メンバーズレビュー一覧

エーファさんが書いたメンバーズレビュー

(全135件)

ピアノによるルロイ・アンダーソン

白石光隆

5:
☆☆☆☆☆
★★★★★

作曲者自ら編曲したものをまとめた一冊をすべて演奏したものとのこと。たとえば踊る猫のグリッサンドは細かい音を入れたりしてピアノ用の工夫がされています。トランペッターの休日はヴァイオリンの印象的な合の手が省かれていて残念ですが、作曲者の意図だから仕方がないか。
演奏はていねいにそれでいて楽しく弾かれていて好感が持てました(ソロなのでもう少しはっちゃけてもよかったかも)。とても楽しめました。最後はサテンの少女で静かに終わり、この楽しい時間は「一夜の夢」だったかのような印象深いものになりました。

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Prima Voce - Emmy Destinn

エミー・デスティン

5:
☆☆☆☆☆
★★★★★

後年のフラグスタートのような独特な艶のある声。低音には古式の発声法があるようでリリックな印象もあります。定評のあるワーグナー、ゼンタのバラードなど歌詞内容によってテンポを変えたりして強い表現をしています。多彩なレパートリー、同時代のサロメなどとても貴重です。スメタナやチャイコフスキーなど、当時のヨーロッパでそんなに上演されていたのでしょうか?このCD、前半がグラモフォンで後半がヴィクター録音なので、レコード会社の意向によるものでしょうか。
それにしても1908年のカルメンの全曲録音があるのは、この名歌手を偲ぶうえでとても奇跡的なことのように思います。

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Prima Voce - The Spirit of Christmas Past

オーケストラ

5:
☆☆☆☆☆
★★★★★

私はクリスマスにはいつもカラヤンの曲集を聴くのですが、これをみつけた時には絶句しました。よくもまあ、こんなキラ星のような名歌手たちの、しかもクリスマス曲ばかりを集めたものだと(録音したこと自体も素晴らしい)。そして予定されていたかのようにダブった曲は一つもないばかりか、定番曲はほとんど含まれている。
マコーマックの甘い声から始まり、もうすでに雰囲気満点。途中からコーラスが入り、どんどん変奏されていく。ちょっと調子っぱずれの鐘が短調ぽく鳴るのはご愛嬌。カルーソーはワーグナーを歌わないので私の守備範囲外のため、このCDで初めて聴きました。よく通る甘い美声はいかにもイタオペ向きです。ここでもアダムの名曲を披露。グノーのアヴェ・マリアは甘々のヴァイオリン独奏付き。レーマンの歌唱は女の愛と生涯を思わせる声でニヤニヤしました。カラヤン盤では最後にあって、ローソクの明かりから蛍光灯が点いたみたいになって現実に引き戻されるアレルヤが、このCDではちょうど真ん中に来て、ひと休みする感じ。オネーギンの深いアルトが素晴らしい。ポンセルのアヴェ・マリアもヴァイオリン付き。こちらも美声に絶妙な音域でヴァイオリンがからみ、テナー歌手がいっしょに歌っているみたい。ジングルベルはしゃべりばかりでちょっと興ざめ。最後はグルーバーで静かに締めくくるのですが、フレーズが切れすぎるのと鐘の音程が悪くて少し残念でした。しかし全体としてはホントに驚くべき内容でした。

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Bizet: Carmen

ジョルジュ・ビゼー

5:
☆☆☆☆☆
★★★★★

117年前の演奏!指揮者はザイトラー=ヴィンクラー、ベルリン帝立オペラの演奏です。ドイツ語歌唱なので聞き慣れないが話の進行が分かってありがたい。デスティンの歌唱は声色やポルタメント、アゴーギクなどを駆使した艶めかしさが際立って、舞台上のやりとりを彷彿とさせます。高音の伸ばしもこんにちでも通用しそうです。バッハマンのエスカミーリョも堂々たる名唱。笑い声などもそのまま入っていて、当時のプロダクションをそのまま録音した感じです(デスティンのスケジュールが合わなかったのか、一部ダブルキャスト?のメッツガーの録音になっていますね)。オーケストラの統御もしっかりしていて、リズムもテンポもアッチェレランドもシュルスシュトレッタも安定感があります。奇跡の録音です。
音は雑音も少なく音楽の成分も十分あり鑑賞には支障はありません。これとファウストを聴くことは「レコード考古学(?😆)」に属する難事業と決めつけた評を読んだことがありますが、これを書いた評論家はこれらのレコードを聴いたことがないのだと思います。

