
シナマンとジェイ・スカーレット(スペイセック)が監修を手掛け、ラッシュ・アワーから2007年にリリースされたコンピ『Beat Dimensions Vol. 1』を記憶している人はいるだろうか。ムーディーマンを彷彿とさせるトム・トラゴやJ・ディラの遺志を受け継ぐ日本のSUPER SMOKY SOULなど、先鋭的な次世代ビートメイカーがフックアップされた同作に、“Trace”を引っ提げて参加していたのがハドソン・モホークである。日本のビート・フリークたちには、SSSの『CYCLING EP』などにおけるプロダクションや、クラークやティム・エグザイルらと今年4月に来日を果たしたことからご存知という方も多いはずだ。
グラスゴーを拠点に活動する彼は現在23歳。12歳の時にプレステでビート制作を始め、14歳で〈DMC〉のファイナリストに選ばれたというエピソードが示すように、子供の頃からビートメイカーとしてのセンスを育んできた。フライング・ロータス“Robertaflack”のリミックスを手掛けたマイク・スロットとのユニット=へラルズ・オブ・チェンジでも2006年からリリースを始め、早くもユニークなビートを生み出している。それ以外にも、良質なトラックを量産するオディッシーのアルバムにも関与し、少しずつその名を認知させている真っ最中だ。そんな彼の能力はビート構築のみならず、ひねくれたポップセンスやエイフェックス・ツインに通じる遊び心を持ち合わせている点。そういったやや奇抜な側面に加え、彼の曲からはソウルやファンクへの傾倒ぶりや独特のサイケデリック感覚も汲み取ることができ、同時にデトロイトやLAのビートメイカー陣との共通項も見つけることができる。
そんなハドソン・モホークが契約先に選んだのはワープだ。年頭に出た限定EP『Polyfolk Dance』は瞬く間にソールド・アウトとなって、ジワジワと彼の人気が高まっていることを印象付けた。そして、渇望感も高まるなかでいよいよ登場するファースト・アルバム『Butter』は、彼の全貌をあきらかにするものに違いない。期待通りヒップホップやソウル、ファンクのエッセンスにゲーム音楽などの要素を交え、不思議なキャッチーさやユーモアもまぶされたこの作品は、ハドソンの奇才ぶりが存分に発揮された仕上がりとなっている。その充実した内容を聴く限り、ワープの未来はこの若者に託されていると言っても過言ではないだろう。
▼ハドソン・モホークの楽曲を収めたコンピを紹介。