々〇々〇々〇々さん(漢字が難しすぎます)が、「金と銀」について「初出LPの時の、まさに圧倒的と言って良い、あの溢れ出るような魅惑の響き」と書かれているのと同じ記憶を私も持っていたので、この際、初出LP(残念ながら国内盤キングレコード)とシングルレイヤーと本盤を聴き比べてみました。意外なことにLPとシングルレイヤーはほとんど同じで変わらない印象でした。「溢れ出るような圧倒的な響き」は、初めてLPでこの演奏を聴きその素晴らしさに圧倒された記憶だったのでしょう。本盤はさすが192kHz/24bitリマスタリング、凄い解像度で、最初は慣れないのでゴージャスだけど金属的に聞こえましたが、聴き進むにつれ解像度の極めて高い素晴らしいリマスタリングだとわかりました。こんな凄い音でこの演奏を聴くのは初めてで、前2者よりもよりマスターテープに近いレベルなのだと思います。オイロディスクのドイツプレスのオリジナルLPはどんな音だったのだろうという興味が湧きます。とにかく現段階では本盤がこの録音の最高の再現盤なのは間違いありません。余談ですがこの印象的なジャケット写真の建物が何か調べてみました。ドレスデン・シティー・ミュージアムだそうです。このジャケットの写真では白い窓枠は今は青く塗り替えられています。年月の経過を感じます。

ある曲をある演奏で聴いて初めてその曲の真価がわかることがある。「なんていい曲。こんないい曲だったのか!」この演奏がまさにそう。音の広がりに欠けるのでモノラル録音は好きでない。イタリア・オペラは苦手だ(プッチーニだけは別。ラ・ボエーム、トゥーランドットはいいな)。新婚旅行でウィ―ン国立歌劇場で渡辺葉子さん主演の蝶々夫人を見たけど、あまりピンとこなかった。このCDでようやく蝶々夫人の良さがわかった。蝶々さんの登場の場面(「美しい青空」)のなんと甘美なこと!1974年録音のカラヤン=ウィ―ン・フィル(フレー二)は巨匠になったカラヤンの悪い癖で、ここを美しくひそやかに聴かせようとするあまり、音量を絞ってほとんど聴こえない生命のない音楽になってしまっているが、47歳の若きカラヤンはこんなに素直に演奏してこんなにも甘く耽美な音楽を奏でられているのに!グロッケンシュピールとハープのなんと神秘的で甘美なことか。そしてカラス!いいなあ、カラスは。何を歌ってもいい!あまり美声でもなく声を張り上げるでもなく、普通に歌っているだけなのに心から魅了されてしまう。歌に心がある。こういうのを天才というのだろうな。フレー二、シノーポリ=フィルハーモニア盤やレナ―タ・スコット、バルビローリ=ローマ歌劇場盤などとも聴き比べたが、以上のようなわけで私にとってはこの盤がバタフライの最高の演奏です。

私はケンペの大ファンです。特にケンペ=ミュンヘン・フィルのコンビというかその時代の演奏は特に大好です。ケンペが亡くなった後の1977年にヨーロッパ旅行をした際、音楽旅行案内書にミュンヘン郊外の教会にクナパーツブッシュのお墓があると書いてあったので行ってみたら同じ墓所にケンペのお墓があるのを見つけ狂喜乱舞して花屋さんに走りケンペのお墓に花を手向けました。それほどのファンなのでこのCDを予約しワクワクして聴きました。演奏はケンペらしい生気に満ちた素晴らしいもので、細部にわたり細かいニュアンスに溢れた名演奏です。ただしかし録音が…いやリマスターが…。あのただ広いロイヤル・アルバート・ホールなので音像が遠いのは仕方ないとしても、高音を強調し過ぎでキンキンギラギラ、ドヴォルザークで大活躍するトランペットなど刺激的過ぎて耳をつんざくような金切り声で、聴いていてとても疲れます。いくらBBCが録音が下手でも元々はこんな音ではなかったはずです。やはりデジタル・リマスターをした人に問題があると思います。この人はデジタル技術の専門家ではあっても音楽に関心がある人ではないのではないでしょうか?最近のリマスターはこんなふうに高音をクリアに(このCDの場合はクリアというよりキンキン)強調していれば一見きれいに聞こえるのでそれだけしましたというような安直なリマスターが結構多いです。皆さん、レコード会社の宣伝文句を鵜呑みにしないで自分の耳で判断しましょう。大好きなケンペのCDを☆4つ付けるのは心が痛みますが、リマスターのあまりのひどさにやむを得ないところです。でもケンペの未発売録音がこうして発掘されるのはケンペファンとしてとてもありがたいです。

