今までショパンの曲を多く録音してきた宮谷理香さんが、今回はショパンの初期作品であるうちの変奏曲を集めたCDをリリースしました。
ドイツ民謡「スイス少年」のテーマによる変奏曲 (遺作)は、序奏は真珠が粒を成して転がるような、蓮の葉の上を水玉が転がるようなピアノがとてもキレイで印象的です。序奏の部分で早くも心をつかまれました。
テクニックがあるのに、それを感じさせない自然な演奏となっていますね。
4手のための変奏曲 ニ長調(遺作)は、宮谷さんご自身による多重録音とのことです。二人のピアニストが演奏するのを聴くのも楽しいですが、この多重録音は宮谷さんが二人いるようで、まったく違和感もなく楽しい演奏となっています。
グレン・グールドもリスト編曲のベートーヴェンの交響曲第5番、グールド自身の編曲による
ワーグナーの《ニュルンベルクのマイスタージンガー》の第一幕への前奏曲で多重録音をしています。ちなみに、ヴァイオリニストのアルテュール・グリュミオーがモーツァルトのヴァイオリン・ソナタ41番K.481とブラームスのヴァイオリン・ソナタ2番Op.100をヴァイオリンパートとピアノパートを一人で演奏した多重録音があります。
余談ですが、第4変奏?はモーツァルトの2台のピアノのためのソナタ ニ長調 K.448(375a) の第3楽章に似たメロディーが聴こえてきます。
モーツァルトの歌劇「ドン・ジョバンニ」の「ラ・チ・ダレム・ラ・マノ(お手をどうぞ)」による変奏曲は、序奏と第5変奏のしっとりとした演奏に心惹かれます。終曲の最後は、大きな音量で終わりますが、音がガツッんといって割れる演奏にはなっておらず、とても好感がもてます!
変奏曲「パガニーニの思い出」 イ長調(遺作)は最後の箇所で、優しく慈しむように終わるのに心惹かれます。
華麗なる変奏曲(エロールの歌劇「リュドヴィク」の主題による) 変ロ長調 作品12は冒頭の華麗な響きが印象的です。ここでも音量は大きいのに、割れることなく、うるさくありません!雨だれの冒頭のような音色と、途中、短調の箇所がありますがショパン特有の憂いを帯びた曲調でが現れてその片鱗が伺えてステキです。
「ヘクサメロン(6つの詩)」のための変奏曲 ホ長調は、子守唄のような穏やかな演奏に惹かれます!
フルートとピアノのためのロッシーニの歌劇「シンデレラ」の主題による変奏曲