サザンオールスターズ、「ほぼほぼ年越しライブ」大団円。日本中に「感謝」や「希望」伝える

photo by 西槇太一
サザンオールスターズが、恒例の「年越しライヴ」を6年ぶりに開催した。ライヴ・タイトルは「サザンオールスターズ ほぼほぼ年越しライブ 2020「Keep Smilin’~皆さん、お疲れ様でした!! 嵐を呼ぶマンピー!!~」supported by SOMPOグループ」。「ほぼほぼ年越しライブ」という名の通り、無観客配信ライヴの形で、コロナ禍での様々なリスクを考慮して万全の形で直前に収録したライヴの模様を、大晦日の22時から年越しのタイミングにかけて配信した。会場は6月に開催された無観客配信ライヴと同様、「音楽の聖地」横浜アリーナだ。
コロナ禍という困難な状況において、「音楽の力」、「エンターテイメントの底力」を通し、医療従事者やエッセンシャル・ワーカーをはじめ、ファンやスタッフ、関係者などすべての人に、今年1年の「お疲れ様でした!!」、そして「来年がみなさまにとっていい年になりますように!!」という想いを存分に届けるライヴとなった。
2021年まで残すこと2時間、時刻は22時。通常のライヴ同様、暗転した会場に影アナの声が鳴り響く。注意事項とともに、「配信ライヴならではの楽しみ方」を呼び掛けるアナウンスに続き、オープニングとして、こたつを囲んだサザンの5人が、視聴者同様、サザンのライヴを観ながら大晦日を過ごそうとしているコント風の映像が流れ出す。桑田佳祐の「嵐を呼ぶマンピー!?」というセリフを受けて雷鳴が轟き、再び画面は横浜アリーナに戻ると、RIZINの選手入場を彷彿とさせる「サザンオールスターーズ!!」の呼び込みでメンバーがステージに。桑田のスライド・ギターのパフォーマンスが光る“ふたりだけのパーティ”――1980年リリースの3rdアルバム『タイニイ・バブルス』のオープニング・ナンバーでライヴの幕が開けた。続けて、ファンの間で根強い人気を誇る“My Foreplay Music”を披露。無観客だからこそのアングルで撮影された映像は臨場感にあふれ、思わず配信であることを忘れてしまうほど。地球を映した球体型のLEDがステージ上空に浮かび上がり、体操の内村航平選手、藤井聡太棋士など今年活躍した各界の旗手たちがスクリーンに映し出されてスタートしたのは“東京VICTORY”。ステージにいるメンバー、会場にいるスタッフ全員が拳を突き上げる様子は会場の熱気を画面越しに伝え、視聴者も一緒に拳を突き上げていたことを確信させた。最後の歌詞を「みなさん、いいお年を迎えましょう!」と替えて歌ったのも年越しライヴならではの演出だ。
MCでは「みなさん元気ですかー! この1年本当にお疲れ様でした。医療に携わる多くの方々、幅広い分野でお仕事をされるエッセンシャル・ワーカーのみなさま、ご苦労をおかけしております。一同心より感謝申し上げます。」と、桑田がコロナ禍で奮闘するすべての人に感謝と労いの言葉をかけた。続けて「サザン、スタッフと共に、全国のファンのみなさまの魂と共にまた帰ってまいりました!! コロナウイルスというこれまでに経験したことのない災害の年が、まもなく暮れようとしております。来年こそはどうか幸せな年でありますよう、祈りを込めて歌わせていただきます。新たなる素晴らしい夜明けに向けて、画面越しのみなさまと共に今日は楽しく過ごしていきたいと思います!」とライヴの意気込みを語り突入したのは、年末年始を孤独に過ごす男を描いたグルーヴィなナンバー“いとしのフィート”。“LONELY WOMAN”では雪が降り、会場が一気に冬模様になるなど、年越しライヴならではの選曲と演出でライヴを盛り上げていく。
やはり前半のハイライトは何と言っても“Ya Ya(あの時代を忘れない)”だ。イントロのギターが鳴り始めると無観客の全客席に設置されたライトが星のように光りだし、幻想的な空間を作り出した。本来、お客さんに配布され、ライヴ演出とシンクロして光るこのライト。客席を埋め尽くした光は横浜アリーナいっぱいに観客がいた日々を思い出させ、さらにスクリーンには観客がライヴで盛り上がっていた、かつての日々が映し出される。「あの時代を忘れない」という楽曲の副題が表す通りに、みんなと同じ空間でライヴをしたあの時間を忘れないというサザンオールスターズからのメッセージだった。
ライヴ中盤、メンバー紹介のコーナーで、サポート・メンバーを含め各メンバーがソロ・パフォーマンスを披露した。なかでも印象的だったのは、今年8月に右肩の手術を受け音楽活動を休止し、このライヴが復帰1発目の活動となった松田弘(Dr)のソロ・パフォーマンスだ。「肩の負傷から不死鳥のごとく復帰してまいりました!」という桑田の紹介を受けて臨んだドラム・ソロは圧巻の一言。リハビリを経て完全復活した松田のプレイを見た桑田が「弘、最高だ」と呟いたワン・シーンは、サザンの深い絆を感じさせた。
