このレビューは2022年11月23日に再発された日本盤CDについてのものです。
本作は1981年10月の発売。前作から2年8か月ぶりだが、その間バリーが中心になって曲を書き、カール・リチャードソンとアルビー・ガルートンと一緒にプロデュースしたアンディ・ギブの『アフター・ダーク』とバーブラ・ストライザンドの『ギルティ』があったので、ビー・ジーズの楽曲は披露されていた。特に『ギルティ』はバーブラのアルバムでも最大ヒットであり、79年に反ディスコ運動はあったものの、70年代半ばからの好調は維持されていると思われた。本作『リビング・アイズ』が発売されるまでは。
シングル「愛はトライアングル」はビルボードで30位止まり。慌てて出した第二弾「リビング・アイズ」は、アルバムとともにトップ40にも届かなかった。なぜか?反ディスコ運動は確実にビー・ジーズを排除する動きに繋がっていたのである。ラジオ局が彼らの曲をかけない宣言をしたそうだ。この辺りの経緯は、今回新しくなった解説に詳しいので、ぜひ一読してください。
本作は、所謂ディスコ・サウンドからの決別であり、ファルセットも1曲を除いて封印している。そしてロビンのあのリード・ヴォーカルが戻ってきた。モーリスも72年以来の歌声を聴かせてくれる。私のようなフィーバー以前から聴いていたファンは大喜びだったと思う。しかし、彼らは子供時代から歌を歌うことで稼いできた根っからのプロであり、本作の結果は不本意で無念であったろう。しばらくグループとしての活動を休止することになった。
お気に入りは「パラダイス」で、彼らにはこんな歌を歌ってほしかったと思える曲である。3人で歌っていて、ハーモニーが本当に素晴らしい。ロビンのソロでは「ドント・フォール・イン・ラブ・ウィズ・ミー」が好きだ。魂の歌というべきか。「ワイルドフラワー」でのモーリスの歌は彼らしく淡泊でさわやか。バリーは大作「ビー・フー・ユー・アー」で実力を示してくれている。唯一のファルセットで歌う「ソルジャーズ」も良い。
売れなかったが、『リビング・アイズ』は間違いなくビー・ジーズらしい好アルバムだ。