メンバーズレビュー一覧

キックさんが書いたメンバーズレビュー

(全199件)

京都坪庭拝見 SUIKO BOOKS 145

水野克比古

3:
☆☆☆☆☆
★★★★★

有名社寺、町家、旅館等の92箇所の坪庭を紹介。様々な場所で坪庭が鑑賞できるのが「京都」。有名社寺の当然のことながら坪庭は当然のことながら素晴らしいですが、町家のコンパクトな坪庭もオツなものです。中々京都には行けませんが、本書で京都の坪庭を鑑賞します。

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定年後の中高年は働かないというのは、どこの会社でも共通の悩み。ここに一定の解を出そうというのが本書の主目的。つまり、必要収入が減る「定年後」のキーワードは、短い労働時間で少額の収入を得る「小さな仕事」。この積み重ねにより、ストレスの少ない持続性のある働き方ができ、定年後の幸せな生活が手に入る。ひいては今後の日本社会の安定にも繋がるという主張。確かに「出世」という目標から解放される一方、低報酬となるのが「定年後」。ある意味、最後の人生の曲がり角。何を持って働くのかを考える必要があると思いました。

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朝ごはん、昼ごはん、夜ごはん、人気ラーメン店、甘味処、喫茶店等の京都のおいしい店を網羅。京都旅行必携のグルメ本です。充実のラインアップに、逆に迷ってしまうかも。ただ、昨今の情勢で値上げされていて、例えば一保堂の喫茶嘉木は昔は500円以下で楽しめましたが1,000円超えですから、庶民には敷居が高くなりました。また、閉店時間も早くなっていて、本家尾張屋本店は15時閉店です。かつては「京都の台所」と称されていた錦市場が「テイクアウト天国」と紹介。外国人観光客中心のあの混雑具合を見ると、もう行くことはないかなあ。

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「世界の様々な民族が、それぞれの異なる歴史の経路をたどったのはなぜか」という人類史上最大の謎に挑んだ壮大な人類史。上巻の肝は、食糧生産や家畜の起源とその伝播の考察です。中でもポリネシアの島々の異なる環境下での社会的差異や、ユーラシア大陸とアメリカ•アフリカ両大陸の広がりが東西か南北かという地理的考察(食糧生産や家畜の伝播の速さの違い)が興味深かったです。さらに家畜がもたらした病原菌も加わり、スペイン人がインカ帝国を征服できたのだという仮説はとても説得力がありました。下巻ではどんな考察があるのか楽しみです。

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ネット怪談の民俗学

廣田龍平

5:
☆☆☆☆☆
★★★★★

ネット怪談の始まりから変遷を辿り、民俗学的な分析を試みた内容。きさらぎ駅、スレンダーマン、八尺様、コトリバコ、くねくね、杉沢村、犬鳴村、異世界もの、NNN臨時放送、バックルーム等々。私は怪談好きですが、これらのネット怪談は全く知りませんでした。不特定多数による怪談の共同構築、実況、映像とのコラボといったネット独特の進化を遂げる怪談。「恐怖」に加え、「不穏さ」を中核とし、今や恐怖に物語は必要ないという段階にまで到達。これが今後はどのように変化していくのでしょうか?

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安定の面白さ。新キャラの「古本屋」登場。何とモモンガとともだちに。うさぎの家には辿り着けずに謎のまま。残念です。お気に入りの話は「山姥」と「あくむ」。山姥のおもてなしは何が目的だったのでしょうか?あくむは、ちいかわとうさぎのコンビネーションで見事に退治。危険が一杯のちいかわワールドでした。それにしても、ちいかわは「草むしり検定5級」にいつ合格するのでしょうか。

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近所のアイドル猫の「クロちゃん」を理解したく購入。内容は、第1章では、ネコの表情や仕草の意味、第2章ではネコ同士のコミュニケーション、第3章ではネコと人とのコミュニケーション、第4章ではネコの行動の意味、第5章ではネコの体について解説。全部読めば、ネコの様々なことが分かる構成でした。例えば、短く小さな声の「ニャ」は人への挨拶、スリスリされれば仲間として認められたサイン、尻尾をブンブン振るときは「イライラ」しているサイン等々、とても参考になりました。

