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第23回 ─ UKニューウェイヴ

第23回 ─ UKニューウェイヴ(5)

連載
Discographic  
公開
2004/02/26   18:00
ソース
『bounce』 251号(2004/2/25)
テキスト
文/池田 謙司、石田 靖博、久保 正樹、久保田 泰平、村尾 泰郎

AVANT-Side ファンクからノイズまで、過激な実験と挑戦に明け暮れたUKニューウェイヴのコアな横顔 その2

THE RAINCOATS 『The Raincoats』 DGC(1980)


  〈雨ニモマケズ……〉リリースされたレインコーツのデビュー作。スリッツよりはお行儀良し。でも良い子になんてなりたくない。ローラ・ロジックも参加した♀4人の自由なお時間。のちのライオットなギャルたちに多大な影響と勇気を与えた野蛮でかわいいDIY。(久保)

CABARET VOLTAIRE 『Voice Of America』 Mute(1980)

  シェフィールドのエレクトロニクス・ダダイスト。優れた音響工作で著名なクリス・ワトソン率いるキャバレー・ヴォルテールの2作目。ヒス・ノイズに不穏なギター、チープなリズムに宣言にも似た言葉の羅列……。白い閃光のテクノ教典。(久保)

SWELL MAPS 『In Jane From Occupied Europe』 felicity(1980)

  ニッキ・サドゥン、エピック・サウンドトラックスなど、優秀なソングライターを輩出したバースト気味ストレンジ・パンクの雄、スウェル・マップスの2作目。混沌とポップが未来を模索する怖いモノ知らずの開拓心は、その早すぎる宅録サウンドにも顕著。(久保)

THE 49 AMERICANS 『Wonder』 SAIDERA(1980)

  アメリカ生まれのイギリス人、アンドリュー・ブレナンと49人の仲間たち(でも実際は何人いたか不明)。ロクに楽器もできない仲間たちが、楽器を取っ替え引っ替えフリー・セッション。壊したオモチャを投げ合うようなハシャギぶりは、ボアダムズにも影響を与えたとか。(村尾)

THE SLITS 『Return Of The Giant Slits』 ソニー(1981)

  パンクを発火点にしながら、ダブさえも手なづけた、恐るべき〈割れ目チャン〉たち。デビュー作『Cut』はもちろん名作だけど、祝初CD化!の本作で聴ける、ドロドロのエスニック・サウンドも強烈! メンバーのアリ・アップは、ニュー・エイジ・ステッパーズとしても大暴れ。(村尾)

ESSENTIAL LOGIC 『Fanfare In The Garden:On Essential Logic Collection』 Kill Rock Stars 

  元X・レイ・スペックスにして、レッド・クレイオラにも参加していた女サックス奏者、ローラ・ロジック率いるエッセンシャル・ロジック。フットワークの軽い雑食性にしなやかな存在感。トリッキーな歌声の力も絶大。(久保)

AU PAIRS 『Sense & Sensuality』 Sa-nctuary(1982)

  ギャング・オブ・フォーにも通じるシャープなギター・カッティングと豊かなリズムが曲をリードする、バーミンガムの男女混成4人組による2作目。女性の表現方法を限りなく広げたパンクの成果を体現した。男を斬るフェミニスティックな歌詞も重要。(久保)

ALTERNATIVE TV 『Action Time Vision』 Castle/Sanctuary

  ジェネシスP・オーリッジらノイズ人脈とも交流が深かったマーク・ペリー率いるフリーフォームなパンク・バンド。と言えば聞こえはいいが、この編集盤では、思いつくままに実験を繰り返した彼らの血気盛んな生き様が殴り書き。このヘナチョコさが良いんです。(村尾)