ツィンマーマンは1985年にベルリン・フィルのコンサートにデビューして以来、2021年の時点でベルリン・フィルとの共演回数はなんと80回にも上るそうです。こうしてベルリン・フィル自主レーベルからツィンマーマンとベルリン・フィルの共演がセットで発売されたことを見ても、ツィンマーマンがいかにベルリン・フィルに愛され、大切にされているか、よく分かります。ツィンマーマンという方は極めて高い技巧を持ちながらそれを必要以上にひけらかすことなく、手堅く硬派なヴァイオリニストという印象で、それはこのセットを聴いても変わらないですが、それに加えてこのセットで聴ける演奏には極めて強い緊張感、冴えわたる技巧と歌心があり、改めてツィンマーマンのヴァイオリンの見事さを堪能することが出来ました。まず何と言っても聴き物はベートーヴェンですが、この崇高な作品にツィンマーマンはそれこそとても高潔なソロで望んでいて、私は心の底からこの演奏に感動しました。指揮はハーディングが執っていて、演奏時間は同曲異演の中でもかなり速い部類かと思いますが、せかせかした感じは全くなく、むしろこのテンポこそこの作品に相応しいとさえ感じました。絶妙なルバート、そしてフレーズを大きな呼吸感でとっているのでベートーヴェンが楽譜に書き記した揺蕩う美しいメロディの大きな流れに酔わされました。ペトレンコとのベルクで聴ける演奏の緊張感は凄まじく、それに加えて強い劇性でその音楽の中へ引きずり込まれました。ギルバートとのバルトークも素晴らしく、このバルトークではツィンマーマンの持てる技巧がどれ程優れていて見事なものかということが一聴してよく分かります。3曲ともベルリン・フィルは本当に献身的にツィンマーマンのヴァイオリンに付けていて(どれも本当に上手いです!)、それを聴けるだけでも「協奏曲」を聴く醍醐味を心底味わえます。録音もこの自主レーベルらしく楽器を生々しい音で捉えていて秀逸です。解説も充実した楽しい読み物でした。ツィンマーマンとベルリン・フィルが繰り広げる本当に極めてハイレベルで幸せな共演、ぜひ多くの方々に味わっていただければと思います。