メンバーズレビュー一覧

エーファさんが書いたメンバーズレビュー

(全168件)

この交響曲の出だしをこんな風に奏でる演奏は聴いたことがありません。すべての声部が完全に均一、そしてアタックがあるわけでもないがふわっと入るわけでもない、まるで水の塊ではなく濃い気体が一度に押し寄せてくるような、そしてその色は白ではなく複雑な色をしている(何色とは言えないけれども)。第1印象が強烈でした。続く本編の演奏は正統派そのもの。ロンドンフィルはホルンもコンサートマスターも素晴らしいソロを聴かせる。どのセクションも調和がとれた安定感のある演奏を繰り広げている。一箇所だけ音量を落としてニュアンスをつけるところがあるけれども、それもきちんと文脈に収まって違和感を与えない。いい録音でかつ王者の威厳で辺りを祓うかのような名演奏でした。

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ヒトラーや戦争中の世相との関係性ばかり強調されるかわいそうな演奏です。確かにザックスの演説が高圧的だったり、ヴァルターの歌が音が割れてこれまた押し付けがましく聞こえたり、はたまた劇場のライヴなので音がこもって飽和したりして、いかにもあの時代を思わせるのは否定しませんが。
でも、これが最新の良い音だったらどうでしょう。エーファとザックスの対話の繊細さ、懸賞歌の技巧と雄弁さ、場面転換の的確さなどこんにちでもなお学ぶべき点が多くある、至高の芸域にあると思うのですが。

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何かともう一つの43年の録音と比べられる演奏です。音自体は同じ方式、同じ規模なので似通っているのですが、こちらのほうが良い意味でより劇性が少なめな感じがします。特にヴァルターの懸賞歌はローレンツの歌の技巧満載の劇的なパーフォーマンスに比べて、純粋に美を賛美するような直截的な歌唱でした。続くザックスの演説も迫ってくるというよりは語りかける感じです。場面に応じたテンポ設定、団員の弾き方、アーティキュレーションなどもずっと常識的で手に汗握る風ではありません。ケンカの場面なども必要以上のドライブもありません。そういった意味でこちらの演奏は、純粋に音楽を聴くことができるものと言えそうです。同じ時期の音楽祭でも、指揮者とソリストが変わればこんなに印象が変わるという好例だと思います。
他の配役ではダーヴィト役のうまさが光っていると思いました。

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バルビローリ面目躍如たる2曲。まずはメタモルフォーゼン、苦悩の表現からして温かい表情。過去の回想はいかにも懐かしげに慈しむように表現。ヴァイオリンの1番と2番が交代でソロを弾く場面のなんと雄弁なことか。最後も苦々しくではなく慰めるように終わるのもバルビローリらしい。
そして第6交響曲。チェロの弦を噛む音がまず素晴らしい。聴くものの背筋をシャンと伸ばさせる。大きな音ではないが奏者の気合を感じる。マーラーの重層的な和声をわーっと広がるように出す。これが実に柔らかくなつかしく優しい。決してカラヤンのような洗練された音ではないのだけれど心に響いて来るというのがふさわしい。この傾向はどの楽章にも共通しているけれど、特にアンダンテ楽章で顕著。いつまでも聴いていたい!
とにかくこの巨匠の至芸がいかんなく発揮された名録音だと思います。他でも書きましたが、どのように指示を出せばこのような音になるのか不思議です。リハーサル録音などがあれば聴いてみたいですね。一度でも良いのでこの方のもとで演奏を行ってみたかったです。

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この演奏も20世紀のうちに購入したのですがいまだに現役盤とは驚きです。全体に速めのテンポでで颯爽と進めていく。しかも地に足がついた感じでうわついた感じがないのも好ましい。6番ではガンバパートにはアーノンクールの名前が。
1番では最初からホルンが存在感を示してます。トリオのオーボエが美しい。2番のトランペットは他盤で聞くような調子っぱずれ(失礼😅)な感じはなく控えめに、あたかもオーボエを吹いているかのように自然な感じで合奏に溶け込んでいます。3番のチェンバロの即興がすてき。4番のリコーダーはヴァイオリンやヴィオラ奏者が演奏しているのですね、違和感は全くありません。5番のチェンバロは、カデンツァにおいても全くテンポを緩めず一気に弾ききっています。もう少しいろいろしてくれてもいいように思いましたが、これも指揮者の指示なのでしょう。6番のヴィオラソロはあまりヴィブラートはかけないスタイルですがテクニックは抜群、3楽章は目もくらむような丁々発止の掛け合いで魅了してくれました。ホーレンシュタインの意外な一面を見させてもらいました。

