このレビューは2022年11月23日に再発された日本盤CDについてのものです。
このアルバム『ホリゾンタル』への思いは複雑だ。日本では『マサチューセッツ』というタイトルで、曲順、ジャケットを変えて1968年5月に発売された。英米が2月だから、半年近く遅れることが珍しくなかった当時としては早い方だろう。シングル「マサチューセッツ/ホリデイ」が大ヒットしたばかりの頃で、勢いに乗って売りたかったのだろうか?
しかし、「マサチューセッツ」をイメージしてこのアルバムを聴くと違和感を覚えるだろう。それだからか店頭にあったのは2年くらいであったと思う。私がオリジナル・アルバムを集めだして一番入手に苦労したのはこれだ(ロビンのソロやオーストラリア時代のものを除く)。74年の3度目の来日にあわせて再発された折に、やっと入手できた。ちなみにジャケは米盤に倣っていた。ややこしいのは同時に再発された『アイディア』は、英盤に倣っていた。当時の宣伝では「オリジナルで再発」としかなってなかった。英米でジャケが違うなんて知らなかった。
大きな特色は、ヴィンス・メローニーのブルースっぽいリード・ギターが目立っていることだ。「レモンは忘れない」「変化は起こった」「アーネス・オブ・ビーング・ジョージ」等、何れもロック色が強く、バリーのソウルフルなヴォーカルが印象的だ。「レモンは忘れない」ではモーリスのピアノも情熱的で耳に残る。
一方でロビンは、「そして太陽は輝く」「リアリィ・アンド・シンシアリィ」で美しく悲壮的な歌を聴かせてくれる。バリーとロビンという稀有なヴォーカリストを抱えているのは、ビー・ジーズの大きな財産だ。
最後に、解説に『「デイ・タイム・ガール」の冒頭のヴォーカルは誰なのか、バリー派とモーリス派に意見が分かれる』との記載がある。実は、メーリングリストで仲良くなったファン同士で話した時に、議論(?)になった。私は絶対モーリスだと思う。