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カラー版 東京の森を歩く

福嶋司

4:
☆☆☆☆☆
★★★★★

積読本消化。「東京の森」を、その歴史から紐解き、様々な植物の植生を歩いて紹介する異色の東京本で、予想以上に面白かったです。具体的には、浜離宮、清澄庭園、東京港野鳥公園、水元公園、皇居、飛鳥山公園、小石川植物園、六義園、新宿御苑、明治神宮、林試の森公園、石神井公園、井の頭公園、神代植物公園、小金井公園、大国魂神社、高尾山、御岳山等々。個人的に注目したのは、現在東京湾で造成中の「海の森」。東京ドームの19倍の規模で、明治神宮の森の造営に並ぶ遺産的事業とのこと。開園したら是非行きたいと思いました。

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覚え違いのタイトルを90事例紹介。夏目漱石の「僕ちゃん」やカフカの「ヘンタイ」は序の口。「なんかが強く吹きすぎてる本」「昔からあるハムスターみたいな本」「男の子の名前で『なんとかのカバン』」って一体・・・よくぞ司書の方は目当ての本に行きつきました。イラストも楽しく、さらに一言解説で読みたくなった本が多数。面白くて、案外役に立ちますので、お薦めします。ただ、私も「だいぶつじろう」と思っていました。人のことは笑えません。

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紫式部と藤原道長

倉本一宏

5:
☆☆☆☆☆
★★★★★

大河ドラマの時代考証者による本だけに、大河の予習・復習にピッタリ。ドラマの演出と思っていたシーンが史実だったりと大河の副読本として使えます。それにしても、道長と紫式部の物語がこんなにも面白いとは、NHKの大河ドラマも、まだ捨てたものではないと思ったのでした。

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梅原猛の授業仏教 朝日文庫 う 10-2

梅原猛

5:
☆☆☆☆☆
★★★★★

洛南中学・高校の学生相手に実施された12回に亘る授業を書籍化。宗教の必要性から始まり、キリスト教・イスラム教・ヒンズー教等を簡単解説、釈迦・聖徳太子・行基・最澄・空海・源信・法然・親鸞・一遍・日蓮・栄西・道元等の事績等を概説。「宗教がなくなったら、道徳がなくなり、人間は何をしても良くなる」という帰結が印象深く、多様性が叫ばれる今こそ、「自利利他の精神」が世界に必要という主張は説得力がありました。やや左巻きで自慢話や自身の交友関係をひけらかす箇所は目を瞑って、仏教超入門書としてお勧めします。

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介護ヘルパーごたごた日記

佐東しお

5:
☆☆☆☆☆
★★★★★

お仕事エッセイシリーズ、介護ヘルパー編。介護ヘルパーの現場をリポート。ケアサービス利用者たちとの出会いから別れ(施設入所や死去)までを描くとともに、介護ヘルパーのケアの限界や業界の抱える問題等まで言及。「シモ」の世話や言葉の暴力等々、数々の辛い仕事を「残りの人生で、今日が一番若い日」と自らを鼓舞し奮闘する姿には感銘を受けました。私が読んだ「お仕事シリーズ」の中で傑作だと思います。

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意外と知らない鳥の生活

piro piro piccolo

5:
☆☆☆☆☆
★★★★★

身近にいる野鳥(スズメ、キジバト、ドバト、ハシブトガラス、ムクドリ、ハクセキレイ、シジュウカラ、ヒヨドリ、メジロ、ウグイス、ツバメ、ツグミ、ジィウビタキ、カワセミ、アオサギ、ゴイサギ、カルガモ、カワウ等)の特徴的な生態に絞って、大きなイラストで簡単解説した野鳥入門書で、散歩が楽しくなること必至です。わが家の近くにもキジバトが飛来して、あの特徴的な鳴き声で縄張りを主張しています。ムクドリやメジロもたまに見かけます。生態を知って観察すると、もっと面白いと思いますので、本書を大いに参考にしたいと思いました。

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子供の頃、夢中で遊んだ遊園地。懐かしさ満点の内容でした。個人的には、ビックリハウス、ゴーカート、コーヒーカップ、お化け屋敷、ウェーブスウィンガー、ミラーハウス、大観覧車、ジェットコースター、等々が思い出深い遊具です。特に、ミラーハウスで鏡に激突したのは忘れられません。また本書には掲載されていませんが、前方の飛行機を撃ち落とす遊具は面白かったけど、何という名前だったか覚えていません。