演奏については語り尽くされた名演奏なので、本盤の音質のみについてコメントしたいと思います。本盤を聴いたとき予想外の良い音質なのに驚き、この際なのでオリジナルLP(ALP1060)、SACDハイブリッド盤(EMIミュージック・ジャパン)、SACDシングルレイヤー盤(同前)、正規レコード用録音集大成のArt & Son Studioの最新リマスター盤CDをすべて聴き比べてみました(ただし第一楽章のみ)。その結果、最良なのはオリジナルLPと本盤でした。オリジナルLPがこんなに良い音だとは驚きでした。本盤はそれとも遜色なくほぼ同じに聞こえます。ただLPの方は木管楽器は木管の音がし、ホルンのソロはホルンらしい柔らかな音がし、やはりLPは自然な音だなと思いました。本盤はそれに比べるとCDらしくやや金属的な感じがあります。このような同質性を聴く限りやはりLPと2トラック38センチオープンリールテープがマスターテープの音を反映していると思います。これに比べるとSACDは音がくぐもっていて音場ののびやかさに欠けます。Art & Son Studioの最新リマスタリングは音場の伸びやかさが欠けている上に高音域を一見きれいに聞こえるように磨いてはいるが、腰の落ち着きはないしフルトヴェングラーの風格はどこに行った?といいたくなるほど魅力のない演奏になってしまって、リマスターの音操作は恐ろしいものだと愕然とします。55枚組を大枚はたいて買ったのにこんなにガッカリするとは!(笑)
ともあれこの復刻盤は素晴らしい。これから続く発売が楽しみです。それにしても聴くまでに手前がかかるので最近あまりLPを聴かなくなっていましたが、こんなに良い音だとは実に意外でした。やはりアナログ録音の場合LPは馬鹿にできませんね。LPはもっと痩せた音だと思い込んでいた自分を反省です。

こんなマイナーなCDのカスタマーズボイスなど見る人もいないとは思いますが、大好きなソプラノのCDなのでコメントしないわけにはいきません。先ずは東武ランドシステムの方に申し上げたい。このソプラノ歌手の名前は「マーゴット・ロード」ではなく「マーゴ・ルード」と表記するのが普通です。YouTubeで本人が「ハーイ、アイム・マーゴ・ルード、ソプラノ」と自己紹介していますので間違いありません。CPOレーベルからリリースされているド・ラランド作曲の「ヴェルサイユの噴水」の「名声」役を歌っているのをNHK-FM放送で聴き、声といい歌い方といい私の好みにドンピシャでびっくりして大ファンになりました。顔といい声といい可愛くて綺麗で可憐でたまりません。どちらかというと無名に近いアメリカのソプラノですが日本に貴方の大ファンがいると知らせたい!このヘザー・ギリガンという作曲家の音楽は初めて聴きましたが、マーゴ・ルード様にピッタリの清楚で叙情的で染み入るような曲ばかりで愛聴盤になりそうです!聴き流しているだけで穏やかで幸せな気持ちになります。皆さんにお勧めします。

