本書は合戦に参加した主だった14の武将毎に、合戦前後の動静を丁寧に追うことで、結果として大乱全体が捉えられるような構成になっていて、合戦の真実に迫る内容に仕上がっています。例えば、直江状の真贋、小山評定はあったのか、三成と兼続間の家康挟撃の密約の否定等々。そして、極め付けは「問鉄砲」は架空で、合戦序盤には石田隊をはじめ、西軍はほぼ壊滅していたとのこと。歴史小説で流布している逸話は嘘ばかり。エンタメとして目くじら立てる必要はありませんが、ノンフィクションのように描く司馬遼太郎氏のような手法は注意が必要です。