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マーラー プレイズ マーラー

マーラー/ケニー

5:
☆☆☆☆☆
★★★★★

さすがはキャプラン財団、マーラー自身の全録音を集めるだけでなく歌まで付けるとは!さすらう若人はこんにちの演奏習慣と少し違うところがあるので歌手も少し歌いにくそう。それでも苦々しい回顧の部分はしっかりテンポを落として情感を込めて弾くピアノにしっかり合わせている。若き日の歌ではピアノに思いがけない音の強調がある。天上の生活はテンポの伸び縮みが激しいけれども、マーラー本人の伴奏に合わせて歌うとは歌手も楽しそう。テンポの設定はこんにちの演奏と変わらず、いい時間が過ごせました。

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ニンバスのこのシリーズは本当に音が良いですね。ノイズはほとんどなく、かといって音楽の要素も失われることなく表現がしっかり伝わってきます。
キプニスのバリトンは気品があって、また低音から高音まで自在に操れ(ここにはないオックス役など)、特に高音の輝きはアダムを思わせるところがあります。そんなわけで「美しきヨハネ祭」では、あれ?ザックス役だったっけと思ってしまいました😅ヴォータンでは後年のロンドンの歌唱そっくり。ヤンセンの歌は喉元からのものでこちらが苦しくなりましたが、キプニスでは音域が合っていて安心して聴けます。S.ワーグナーとの有名なグルネマンツもちゃんと収録されている。2時間半以上、たっぷり楽しませてもらいました。

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1994年頃に購入しましたが、商品番号も変わらず未だに現役盤なのですね。全体的に雑音も少なく良い響きで録られていてとても聴きやすかったです。歌手はきら星のようなビッグネームばかり。感銘を受けたのはローレンツのヴァルター役、歌唱法は古式のもののはずですが、それを感じさせない押し出し力、若気のヴァルターらしさが出てカッコイイし、パワーのあるところはやはりジークフリートだなーって思います。ライダーのイゾルデは少し音が遠く、当たり役だったはずなのによくつかめなかったのは残念。キプニスのオックスも気品のある低音で他の部分の想像をかき立てられます。ルツィツカのアンニーナがこれまた妖艶でオックスの歌をうまく引き出していました。戦争で失ったものの大きさを思わせられました。

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言わずもがな、WPHの名コンサートマスターの独奏とカルテット演奏。私は作品74はこの録音で聴き込んだので演奏も参考にしました。一楽章の展開部は盤面の継ぎ目があって急に速くなる。これはテンポの維持ができなかったということではなく、本来は提示部から移った際にそこからアッチェレランドするところを止められるために連続性が途切れ、盤面の内の演奏の仕上がりということを重視しているように思いました(同様のことが他の楽章にも見られます)。コーダの激しい部分の最後は、弾き捨てずに伸ばしてていねいに終わる。見習いたい美徳です。ヴィブラートが少なめなのはこの時代の特徴で、オケでのソロだとノンヴィブラートぽく聞こえるが、カルテットや独奏だと全然違和感なく聴くことができる。三楽章は繰り返しは1回のみ、四楽章はすべて繰り返しなしであっという間に終わる。ベートーヴェンらしくないけど、SPだから仕方がないか・・・。作品131は弾いたことはないけれど、弾くとしたらやはり参考にするかな。
バッハの複協奏曲にはなんと両端楽章にカデンツァが。なかなか素敵な作品でした。ご当人の作かな?

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これがでた時は時すでに遅しで、大部分を単売や輸入廉価盤で集めてしまっていました。そんな中、結成アニバーサリーで録音されたベートーヴェンの後期の6曲は、作品130、133、135が輸入廉価盤で出たものの未だまとめての単売はなくじれったい思いをしています。くだんの廉価盤で聴いた限りでは、演奏自体は旧盤の方が引き締まっているようにも思いましたが、この楽団ならではの豊麗な歌いまわしは健在でとても感動的でした。早く残り3曲を聴いてみたいです。
何か次のアニバーサリーまで発売を待っているのでしょうか?