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悠揚たるテンポで壮大な建築物を築き上げていくかのごとき演奏です。それでも終楽章は愉悦感も忘れていません。ライプツィヒのオーケストラも的確な伴奏で応えます。チェロのソロもお見事。
それにしても当曲はナイのほか、ヘスやバッカウアー、ブショルリなど比較的壮年の女性ピアニストの名盤が多いですね。

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盛岡に行った時、歴史文化館で購入しました。収録音源もさることながら、解説書には新たに啓発されることが大でした。社会貢献が使命と感じる生き方にも共感しました。
添付CDでは、パスターナックの大曲録音は初めて聴きました(パウエルやクライスラーの伴奏くらいしかないと思っていました)。これが当時の日本のスタンダードだったのですね。フィッツナーの旧録音やストコフスキーの三楽章のみのブラームスなど、いまでは貴重な録音もたくさん。火の鳥やチャイ4、牧神や死と変容などまで聴かれていたとは、知的好奇心が旺盛でおられたことにも驚きでした。私は文芸には造詣はありませんが、音楽を(そしてレコードを)愛する同好の士として、賢治先生を身近に感じました。

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シンフォニーは冒頭の音が少し小さいのは録音の加減かしら、三連符から大きくなる。主部に入ってからの透明感にあふれる音にまず魅了される。快速テンポで愉悦感たっぷり。このコンビにはお国ものが多いのは当然だが、こういった一般的なな名曲も普遍的に通用する演奏をしていたことが分かる好例。魔笛序曲も同様に素敵なパフォーマンス。戦後10年にもならない中でのトリスタン。次々とうねりが押し寄せる没入した演奏を繰り広げる前奏曲。感動的に盛り上がる愛の死。ナチスから解放された側の人々だが、政治と芸術は別ということなのだろうか?、これも普遍性のある素晴らしい録音だと思いました。
そういえばスメタナもワーグナーの影響下にある作曲家、リブシェ序曲もワルハラへの入城のようにピークを作っています。そして二人やもめ、後の再録音に比べて若々しい(かわいらしいと言っても良いような)ドヴォジャーコヴァーの美声が聞かれるのも貴重。
ターリヒに限らず、チェコの名指揮者たちにはもっと一般的な名曲も録音してほしかったですね。

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年代的にどうかなと思いましたが、割といい音で録られています。オーケストラの技量は高く、ベートーヴェンの込み入ったスコアから、出るべき声部や楽器間のつながりなどをしっかりと表出しています。指揮者のトレーニングの成果かもしれません。テンポや音色による主題の描き分けもはっきりとしています。3楽章は尋常でない遅さで始まりますが、いつの間にか通常聞くテンポになっている。移行の巧みさがよく表れていると思います。終楽章は独唱に近接した録音のため音が割れたりしてちょっと残念ですが、合唱は男声、女声ともに高音パートが強めで輝かしい歌声を聞かせているのは特筆に値すると思います。ただ楽想に応じたテンポの移り変わりが激しく、お世辞にもていねいな演奏とは言えませんが表現意欲は凄まじく、圧倒的な感銘を受ける演奏でした。以前、「同年のフルトヴェングラーの演奏と比較して古さを感じる」などという記事を読んだことがありますが、(同氏を神格化する姿勢も疑問に感じますが)演奏芸術は一回一回のパフォーマンスに現れる、共感と相互のリスペクト(作曲家と演奏家、指揮者とオケ奏者や合唱団、ソリストと伴奏者、音楽家と聴衆等)からくる奏者たちの真剣さを聴くべきで、先入観と「感じ」のみで論じたり書いたりするのは厳に慎むべきと思います。この演奏のどこを聞いて古いと思うのか、全く理解できません。

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シュトラウスの前奏曲は誠に荘重。ややこしいヴァイオリンパートが単独で動いたりする箇所もみごとに共感を持って弾かれているように思います。ベーム盤に負けずと劣らない良い演奏です。ダルベールのチェロ協奏曲も初めて聴きましたが、なかなか分かりやすく、適度な技巧で作られているようで楽しめました。
解説書(こちらのほうがメインかな😅)には戦災で破壊されたゲヴァントハウスの写真なども載っており、とても貴重です。他の巻も欲しいけれど(ケムペのオーボエが聞けるものもあるとか)、結構なお値段なので手が出ません。
なお、シュトラウスのオルガン奏者ははっきりとした記録がなく、「ギュンター・ラーミンと推測される」とのことでした。