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遂に日本に移住したシンシアリーさん。本書は、移住後の一年間を通して感じた様々なことを、韓国社会との相違点等を絡めて綴った内容。シンシアリーさんは、なぜ反日教育に染まらずに、客観的に韓国社会を見つめることができるのかと、私はずっと不思議に思っていましたが、自分の見聞きしたことを大切にする「母の教え」ということが分かりました。親の教育はとても大切ですね。また、退路を絶って、日本で生活を始めたシンシアリーさんの覚悟も感じられ、私はシンシアリーさんの著作を読むことで応援しようと思いました。

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むかし僕が死んだ家 講談社文庫

東野圭吾

4:
☆☆☆☆☆
★★★★★

かつての恋人の亡父が隠し持っていた鍵と簡単な地図をもとに、この地に何があるのかを確かめるために現地に向かう二人。そこで二人が辿り着く衝撃の過去の真実とは・・というお話。不穏な空気の中、奇妙な建物の中で話は展開していきます。実は、この話、何と若き日の「湯川学」の物語。さらにこの話が、「ガリレオシリーズ10」の「透明の螺旋」に繋がるという、まさに「ガリレオシリーズ0」と言うべき本です。「透明の螺旋」を読んだら、本書を読むことを勧めます。

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月刊 京都 2024年 10月号 [雑誌]

3:
☆☆☆☆☆
★★★★★

「朝ごはんと昼ごはん」のお店を23軒紹介。朝や昼にちょい飲みができる店を含め、月刊京都ならではのチョイス。京都旅行にとても参考になる企画でした。「京都のふしぎの玉手箱(第64回)」は京都とキリスト教。キリスト教関連の歴史的遺構も結構あるんですね。「寺社探訪」は「東福寺光明院」。皆さんは東福寺で満足するのか、徒歩数分なのに観光客はまばらという奇跡の紅葉スポットです。「歩いて発見」は相国寺から百万遍知恩寺。手づくり市はお勧め。「京都ニュース(7分)」では、地下鉄駅でのWi-Fiサービス終了の記事に注目。

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英単語の語源図鑑

清水建二、他

3:
☆☆☆☆☆
★★★★★

中学・高校レベルの英単語を一気におさらいということで購入。集中して読むというよりも、暇な時に捲った箇所を眺めるという感じ。学生の時も塾の先生に「共通の語源で覚えると良い」と教わった記憶があります。結局、しのごの言わずに丸覚えでしたね。「語彙を芋づる式に増やせる」「記憶に強く刻まれる」と帯にも書かれていますが、私には合わないようです。でも、ボーッと見る分には楽しいです。

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最近の不祥事が、全て昭和的システムに起因すると主張する内容。具体的には、デジタル化の遅れ、大会社(IHI、トヨタ、日産、東京五輪関連企業等)の不祥事、政治とカネ、政治家のセクハラ・パワハラ、錆びついた安全神話、芸能界(ジャニーズ、宝塚、日大、相撲界)の闇等々。面白い視点とは思いますが、全てを昭和で括るのは、明らかに思考停止です。各々の事象をもっと深掘りしないと、真の問題点は明らかになりません。途中から流し読みしました。挙句、これらの解決策が「選択的夫婦別姓」と「AI」とは、絶句しました。衝動買い失敗です。

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猫ピッチャー 17

そにしけんじ

5:
☆☆☆☆☆
★★★★★

とにかく安定の可愛さと面白さ。中でも、ミーちゃんごと「グラブトス」してのファインプレーの話や、仲間たちはミーちゃんの「ニャー」が理解できる話が特にお気に入りです。

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透明な螺旋

東野圭吾

5:
☆☆☆☆☆
★★★★★

しばらく読まないと、無性に読みたくなるのが東野作品ですが、今回も堪能させてもらいました。本書は、ある男の溺死死体からガリレオの秘密までが見事に繋がるストーリー。さらに本作は「むかし僕が死んだ家」と繋がるとのこと。まだ読んでいない作品ですので、近々の内に必ず読みます。