カスタマーズボイスの評をいろいろ拝見していると、音だけ聴いて音楽を聴かずというような評が時々あり首を傾げることがままありますが、この録音に関してはまず音のことにコメントしたいです。bigfanofclassicalmusicさんが「ヴァイオリン協奏曲では強奏部の歪みなど散見され、オリジナルマスターの劣化が分かった」と書かれていますが、強奏部の歪み(もっと言えば音割れ)は初出のLPの時からありました。特にオーケストラの音割れはひどいもので当時の最新録音盤を購入したつもりが「なんだこれは?」とがっかりしたものです。明らかな録音の不備でレコード芸術誌などの評でなぜ言及しないのだろうと不思議に思っていました。私はオイストラフの大ファンなので、その後CDやSACDとリマスターされるたび一縷の望みをもって購入し続けましたが、元々のマスターテープがそうなのだから変わりようがありません。ただセルのワーナー録音集成の14枚組に収録のものはあのArt & Son Studioの中低音抜かしのリマスターのおかげでかなり聴きやすくはなっていますが、ちよっと腰高すぎて本来の音とは違うでしょと言いたくなります。さて肝心の本リマスター盤ですが、歪みや音割れもかなり改善されています。しかしながらそれよりも音の解像度が物凄い!オイストラフの弦のアタックは松脂の粉が飛び散るのが見えるような迫力満点の臨場感があります。本当のヴァイオリンの音、本当のオーケストラの音、こんな臨場感のある音像は聴いたことない!192kHz/24bitのハイレゾは本当に凄いです。オイストラフの技巧に少し衰えの見え始めた時期の録音ですが、これで聴くと少しも気になりません。これまで歪みや音割れで聴きづらいためクレンペラーとの旧録音の方をもっぱら愛聴してきましたが、本録音も愛聴するのに値する名演奏だと痛感した次第です。本盤を皆さんに強くお勧めするとともに、タワーレコードさんにはこんな素晴らしいリマスター盤をもっともっと製作してほしいです。応援しています!

同時に発売されたブラームス交響曲全集のカスタマーズボイスにも投稿しましたが、私はこのリマスター盤は全く評価しません。詳しくはそちらをご覧ください。ただ、一つ書き忘れたのでこちらに書きたいと思いますが、現状で入手可能で一番評価できるのはタワレコのSACDです。これはケンペのこの大名演の真価が聴けます。ケンペのこの名演奏に☆3つ付けるのは心が痛みますが、このプロフィール盤のみ聴いてケンペを誤解されるのは心底嫌なので敢えて投稿する次第です。

ゴジラさんのカスタマーズボイスを拝見して、私の耳はよほど悪いのか私の再生装置がよほどオンボロなのか悩みましたが、正直に言います。私はこのリマスター盤は全く評価しません。CDリマスター盤によくある低音域を軽くして高音域を強調し一見「クリア」な音に仕上げた典型的な例です。原録音の重厚さや風格は見る影もなくなくなり、この素晴らしい名演奏が実に貧相に響きます。ART & SON STUDIOのフルトヴェングラーの最新リマスターがまさに同じ例で期待して55枚組CDセットを購入した人がもれなくガッカリしたのは記憶に新しいところです。倍音成分とか低中音域の響き成分などを軽くしてしまえばスッキリした音感にはなりますが、元々あった豊かさや風格や温かさはなくなってしまいます。第1番のサーフェスノイズはどうだか知りませんが、それだけで評価するのはどうでしょうか?この全集は私は初出国内盤LP、アカンタのオリジナルLP、CD、XRCD、タワレコのSACDすべて購入して聴いていますが、こんな音だったら最初からこんなに好きで愛聴はしていなかったと思います。敬愛するケンペのこの大名演に☆3つつけるのは心が痛みますが、このリマスターだけ聴いてケンペを誤解されるのは心底いやなので敢えて泣く泣く投稿する次第です。CD製作者にも良識あるリマスターを望みます。

冒頭にカタルーニャ民謡「鳥の歌」が…! カザルスがケネディ大統領夫妻の前でチェロ演奏した「ホワイトハウス・コンサート」のアンコールで演奏された哀愁に満ちた「鳥の歌」。「鳥たちはピース、ピースと鳴くのです」というカザルスのスピーチで有名なあの「鳥の歌」がヴォーカルで聴けると購入しました。サヴァールもフィゲーラスもあまり知らなかったのですが、聴いてビックリ!なんてきれいな声!まさに「感動の声」!
SACDでありながら廉価で豪華な装丁のアリアヴォックスのこのシリーズはお買い得ですぞ。感動的な「鳥の歌」に満足しましたが、他の曲もなかなか良いです。