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プロ・アルテカルテットはハイドンばかりが目立つけど、実はラヴェルやバルトークまで録音している当時の代表的なカルテットなのですね。この六重奏の2曲、セカンドヴィオラとセカンドチェロは同じ人なのに主たるカルテットが違うのは、スケジュールが合わなかったからでしょうか。2番もプロ・アルテカルテットで入れてほしかったですね(と言いながら、ブダペストSQの方もその後の長い活動にもかかわらずゼクステットの正規録音はこれしかないのですね)。
演奏はどちらも模範的と言ってもよい整ったもので、ヘンなアゴーギクやテンポの揺れもない見事なものでした。そんなわけで私にはアマデウスカルテットの濃密な表情は少し過剰にも感じます。特に変ロ長調はこの録音で聴き込んだのでいつも基準にしています。、演奏の参考にもさせていただきました。もっと長く活動して、特にベートーヴェンなどを録音してほしかったですね。

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各曲は50年くらい前から知っていたものの、聴き込んだのは45年くらい前に買ったここにある演奏が入ったセラフィムのLPによってでした。「中央アジア」の遠くから響いてくるホルンや「はげ山」のトランペット、「スペ奇」「だったん人」のクラリネットのうまさが耳にこびりついて、同僚の吹く演奏にはな~んか違和感を覚えるほどです。それにしてもクリュイタンスの洒脱としか言いようのないセンスはどうやったらオーケストラに伝わるのか、不思議でなりません。強奏するバストロンボーンさえもその一部に取り込む、練達の手腕には舌を巻かざるを得ません。

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奇跡的なハイドンセット。はつらつとして音の密度も濃く、非常に勉強になります。この曲集はこのセットで聴き込んだので、14番、15番、17番の演奏では参考にさせてもらいました。とにかく2人のヴァイオリン奏者の同質性が顕著で、たとえば14番のフーガでは同じパッセージは1人で弾いているのではないかと思うくらい。セーケイ1人に注目が集まりがちですが、ヴィオラ、チェロも含め同等の技量の持ち主が集まっているようです。15番のバルカローレなどでは、音色、アーティキュレーションなどがみごとに統一されています。最近の室内楽録音は細くシャープで機械的な音のものが多いですが、このような等身大で人間味あふれる音のものは少なくなっているようで、とても残念です。

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昔から音がいいことで有名な録音。私も初めて聴いた時「カラヤンの新録音にも匹敵(歳がバレますね😅)」と思いました。
演奏は、冒頭が何やらたどたどしい。演奏者の技量というよりは指揮が分かり辛いため?。また、急にドライブしてオケがついていけなかったりと、ちょっとどうかなって感じ。3楽章も後半は暴れ気味で大見得をきったかと思えば急激なアッチェレランドであおったりしている。終楽章はとにかく遅く暗い。スタジオ録音ですが、実演のような気がこもった演奏のように思いました。

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ヴィオラの神様、プリムローズが加わったモーツアルトのクインテット集。第1番のみ収録されていないのは残念。プリムローズもここではソリストっぽくなくアンサンブルに溶け込んで演奏しているので突出した個性は出していません。それでも3番の緩徐楽章では、紛れもなくプリムローズの音でソロが聴かれます。近年の室内楽はキツめの音でシャープに演奏され、録音もそれにならったようなものが多いように感じますが、このCDはまろやかな丸い、しっとりした肌ざわりの音でホッとしますし、実際にそのような音色で演奏されているのだと思います。特に短調の第4番やアダージョとフーガのかげりがある音楽にはとてもふさわしいと感じました。このような音は近年ではなかなか聞けなくなりました。

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舞台上演の記録ではなく、歌手たちが出演する映画?のような撮影手法。近接した映像なので歌手の表情や所作、小道具のディテールまではっきりとわかる。ルートヴィヒのいかにも楽長らしい風貌から前奏曲が始まる。ケースの写真は白黒だけど映像はカラーでした。主要キャストの6人は客演だけれどその他は地元の歌劇場のアンサンブルかな?。トッツィのザックスはいかにも人格者らしい振る舞いと葛藤が表現されていて素晴らしい。ブランケンハイムのベックメッサーもザックスとのやりとりがみごとで不必要に悪人にされていないのも好ましい。ウンガーのダーヴィトやカッシリーのヴァルターは見た目がちょっと歳をとりすぎ?だけれどもそれぞれの役の理想的な歌唱のように思いました。一つの時代のプロダクションが記録されていてとても貴重かつ楽しい作品でした。

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後年大巨匠になってからは聞かれないショパンやラフマニノフ、スメタナなどが入っていますね。一通り聴きましたが、ピアノは私の楽器ではないし知らない曲が多いので味わうことができなくて残念です。王道を行く演奏ではあるようには思いますが、グリーグの協奏曲でこんにち見られるヴィルトゥオーソ的な表現をする箇所(冒頭やアッチェレランドとクレッシェンドを伴って駆け上がる部分など)が割とインテンポで弾くドイツ的な表現になっていたので、独奏曲でも同様なのかなと感じました。
その協奏曲の2種の録音、旧録音は短縮版というよりは「さわり」までで急に終わるのでガクッときます。曲の形式も何もあったものではない。大巨匠になってからはまず見られないミスタッチがそのまま残されているのも珍しい。新録音の方はいい音、バルビローリの好サポートもあり安心して聴けます。こちらも堅実で模範的な演奏でした。