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確かこれが演奏された日は、わが祖国が初めて全曲まとめて演奏されてちょうど100年目の「初演記念日」だったはず。そんな日の演奏を本国ではなく日本がとってしまっていいのかしらと、ちょっと複雑な気持ちになったのを覚えています(当時チェコは社会主義体制下で低迷、日本は高度経済成長期で世界第2位の経済大国。そんな関係もあったかも)。
演奏はもちろん確信に満ちた感動的なもので、悪かろうはずがない。これを会場で聴けた人たちがうらやましい。こんにちCDで聴くと、近接して録られているのはいいけれど東京文化会館の薄っぺらい響きを隠すことができない(ヴィシェフラドの動機など)のが、この記念碑的な演奏に対してとても申し訳なく思います。

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その昔NHK-FMで前半をこの演奏、後半をコシュラー指揮で全曲流したことがあり、私はこのエアチェックテープをこれこそ何百回聴いたでしょうか。私にとってわが祖国の原点とも言える演奏です。今客観的に聴いても自国の芸術に対する誇りといった確信に満ちた堂々たる演奏で、この時代を代表してする「わが祖国」のように思えます。
弦はスメタナのややこしい楽譜をみごとに音楽的に音にしていますし、管楽器も実にうまい。社会主義体制にありながらも(他国に支配されながらも。わが祖国の主題そのものですね)芸術はおろそかにしない、ヨーロッパ人の矜持のようなものも感じました。

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その昔NHK-FMで前半をこの演奏、後半をコシュラー指揮で全曲流したことがあり、私はこのエアチェックテープをこれこそ何百回聴いたでしょうか。私にとってわが祖国の原点とも言える演奏です。今客観的に聴いても自国の芸術に対する誇りといった確信に満ちた堂々たる演奏で、この時代を代表してする「わが祖国」のように思えます。
弦はスメタナのややこしい楽譜をみごとに音楽的に音にしていますし、管楽器も実にうまい。社会主義体制にありながらも(他国に支配されながらも。わが祖国の主題そのものですね)芸術はおろそかにしない、ヨーロッパ人の矜持のようなものも感じました。

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作品75目的で買いました。演奏はもちろん美しく、カヴァティーナはドヴォジャークらしい懐かしさを感じさせる佳品でしたが、全体を見ると楽章間の連関がよくわからず、とりとめがないイメージを持ちました。同じ編成なのに作品74の方が演奏頻度が多い理由が分かりました。
ゼクステットも含め、ヴィオラの音色の美しさにとても惹かれました。

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BOTEN DER LIEBE 愛の使者

ヴォイジャー四重奏団

5:
☆☆☆☆☆
★★★★★

室内楽を愛するものとして期待したけれど、結局は全て編曲物で特段の感銘はなく、違和感のほうが先に立ちました。演奏はもちろん素晴らしいのだけれど。
特にマーラーは新しく発見された習作かと思いましたが、ピアノカルテットとアダジェット!やっぱりそうか〜って感じでした。

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三枚目、初めて聴くフランセのコンチェルトが耳に飛び込んでくる。なんて楽しげ、戦争前夜の爛熟のパリの雰囲気という感じでしょうか。目的のラヴェル、占領下の時代の録音でしたが良い音で録られていて安心して聴ける。オケはインテンポ気味で進む中、ピアノは時にロマンティックな表情を見せる。二楽章のキラキラした星空のような表現はハッとさせられる美しさ。ロンの演奏にもフランソアのものにもないタッチでした。
フレンチスクールの銘の中に安川先生が含まれていることは、日本人としても誇らしいですね。

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イザイは50代半ばの演奏なのでしっかりしているのは当然としても、ヨアヒムは72歳、サラサーテは64歳!お若い時の演奏はさぞやと思わせられる内容でした。前者のドイツ的な堅実さと後者のラテン的自由さも「いかにも」と思わせられました。
こうなってくると音質は悪くても、老齢のものでもいいからパガニーニの演奏が聴いてみたくなりますね。

