カスタマーズボイス一覧

孤独のすすめ 人生後半の生き方 / 五木寛之

第3章以下は、日本社会が「嫌老社会」となっていくことを懸念し、高齢者の生き方を指南する内容。表題(孤独のすすめ)と随分乖離していると思ったら、2年前に刊行された「嫌老社会を超えて」を大幅加筆したものとのこと。結局、私が期待した内容は、第1章と第2章のみと、恐ろしくコスパの悪い本でした。ただ、この冒頭の2つの章は、「老い」とは何か、「老い」とどうつきあうかが語られていて、50歳を過ぎ、人生の「下山」が始まった私にとって、この二つの章は大いに参考になりました。衰えを認め、受け入れるところから始まるようです。

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キックさんが書いたカスタマーズボイス

(全144件)

学生時代、文房具売場に行くのはレジャー感覚で、至福の時間でした。アーム筆入やスパイ手帳に憧れ(どちらも買ってもらえませんでした)、ロケット鉛筆に驚きました。定規やコンパスや分度器等を納めたスクールセットも懐かしいです。uni派とMONO派に分かれた鉛筆。私はuni派で、ペンケースとしても愛用しました。短くなった鉛筆も補助軸で大切に使ってました。蛍光ペンが登場した時は感動。最初は黄色しか使ってなかったなぁ。とにかく、写真を見るだけでも退屈しない懐かしさ一杯、思い出一杯の内容に大満足です。

紫式部と道長は超メジャーな歴史上の人物ですが、その生涯や時代背景はほとんど知りません。逆に新鮮味があって、今年の大河ドラマは面白く視聴しています。一方、どこまでが史実か知りたくて、入門書である本書を購入。結果、とても読みやすく、ツボを押さえた内容に大満足です。例えば、紫式部と清少納言が会うことはなかったとのこと。道長と紫式部が恋仲だった可能性は極めて低い一方、倫子が二人の仲を疑っていたエピソードや深夜に道長が紫式部を突然訪問するエピソードもある等、大河ではどのように描かれるのか楽しみです。

私の子供の頃は「漫画の主題歌」でした。初めて買ってもらったレコードが、「タイガーマスク・巨人の星」の主題歌が収録されたもの。その後、お小遣いを貯めて、「おばけのQ太郎」「いなかっぺ大将」「侍ジャイアンツ」「宇宙戦艦ヤマト」を買いました。なお「ルパン3世」は就職後にCDを購入。他にも好きだった主題歌は、「バビル2世」「母を尋ねて三千里」「宝島」等々。そういえば、いなかっぺ大将をテレビに合わせて歌っていたら、祖母に「うるさい!」と怒られました。祖母も天童よしみの歌声に魅了されていたのでしょうね。

前半は「ネコあるある」、後半は「ねこのふしぎ」、そして最終話は迷い猫を皆の協力で飼い主のもとへ送り届けるストーリー。バラエティーに富んだ充実の内容に大満足です!

「壬申の乱」の考察が中心の巻。終章で大化の改新に遡るという構成。松本清張氏の迫力を感じる巻でした。大きなテーマは「皇位簒奪」。大友皇子は天皇位についていたのか?そして、壬申の乱は大海人皇子による「皇位簒奪」だったのか?松本清張の筆が冴え渡っています。学生時代に、この壬申の乱をどのように習ったのか忘れましたが、少なくとも「皇位簒奪」とは習っていない気がします。それにしても、渡会氏の氏神を祀るにすぎなかった神社が「伊勢神宮」となったのは天武天皇によるものとは知りませんでした。

史書を欠く四、五世紀は俗に「空白の世紀」と呼ばれ、未解明の世紀として多くの謎があります。清張氏は広くアジア史、特に中国と朝鮮情勢から、当時の日本に迫り、読み物としてはとても面白く仕上がっています。ただ如何せん、今やファンタジーとしか評価されていない「騎馬民族征服説」に清張氏は肩入れしすぎです。加えて現在では否定されている蘇我氏渡来人説も採用。結果、「とんでも本」になりさがっているのが、残念でなりません。

縄文時代から5世紀頃までの古代史あれこれを、神話・古墳・青銅器等の様々な視点から考察。それらが指し示すものは、騎馬民族による日本征服でした。とにかく清張氏の関心の拡がりには圧倒されました。