最近NHK-FMで早朝に放送されている「古楽の楽しみ」で古楽の魅力にはまり、同番組を虚心に聴くうち、自分好みの作曲家と歌手を発見しました。それがド・ラランドであり、このCDで「名声」を歌っているソプラノのマーゴ・ルードです。このソプラノの可憐な声と歌い方はまさに私の好みどストライクです。彼女に愛すら感じるほど魅力の虜です。ほぼ無名のソプラノですからこのCDが同番組で放送されなければ知ることもなったでしょう。偶然の機会に感謝です。このCDはド・ラランドのとても良い演奏です。お勧めします。ぜひ聴いてみてください。ああ、いつかマーゴ・ルード様に日本の片隅に貴女の大ファンがいることを伝えられたらなあ!SNSを勉強して伝えるよう頑張ってみよう!

最近メンデルスゾーンの交響曲の良い演奏が出てこないので、メンデルスゾーン自体に魅力を感じなくなっていたが、これは痛快な演奏だ。メンデルスゾーン自身が聴いたら目を回すかもしれないが、小編成でパンチが効いててノンヴィブラートのロングトーンなどの響きが面白い効果を発揮しているなど、とにかく面白い。北欧の音なので陰影に満ちた「スコットランド」にはよく合う。これが「イタリア」のような明るい曲想にはどうなのかな?でもきっと面白いだろうな。それと絶賛したいのはBISというレーベルの良識。SACDが標準というこだわりと低価格。きわめて薄い紙パックでCD棚の場所を取らない有り難さ。マリメッコの国らしいエコ印刷など、実に立派です!

この名盤がもう廃盤ですか?残念なので再発売を希望します。(私は速攻で購入しましたからいいですが(笑))マタチッチがオペレッタ?何とも似つかわしくなくジャッケットデザインもシュワルツコップのいかさない古い写真で引きますが、やはりこれが代表的名盤でしょう。カラヤン盤・ガーディナー盤もそれぞれ良さがあるけど。ヴェヒターが歌う(酔って泣く?)「昔あるところに王子と大女が」のやけくその男の心意気なんて涙なしに聴けませんよ!

この全集は元々イギリスプレスのオリジナルLPで聴いていて、EMIミュージック・ジャパンから出ていたSACDハイブリッドも所有しているので購入を迷いましたが、旧SACDが若干不満だったので思い切って購入して、結果正解だったと思いました。やはり、旧SACDよりハイレゾということで音質が洗練されてきれいです。この際、オリジナルLPと聴き比べてみましたが、LPはSACDほど音にパワーがないけれど、自然で繊細できれいです。最近はSACDの出現であまりLPを聴く機会がなくなっていましたが、LPの良さを再認識する機会になりました。

世間ではあまり話題にされないが、私にとっては「ザ・グレート」の最高の名演です。冒頭のホルンのソロの各音に付けられた絶妙なアクセント、ベーム=ウィーンフィルやベーム=ドレスデンのようなアクセントを付けないなだらかなホルンも良いけど、このアクセントによって音楽が意思を持って生き生きと豊かなものになっていると思います。シューベルトがこのホルンソロに付けた>がアクセントかディミニュエンドか研究者の間で解釈が分かれるとか言われているけど、こんなもんアクセントに決まってるだろ!素人でもわかるわ(笑)。それに続くチェロパートのニュアンス豊かな歌、第3楽章の楽しい踊り、中間部の歓びに満ちた豊かで楽しい歌。ウィ―ン風というよりドイツ風かもしれませんが、これぞシューベルトでしょ!これを聴かずにはザ・グレートの良さはわかりませんぞ(笑)

