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第182回 ─ 赤いアーバン彗星! これがホントのドリーム・ワークスだよ!

レッドゾーンの危険すぎる才人たち

連載
360°
公開
2009/07/22   18:00
ソース
『bounce』 312号(2009/7/25)
テキスト
文/出嶌孝次

 アトランタを拠点に活動するトリッキー・スチュワートも、弟子にあたるドリームの人気によって名前を見る機会が増えた……なんてことはない。トリッキーはレッドゾーン軍団を率いて長らくアーバン界の最上階に位置している超大物である。一足先に名を売りはじめた実兄レイニー・スチュワートを追って、彼が裏方デビューしたのは90年代初頭。現在も参謀的な存在を担うカーク・ハレルも付き従っていた。93年のアーロン・ホール作品をきっかけにショーン・ホールと出会って以降は、トリッキー&ショーンのコンビでダラス・オースティンやジャーメイン・デュプリに継ぐR&B職人として名を馳せていく。サム・ソルターの傑作を放つなど一定の成果を見るが、99年頃にコンビは解消。トリッキーはJT・マネーのベース・ヒット“Who Dat”を手掛け、レーベル化させたレッドゾーンからテイマーやブルー・カントレルをデビューさせつつB2Kやマイアのヒットを量産し、ペネロペ・マグネットやドリームらソングライターを加えながら軍団の勢力を拡大して現在に至っている。

 なお、昨年あたりにショーンがトリッキーと和解(?)して軍団に加わったことで、往年の名コンビも復活。ショーン単独ではアリーシャ“Let's Get Excited”を、コンビではマルーン5“This Love”のリミックスやUtada“On And On”などの制作をすでに手掛けている(ドリームも交えたトリオではGCHの“Cookie Jar”やエレクトリック・レッド“So Good”を制作)。他にもブリック&レイスやプリマJを手掛けてきた新鋭=ムーヴメントもレッドゾーン入りしているし、軍団の覇権は当分揺るがなさそうだ。


サム・ソルターの97年作『It's On Tonight』(LaFace/Arista)