1968年以来のダイハードファンとしては、内容は珍しいものではなかったが、反ディスコ運動でのレコードの爆破は初見で腹立たしかった。しかし、全体的に非常に楽しめた内容だった。
ビー・ジーズの歴史を俯瞰してみると、彼等は成功の後に逆境が来るという経験を少なくとも三回繰り返している。世界デビューして大人気だったが若さゆえの69年の解散、再結成して復活したがヒットに恵まれなかった73、74年の静かな時代、75年からのアメリカでの快進撃を皮切りに時代の寵児となったフィーヴァー時代を経て、反ディスコ運動を端緒とした82~86年のグループ活動休止時代。
つまり彼等程浮き沈みが激しかったアーティストは稀であり、邦題の『栄光の軌跡』というタイトルは正直ふさわしくないと思う。
原題『How Can You Mend A Broken Heart』は解散時の悲しみを歌った曲のタイトルだが、弟たちを若い順に失い、一人残されたバリーの現在の心境を表したものだと言える。映画を観てそれがよくわかった。
ビー・ジーズが偉いのは、ロバート・スティグウッドやアリフ・マーディンといった周囲の援助を得ながらも、自分たちの曲創り、自らプロデュースする力で逆境を克服してきたことである。
彼等を知らない若い世代の方に是非ともこのBlu-rayを観て頂き、彼等の曲を聴いて頂きたいと思う。