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その昔NHK-FMで前半をこの演奏、後半をコシュラー指揮で全曲流したことがあり、私はこのエアチェックテープをこれこそ何百回聴いたでしょうか。私にとってわが祖国の原点とも言える演奏です。今客観的に聴いても自国の芸術に対する誇りといった確信に満ちた堂々たる演奏で、この時代を代表する「わが祖国」のように思えます。
弦はスメタナのややこしい楽譜をみごとに音楽的に音にしていますし、管楽器も実にうまい。社会主義体制にありながらも(=他国に支配されながらも。わが祖国の成立背景そのものですね)芸術はおろそかにしない、ヨーロッパ人の矜持のようなものも感じました。

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レコード芸術 2011年 11月号 [MAGAZINE+CD]

5:
☆☆☆☆☆
★★★★★

バッハ・オルタナティヴ。
オルタナティブって「二者択一」あるいは「代替品」「非主流」という意味ですが、ピリオドかモダンかってことでしょうか。あるいはストコフスキーのような編曲物の特集でしょうか、はたまたバッハのあまり知られていない作品の紹介でしょうか。
興味深いテーマですので読んでみたいです。

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重厚なモーツアルト。ジュピターの3楽章は前楽章の幽玄な雰囲気をさっと振り払うかのように軽快なテンポで開始、見事な場面転換。フーガもゴツゴツした肌ざわりながら巨大な伽藍を築き上げていく。東側のオーケストラながら技量の高さはみごと。全編にわたってファゴットのうまさが光る。ディヴェルティメントも厚めの響きで荘重な音楽を奏でます。嬉遊曲というよりは祝典音楽という感じです(そんなわけで終楽章は少しミスマッチ?曲想に合わず空回りの感アリ😅)。

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その昔NHK-FMで前半をこの演奏、後半をコシュラー指揮で全曲流したことがあり、私はこのエアチェックテープをこれこそ何百回聴いたでしょうか。私にとってわが祖国の原点とも言える演奏です。今客観的に聴いても自国の芸術に対する誇りといった確信に満ちた堂々たる演奏で、この時代を代表する「わが祖国」のように思えます。
弦セクションはスメタナのややこしい楽譜をみごとにかつ音楽的に音にしていますし、管楽器も実にうまい。社会主義体制にありながらも(=他国に支配されながらも。わが祖国の成立背景そのものですね)芸術はおろそかにしない、ヨーロッパ人の矜持のようなものも感じました。

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ピアノによるルロイ・アンダーソン

白石光隆

5:
☆☆☆☆☆
★★★★★

作曲者自ら編曲したものをまとめた一冊をすべて演奏したものとのこと。たとえば踊る猫のグリッサンドは細かい音を入れたりしてピアノ用の工夫がされています。トランペッターの休日はヴァイオリンの印象的な合の手が省かれていて残念ですが、作曲者の意図だから仕方がないか(せめて属七のアルペジオくらいはほしかった!)。
演奏はていねいにそれでいて楽しく弾かれていて好感が持ててとても楽しめました(ソロなのでもう少しはっちゃけてもよかったかも)。最後はサテンの少女で静かに終わり、この楽しい時間は「一夜の夢」だったかのような印象深いものになりました。

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クラウスのイメージからは全く異色のレパートリー。展覧会は全く響きがないところで演奏?、あるいはノイズの取りすぎ?。それでもラヴェルが施したオーケストレーションの「彩」ははっきりと表現されているのが分かります(ホルンと弦のピチカートのバランス、管や弦のアーティキュレーションの違いのブレンド等々)。プロムナードは意気揚々というよりはワクワクして会場に向かうみたいに、一歩一歩を強調してリズミック。サクソフォンのソロに面白い装飾。カタコンブ前で大きくゲネラルパウゼを入れる。そして壮絶な絵が突如現れる。ババヤーガははっきりとは分からないくらいにアッチェレランドを入れて緊張感を高める。キーウの大門は弦楽が少し速めのテンポで入ったりするが堂々と闊歩していく。上の説明にはオーケストレーションの改変が面白いとあるが、全くそのような痕跡はない。普段はあまり表に出てこない弦の大きな三連符がよく聞こえたから?かな。