頭の働きのうち、「忘却」の働きや効用に絞って綴られたエッセイ。頭の機能は、「記憶」だけでなく「忘れる」ことで、初めて活性化されるもの。「忘却=悪」という観念は改めるべしという内容。さらに、朝の思考の勧め、昼寝の効用、三上(馬上・枕上・厠上)・三中(入浴中・道中・夢中)、ガス抜き・息抜き(おしゃべり、休み時間等)の重要性等を「忘却」をキーワードに展開。特に、忘却によって記憶(思い出)が風化し、勝手に上書きし、変容ということは驚きました。

60歳まで生きれば「楽をするのズルでもサボりでもない」と開き直り、自分の思うまま生きれば良いでという、60歳からの気の持ちようを説いた内容。特に第4章の「健康をゆるく考える」は、今後衰えていくであろう自分の体力や健康と向き合うにあたって、参考になりました。例えば「健診を受けずにいれば「知らぬが仏」の健康になる」「病院に通わないと寿命が長くなる」「何もかも医者の言うとおりにする必要はない」「健康かどうかは数値ではなく自分が決める」等。ただ、実際に医者の話を無視できるかと言うと、自信ありません。

文献史料が乏しく王宮の発掘調査も進んでいない謎の5世紀の国家の実像に、記紀や風土記に加え地名等を手がかりに迫っていく力作。倭王を出すことができる中枢王族と、倭王には就任できないが王族を称することができる周縁王族という複数の集団が存在し、5世紀の倭王はその同輩中の第一人者という存在にすぎず、その後、吉備や葛城をはじめとする各地の豪族との対決や王統の断絶等を経て、継体天皇以降の強大な支配権力に至るまでを素描。一般向けにしては冗長で退屈な箇所もありますが、読み飛ばして最後まで読了することが肝要な本でした。

「文章をよく見て区切ること。そして、想像力を働かせて絵にすること。この二つができるようになれば、英語を読む準備は完了。」英文を読むコツが惜しげもなく披露されています。しかも驚くべきことに、難しい英文法の話は一切ありません。目から鱗のガイディングに、中学程度の知識があれば、英語を読むことができるような気がします。英語の学び直しには打ってつけの本でした。

猫のタマと暮らす大吉じいちゃんの四季折々。第10弾。安定の癒しネコ漫画。第8弾で登場した4匹の子猫たちとの日常エピソードも良し!佳枝ばあちゃんに贈ったレコードの話や、佳枝ばあちゃんがタマのために作ったお手製のネズミの話、そしてタイムカプセルの話が印象深かったです。「都会じゃどんどん街が変わっていくのに、この島はなんにも変わっとらん。猫は相変わらず多いし、顔ぶれも一緒。まるでこの島がタイムカプセルのようだってな」

北楓高校で、1ヶ月の間に3人の高校生が自殺。しかも全く同じ文面の遺書を残して死んだ。この死の謎と更なる犠牲者が出るのを阻止すべく、特殊能力を持つ主人公が、同様に特殊能力を持つ2人の同級生とともに、犯人を追い詰めていく話。「特殊設定ミステリ」というジャンルで、荒唐無稽な設定ですが、そうとは感じさせない筆力に、あっという間に読了。いわゆる「スクールカースト」を描いた力作でした。「同調圧力」は私の学生時代はほとんどなく、今の学校は私の想像を超えているのでしょうね。

エリート電通マンによる入社から退職までの自身の回想録。電通マンとしての人生の悲喜交々や電通の暗部を赤裸々に語っています。ブラック企業と名高い電通ですが、想像の上をゆく異常な激務とブラックぶり。加えて異様なエリート意識に驚くとともに気分も悪くなりました。異様な社風に日々蝕されて感覚が麻痺していくのでしょうね。どんなに高給であっても、この会社では働きたくないと思いました。それにしても、CMに起用されるタレントは、キーマンが「好きだ」とか「大ファン」といった理由で決められるとのこと。特に企業戦略はないのですね。

相続あれこれをコンパクトにまとめた日経ムック最新版。相続にかかる38項目について、解説コメントと図解の見開き2ページの構成で、相続関連事項の最新情報が大体網羅されています。相続の経験者に何が大変だったか問うと、「遺産を調べること」「遺産分割協議」と答えるとのこと。私は戸籍の収集も大変でした。相続税申告まで10ヶ月しかない中、やることは目白押しです。やはり、あらかじめ本書のような本で予習しておくことも大事です。

