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第23回 ─ UKニューウェイヴ

第23回 ─ UKニューウェイヴ(4)

連載
Discographic  
公開
2004/02/26   18:00
ソース
『bounce』 251号(2004/2/25)
テキスト
文/池田 謙司、石田 靖博、久保 正樹、久保田 泰平、村尾 泰郎

AVANT-Side ファンクからノイズまで、過激な実験と挑戦に明け暮れたUKニューウェイヴのコアな横顔 その1

THE POP GROUP 『Y』 ワーナー(1978)

  その後、一大音楽都市となるブリストルから登場したアヴァンギャルド・ダブ・ファンク。諸星大二郎をも彷彿させる強烈なジャケット&レアさで、一時期中古盤屋の〈壁の華〉アイテムでもあった本作は、デニス・ボーヴェルのプロデュースによるもの。反語的なグループ名も格好いい。(石田)

THROBBING GRISTLE 『D.O.A』 Mute(1978)


  パンクという毒から生まれたノイズというウィルス。〈脈打つ男根〉という立派なグループ名どおり、エロ&ヴァイオレンスな妄想を歪んだ電子サウンドに乗せてリスナーに送りつける彼らは、ニューウェイヴの異教徒的存在。コイル、クリス&コージーといった分裂組もエグかった。(村尾)

WIRE 『Chairs Missing』 Harvest(1978)

  〈ロックでなければなんでもいい〉、そう言ってのけたワイアーの面々。名言。その血の通った実験的サウンドはハードコアから音響系にまで影響力絶大。デビュー作『Pink Flag』でのパンク・ロックの畳み掛けもスゴイが、より頭を冷却したこの2作目で彼らの美学は完成。(久保)

GANG OF FOUR 『Entertainment!』 EMI(1979)

  ポスト・パンク文化革命の赤い衝撃。鋭い政治的メッセージとウィルコ・ジョンソンが狂暴化したようなアンディ・ギルの剃刀ギターがロックをズタズタに切り刻み、緊張とスピードの白いファンクネスが興奮を煽動。4人のギャング、いまなお絶対的に指名手配中。(久保)

PUBLIC IMAGE LIMITED 『Metal Box』 Virgin(1979)

  元セックス・ピストルズのジョン・ライドン率いるPILが、サウンド面で恐るべき跳躍力を見せつけた2作目。ダブやクラウト・ロックといった鋭いメスでロックを解体、墓場のように寒々しい音響空間が凄すぎ。次作『Flowers Of Romance』で、その破壊力は沸点に。(村尾)

A CERTAIN RATIO 『The Graveyard And The Ballroom』 Universal Sound/Soul Jazz(1980)

  ファクトリー創世記をダンサブルに彩ったゴス&ファンク。爆発前夜のマンチェスターに蒔かれた種子は現在も刺激的。レーベル・オーナー、トニー・ウィルソンの先見の明も光る、スタジオ&ライヴ音源で構成された貴重な音源。(久保)

YOUNG MARBLE GIANTS 『Colossal Youth』 Rough Trade(1980)

  チープなリズムボックスにオルガン/ベース/ギターが申し訳程度に載ったスカスカなバックと、アリソン・スタットンの下手なヴォーカル。極限にまで削り取ったようなミニマルなサウンドにも関わらず、唯一無比のマジックが炸裂した奇跡の一枚。(石田)

THE FLYING LIZARDS 『The Flying Lizards』 Virgin(1980)

  楽器もロクに弾けない美学生、デヴィッド・カニンガムがドラム替わりに段ボールを叩き、自宅にこもって多重録音で生み出した本作。パンクが持っていたDIYの破壊力を毒とユーモアで拡大解釈してみせたそのサウンドは、発想の美学=ニューウェイヴの真骨頂。(村尾)