このレビューは2022年11月23日に再発された日本盤CDについてのものです。
日本ではビー・ジーズ3度目の来日に合わせて1974年10月に発売された本作は、ビルボードで178位とおそらく全アルバムでも最も売れなかった作品だろう。発売時の日本盤タイトルは『幸せの1ペンス』で、第二弾シングル曲に合わせたものだった。シングル、アルバムとも来日中に発売されたが、前シングルの「ミスター・ナチュラル」同様全くヒットしなかった。
しかし、新しくなった解説には1970年代後半の快進撃の端緒になったのは本作だとある。プロデューサーはアリフ・マーディンで、前作とはガラリと雰囲気が変わり、ソウル、ロック色の濃い作風となっている。リード・ヴォーカルはバリーが担うことがより多くなり、アルバムに1曲あったモーリスの出番はなくなった。更にキーボードは73年の来日でコンダクターだったジェフ・ウエストリーが務め、モーリスはオルガンのみ。リード・ギターのアラン・ケンドールとドラムのデニス・ブライオンとでビー・ジーズバンドの骨格が出来上がった。なぜモーリスの役割が減ったのか、解説には飲酒が原因ですでにスランプが始まっていたとある。そんなこととは当時想像もしていなかった。
売れなかったからと言って内容が悪いのではなく、私など数ある彼らのアルバムでもベストスリーに入るとさえ思っている。特にバリーのハスキーなカスカスのリード・ヴォーカルは、頂点を極めたとさえ言える。世間的には下り坂の真っ最中で、ヒット曲も途絶えていたので関心を持たれなかったのだろう。それは、ひとえにシングルの選定誤りにある。思い切って、彼らが作ったロック寄りの作品でベストと言える「ダウン・ザ・ロード」か、従来のイメージなら「愛の歌声」をカットすべきだったと考える。