読書や散歩が趣味という山田全自動さんの「漫画日記」ということで衝動買い。「旅行あるある」「読書あるある」に共感。中でも「読書はあまりお金がかからず、いつでもどこでも一人でできて、なおかつ何かしら得るものがある」「ちょっとした細切れの時間でもできる」「読む行為と同じくらい、本屋に行くという行為、探して買うという行為が好き」「読書は単純に情報を得るだけでなく、本を買いに出かけたり、本屋で選んだり、装丁をじっくり見たり、好きな場所で選んだりという行為も含めて楽しい」全く同感です。本屋は一日中居ても飽きません。

東京の歩き方を紹介。第一部は東京の坂道さんぽ。ブラタモリ等で、すっかり散歩の定番となった感のある「坂道」。東京の有名な坂道を写真たっぷりで紹介。第二部は東京の歴史さんぽ。日本橋・神田・浅草・上野の歴史を散歩で辿ります。個人的には第一部の坂道さんぽが大変参考になりました。季節が良くなったら散歩しようかな。

猫ピッチャーも10周年!漫画のレベルを落とさずに、良くぞこんなに続いているとは感心します。とにかく安定の可愛さと面白さ。もう凄いとしか言いようがありません。必殺投法は何と66弾。そして、遂にサムライジャパンに選出されるまでに成長。決勝戦でアメリカ相手に堂々のピッチング。最後の打者を抑えます。いよいよ「世界のミーちゃん」になるのでしょうか?

1時間から2時間の東京都内全33コースを紹介。コース毎に歩数、歩行時間、歩行距離、消費カロリーを掲載。地図が見やすい上に、Googleマップとの連動も役に立ちます。全コースを踏破すると、東京名所を網羅するだけでなく、東京駅から島根県の津和野神社まで歩くことに。疲れない歩き方も伝授されていて、散歩初心者には格好のガイド本です。

現在、欠品状況の本。私は発売初日に購入。最高のガイドブックに感激。内容はもはや「北九州市辞典」で、よくぞここまで調べてくれたと感心しました。内容は観光スポットにとどまらず、歴史・偉人・祭りやイベント・食材カレンダー・北九州弁等々盛りだくさん。故郷の八幡東区では、東田第一高炉跡・中央区商店街・高炉台公園・桃園公園・河内貯水池・皿倉山等々思い出深い場所の数々。他にも小倉城・松本清張記念館・北九州市立中央図書館・勝山公園・八坂神社・到津の森公園・魚町商店街・黒崎商店街等々。北九州市出身の方には激推しの本でした。
実家の近くや隣町にこんな場所があったのかと驚きもありました。昔、本書があれば全部行ったのになぁと思います。また、私が住んでいた頃は市内電車も走っていて便利でしたが、随分前に廃線。今も走っていたら売りになったのにと思います。博多と比べたら影が薄い北九州市本を作ってくれて、「地球の歩き方」には感謝しかありません。

知的職業の半分がAI失業すると予想される中、誰も対処法を教えてくれないのが現状です。本書は、難しい時代を生き抜くために、今後どのような能力を、どのように磨いていくかを紹介。若い方に是非とも読んでもらいたい本でした。キーワードは「心」。論理的思考力や知識の修得力といった旧来の「学歴的能力」は、AIに太刀打ちできません。一方、体で掴んだ知恵、相手に深く共感する力、心のマネジメントといったAIは対応できない能力を磨くべきとの結論。「物知り」や「博識」が死語となっていく中、日本の教育も曲がり角だと思いました。

団地で一人暮らししていた義母が亡くなり、独りで遺品整理をする羽目となった主婦の物語。予想以上の遺品の物量に途方に暮れる主人公。誰かが部屋に忍び込んでいる形跡もあり、無事に短期間で「実家仕舞い」は完了できるのでしょうか?次々と判明する義母と隣人の間との意外なエピソードやある意味どんでん返し的な退屈させないストーリー展開に、一気読みしました。実体験がないと、ここまで書けないだろうというくらいのリアルさがあり、経験のない方も疑似体験ができます。とにかく面白くて、大変役に立つ、万人にお勧めできる小説でした。

主人公がゆうれい犬とともに東京の街(三軒茶屋、中野、高円寺、鮫洲、北千住、奥多摩)を自分の心の赴くまま気の向くままに歩き回るお散歩エッセイ。メジャーな名所は一切出てきませが、散歩してみたくなるから不思議です。私は、三軒茶屋の三角地帯、高円寺庚申通り商店街、北千住には是非行ってみたいと思いました。確かに路地裏には私も良く入っていきますが、生活の場に近接しているだけに、無闇に写真を撮るのは気が引けるなあと思いました。