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冒頭の「天使」から深いソプラノが響きます。ポルタメントもつけて非常にロマンティック。オーケストラもいい具合に深い音を出しているなと思ったら、「止まれ」に入るとなかなかの快速テンポ。これはこれでアリかなと思ったら、ファーレルが主導して徐々にテンポを落とす。Durに入ったところから夢見るような表情を見せ始めてきましたが、終わりになってビャーッといういかにもストコフスキーらしいトランペット。また「温室」は鋭いスフォルツァートをつけて始まる(楽譜はpひとつだけなんですけど。同じくファーレルの伴奏を務めるバーンスタインはそれを守っています)。ここはトリスタンの3幕前奏曲風にするなら深いスフォルツァートでないとね〜😅ソプラノはいいんだけれど、やはりストコフスキーでした。

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ファーレルのCDを別途買って聴いたので久しぶり(40年ぶり😅)に聴いてみました。当時はLPで昔のマスタリングの平板で響きの少ない音で、いかにもトスカニーニの一連の録音っぽかったのですが、CDで聴き直してみるととても良い音で録られていて奏者の息づかいまで聞こえるよう。昔の印象がいかにあてにならないかを思い知りました。他の曲も聴き直さなくては!
この演奏はオーケストラだけの部分と声楽が入る部分の表情が別人かと思うくらい違うのを当時から不思議に思っていましたが、今回聴き直してみても印象は変わりませんでした。器楽だけのところはたたみかけるテンポと短く鋭いアクセント、歌入りのところは柔軟なカンタービレを許容、テンポも遅め。歌劇場のたたき上げの方なので声楽重視?、あるいはテキストの聞こえ方を重視?。激しく始まり柔和に終わる面白い第九です。

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全編にわたって愉悦感と洒脱さが際立っています。ロッシーニ序曲集はいくつか買いましたが、これほど洗練され、颯爽とした演奏はありません。ヴィルヘルム・テルのチェロはもちろんのこと、すべてにわたってトロンボーンがバチッと決まって素晴らしい。また明るい音色でキビキビしたティンパニがみごとに全体を引き締めているのが特筆できます。この奏者はラフマニノフの第二協奏曲や70年代の第九などにも明瞭に聞かれ、オーケストラ全体をまとめ、カラヤンの颯爽としたイメージを決定づけています。

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当シリーズのマーラーのピアノトランスクリプションはとても興味深いものです。オーケストラと違い均質な音で聴くと、マーラーの音楽の重層性と各声部の連関性がはっきりして楽曲理解が深まります。他のシンフォニーも録音してほしいです。
演奏は、この作曲家ならではの表現に通暁していてとても楽しめました。蜜の部分も毒の部分もオーケストラとは違ったアプローチで表現しているように思います。こんな表現ができるなんてうらやましい。

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こうして均質の音によって聴いてみると、マーラーの音楽の重層性、声部の連関性がよく見え、楽曲理解が深まって演奏するものとしてありがたい。お二人の奏者も、ここぞというときにはテンポを落として濃厚に歌ったり、マーラー特有の恍惚郷を絶妙なタッチで表現するなど素晴らしい解釈で魅了してくれます。
このCDを評して技量が劣るだの理解が足りないだの書いた文章に接したことがありますが、どこを聴いてそう言っているのか理解できません。自分が知っているオケ演奏と違うというだけではないのか。この素晴らしい奏者たちを批判する資格があるのは、このお二人よりお上手にピアノが弾ける人だけだと思います。

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何しろ32枚あるので全部はまだ聴いていませんが、それにしても壮大なディスコグラフィー!!
一言でフランス音楽と言っても、ドイツ物とは違うインターナショナルなベルリオーズ、ビゼー、フランス音楽の粋と言ってもいいドビュッシー、ラヴェル、スペインに目が向いたラロ、スイス方面のオネゲルと実に多彩で、それらがこのBOXにはすべて含まれている。昔特典盤でしか手にはいらなかった幻想のリハーサルまでついている。もちろんサンサーンスの協奏曲や各作曲家の交響曲がすべて収録されているわけではないけれど、それらは別途買えばいいので、これ一つで私のライブラリーのベースになりました。
演奏は定評があるもので、(すべて聴いたわけではないけれど)ハズレは一つもありませんでした。折を見て聴き続けて行きたいと思います。

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ストレートに伸びてくるシュトレングのヴィオラは、バリリカルテットで聞くままの羨望の音です。よくぞこのような録音を残してくれました。もちろんヘッツェルのヴァイオリンもモーツアルトらしい明るい伸びやかな音で理想的な演奏であることは言うまでもありません。至福のひと時でした。

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発売になってすぐに買ったこのCD、いまだに現役盤とは!!
クーセヴィツキーの2大功績の、その委嘱者としてのの演奏!バルトークは割といい音、さすがに総奏では音が飽和してきますが細かいニュアンスは十分伝わってくる。展覧会のほうが音が荒れていて聞きづらい。いかにもアメリカ風のビャーと吹くトランペットはあ〜あッ!ていう感じですが、自信に満ちた演奏であることは分かります。いくつかのナンバーが省略されているのは残念。

