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シューベルト:弦楽四重奏曲全集<限定盤>
ウィーン・コンツェルトハウス四重奏団
昔から名盤と言われてきたものですが、確かに素晴らしい。近年の暗さや激しさを突き詰めたような演奏からは感じられない余裕がありがたいです。弦楽五重奏曲や「鱒」も入っていれば、なおよかったのですが、これは厚かましい願いでしょう。
モーツァルト: 交響曲第35番《ハフナー》/シューベルト: 交響曲第8番《未完成》(STEREO & MONO 2種収録)(2024年リマスター)<タワーレコード限定>
カール・シューリヒト、他
昔からステレオで聴いてきたものです。ただ、悪いとは思わないものの、絶賛する人のコメントにも同調できないでいました。今回もステレオの方は今一つの感じがしましたが、モノラルが素晴らしいと思います。こちらの方がニュアンスが、よく伝わってきます。
バッハ:イギリス組曲<日本限定発売盤>
Francesco Tristano
来日公演をテレビで見て、興味を持つようになり、購入しました。しかし、あまり感心しませんでした。どこか騒がしさを感じてしまうのです。やはりグールドで聴くのがよいように思います。
モーツァルト:ピアノ・ソナタ ベスト、小品集
藤田真央
きっと絶賛されるのでしょうが、私は途中で「お腹いっぱい」という感じになってしまいました。8番(イ短調)のソナタは名演で、悲愴になり過ぎないのがよいと思います。他の2曲のソナタは、装飾過剰に聴こえてしまいました。律儀に反復を全てしていることによるのかもしれません。疲れます。
ブルックナー:交響曲 第8番
飯守泰次郎、他
第1楽章が素晴らしかったのですが、その後が、どうもいけません。特にアダージョでの恍惚感のなさは、ブルックナー演奏としては大きな問題だと考えます。オーケストラが少々薄手に響くせいもあるかもしれません。
ベートーヴェン:第10番「ハープ」&第14番
クァルテット・エクセルシオ
正直なところ、がっかりでした。とても美しいですし、過不足ない表現とさえ言えるのですが、なぜか迫ってくるものがないのです。ベートーヴェンは、やはりどこかに踏み外しがある(そのギリギリに迫る)ことが必要なのではないでしょうか。
ブラームス:交響曲 第2番&第3番
尾高忠明、他
星五つとの間というところでしょうか。かつての尾高さんは、曲の中に乾坤一擲の痛切な表現を織り込んでいましたが、最近は、極めて正攻法になったように感じます。この2曲も、基本的には安定かつ充実した出来栄えです。ただ、3番の第3楽章は、かなり細やかに神経を通わせた演奏で、一段と味わい深いと思います。
シアトル・コンサート1955
ヨーゼフ・シゲティ、他
バッハの冒頭のプレリューディオが技巧的に少々怪しく、心配しましたが、その後は特に不安を感じる場面はありませんでした。当時「出来立て」であったヴォーン・ウィリアムズのソナタが特に優れた出来です。音質は十分によいと思います。
ベートーヴェン:『ラズモフスキー(全3曲)』
ロータス・ストリング・カルテット
名盤が犇めくレパートリーなので星四つにしましたが、五つの人がいてもおかしくありません。ライヴにもかかわらず傷のない仕上がりで、当然のことながら、緊迫感があります。テンポの操作もうまく、飽きさせません。
ベートーヴェン: チェロ・ソナタ第4番、ブラームス: チェロ・ソナタ第1番、シューベルト: アルペジオーネ・ソナタ
エンリコ・マイナルディ、他
期待したほどではありませんでした。音楽の流れや表現に張りが乏しいと思います。そのため、個性的な節回しも、効果を上げていません。
マルタ・アルゲリッチ&イヴリー・ギトリス Live
マルタ・アルゲリッチ、他
ギトリスを全面否定するわけではないのですが、少なくとも、このアルバムに関する限り、恣意的に過ぎるという印象です。自在な表現自体はかまいませんが、説得力に乏しいのが難です。中では自作が楽しめるかと思います。
フランク: 交響曲 ニ短調 & ストラヴィンスキー: バレエ組曲「火の鳥」
アンドレ・クリュイタンス、他
モーツァルト: 交響曲第35番「ハフナー」、レーガー: モーツァルトの主題による変奏曲とフーガ、ブラームス: 交響曲第2番
ショパン
ラファウ・ブレハッチ