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稲川怪談 昭和・平成・令和 長編集

稲川淳二

5:
☆☆☆☆☆
★★★★★

「稲川怪談」2冊目を読了。1冊目同様に怖い記憶、恐い噂、怖い場所、怖い噺の4章で構成。安定の面白さ(怖さ)で満足です。

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稲川怪談 昭和・平成傑作選

稲川淳二

5:
☆☆☆☆☆
★★★★★

怪談で涼をとるのも夏の楽しみの一つ。ということで、初めて「稲川怪談」の世界を体験しました。怖い記憶、恐い噂、怖い場所、怖い噺の4章で構成。独特の語り口調で、実話怪談風に仕立て上げられていて、飽きさせず面白く読了。ここまでくると稲川さんは、一つの芸として確立していると実感しました。

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お梅は呪いたい 祥伝社文庫 ふ 12-2

藤崎翔

4:
☆☆☆☆☆
★★★★★

戦国時代に一大名を滅亡に追い込むなど能力を如何なく発揮した呪いの人形「お梅」。500年の封印が解かれ現代に蘇った「お梅」は、出会う人間に悉く呪いをかけていきます。ところが、どうも勝手が違うようで、意に反してハッピーになっていく人間たち。地団駄を踏む「お梅」の今後は如何に。ハートフルコメディで、ホッと一息つける秀作でした。続編が出たら、また読んでみようかな。

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オカルト視点で明治以降の「聖徳太子」にかかる偽史を追った内容。とても興味深く、面白かったです。具体的には、キリスト教に染まったという珍説から始まり、司馬遼太郎の小説をクッションに、怨霊説、怨霊説の延長線上にあるオカルト太子に至ります。論者各々の成功のために消費される実像とはかけ離れた「聖徳太子」。中でも梅原猛の「怨霊説」という珍妙な奇説は、世間を賑わし、毎日出版文化賞を受賞。学会も看過できなくなるほどの影響力を及ぼしました。そして今なお影響力を残しており、ある意味「呪われた書」と言えるかもしれません。

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残穢

小野不由美

5:
☆☆☆☆☆
★★★★★

ファンから届いた一通の手紙。「自分の住むマンションの部屋に何かいるような気がする」ここから始まる恐怖譚。この正体に迫るべく調査を開始。すると怪異はマンションの一室に止まらず、拡がっていき、遂には福岡の最恐怪談に繋がっていくという壮大な展開。また平山夢明氏や福澤徹三氏という実在の著名人も登場し、謎の解明に大きな役割を果たします。実話怪談としか思えない巧みなストーリー展開に一気読み。怪談好きの方には、絶対お勧めの一冊です。間違いありません。

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再読。「うわさ」について、古典を紐解き、ネット社会到来による変容等を考察し、その正体に迫るとともに、付き合い方にも言及した本。「うわさ」とは、「パーソナルな関係性を通じて広まる情報」。結果的に事実でないものが「うわさ」で、事実であるものは「口コミ情報」となる。情報を鵜呑みにしないで、自分なりにチェックできるかが肝要。なお、うわさの一類型として、「都市伝説」に第3章と第4章の2章を割き、ネタとして楽しむために語られ、現代のフォークロアとしての地位が築き上げられた過程等に納得。とても面白かったです。

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鬼談百景

小野不由美

5:
☆☆☆☆☆
★★★★★

解説によると「読者からの体験談をもとに作りあげた実話怪談」とのこと。99話の怪談で構成。1話が2〜3頁なので、サクサク読めます。不可思議な出来事の連続にあっという間に読了しました。夏の夜は怪談を体験できる本です。中でも、人間の言葉(気持ち)が分かるという「黒猫」の話が印象に残りました。怪談というよりも、猫あるあるです。確かに猫好きか否かを、猫は直ぐに見分けますよね。

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古事記、江戸、明治、そして現代の名作怪談41話を、あらすじと解説で構成。解説では来歴や歴史的位置付けを深掘り。コインロッカーベイビー、口裂け女、牛の首、タクシー怪談、隙間に女、便所の怪等々の有名な怪談を網羅。とにかく充実の内容でした。中でも「雪女」がラフカディオハーンの創作とは驚きでした。また稲川淳二の「生き人形」は相当怖い話で、私は全く知りませんでした。やっぱり夏の夜は怪談ですね。