この演奏を初めて聴いたのはオリジナル輸入盤LPでした。録音の良さにビックリしてよく調べたところDECCAチームの録音がバーターでRCAから発売されたことを知り納得したものです。左右のチャンネルに音を分離しすぎて不自然な音場になってしまっているドレスデン盤より好感が持てます。(録音年代が古いのでダイナミックレンジがやや狭いのが惜しいですが。)前任者ビーチャムやロイヤル・フィルにケンペが高く評価されたのがよくわかる素晴らしい演奏です。本当にドレスデン盤以上に評価すべき演奏と録音だと思います。

ミュンヘン・フィルとのブラームス交響曲全集やシュターツカペレ・ドレスデンとのR・シュトラウスと並ぶケンペの最高の遺産の一つです。ESOTERICより自然な音質のSACDの発売を喜んでいます。第5番「運命」なんてフルトヴェングラーやカルロス・クライバーの名演奏を聴き慣れた私ですが、第4楽章が始まったとたん、目から鱗が落ちるとはこのこと。「そうかこんな音楽だったんだ!」とケンペに教えてもらいました。第8番の第1楽章でも「ベートーヴェンは弦楽器にアクセント記号を付けているよね。それを大事にすると音楽がこんなに生き生きするよ」と教えてくれます。こうして生み出される豊かな音楽の世界に浸れる幸せをケンペは与えてくれるのです。

ミュンヘン・フィルとのベートーヴェンの交響曲全集と並び、ケンペの最高の遺産の一つです。特に第2番・第3番、それに何と言ってもハイドン変奏曲の超名演を聴くたびに豊かな音楽の世界に浸れる幸せに感謝するばかりです。SACDの音質の詳しいことはわかりませんが、余裕と奥行のあるいい音と思います。それで十分ではないですか。ミュンヘン・フィルはチェリビダッケ時代を経た近代的オーケストラになる前のドイツのローカルオーケストラの良さがあります(合奏の混濁もありつつ)。もっともフリッツ・リーガーと来日した頃の古色蒼然とした時代のミュンヘン・フィルも懐かしくはありますが。

名指揮者ケンペの名演がSACDの高音質でまとめて再発売されて快哉を叫びました。特にシューベルトのザ・グレートはあまり皆さんの評にはのぼりませんが、私は最高の名演奏だと思っています。ケンペという人は細かいニュアンスを大切に表現しそれによって全体を雄弁に生きたものにできる稀有な指揮者でした。冒頭のホルンのソロの各音に付けられた絶妙なアクセント、続くチェロパートのニュアンス豊かな歌、第3楽章の中間部の豊かで楽しい歌、ウィ―ン風というよりドイツ風ではあるけど、これぞシューベルトでしょ。皆さんにぜひ一度聴いてもらいたい名演奏です!

皆さんの評で私の言いたいことは言い尽くされています。私は長くこの演奏を知らず、ガーディナー、サバール、マレットなどの比較的新しい録音が評価が高いのでそれらを聴いていましたが、最近になってこの演奏を初めて聴いてびっくり。思わず聞きほれて一気に最後まで聴いてしまいました。いつまでも聴いていたい。そう思わせる素晴らしい演奏です。レーゲンスブルガー・ドーム・シュパッツェン…昔ラジオのNHKドイツ語講座で彼らが歌うドイツ民謡が紹介され、美しい歌唱に聞き惚れていたのを懐かしく思い出しました。

STさんのような見方もあるが、私は稀有な名演奏だと思う。現在ではビッグネームになった演奏家たちの共演だが、問題はそんなにことではなく、これらの演奏家がお互いの音を聴きつつ音楽する喜びに溢れながら嬉々として演奏していること。こんな音楽をする喜びに溢れた演奏は滅多に聴けるものではない。だから聴く私達もブランデンブルク協奏曲ってなんて楽しい曲なんだと楽しんでしまう。一応「指揮者はグスタフ・レオンハルト」となっているが、こんな小アンサンブル、指揮者は縦を合わすキューを送っているだけですよ。

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