チェリビダッケの展覧会の絵というと1986年ベルリン芸術週間でのライブ録音がとかく名演といわれ、中古市場でもかなりの高値で取引されますが、EMI盤こそがチェリビダッケ美学の極地です。オケの澄み切った美しさ、特にキエフの大門が空前絶後の名演で、冒頭の崇高を極めた金管、小波のように押し寄せる弦の透明感、バスドラずらしと大音量(決して煩くない)で響き渡る鐘、そして打楽器を抜いたラストのテヌート終結の余韻、すべてが絶美の天上世界の音楽です。ベルリンライブも人見ライブもこれに比べると俗世の演奏と思えてしまいます(勿論いずれも名演ですが!)。また併録のロメジュリも、究極的美しさと凄絶なド迫力が同居した極めつけの名演。音質も優秀です。