AVANT-Side ファンクからノイズまで、過激な実験と挑戦に明け暮れたUKニューウェイヴのコアな横顔 その1
THE POP GROUP 『Y』 ワーナー(1978)
その後、一大音楽都市となるブリストルから登場したアヴァンギャルド・ダブ・ファンク。諸星大二郎をも彷彿させる強烈なジャケット&レアさで、一時期中古盤屋の〈壁の華〉アイテムでもあった本作は、デニス・ボーヴェルのプロデュースによるもの。反語的なグループ名も格好いい。(石田)
THROBBING GRISTLE 『D.O.A』 Mute(1978)

パンクという毒から生まれたノイズというウィルス。〈脈打つ男根〉という立派なグループ名どおり、エロ&ヴァイオレンスな妄想を歪んだ電子サウンドに乗せてリスナーに送りつける彼らは、ニューウェイヴの異教徒的存在。コイル、クリス&コージーといった分裂組もエグかった。(村尾)
WIRE 『Chairs Missing』 Harvest(1978)
〈ロックでなければなんでもいい〉、そう言ってのけたワイアーの面々。名言。その血の通った実験的サウンドはハードコアから音響系にまで影響力絶大。デビュー作『Pink Flag』でのパンク・ロックの畳み掛けもスゴイが、より頭を冷却したこの2作目で彼らの美学は完成。(久保)
GANG OF FOUR 『Entertainment!』 EMI(1979)
ポスト・パンク文化革命の赤い衝撃。鋭い政治的メッセージとウィルコ・ジョンソンが狂暴化したようなアンディ・ギルの剃刀ギターがロックをズタズタに切り刻み、緊張とスピードの白いファンクネスが興奮を煽動。4人のギャング、いまなお絶対的に指名手配中。(久保)
PUBLIC IMAGE LIMITED 『Metal Box』 Virgin(1979)
元セックス・ピストルズのジョン・ライドン率いるPILが、サウンド面で恐るべき跳躍力を見せつけた2作目。ダブやクラウト・ロックといった鋭いメスでロックを解体、墓場のように寒々しい音響空間が凄すぎ。次作『Flowers Of Romance』で、その破壊力は沸点に。(村尾)
A CERTAIN RATIO 『The Graveyard And The Ballroom』 Universal Sound/Soul Jazz(1980)
ファクトリー創世記をダンサブルに彩ったゴス&ファンク。爆発前夜のマンチェスターに蒔かれた種子は現在も刺激的。レーベル・オーナー、トニー・ウィルソンの先見の明も光る、スタジオ&ライヴ音源で構成された貴重な音源。(久保)
YOUNG MARBLE GIANTS 『Colossal Youth』 Rough Trade(1980)
チープなリズムボックスにオルガン/ベース/ギターが申し訳程度に載ったスカスカなバックと、アリソン・スタットンの下手なヴォーカル。極限にまで削り取ったようなミニマルなサウンドにも関わらず、唯一無比のマジックが炸裂した奇跡の一枚。(石田)
THE FLYING LIZARDS 『The Flying Lizards』 Virgin(1980)
楽器もロクに弾けない美学生、デヴィッド・カニンガムがドラム替わりに段ボールを叩き、自宅にこもって多重録音で生み出した本作。パンクが持っていたDIYの破壊力を毒とユーモアで拡大解釈してみせたそのサウンドは、発想の美学=ニューウェイヴの真骨頂。(村尾)