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ケムプのベートーヴェン、聴き慣れた慣例的な解釈のスタジオ録音と全然違う。思いがけない音の強調でヘミオラ風に弾いたり曲の進行の方向性が変わったりタッチを全く変えたりと、聴いていて次に何が出るかとわくわくさせられました。その不思議な表現をオーケストラもトレースしたりしているので事前の打ち合わせはあったものと思いますが、それにしてもケムプがここまで即興的にいろいろ仕掛ける演奏家であったとは驚きです。技巧の映えもスタジオ録音では分からなかったこと。改めてすごい演奏家であったことを再認識しました。
よくバックハウスの剛、ケムプの柔などといって後者のほうがテクニック的にも弱いような論説が見られますが、楽器を弾いたことがない者の詭弁と思われます。表現のためには技術が必要、そして素晴らしい表現の前では多少のミスなどは問題とはなりません。「感じ」だけで評する評論家が跋扈する日本の現状は情けない限りです。

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ヴィントガッセンに似た明るい声、低音域で「ルー」という感じで玉を転がすような声質になるのも同じ(歌い崩しはありませんが😆)。ただ喉元からの発声はこの時代のことで致し方のないことですが、聴いていてこちらが苦しくなってきます。
演奏は、手中に完全に収まった感じのジークフリート、鍛冶の歌などとても楽しそう。トリスタンの速いテンポにのってライダーとの丁々発止?のやりとりはとてもスリリング。フラグスタートの黄昏も喜びと希望に満ちた圧倒的な演奏でした。実にすごい時代だったのですね。

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愛の死は晩年のF=ディースカウみたいに子音が耳について、落ち着いて聴けませんでした。前奏曲は楽劇の前奏ではなく、単独の楽曲として構成され、劇性の濃いものでした。録音も良いため気迫といったものが如実に伝わって来ます。

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ティル・オイレンのバレエシーンが煩わしいですねー。ニューイヤーコンサートもそうですが、ヨーロッパの人たちは挿れたくなるんでしょうねー。

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協奏曲は当時の国民的作曲家の新作とあって、立て続けに録音されたものの最初のものとのこと。この旧録音は確信に満ちまた濃厚に歌い込んだ名演で、作曲者へのリスペクトが伝わってきます。12月のホールの演奏よりも端正で力強く感じます。同じメンバーで入れた再録音はとてもいい音でより鮮明に表現を堪能できるのがありがたいです。クライスラー&エルガーではないけれど、この曲の規範を作った演奏のように思いました。

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マリー・ホール 録音集

マリー・ホール

5:
☆☆☆☆☆
★★★★★

協奏曲はサモンズの初録音に次ぐものとのこと。こちらは前奏からしてポルタメント丸出しの甘々の雰囲気で、それをソロが丸々引き継ぐ感じ。「SPの録音時間の制約からテンポが速く無理をしている云々」の論を読んだことがありますが、メニューイン(及びサモンズ)との録音と比べても変わらない、1回々々のパフォーマンスの違いの範疇に収まっていると思います。それよりも指揮と独奏の様式の同質性をみるべきでしょう。録音を聴いたことがない?あるいは楽器を弾いたことがない?者の詭弁のように思います。EMIの全集にも入れてほしかったな。
それに続く小品の数々も甘い表情が目立つ(もちろん技巧はしっかりした上で)佳演奏。バッハは伴奏があるためカチッとした感じ。ラロも素晴らしい技巧。ユモレスクはトロイメライかと聴きまごうような雰囲気。クライスラーのなんと洒落た物腰。ロンディーノもこんにち聴く表情とは違う幻想的な表現。
演奏者の人がらや時代の雰囲気を味あわせてもらい幸せな気持ちになりました。

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際立った特徴的な表情などはないけれど歌い崩しなどなく、ていねいに弾かれていて気品があります。フランクは難解な2つの楽章だけで残念。
ブックレットにターティス、サルモンド、マードックと一緒に写った信じられないような写真があります。このメンバーでたとえばブラームスなど聴いてみたいですね。

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Prima Voce - Emmy Destinn

エミー・デスティン

5:
☆☆☆☆☆
★★★★★

後年のフラグスタートのような独特な艶のある声。低音には古式の発声法があるようでリリックな印象もあります。定評のあるワーグナー、ゼンタのバラードなど歌詞内容によってテンポを変えたりして強い表現をしています。多彩なレパートリー、同時代のサロメなどとても貴重です。スメタナやチャイコフスキーなど、当時のヨーロッパでそんなに上演されていたのでしょうか?このCD、前半がグラモフォンで後半がヴィクター録音なので、レコード会社の意向によるものでしょうか。
それにしても1908年のカルメンの全曲録音があるのは、この名歌手を偲ぶうえでとても奇跡的なことのように思います。