情熱を生なかたちでぶつけるよりは、一歩さがって落ち着きのある、その意味では渋い演奏だと言えるでしょう。特に3番のソナタがよい出来です。
ブルックナー:交響曲第4番「ロマンティック」<ノヴァーク版に基づく>
飯守泰次郎
第一楽章の冒頭や再現部の冒頭の美しさは見事です。第二楽章の冒頭も同様に素晴らしいです。しかし、第三と同様、テンポが落ちた時の流れの悪さが気になります。そして、やはり弦が薄く感じられます。
ブルックナー:交響曲第3番ニ短調「ワーグナー」(ノヴァーク版)
冒頭、たいへんよいテンポで始まり、大いに期待したのですが、テンポを落とすと流れが悪くなってしまいます。これは全曲に当て嵌まります。もっとも、後半は、なかなかよいので、惜しいところです。あと、弦が少し薄手に響くのもマイナスです。
ゴロワノフの芸術 第5集
ニコライ・ゴロワーノフ、他
モーツァルト: 弦楽五重奏曲全曲 / アマデウス弦楽四重奏団, セシル・アロノヴィッツ
アマデウス弦楽四重奏団
ブルックナー:交響曲 第5番
この曲の最近の新譜の中で出色の出来。名演だ。
ベートーヴェン: ピアノ・ソナタ名演集 - 第7番、第8番「悲愴」、第30番、第15番「田園」、第21番「ワルトシュタイン」、第32番
エトヴィン・フィッシャー
これは貴重なアルバム。私の装置ではザルツブルクでのライヴの方が、少々音が金属的に聴こえる場面があった。とはいえ、演奏は素晴らしい。音楽のどこにも無理がない。どこか、ベートーヴェンに直接に結ばれるような気さえする。
シューベルト: 交響曲第8番「未完成」&第9番「グレート」、シューマン: ピアノ協奏曲 Op.54、チェロ協奏曲 Op.129
ヘルマン・アーベントロート、他
このアルバムでの白眉は「未完成」だと思う。以前に聴いたときから感じていたことだが、この曲のディスクの中で最上位のグループに入れられる名演である。「グレート」もよいけれど、フィナーレで、しばらく音の鳴りが悪くなる。どうしたことか。シューマンも好演。
Beethoven: The Late Piano Sonatas
イゴール・レヴィット
作品101が温かみのある音で、夢想へと導いてくれそうな始まりをしたときには、大きな期待を抱いたのだが、それ以上にはならなかった。作品109から111までは、甘口の演奏で、これらの曲が持つ高みには、手が届かないままだ。「平易なベートーヴェン」とでも言うか。「ハンマークラヴィア」が速いテンポで聴きやすいとは言えるかもしれない。どうやら、この人とは相性が悪いようだ。テレビで見たときも感心しなかった。
ブルックナー: 交響曲第8番
スタニスラフ・スクロヴァチェフスキ、他
第3楽章までは文句なし。フィナーレの速いテンポが曲の味わいを少々損ねてしまったように思う。
ブルックナー: 交響曲第2番
フランツ・コンヴィチュニー、他
星の数は四つと三つの間です。以前に出たベルリン盤の方が聴きやすいという印象です。カットを見直すなどの変化もあって興味深いのは事実ですが、やや大味に感じられます。演奏自体は、きっと客席で聴けたなら、もっと感銘深いものであったでしょう。
チャイコフスキー: 交響曲第4番&第6番「悲愴」、シューマン: 交響曲第4番、ドヴォルザーク: チェロ協奏曲 Op.104
ドヴォルザークのチェロ協奏曲では、ヘルシャーの独奏が登場から輝かしく、強烈な説得力を示します。シューマンは濃密な響きが素晴らしいのと、テンポが速い部分でのスピード感によって高揚感を味わえます。二曲のチャイコフスキーでは、やはり「悲愴」が面白く、たいへん個性的ですが、後半の二つの楽章は見事だと思います。
カール・ベーム・ライヴ・アット・サル・プレイエル・パリ 1975<完全限定盤>
カール・ベーム、他
マルタ・アルゲリッチLIVE 第6集
マルタ・アルゲリッチ
全てがよいというわけではないので、星四つにしました。岩城とのショパンの1番の協奏曲は名演だと思います。他方、ノイマンとの2番の協奏曲は今一つ。これはノイマンとの相性の問題ではないでしょうか。この一枚目のディスクにはモーツァルトのソナタが入っていますが、これがまた見事な出来です。二枚目のディスクはブダペストでのリサイタルですが、音がちょっと。大曲を四つ並べたプログラムは圧倒的です。
モーラン: 室内楽作品集
フィデリオ・トリオ、他
モーラン、いいです。ピアノ三重奏曲と、チェロとピアノのための前奏曲は、しみじみとさせられます。演奏も申し分ありません。