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壮麗極まりない神々の黄昏、出発の場面も2幕の合唱も葬送もこんなに磨かれた演奏はなかなか聞けない。自己犠牲もあくまでも美しい。オーケストラも、たとえばヴァルトラウテが来る前の室内楽的な場面などブリュンヒルデの心の動きを絶妙に表現していて、与り知らぬところで進んでいる「陰謀」との対比を考えると切なくなります。録音も後のパルジファルのぼやけた音と違い細部まで明瞭に、それこそ室内楽的にとらえられていて楽団員が目の前で弾いているようです。
歌手もバイロイトで聞くような感じではないけれども、カラヤンの音楽づくりにピタリと寄り添っていて全体の完成度を高めています。ジークフリート役について、「起用には問題があろう」と書いた評を読んだことがありますが、蛮勇の英雄ではなく知的な青年の印象であり上述のようにカラヤンの意図に沿ったみごとなもので、どこを聴いてそう評しているのか首をかしげます。クライバーのトリスタンでも素晴らしい歌唱を聞かせており、この歌手を批判できるのはブリリオート氏よりも上手に歌が歌える人だけだと思います。

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ライヴ録音が多いのでホーレンシュタインといえば「キワモノ」みたいなイメージを持つ人もいるようですが、私はこの悲愴やブラ1、新世界なと、見事な知情意バランスのとれた演奏を愛聴しています。
この悲愴はゆっくりめのテンポで悠々と進んでいきますが、一楽章の第二主題など叙情的なところはたっぷり歌い、三楽章のような力感あふれる楽章は金管を際立たせるなど場面に応じて変幻自在。ロンドン響も、四楽章のフルートの低音や冒頭のヴィオラなどゾクゾクさせられる美しさが際立っています。メンバー全員の指揮者に対するリスペクトがひしひしと感じられ、それがこの名演を実現したのだと改めて実感しました。

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王道を行く演奏。テンポも遅すぎず速すぎず、近接した音像で音の分離も良い。ソリストも秀逸で、特に6番のコッホは王者の威厳で堂々と進み辺りを威厳ではらいます。管弦楽組曲も同様の仕上がりで、ファーストチョイスに最適な一組だと思います。

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素晴らしい技巧、この時代にあって日本の最先端を行く団体だったのですね。ヴァイオリンがお二方とも変わられたのは誠に残念。いい意味で高度経済成長期というか、日本が上り坂にある時を象徴しているかのような記念碑的なCDだと思います。

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この方は大変厳しい先生だったとの話を読んだことがありますが、この演奏はとても優しい表情をしています。大変な技巧を要するフーガでもさらりと弾いて、難しい曲ではないかのよう。聖典だからといって戒律や地獄の話ばかりをする必要はない。癒やしの曲として聴いてもいいのではないか。
人格、人徳が顕れるような聴後感を持ちました。

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オーケストラでは巨匠たちが意図趣向を凝らした演奏を繰り広げ、時はまさにナチスの巨大志向の時代にこのような録音があるとは。もともと衒学的であまり演奏者の個性を出すべきではない曲だけに際立った特徴もないのですが、声部の描き分けや曲の終わりのまとめ方など実際の演奏としての表現は納得感のあるものです。
ノイズもほとんどなく表現の細部もしっかりと伝わってきます。この曲の校訂者ディーナーの自信のあふれる演奏、ガンバはブッシュSQのパオル・グリュンマー!
蛇足ながら解説にこの曲の和名があって、「遁走曲奥義」の由。ドイツ語ではKunstしかないが、これを「芸術」や「技術・技法」ではなく「奥義」とした先覚者の選択には感服。

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カラヤンのブラ1はこの盤を愛聴しています。冒頭から低弦がしっかり鳴っている上でファーストヴァイオリンの芯のある強い音を奏でている。この出だしはこれとクナッパーツブッシュの魔の炎の録音以外聴いたことがありません。ピラミッド型がいいとかと言って高音が弱いのは、やはりあり得ないと思います。4楽章と悲劇的序曲のホルンはまさに当時のWPHのものですね、もうこんな音は聞けなくなりました。
演奏もオーソドックスとはいえ、80年代の金管の抑えが効かなくなったりアンサンブルの緩みに対処できなくなったものと比べ上り坂にある人のアウトプットそのもので、聴くたびに力をいただいています。

