手持ちCD(HS2088)と比較すると、録音会場の残響成分が明瞭に聞こえるし、スタインウェイを特徴付けるフレームと響板間の共鳴音において不自然さが払拭されたし、フェルマータでの減衰の様子も極めてナチュラルになったことから、本ディスクのマスターは、アビーロードスタジオで、オリジナルのマルチトラックアナログマスターテープから新たに2CHにミックスダウンされたものだと思われる。とはいえネヴィル・ボイリングによる録音自体が良くないので、優秀録音へと激変したわけではないが、ミケランジェリのピアニズムがDG録音(こちらも褒められた出来ではないが)並にわかるようなったことは大いに評価したい。最後に道化抜粋は、モノラルでヒスノイズも歪も酷く、「72年セッション録音」というのは全く納得できないが、音も演奏も素晴らしい73年日本ライブで十分事が足りるのでここでは言及しない。