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ニッポンを解剖する!東京図鑑

4:
☆☆☆☆☆
★★★★★

東京名所を豊富な絵図や簡潔な説明文で紹介。1カ所2~4ページですが、必要最低限の知識は得ることができ、分かりやすいので、お勧めの東京本。第1章は18の名所(東京駅・皇居・国会議事堂・明治神宮・東大キャンパス・隅田川・高尾山等)、第2章は美術館・博物館・水族館、第3章は伝統芸能(歌舞伎・相撲・寄席)、第4章は街(丸の内・六本木・日本橋・浅草・渋谷等)、第5章は行事(三社祭・酉の市・花火大会等)の紹介です。個人的には第2章の岡本太郎記念館、江戸東京博物館、国立科学博物館に行きたいと思いました。

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閉園となった施設を含め、関東を中心に様々な遊園地を紹介。昭和の記憶が刻まれた写真の数々に、幼少期を思い出すこと必至の内容でした。昔はデパートの屋上も楽しかったなあ。ただ、取り上げられた施設の半分程度は関東圏の施設で、勝手に「懐かしのレトロ遊園地遊具の紹介本」と想像して買った私としては、大半を読み飛ばす結果に。完全に失敗でした。とにかく関東の方向け限定本と言えますので、注意が必要です。

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くらのかみ

小野不由美

4:
☆☆☆☆☆
★★★★★

児童書と思って侮ってはいけません。大人も楽しめる怪談ミステリーに仕上がっていて、気が抜けません。内容は「4人ゲーム」から始まり、座敷童子?の正体は謎のまま進行。おどろおどろしい家の伝承に相続が絡み合い、遂に事件が発生。子供たちがその解明に挑むというもの。かなり本格的な推理ミステリーでした。舞台が古民家というのも良く、懐かしさ満点。子供の頃、お盆に母の里帰りで訪れた佐賀の実家を思い出しました。

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再開発の名の下に、味のある昭和のビルが続々と消えています。その中で、まだ生き残っているビルを紹介。具体的には、日本橋高島屋、柳家ビルディング、東京交通会館、新橋駅前ビル、ニュー新橋ビル、新東京ビル、国際ビル、国立国会図書館、ホテルニューオータニ、パレスサイドビル、紀伊國屋ビル、目黒区総合庁舎、ロサ会館、中野ブロードウェイ等々の15のビルです。新橋駅前ビルは「アンチヒーロー」の舞台にもなっていました。中には再開発予定のビルもありますので、無くなる前に訪れてみたいと思います。

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世界の宗教に何が起きているかを俯瞰し、宗教と資本主義との関係を考察、日本と世界の宗教の行方を予想。世界の宗教情勢については「ヨーロッパを中心とした先進国は、キリスト教の教会離れが進行し、無宗教に向かっている。また移民が増えた結果、ヨーロッパのイスラム化が進む一方、経済発展が続いている国々では、プロテスタントの福音派を中心に新しい宗教勢力が拡大。日本は人口減少社会に突入したことで、宗教が力を失っている」とのこと。世界全体で無宗教化が進行しており、その元凶は資本主義だという結論は、突飛な印象でした。

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赤虫村の怪談

大島清昭

4:
☆☆☆☆☆
★★★★★

赤虫村に伝わる4つの怪談(無有、位高坊主、九頭火、苦取、蓮太)を取材する怪談作家が、遭遇する連続密室殺人事件。各々の殺人があたかも怪談に登場する妖怪の仕業のごとき様相を呈し、警察の事件捜査は行き詰まり、怪談作家も自ずと事件に巻き込まれるという展開。怪談レポートと捜査が同時並行に進行する内容で、両ジャンルとも大好きな私としては大満足の内容でした。私は松山市に4年住んだことがあり、こうした怪談は一切無かったので、なぜ愛媛が舞台に選ばれたのかは腑に落ちませんでしたが、まあ著者の四国に対するイメージでしょうか?

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食習慣、脳の若さを保つ心構え、アンチエイジング、運動・睡眠、老けて見えるしぐさやふるまい等々、「老けない人」の意識や行動を集めた内容。どこかで聞いた内容が殆どですが、老け込まないように気をつけるポイントを網羅的に確認できるお得な本でした。個人的には、「あれ」「それ」や「もう歳だから」を禁句としたり、物事を前向きに捉えるメンタルを大事にしたいと思いました。

