70年代末期、パンク誕生と共にその種子は蒔かれた。より自由で、より強烈なサウンドを! そんな熱い想いが、UKを中心に新しい波〈ニューウェイヴ〉となって、ロック・シーンに打ち寄せた。過激なまでに新しさと実験を求めたこのシーンの横顔を、ふたつの流れに分けて検証。
つねに自由な表現を求めた〈発想の音楽〉、UKニューウェイヴ
60年代のロック・レジェンドたちが表舞台から消えた70年代の終わり頃。ショウビズ化したロックンロールに〈ノー・フューチャー!〉と引導を渡し、未来への扉を勢いよく蹴破ったのがパンクだった。しかし、そのパンクが序々に様式化していくなかで、さらに自由な表現を求めるアーティストたちが、パンク譲りのDIY精神を掲げて登場してくる。セックス・ピストルズのカリスマ、ジョン・ライドンは「ロックは死んだ」と吐き捨てて、より先鋭的な新グループ、PILを結成。ワイアーは「ロックでなければなんでもいい」というコンセプトのもと、弾けない楽器を持ってステージに立った。従来のロックンロールを否定し、つねに新しさと奇抜な表現を追い求めたそのムーヴメントはやがて〈ニューウェイヴ〉と呼ばれ、ワールド・ミュージックやダンス・ミュージック、現代音楽など、さまざまなジャンルを吸収しながら突然変異していく。そして、そんなジャンルのゴッタ煮のなかで互いに影響を与え合って生まれた〈何でもアリ〉な精神こそ、ニューウェイヴの本質だったのである。
USをはじめ、ドイツや日本でも大きな盛り上がりを見せたこのムーヴメント、その中心地だったのがUK。それだけに、ディスコ・サウンドやドイツの電子音楽から影響を受けたシンセ(テクノ)・ポップをはじめ、ネオアコ、ネオサイケ、ツートーン、ノイズなど、ひときわ多彩な顔を持つUKニューウェイヴを、今回はシンセ・ポップなどを中心とした〈ポップ・サイド〉と、実験的な要素を持った〈アヴァン・サイド〉の二極に分けて紹介していきたい。言ってみればこの二極は、ニューウェイヴの陽と陰。この両者を通じて流れる発想の美学、それは現在プライマル・スクリームやレディオヘッド、ラプチャーやチキン・リップスなど、数々のアーティストたちに受け継がれる〈ナウ〉へのあくなき挑戦なのだ。(bounce編集部)
▼UKニューウェイヴをさらに知るための関連作を紹介

クラブ・ミュージックの視点からUKニューウェイヴを捉えたコンピ『In The Beginning There Was Rhythm』(Soul Jazz)

ガイドブックの決定版「UK NEW WAVE」(シンコー・ミュージック)