交響曲2番、死の島、ピアノ協奏曲2番、交響的舞曲とラフマニノフを楽しむために欠かせない作品が一堂に会した秀逸なセットです。そして、これらの演奏!ペトレンコのラフマニノフ、素晴らしいですね。「ラフマニノフの音楽を聴くといつも自分の故郷の一部を聴いているような気持になります。」この言葉に偽りなし、だと思いました。聴き物の交響曲2番は数多い演奏の中では1楽章を除いては早めのテンポかと思いましたが、それぞれの楽想に合わせて絶妙な緩急を持って演奏されているので、音楽の持つ強いうねりの中にそのまま引きずり込まれるような感覚を受け、感動ひとしおでした。ピアノ協奏曲2番ではゲルシュタインとの呼吸感もぴったりと合致していて、こちらもやはり音楽の強いうねりの中に引きずり込まれるようでした。ゲルシュタインのピアノは音楽表現も自在で素晴らしく、オケも猛烈に鳴らしているのですが、そうしていながらソロを食わずに絶妙に寄り添っていて、ペトレンコが伴奏指揮者としても超一流であることがよく分かります。ラフマニノフ自身が「私の最高傑作」と語っていたという交響的舞曲。これはベルリン・フィルとしては先にラトルとの録音がありますが、こちらの方がよりこなれていて音楽の意味合いのようなものがしっかりと伝わってきました。ペトレンコの方がラトルよりも硬派な演奏といった感じですが、ラフマニノフの音楽世界観に相応しいのはこちらかも、と感じています。3楽章のノリとコーダの破壊力は圧倒的でした。そして、死の島。この作品をここまでドラマティックに聴かせてくれる演奏が、未だかつてあったでしょうか。中間部の劇的さはあまりに凄まじく、ショッキングですらありました。これは本当に名演だと思います。全曲を通じてペトレンコとベルリン・フィルは極めてテンションが高く、形容しがたい破壊力と劇的な威力抜群。この組み合わせはクラシックの演奏史にあって現在の最高峰かと改めて感じました。録音も鮮度がとても高く、各楽器の音を生々しく捉えていて(特に打楽器群!)、聴いていてとても楽しい!ライブの臨場感や緊張感もしっかり感じることが出来て、実際にコンサートを聴いているようでした(もちろん、生と録音は完全にイコールにはなりませんが)。このラフマニノフアルバムの超絶的名演奏の数々をぜひ多くの方々と共有したいと思います。