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来週の遺言セミナーの準備の一環で再読。本書は分かりやすいと定評のある本で、「相続入門書」としてお薦めします。自分の相続で、子どもたちが争うことはないと思っている方が未だに多いです。人生の中で、何の努力することなく、財産を手に入れる唯一の機会と言えるのが相続。誰もが、財産を少しでも多く貰いたいと考えるもの。相続争いは財産の多寡に関係なく起きています。私は相続は性悪説で考えるべきと思っています。相続争いを避けるためにも、知力・体力があるうちに遺言書を作成することを勧めます。

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消費者金融ずるずる日記

加原井末路

4:
☆☆☆☆☆
★★★★★

回収を主な業務として携わってきた消費者金融マンによる自身の回想録。消費者金融の栄枯盛衰を赤裸々に語っています。あまり良いイメージのない消費者金融業界ですが、銀行では融資を受けられない方にとっての最後の砦ということが理解できました。また、この業界も昨今のコンプラでがんじがらめとなり、姿を変えていることに純粋に驚きました。安易な借金に対する戒めや「負のスパイラル」には抗うことができない人生模様に、他人事ではないと実感。中でも奨学金の返済に端を発した若い債務者のあまりにも残酷な結末には言葉もありませんでした。

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「笑っていいとも!」とその時代

太田省一

5:
☆☆☆☆☆
★★★★★

「笑っていいとも!」を軸に、昭和・平成・令和のバラエティー番組の変遷を解説。深い考察に感心するとともに、その間、お笑い界の中心として君臨してきた「タモリ」の存在感を再認識しました。また「タモリ」がイグアナ芸でテレビに登場してきた時から、まさに同時代で体感できた一人として幸運だったなぁと痛感。とは言っても、「笑っていいとも!」は昼間という時間帯もあり、日曜日の増刊号をたまに見るくらいで、ほとんど見たことがないんですよね。一方で、最近のバラエティはどれも面白くなく、今後は一体どうなるのでしょうか。

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影踏亭の怪談 創元推理文庫 Mお 17-1

大島清昭

5:
☆☆☆☆☆
★★★★★

密室殺人のトリックを暴く「本格ミステリ」と超常現象が災厄を招く「ホラー」が融合した、四話の短編で構成された作品。四編の短編(温泉旅館、トンネル、坂道、ファフロッキーズ)は、実話怪談の体裁を取った怪談としても秀作ですが、さらに最終話で全話が融合するといった、ある意味壮大な構成で、期待以上に面白く、私は大満足です。呻本叫子シリーズは第二作まで出ているようですが、第三作も期待します。

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「枕草子」超入門。約300編の章段の中から、小迎氏が特に共感した部分を選りすぐり、マンガ化したもの。「枕草子」と言えば「春はあけぼのだー」と思っている方(私もそうでした)には衝撃の内容、衝撃の面白さ。1000年前も今も人間関係の機微は変わらないということを教えてくれます。例えば、「まだ先と思うモノほど怠けがちになる」なんて、日常茶飯事。近くて遠いものとして「兄弟や親戚」ということも、歳を取ると身に染みます。続編の「紫式部日記」と合わせて読むと二人のキャラの違いが鮮明に分かって、面白さ倍増します。

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「紫式部日記」は個人的な日記ではなく、メインは彰子出産等の公的記録。そして、所々に自身の中宮女房としての私的な思いが記され、その中に清少納言の批判も書かれているとのこと。本書ではそんな日記から、紫式部の人となりが分かるエピソードを中心に紹介。面白おかしく、しかも大半は漫画なので、退屈することなく、あっという間に読了。「人間紫式部」を知る超入門書ですので、「原文で読むのは敬遠する(私もですが)」という方にはお勧めします。紫式部のネガティブ思考は、案外日本人に多いタイプではないかと思ったのでした。

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ドキュメント

湊かなえ

3:
☆☆☆☆☆
★★★★★

前作「ブロードキャスト」がとても良い作品だったので即買い。本作では、ドローンという飛道具を得た放送部が「Jコン」に向け、着々と準備を進めていく中、とんでもない事件に巻き込まれ、思わぬ展開に最悪の結末。果たして圭祐は放送部を続けるのか、というストーリー。不毛な高校3年間を過ごした私には、本作も輝くばかりの青春ストーリーでした。続編も用意されているようで楽しみです。一方で、本作は波乱に富んだ筋立ての割に、前作ほどには話に埋没する読書体験はできませんでした。どこに原因があるのか、また再読して考えてみます。

