〔DENON原盤ORTマスタリングSACDシリーズ第14回〕 <スウィトナー没後15年企画>
名匠スウィトナーとN響による記念すべき初録音。極め付きのモーツァルト!ORTマスタリングを用いたハイレゾ化による初SACD化
数多くの名演を遺した名指揮者オトマール・スウィトナー(1922-2010)によるNHK交響楽団との初録音。最も得意とするモーツァルトの交響曲2曲をデジタル録音でとらえた名盤です。日本コロムビアが独自に開発したORTマスタリング技術によりハイレゾ化を行い、初SACD化。音場・音質が鮮やかに向上しています。CD層も今回のマスタリング音源を使用しています。
このアルバムは1979年1月に荒川区民会館で日本コロムビアにより制作された、スウィトナー&NHK交響楽団の初セッション録音でした。NHK交響楽団とは1971年の初共演後、1973年に「名誉指揮者」の称号を既に贈られており、この録音時点においても何度も共演を重ねた間柄ということもあり、スウィトナーの意図が十分反映された演奏となっています。スウィトナーはこれら2曲をETERNAレーベルに、シュターツカペレ・ドレスデンと1968年5月に収録しており、録音の優秀さと合わせ、その音楽性が世界的に高く評価されていました(2019年にタワーレコード企画盤で初SACDハイブリッド化。0301396BCで発売中)。とりわけ「プラハ」と「リンツ」は他の収録曲のなかでも傑出しているという意見も多く、現在でも名盤のひとつとして多くのリスナーに支持されています。スウィトナー自身もNHK交響楽団との初録音曲にこれらをセレクトした意図もあったのでしょう。このアルバムでも流麗で軽やかながらも歌心に満ちたスウィトナーらしい表現は以前の録音と同様であり、定評あるNHK交響楽団の弦楽器群の引き出し方も見事です。これほどまでに豊かな響きを当時の日本のオーケストラが出していたのは興味深く、その音色の素晴らしさに当時既にデジタル録音で鮮明に捉えていた日本コロムビアの制作陣が大きく寄与していたことは、日本の音楽界にとって誇るべき事実であることに間違いないでしょう。
今回のORTマスタリングは、従来以上に間接音や倍音の豊かさ、個々の録音の特筆が把握できますので、その意味でも演奏の楽しみ方がより拡がる復刻となっています。'70年代後半のデジタル録音は当時の日本コロムビアには既にいくつもの経験とノウハウがあり、元々音質自体は良く、安定感がありますので、マスタリングにおいては従来以上に鮮やかな音質を心掛けました。これらの最新復刻により、蘇った名盤の評価が一層高まることを期待します。尚、今回のDENON原盤の第14回発売(通算第16弾)は、1タイトルを発売いたします。
<ORTマスタリングとは>
CDスペックにて録音されたDENONレーベルの数々の名盤、そのデジタル変換時に失われてしまった楽音の高域成分を、低域部分の倍音を利用して予測、 再構築する技術「Overtone Reconstruction Technology(ORT)」を開発しました。この倍音再構築技術と、従来から導入されている"Master Sonic 64bit Processing"による高品質なマスタリング技術が組み合わさったものが、"ORT Mastering"です。ORTによって得られた広い周波数帯域とダイナミックレンジを最大限に活かし、原音に忠実に、名演奏、名録音の魅力をお届けします。
タワーレコード(2025/07/11)
記念すべきスウィトナーとNHK交響楽団との1979年の初録音盤が高音質化され待望の復刻。長く日本でも人気を博したスウィトナーはとりわけモーツァルトを得意としており、これより以前のETERNA音源は代表的録音のひとつとして現在でも高く評価されている。ORTマスタリングによる今回の復刻では残響が少なく細部まで明晰な当時の音色を自然に捉えた録音が元にあることにより、NHK交響楽団との初のセッション録音にこれらの曲を選んだ理由がより伝わる出来。この盤でのニュアンスを含めた誠実な演奏は素晴らしく、両者が遺したその後の成果をも伺わせる、まさに必聴かつ重要な日本録音なのでは。
intoxicate (C)北村晋
タワーレコード(vol.178(2025年10月10日発行号)掲載)