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初演の記録としては貴重だけれど、オケが何やっているのかさっぱりわからない録音(和声はわかるけど)はどーなのっていう感じでした。ソロはそれなりに聞こえますが、とり立てて書く言葉も思い当たりません。

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最初からゆったりまったりした演奏で、あまり主張もない演奏でしたが、旧版の楽譜を使っているのかこんにちでは聞かれない表現に耳が行きます(クラ5の一楽章では上昇音型をスタッカートにするなど)。異様な迫力に圧倒されるという評を読んだことがありますが、ベートーヴェン5番二楽章や死と乙女などでもそうでもない印象です。
それでも1913年の録音やレーガーの録音などはとても貴重です。

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いかにもラインスドルフらしく、速いテンポでどんどん進めていきます。オーケストラが少し厚みがないものの雑音も少なく聴きやすいです。2幕の逢瀬前、静かにゆっくり始めてテンポも音量も上げていくなど十分納得感のあるものです。フラグスタートのイゾルデはスタジオ録音より表現の陰影があり私はこちらのほうがいいと思います。キプニス目的で買ったのですが、2幕最後の嘆き節は時に声を荒らげたり、涙声で心の痛みを表現したりと期待通りでした。いい演奏を聴けたと思います。大戦のおかげ?でアメリカは文化的な恩恵を相当受けたんだなーという感慨ひとしお。
1幕の最後、ファンファーレのほんの数小節をカット、なぜ?とずっこけました。

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20年以上前に輸入盤で、確か3000円くらいだったと思います。これを見た時は思わず声が出ました。だって45年くらい前、この指揮者のブラームスの全集ですら5000円以上していたはずで、それがマーラーこそないものの主要な作曲家のものがこの金額で「全集」で手に入るとは。オマケに(失礼!)ヴィーンフィルのものまでついている。
内容は言わずもがな、カラベル全盛期のひたすらに完成度の高い演奏ばかりで、私のライブラリーの中心的存在です。
こんな時代が来るなんて、レコード屋で数字がデザインされたベートーヴェンのLPを指をくわえて見ていた、当時高校生の私に教えてやりたいです。

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功成り名を挙げた巨匠が、若い人たちを鼓舞し育てる感動的なドキュメントでした。弦楽器などは全くの初心者で始めた人もいるとは思いますが、できうる限りの努力で指揮者の要求に応える演奏をしている様子がよく分かります。1枚目などは、ほころびいっぱいで始まりますが、すぐに気にならなくなります。ブラームスやシューマンの最後などは、プロオケではこんなに没入しないのではという盛り上がりです。ほとんどの人は音楽の道に進まない大学オケとはいえこれだけの感動的な演奏ができるのは、ひとえに名演奏というのは、インスピレーションやテクニックではなく、素材と相互の尊敬から生まれるものだということがよく分かります。

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ホントだ、3番の主導権は指揮者にありますね。ソリストもそれにしっかりつけて一つの演奏を形作っています。こんな時代もあったんですね。ゼルキンとの4番も同様の作りでしたが、5番の録音があったらどんなふうになっていたか、聴けないのが残念です。

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正統派のドイツ音楽。どこかで(ハッキリ分かってはいますが)「ゲルデスの指揮は何もしていない」などという評を目にしたことがありますが、演奏の現場を知らない詭弁です。テンポの戻しやバランス感覚など正式な勉強をされた方であることは一聴瞭然です。もっと評価されてもいいのではないでしょうか。
ただ、インテンポ部分があまりにもインテンポすぎて、少しダレて聞こえるきらいがあるのは否定はしませんが。

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ようやく聴けたプロシャ王、ヴェルディ、ドヴォジャーク。自作の4番は新旧収録!
古典派はインテンポで進め、ここぞというときにテンポを落としてぐっと主張。15番の三楽章はしっかり拍の頭を強調。片やロマン派ではテンポを揺らして妖艶な表情を作る。当時の新作バルトーク、ブダペストSQと並ぶ同時代の記録。二楽章最後の青い鬼火では、揃ったオクターブに鬼気迫るものがあります。ストラヴィンスキーは火の鳥のような面白い作品。ストラヴィンスキーらしさをしっかり出しています(もう少しいい音で聴きたいですね😅)。ベートーヴェンと自作の兄弟デュオは息が合った名演。
ヴァイマル時代の最盛期の一角をなす、熱いナイスガイたちでした。もう少し長く活動してもっと録音を残してくれたらと思います。