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Prima Voce - The Spirit of Christmas Past

オーケストラ

5:
☆☆☆☆☆
★★★★★

私はクリスマスにはいつもカラヤンの曲集を聴くのですが、これをみつけた時には絶句しました。よくもまあ、こんなキラ星のような名歌手たちの、しかもクリスマス曲ばかりを集めたものだと(録音したこと自体も素晴らしい)。そして予定されていたかのようにダブった曲は一つもないばかりか、定番曲はほとんど含まれている。
マコーマックの甘い声から始まり、もうすでに雰囲気満点。途中からコーラスが入り、どんどん変奏されていく。ちょっと調子っぱずれの鐘が短調ぽく鳴るのはご愛嬌。カルーソーはワーグナーを歌わないので私の守備範囲外のため、このCDで初めて聴きました。よく通る甘い美声はいかにもイタオペ向きです。ここでもアダムの名曲を披露。グノーのアヴェ・マリアは甘々のヴァイオリン独奏付き。レーマンの歌唱は女の愛と生涯を思わせる声でニヤニヤしました。カラヤン盤では最後にあって、ローソクの明かりから蛍光灯が点いたみたいになって現実に引き戻されるアレルヤが、このCDではちょうど真ん中に来て、ひと休みする感じ。オネーギンの深いアルトが素晴らしい。ポンセルのアヴェ・マリアもヴァイオリン付き。こちらも美声に絶妙な音域でヴァイオリンがからみ、テナー歌手がいっしょに歌っているみたい。ジングルベルはしゃべりばかりでちょっと興ざめ。最後はグルーバーで静かに締めくくるのですが、フレーズが切れすぎるのと鐘の音程が悪くて少し残念でした。しかし全体としてはホントに驚くべき内容でした。

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Bizet: Carmen

ジョルジュ・ビゼー

5:
☆☆☆☆☆
★★★★★

117年前の演奏!指揮者はザイトラー=ヴィンクラー、ベルリン帝立オペラの演奏です。ドイツ語歌唱なので聞き慣れないが話の進行が分かってありがたい。デスティンの歌唱は声色やポルタメント、アゴーギクなどを駆使した艶めかしさが際立って、舞台上のやりとりを彷彿とさせます。高音の伸ばしもこんにちでも通用しそうです。バッハマンのエスカミーリョも堂々たる名唱。笑い声などもそのまま入っていて、当時のプロダクションをそのまま録音した感じです(デスティンのスケジュールが合わなかったのか、一部ダブルキャスト?のメッツガーの録音になっていますね)。オーケストラの統御もしっかりしていて、リズムもテンポもアッチェレランドもシュルスシュトレッタも安定感があります。奇跡の録音です。
音は雑音も少なく音楽の成分も十分あり鑑賞には支障はありません。これとファウストを聴くことは「レコード考古学(?😆)」に属する難事業と決めつけた評を読んだことがありますが、これを書いた評論家はこれらのレコードを聴いたことがないのだと思います。

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マーラー プレイズ マーラー

マーラー/ケニー

5:
☆☆☆☆☆
★★★★★

さすがはキャプラン財団、マーラー自身の全録音を集めるだけでなく歌まで付けるとは!さすらう若人はこんにちの演奏習慣と少し違うところがあるので歌手も少し歌いにくそう。それでも苦々しい回顧の部分はしっかりテンポを落として情感を込めて弾くピアノにしっかり合わせている。若き日の歌ではピアノに思いがけない音の強調がある。天上の生活はテンポの伸び縮みが激しいけれども、マーラー本人の伴奏に合わせて歌うとは歌手も楽しそう。テンポの設定はこんにちの演奏と変わらず、いい時間が過ごせました。

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ニンバスのこのシリーズは本当に音が良いですね。ノイズはほとんどなく、かといって音楽の要素も失われることなく表現がしっかり伝わってきます。
キプニスのバリトンは気品があって、また低音から高音まで自在に操れ(ここにはないオックス役など)、特に高音の輝きはアダムを思わせるところがあります。そんなわけで「美しきヨハネ祭」では、あれ?ザックス役だったっけと思ってしまいました😅ヴォータンでは後年のロンドンの歌唱そっくり。ヤンセンの歌は喉元からのものでこちらが苦しくなりましたが、キプニスでは音域が合っていて安心して聴けます。S.ワーグナーとの有名なグルネマンツもちゃんと収録されている。2時間半以上、たっぷり楽しませてもらいました。