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日本の10大カルト

島田裕巳

3:
☆☆☆☆☆
★★★★★

①指導者による聖典解釈への絶対的コミットメント、②指導者は間違わないという信仰、③先行する啓示と矛盾する啓示への信仰、④終末を生きているという信仰、⑤「私たち、彼ら」という心性、⑥集団の命令に従わせる圧力というカルト基準はあるも、カルトと宗教の線引きは容易ではない。例えば3大宗教はいずれもカルトとして始まり、時を経て世間との妥協の中でカルト性は弱まったとのこと。本書では、旧統一教会やオウム真理教をはじめ10のカルトをコンパクトに解説。特に自民党と旧統一教会の関係性がよく分かりました。

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俺ではない炎上

浅倉秋成

5:
☆☆☆☆☆
★★★★★

出だしから予測不能の逃亡劇。世代間、夫婦間、親子間、部下・上司間の様々な葛藤と認識相違、行き違いを見事に取り込みんだ、怒涛の展開に一気読み。それにしても巧妙な叙述トリックには、最後の最後まで、すっかり騙されました。面白かったです。

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名所・自然・食・文化等の「東京いろいろ」を365項目にわたってカラー写真と解説文で紹介。私は写真と表題をざっと通して見て、自分の関心のある項目の解説文を参照。休日の散策に活用して楽しんでいます。東京での生活が20年くらいになりますが、まだまだ興味深いスポットが沢山あることが分かりました。例えば、メジャー処では等々力渓谷にまだ行っていません。目黒のコーヒーテーマパークやトキワ荘漫画ミュージアムや岡本太郎記念館にも行ってみたいですね。洗足池駅近くの低いガードレール下も面白そう。休日の楽しみは尽きません。

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すみせごの贄 (7)

澤村伊智

5:
☆☆☆☆☆
★★★★★

6編の怪異譚。不気味なエンディングの表題作。「たなわれしょうき」は民俗学的なアプローチの作品で、続きがありそうな余韻。嘘つきだが悪い子ではない珠美のお話の「戸栗魅姫の仕事」や子育幽霊飴のパロディの「火曜夕方の客」の両編は切ない話。「くろがねのわざ」は想定外の技にびっくり。「とこよだけ」では、自殺名所と言われる死に魅入られる場所は、こんな場所なのかもしれないと思わせる話でした。とにかく、全てが秀作揃いで大満足です。

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平安ガールフレンズ

酒井順子

5:
☆☆☆☆☆
★★★★★

大河参考本3冊目。清少納言、紫式部、藤原道綱母、菅原孝標女、和泉式部といった平安女流文学の旗手たちについて、その生い立ちから人となりまでを、残された文学作品を通して読み解く文学エッセイです。彼女たちに対して、友達感覚で肉薄できていて、とても面白いエッセイでした。それにしても、1000年も昔に生きた彼女たちの内面にここまで迫ることができたのは、文学作品が今に至るまで遺された奇跡も去ることながら、酒井さんの力量によるものが大きく、高校時代に本書があれば、無味乾燥な文学史も面白かったのになあと思ったのでした。

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中央線怪談 竹書房怪談文庫 HO 620

吉田悠軌

4:
☆☆☆☆☆
★★★★★

夏は怪談。毎日、通勤でお世話になっている中央線ということで、衝動買いしました。本書は中央線主要駅周辺で起きる怪異譚や都市伝説を収集したものです。「首無し女」や「赤い女」など、複数の駅に跨って発生している怪異を追っていく話が、特に印象的でした。またコラムでは、将門伝説や古典怪談(お菊さんやお岩さん)を考察していて面白かったです。ところで、あの荒俣宏氏が「お化けをずっと見たいと思っているのに、まだ一度も見たことがない」と他書で発言していましたが、私も同じです。

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「山」にまつわる56の不思議な話を、4つのテーマに分けて紹介。幽霊話は第1章のみ。第2章はUFOや予知夢等、第3章は自然の不思議、第4章はヒトの不可思議な行動等。幽霊よりも怖いのは生きているヒトということでしょうか。最も印象深かったのは、遭難した遺体を見つける肉親の直感を扱った「血を引く」でした。また個人的には「自然」の不思議が面白かったです。特に、可愛がってくれた山小屋主人の死を悼むリスたちの話や台風で倒れた大木が自ら立ち上がった話や亡くなった愛犬が主人を助ける話等は感動モノです。

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