2003年のデビュー作『Emilie Simon』で、いきなり〈フランス版グラミー賞〉と呼ばれるヴィクトワール賞で最優秀エレクトロ・テクノ・ミュージック・アルバムを受賞したエミリー・シモン。その受賞が象徴するように、21世紀のフレンチ・ポップ・シーンにおいては、彼女に通じるような音楽性のアーティストたちが脚光を浴びている。たとえばエミリーのライヴァルともいえる個性派のカミーユは、パリ政治学院を卒業した高学歴の持ち主。ところが専門的な音楽教育はまったく受けておらず、それだけに彼女が生み出すサウンドは独創的なアイデアに満ちたもの。最近作『Le Fil』では電子音からヒューマン・ビートボックスまでを駆使、斬新なアレンジで新たな方向性を切り拓いてみせた(まもなくニュー・アルバムも完成予定!)。また、エレクトロニカな音色をドラマティックな小道具として巧みに操るのがロベール。5作目となるニュー・アルバム『Six Pieds Sous Terre』では、ゴシックな質感はそのままに、シアトリカルなヴォーカルによりいっそうの妖しさを漂わせている。そんな〈未来のイヴ〉たちの活躍が、シーンをスリリングにアップデイトさせているのだ。
ロベールの2006年作『Six Pieds Sous Terre』(Night & Day)