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1994年頃に購入しましたが、商品番号も変わらず未だに現役盤なのですね。全体的に雑音も少なく良い響きで録られていてとても聴きやすかったです。歌手はきら星のようなビッグネームばかり。感銘を受けたのはローレンツのヴァルター役、歌唱法は古式のもののはずですが、それを感じさせない押し出し力、若気のヴァルターらしさが出てカッコイイし、パワーのあるところはやはりジークフリートだなーって思います。ライダーのイゾルデは少し音が遠く、当たり役だったはずなのによくつかめなかったのは残念。キプニスのオックスも気品のある低音で他の部分の想像をかき立てられます。ルツィツカのアンニーナがこれまた妖艶でオックスの歌をうまく引き出していました。戦争で失ったものの大きさを思わせられました。

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言わずもがな、WPHの名コンサートマスターの独奏とカルテット演奏。私は作品74はこの録音で聴き込んだので演奏も参考にしました。一楽章の展開部は盤面の継ぎ目があって急に速くなる。これはテンポの維持ができなかったということではなく、本来は提示部から移った際にそこからアッチェレランドするところを止められるために連続性が途切れ、盤面の内の演奏の仕上がりということを重視しているように思いました(同様のことが他の楽章にも見られます)。コーダの激しい部分の最後は、弾き捨てずに伸ばしてていねいに終わる。見習いたい美徳です。ヴィブラートが少なめなのはこの時代の特徴で、オケでのソロだとノンヴィブラートぽく聞こえるが、カルテットや独奏だと全然違和感なく聴くことができる。三楽章は繰り返しは1回のみ、四楽章はすべて繰り返しなしであっという間に終わる。ベートーヴェンらしくないけど、SPだから仕方がないか・・・。作品131は弾いたことはないけれど、弾くとしたらやはり参考にするかな。
バッハの複協奏曲にはなんと両端楽章にカデンツァが。なかなか素敵な作品でした。ご当人の作かな?

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これがでた時は時すでに遅しで、大部分を単売や輸入廉価盤で集めてしまっていました。そんな中、結成アニバーサリーで録音されたベートーヴェンの後期の6曲は、作品130、133、135が輸入廉価盤で出たものの未だまとめての単売はなくじれったい思いをしています。くだんの廉価盤で聴いた限りでは、演奏自体は旧盤の方が引き締まっているようにも思いましたが、この楽団ならではの豊麗な歌いまわしは健在でとても感動的でした。早く残り3曲を聴いてみたいです。
何か次のアニバーサリーまで発売を待っているのでしょうか?

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確かこれが演奏された日は、わが祖国が初めて全曲まとめて演奏されてちょうど100年目の「初演記念日」だったはず。そんな日の演奏を本国ではなく日本がとってしまっていいのかしらと、ちょっと複雑な気持ちになったのを覚えています(当時チェコは社会主義体制下で低迷、日本は高度経済成長期で世界第2位の経済大国。そんな関係もあったかも)。
演奏はもちろん確信に満ちた感動的なもので、悪かろうはずがない。これを会場で聴けた人たちがうらやましい。こんにちCDで聴くと、近接して録られているのはいいけれど東京文化会館の薄っぺらい響きを隠すことができない(ヴィシェフラドの動機など)のが、この記念碑的な演奏に対してとても申し訳なく思います。

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作品75目的で買いました。演奏はもちろん美しく、カヴァティーナはドヴォジャークらしい懐かしさを感じさせる佳品でしたが、全体を見ると楽章間の連関がよくわからず、とりとめがないイメージを持ちました。同じ編成なのに作品74の方が演奏頻度が多い理由が分かりました。
ゼクステットも含め、ヴィオラの音色の美しさにとても惹かれました。

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BOTEN DER LIEBE 愛の使者

ヴォイジャー四重奏団

5:
☆☆☆☆☆
★★★★★

室内楽を愛するものとして期待したけれど、結局は全て編曲物で特段の感銘はなく、違和感のほうが先に立ちました。演奏はもちろん素晴らしいのだけれど。
特にマーラーは新しく発見された習作かと思いましたが、ピアノカルテットとアダジェット!やっぱりそうか〜って感じでした。

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三枚目、初めて聴くフランセのコンチェルトが耳に飛び込んでくる。なんて楽しげ、戦争前夜の爛熟のパリの雰囲気という感じでしょうか。目的のラヴェル、占領下の時代の録音でしたが良い音で録られていて安心して聴ける。オケはインテンポ気味で進む中、ピアノは時にロマンティックな表情を見せる。二楽章のキラキラした星空のような表現はハッとさせられる美しさ。ロンの演奏にもフランソアのものにもないタッチでした。
フレンチスクールの銘の中に安川先生が含まれていることは、日本人としても誇らしいですね。

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