シークレット・ラヴ・レター
リサ・バティアシュヴィリ
星五つでもよいのですが、シマノフスキの曲に馴染みがなく、評価をためらってしまうので、四つにしておきます。フランクのソナタは繊細な美しさで、他の代表的な演奏の厚みのある音や表現に慣れているだけに新鮮に響きます。ショーソンの詩曲も、素晴らしい美しさと言えるでしょう。
マルタ・アルゲリッチLIVE 第8集
デュトワとのチャイコフスキーはモノラルで、存在価値は乏しいように思います。ノイマンとのシューマンはステレオですが、ノイマンが少々真面目過ぎる感じで、アルゲリッチとの相性に問題があるようです。他方、東京でのリサイタルは音も演奏も優れています。
ブルックナー: 交響曲第6番、デッサウ: 管弦楽曲第2番「嵐の海」<タワーレコード限定>
ハインツ・ボンガルツ、他
ブルックナーに絞って書くと、悪くはないが、物足りなさも残す。管楽器が比較的前に出てきているのは悪くないし、演奏もうまいのだが、弦楽器が渋すぎ、ブルックナーらしい浄福感・恍惚感が出ていないところに欠点がある。この欠点は、この曲の要であるアダージョで大きな問題となる。他の楽章では、そこまでの違和感はないので、残念だ。
モーツァルト: ピアノ協奏曲第24番、ベートーヴェン: ピアノ協奏曲第4番
クララ・ハスキル、他
ブラームス&メンデルスゾーン: ヴァイオリン協奏曲集
アイザック・スターン、他
スターンのブラームスは星3つ。シェリングのメンデルスゾーンに星5つ。後者は甘さはないけれども、表情がうまく、情熱的である。スターンは、立派に、切れ味もよく弾き切っているとは思うものの、もう少し味わい深さがないと、名演の多い中では存在価値が乏しい。あるいは、録音のせいかもしれない。
ヴォーン・ウィリアムズ: 交響曲第5番、第6番
エイドリアン・ボールト、他
どちらも名演です。曲の好みで言えば、郷愁の漂う第5ですが、第二次世界大戦で作曲家が心に受けた衝撃と悲しみを描いているかのような第6も優れています。演奏・録音も万全です。
モーツァルト: 交響曲第35番《ハフナー》、ブラームス: ヴァイオリンとチェロのための二重協奏曲、シューベルト: 交響曲第8番《未完成》
これは絶好調のベームが聴ける一枚。この時期の彼のライヴでは、ときに焦り過ぎと感じさせられることもあるが、ここにはそのようなことは見られない。気迫と響きの充実感には文句なしである。ブラームスでは、さらに味わい深い独奏陣が加わって楽しめる。この作品のCDの中では上位に位置づけられるのではないか。
シューマン: 「マンフレッド」序曲、交響曲第4番、ベートーヴェン: 交響曲第3番「英雄」
ヴィルヘルム・フルトヴェングラー、他
シューマンはよいと思いますが、ベートーヴェンはシューマンに比べて音が悪い(圭角がとれている)ように感じました。結果として、感銘度は低くなりました。同じ日のライヴなのに、理解に苦しみます。
ワルシャワのアーベントロート
「エロイカ」は初めの内は直截な進め方なのだが、途中から大きく動き出す。ここからの動きにうまくついて行ければ、とても楽しめる。モーツァルトはメヌエットが奇妙に速い他は安定したテンポ。ところどころで個性的な表情が聴かれる。ベートーヴェンの第7は、主題と、主題間を結ぶ経過部分とのテンポの差が大きい(主題は遅め、経過部分はかなり速い)。フィナーレに至っては、速めの主題のテンポから、さらに速いテンポに一気に飛び込んでしまう。なんと大胆な。
Chopin: Piano Concerto No.2; Ravel: Piano Concerto for the Left Hand
エレン・バロン、他
特にラヴェルに関しては、この音ではつらい。演奏自体は悪くないように思うのだが。ショパンは第一楽章の管弦楽のみの提示部に伝統的なカットを施した版での演奏。第二楽章が味わい深いが、両端楽章は、あまりスケールの大きさが感じられない。
ドヴォルザーク:交響曲第8番、交響詩≪真昼の魔女≫<生産限定盤>
小澤征爾、他
高評価を得ているCDだが、それほどとは思えなかった。よい表情がついているところもあるのだけれども、散発的で説得力が弱い。ワルターやアバド、セル(旧盤)やケルテスを押しのけるほどのものではない。また、私の装置では少しうるさく聴こえる場面もある。(余談ながら、ティンパニの音は、とてもよい。)