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両曲ともワルター先生のこの盤で聴き込みました。特に2番は80を超えた年齢の演奏とは思えないテンションがとても高いもので、楽団員のテクニックも素晴らしいものでした。

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アンダースは鐘の歌とか第九とかシュトラウスの歌曲でしか知りませんでしたが、こんなに多種の録音があるのですね(他レーベルでは10枚組もある!)。冒頭のローエングリンがいいですね。全曲は残っていないのかしら。カルメンもボエームも甘い声でいいけれど、ドイツ語なので違和感大アリ。ソプラノ歌手とのやりとりもうまい、オペラの舞台も観てみたかったです。

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セルクリにはオイストラフとの大家然とした名演奏がありますが、こちらはオーケストラのノリが全然違います。パイネマンのフレッシュでスタイリッシュなソロは実に新鮮で、オケ全員でそれを支えるさまは感動的ですらあります。

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パワーのヴィオラ目的で買いましたが、共演者の皆さん全て素晴らしい。セレナードでは3者とも協調と自己主張のバランスが良く、爽快ですらあります。近年の室内楽演奏が温かくなく技巧優先に思える中、ナッシュアンサンブルの存在は本当に癒しに思えます。

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ようやく聴けたフィッシャーの幻想曲。この曲はどうしてもケムプの完璧な演奏と比べてしまいますが、フィッシャーの演奏も健康的で技巧も素晴しい。三楽章もファンタジックで、聴けてよかったと思える演奏でした。

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パワーの堅鳴りのヴィオラは、オーケストラに負けず聞こえてきます。ともすると必死になって弾いて絶叫のようになることもあるこの曲ですが、自然体で弾かれているようです。オーケストラに所々あまり聞かれないバランスがありました。

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ヴィオラの芸術

セルジュ・コロー、他

5:
☆☆☆☆☆
★★★★★

いい音!特にC線の、砂糖菓子をザックリ切るような質感の音色は、この方独特のもので真似しようとしてもできないものです。
演奏も、グリンカやシューマンのどこか懐かしさを覚える表現、ドビュッシーも人間的な温かみのある味わい深いものでした。ミヨーはこの演奏で聴き込みました。ロンドの主題はC線のみで弾かれるのですが、その音色は上記のごとし。ゲルニカのような恐ろしげな曲ですが、どこか救いを感じさせてくれます。

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ピアノロールというものはどのくらい実像を伝えているのでしょうか。急激なクレッシェンドや左手のバランスなど、ヴァイオリン演奏で見せる表現との違いに戸惑いました。もう聴くことはないかな。
このCDの買いはやはり最後のヴァイオリン演奏。いつものクライスラー先生がいました。

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スメタナ: オペラ全集<完全限定盤>

5:
☆☆☆☆☆
★★★★★

チェコ語はわからないし、知っているのも売られた花嫁だけでしたが思い切って買いました。うれしいのは未完のヴィオラが入っていること。しかも売られた花嫁、リブシェとともにコシュラーの指揮であること。
言葉はわからないながら聴き通してみて、スメタナのオペラはワーグナーの影響が大きいということが実感できました。花嫁の最初の合唱やリブシェの前奏曲など、コシュラーの指揮の腕前の確かさもよくわかりました。この方、もっと評価されてしかるべきではないでしょうか。
ヴィオラについては、スメタナが遺したそのままで演奏されていて、オーケストレーションされていない部分はピアノのままで演奏されています。この曲については「緊迫した曲想で聴き手の心をぐっとつかみながら、じきにその手が緩んでしまう」という評を読んだことがありますが、どこのことでしょうか?
いずれにせよこんな全集はスプラフォンしかできない企画ですね。

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こどもの問答目的で買いました。なんとア・カペラで始まる!さすがはヴィーン少年合唱団。ヴァーグナーにもこんな曲があったとは。後奏を聴いているとなんだかヴェーゼンドンク歌曲で聞いた事があるような感じがする。やはりヴァーグナーの作でした。
そしてジークフリート牧歌。知的でスタイリッシュな演奏は、まさにヴェラー四重奏団の延長のような趣でした。クラリネットの夢見るような表現も素敵です。