メンバー紹介のコーナーを経て披露されたのは、映画『稲村ジェーン』の劇中歌として作曲され、同名アルバムに収録された“愛は花のように(Ole ! )”。ラテン語の歌詞で歌う桑田と、ブラスを引き連れた豪華なバンド・サウンドが会場の空気を華やかに彩る。“走れ!!トーキョー・タウン”、“世界の屋根を撃つ雨のリズム”など、過去数回しかライヴで披露されたことのない貴重な楽曲も披露し、バンド、照明、映像、ダンサーによる最高峰のエンターテイメントが繰り広げられる。2015年にリリースされたオリジナル・アルバム『葡萄』から“栄光の男”、“はっぴいえんど”を続けて演奏し、さらに横浜を舞台にした大ヒット・ナンバー“LOVE AFFAIR〜秘密のデート”へ。ライヴのボルテージが上がっていくなかで、お馴染みの煽りコーナーに突入。
ジャズ・アレンジから始まった“ボディ・スペシャルII(BODY SPECIAL)”につづき、“エロティカ・セブン EROTICA SEVEN”、“BOHBO No.5”を間髪入れずに投下。妖艶で煌びやかなダンサーと共に、エネルギーに満ちたパフォーマンスを繰り広げた。本編ラストを飾り、やはりこのライヴに嵐を呼んだのは、“マンピーのG★SPOT”だ。桑田がかぶったヅラの中心に書かれた文字は「嵐」。ライヴ・タイトルにかけてか、国民的アイドルにかけて書かれたかは定かではないが、スクリーンには全国各地の祭をモチーフにした映像が流れ、ステージ上には各地の祭衣裳に身を包んだダンサーが、観客席では法被を纏い特大神輿などの祭りにまつわる小道具を持ったダンサーやスタッフたちが踊り狂っている。さらには桑田がクレーンに乗り込んでステージからせり出し、紅白の紙吹雪を撒く姿はカオスの一言。2020年に溜まった様々な想いが、日本中の祭りが持つエネルギーとこの楽曲が持つエネルギーと共に爆発したかのよう。カオスからすべてのモノゴトが始まるとするならば、すべての災厄を“マンピーのG★SPOT”が吹き飛ばし、新たな夜明けが来ることを予感させる、そんな光景が繰り広げられたのだ。曲が終わると、年越しまでのカウントダウンが始まる。そしてお祭りムードのまま、いよいよ2021年が明けたのだった。
アンコール1曲目、2021年になって1発目に披露された曲は“希望の轍”。照明と客席のライトによる光の道が観客席に出現し、その中で奏でられる力強いメロディは、2021年が希望の年になるようにという願いが込められているかのよう。ライヴの最後に披露された“勝手にシンドバッド”では、お正月の着物をまとったダンサーたちと新たな年が明けたことを祝いつつ、「暮れも正月もなく 人の命を守る 医療従事者のみなさん そして家族の方々を守ろう 収束が見えて来ない みんな苦しいけど コロナ禍を乗り越えて いつか素敵な未来を 迎えよう」と替え歌する一幕も。アンコール含めて披露された楽曲は全23曲。2時間30分のライヴの中で、何度も「感謝」や「希望」、今は一緒に頑張ろうというメッセージを伝えたサザンオールスターズだった。
ライヴが終了すると、疫病退散、無病息災を祈念して全国6ヶ所(北海道札幌市、岩手県陸前高田市、神奈川県茅ヶ崎市、愛知県名古屋市、滋賀県大津市、宮崎県宮崎市)で打ち上げた「みんなで上げよう!! 全国Keep Smilin’花火」の大迫力の映像が流れ始めた。全国各地でこの配信ライヴのためだけに、桑田佳祐の楽曲“SMILE〜晴れ渡る空のように〜”にシンクロして打ち上げた花火が、このライヴに大きな華を添えた。暗く、苦しい2020年を越え、2021年は希望に満ちた明るい年になることを願わずにはいられない、幸せに満ちた「ほぼほぼ年越しライブ」だった。
今回のライヴは各配信プラットフォームで1月7日いっぱいまで見逃し配信を視聴可能となっている。今からでもチケットの購入が可能なので、ぜひチェックしていただきたい。チケットの購入は1月7日21時30分までとなっている。また、サザンオールスターズの公式ホームページには桑田からの新年の挨拶メッセージが掲載されているので、そちらもぜひチェックしていただきたい。

photo by 関口佳代

photo by 西槇太一

photo by 高田梓

photo by 関口佳代
▼ライヴ配信情報
「サザンオールスターズ ほぼほぼ年越しライブ 2020「Keep Smilin’~皆さん、お疲れ様でした!! 嵐を呼ぶマンピー!!~」supported by SOMPOグループ」
見逃し配信期間:1月7日(木)23:59まで(予定)
チケット販売期間:1月7日(木)21:30まで
■特設サイト:https://special.southernallstars.jp/2020live1231/
■「デジタルフライヤー」について
閲覧期限:1月15日(金)23:59まで
※配布方法は各配信メディアによって異なります。詳細は各配信メディアの詳細ページにてご確認ください。
■「Keep smilin’~“出来ることから”ちょっとずつ~」スペシャル・サイト
https://special.southernallstars.jp/keepsmilin
カテゴリ : タワーレコード オンライン ニュース
掲載: 2021年01月05日 10:03