1963年ザルツブルク・リサイタル
ナタン・ミルシテイン、他
ミルシテインならではのキビキビとした進め方で、技巧の冴えも見事という他ない。それでいて、微妙な表情の変化が織り込まれているところが嬉しい。クリーンのピアノも、さすがの出来である。
ブルックナー 交響曲 第9番
星四つと五つの間というのが正直なところ。尾高は、かつては、ところどころに勝負所を設けて、深い感銘を与える演奏をしていたが、近年は、より自然体になった(やや寂しくもある)。これは、共感に富んだ演奏で、迫力よりは味を楽しむものになっている。
58年のゴールドベルク変奏曲
グレン・グールド
音の状態がよく、楽しめる。ライヴならではと言えるのが、特に終盤での高揚感である。グールドにも、こういう面があったのだと思わされた。
ドヴォルザーク:交響曲第9番≪新世界より≫、序曲≪自然の中で≫<生産限定盤>
個人的には、同じ組み合わせによる第8よりも、こちらの方が上ではないかと思う。音色も表現も違和感なく受け入れられる。この曲のCDとして最初に入手するのもよいだろう。ただ、名盤が目白押しな状態で、その中から抜け出せるほどのものではない。
スメターチェクの芸術 第3集
ヴァーツラフ・スメターチェク、他
圭角のある響き、テンポの変化の巧みさ、歌の豊かさ、そしてヴァイオリン独奏のうまさによって、「シェエラザード」のCDの中でも上位に置かれてよい演奏です。
ブラームス: クラリネット・ソナタ集、クラリネット三重奏曲<タワーレコード限定>
カール・ライスター、他
トリオの方が特に名演と言ってよいように思います。有名な五重奏曲の陰に隠れがちな作品ではありますが、こちらの方が曲に生命力と肯定感があって、個人的には好きです。ソナタも好演です。時にピアノが、ややうるさく聴こえる場面があります。
Sibelius:String Quartet Op.56 "Voces Intimae"/Delius:String Quartet/Sonata in one movement for Cello and Piano:Fitzwilliam String Quartet/George Isaac(vc)/Martin Jones(p)
フィッツウィリアム弦楽四重奏団
シベリウスについては、作曲者の孤高の境地や内面が厳しさを伴って描き出された好演だと言えるでしょう。ディーリアスは、第3楽章の「去りゆく燕」を除いて初めて聴きましたが、悪くないと思います。チェロ・ソナタも短い曲ではありますが、楽しめます。
シューマン&ブルックナー
どちらも名演です。ブルックナーは細部にまで神経の行き届いた演奏で、豪快さには欠けるものの、アダージョの美しさは特筆に値します。シューマンは緻密であり、かつ迫力も備えた素晴らしい出来栄えです。フィナーレのコーダのさらに最後のところだけ、ちょっとテンポが速すぎたような気はしますが、これだけの演奏は、なかなかディスクでも実演でも聴けないでしょう。
Bruckner: Symphony No.6
ヘルベルト・ケーゲル、他
録音が、やや大味です。演奏は、後半はばずまずですが、この曲の要である前半は、あまり面白くありません。
ブルックナー:交響曲第3番[1877年第2稿・ノーヴァク版]
クリスティアン・ティーレマン、他
ティーレマンのブルックナーには、ミュンヘン・フィルとの来日公演(8番)で違和感を持ち、敬遠していましたが、これは悪くない出来だと思います。ただ、弱音を強調し過ぎなこと、流れの悪くなる場面があるのがマイナスです。細部の強調も新鮮なところもあれば、意味不明に感じられるところもあり、説得力は今一つというところでしょうか。第一楽章は、とてもよいと思います。
ベートーヴェン: ピアノ協奏曲第5番「皇帝」、シューマン: ピアノ協奏曲 Op.64
マイラ・ヘス、他
ヘスのピアノはスケールも大きく、聴き応えがある。それでいて「皇帝」の第2楽章での主題の弾き方はエレガントそのもの。ベイヌムの協演も推進力のある、充実したもの。シューマンは第1楽章でのアンダンテの部分の陶酔感が素晴らしい。これほどロマンティックな演奏は、他にあっただろうか。リパッティの死の年のライヴと並んで大切にしたい。
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