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冒頭のヴィオラもいい感じです。5番のヴィオラが少し音が薄っぺらいと思っていたのですがこちらは万全でした。演奏会ライブなのでマイクを立てられなかったからか、楽器の分離はあまり感じられませんが弦と管のバランスも理想的。手に汗握る二楽章。この演奏、会場で聴きたかったです。

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早く来すぎた才能、細部の彫琢やテンポ操作、作曲家の指示の解釈などこんにちでも十分通じる芸術はもっと良い録音で聴きたいですね。ソ連で不遇をかこつなど時代の被害を受けなければもっと名演を残してくれたものと思います。この方のもとで一度弾いてみたかったです。
私はスクリベンダムは基本買わないのですが、火の鳥やくるみ割りの新旧録音が揃うので入手しました。特にくるみ割りは新旧全く別人じゃないかと思うくらい違う(新録音の方がらしいとは思います)。これは良い発見でしたが、実はアイネクや幻想のヨーロッパ録音などの重要アイテムが欠けています。このレーベルはなんか徹底性に欠けるんだよね~😔

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ルネ・シュメー HMV録音集

ルネ・シュメー

5:
☆☆☆☆☆
★★★★★

冒頭のクライスラーからしてテンポは伸び縮み激しく、またポルタメント多用により独特の表情をみせる。それはスペイン交響曲でも同様で濃厚な表現を生み出しています。他方、クライスラーのアレグロやハイドンなどのインテンポ部分では速いテンポでぐっと迫ってくる。作品から受ける自身の感銘を、こんな自在な表現で表すことができるのはうらやましい限りです。マドリガルのような小品にも手を抜かない誠実さも素晴しい。

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ベルクはミネアポリス盤と別演奏かと思って買ったら、同じ演奏だった😩

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101年前の録音!それでも現代にも十分通用する表現。時代から予想されるポルタメントはほとんど感じられず、恣意的なテンポの揺らぎもなくひたすら作曲者に奉仕する姿には感動を覚えます。盤面の継ぎ目もほとんど目立ちません。
弾きにくい嬰ハ短調、見事なアンサンブルです。15番の一楽章の主部の速いテンポは、この曲の「哀しみ」的な表現にぴったりで、新盤ともども私はこの団体のものが気に入っています。

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熟した果実のような豊麗で甘い音色、しかもモーツアルトの様式にぴったりの軽やかさも備えた理想的なソロ。私はいつもこの演奏を基準にしています。バックのオケの、指揮者とソリストに対するリスペクトからくる献身ぶりにも心温まる演奏です。

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ブラームス:ヴァイオリン協奏曲

諏訪根自子

5:
☆☆☆☆☆
★★★★★

すごいスクラッチノイズ。特にベートーヴェン。
ブラームスはとても典雅な演奏でした。テンポもゆっくり。時代の記録としてはとても貴重な録音ながら、神格化するのは疑問に思いました。やはり晩年の万全な演奏が聴きたいですね。期待したオーボエも思うようには出てきませんでした。
レオノーレはバシャンというトゥッティや野放図一歩手前の金管など戦後すぐのオケの音がしていました。これは一つの演奏会の序サブでしょうから、メインも聴きたい・・・、と言いたいところですがあまり期待はできないかな。

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どちらもノイズのとりすぎ?いわゆる蚊の鳴くようなヴァイオリンですが、すぐに耳が慣れてくると演奏の凄さが伝わってきます。
ゾルダートはエアこそポルタメントたっぷりでけだるい感じがしますが、モーツアルトの主部やパルティータの勢いと技巧は目を瞠るものがあります。まるで別人みたいでした。ロマンスも緊張感のある部分に来ると俄然凄みを増してきました。
ファキリの方はベートーヴェンもバッハもあまり歌い崩しもなく様式をしっかりと守った優しい演奏です。そういった意味でソナタのアダージョ・エスプレッシーヴォに期待したのですが、録音の限界からか平板に聞こえてしまい残念でした。

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実演のパルティータが残っていたとは驚きです。鋭い切れ味の演奏ですね。途中で弓が足りなくなったかなと思われるところもあったりして、やはり万全な晩年の全曲録音を聴いてみたいです。
演奏会当日の他の演奏は残っていないのかしら。

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