特集は青もみじ。17カ所の名所を紹介。まさに「目にはおあば」の季節。緑の京都も最高です。加えて初夏の花情報(躑躅・皐月・藤半夏生・紫陽花・杜若・花菖蒲)を紹介。爽やかなこの時期の京都に行ってみたいですね。「京都のふしぎの玉手箱(第47回)」は衣笠界隈。「寺社探訪」は「長岡天満宮」、「歩いて発見!」は堀川今出川界隈から紫明通を経て、北大路までの1時間くらいの行程。「京都ニュース(2月分)」では、祇園歌舞練場の改修工事が終了した記事に注目。京都に行った際に訪れてみたいです。

グレゴリ青山さんの日常あれこれを、独特の切り口で綴ったコミックエッセイ、「グレさんぽ」第3弾が約3年振りに刊行。今回はコロナ禍の影響が色濃く出ていて、様々な体験記(ラジオ生出演、ダンス・ウェル、包丁研ぎ、猫の里親譲渡会、養蜂)の比重が大きく、京都の散歩ねたは、山科と京都好きの東京人と歩く醍醐界隈・安井金比羅宮・市比賣神社・東福寺くらい。ただ各話とも期待どおり面白かったです。ところで、人形と人間との関係性を描いた話がありましたが、確か小林秀雄のエッセイにも似た話があったことを思い出し興味深かったです。

私はご多分に漏れず、英語は四重苦(読めない、書けない、聞けない、話せない)です。何とかしたいと昔は思ったものですが、最近では諦め気分です。この手の本はいつも途中で挫折するのですが、本書は珍しく通読できました。日本人が使う英語はたいへん滑稽だということを、あらためて認識しました。以前、友人から「中学英語をマスターすれば、十分通用するよ!」とアドバイスしてもらいました。「あの頃、真っ当な英語教育を受けていたらなあ」と、自分の不勉強を棚に上げ、教育のせいにしているのでした。

4名の世界的識者へのインタビューに対する日本人識者の論評で構成。コロナ後を展望する上で、とても参考となる内容でした。大きな論点は民主主義と資本主義の今と今後。これらに付随する隠れた論点は中露の脅威とSNSの危険性。その中で、インドの重要性とSNSとの付き合い方が印象的でした。特に「SNSは学びに役立たない」「SNSは考えることを許してくれない場」ということらしい。加えて、AI技術が飛躍的に進歩することが予想される中、後戻りすることは考えづらく、この最適な解を見つけることは難しいと思いました。

日常生活の中で、ついつい確認しているコトって誰でもあると思います。益田氏が確認している39項目のコトを紹介。例えば、メール送信した後に誤字・脱字等を確認、意味もなく不動産屋の間取りを確認、100円ショップの品揃えを確認、電車の中で買ったものを確認、京都駅新幹線改札内の店々を確認、グーグルマップで懐かしい場所を確認、桜を確認して「あと何回見てるだろう」と思う等々、共感する「確認」で溢れていました。とても面白く、しみじみした気分になるエッセイでした。

「歴史の本は難しい。細部が多すぎて分かりにくい。時代背景がわかるよう要点を書いてほしい」との妻の助言で執筆した本。結果、史実・伝説・最新研究等を加味したバランスの取れた内容に仕上がっています。三河の地政学上の分析に加え、信長から学んだ「力の支配」、信玄がもたらした「共進化」等、磯田氏ならではの視点が冴えます。一元的に服従させる信長、全てを呑み込む秀吉、棲み分ける家康という三者比較も面白かったです。それにしても、人質時代の冷遇、清洲城訪問、鉄砲三段撃ち等々、かつての徳川常識は完全に否定されています。全編を通して、酒井忠次の有能ぶりや、信玄に対する高評価が際立つ内容になっています。また「サバイバルのために、信長の高い要求に応え、強敵・武田と対峙する中で、「共進化」を遂げた。いつの間にか、化け物のように強くなった」という事実には人生論にも置き換えることができると思いました。

少女は何故自殺したのか?美容外科医による関係者への聞き取りから、意外な事実が判明していきます。プロローグ、7つの章、エピローグから成り、徐々に核心に迫っていく流れは、湊さんならではの構成です。また同じ出来事に対する、各人各様の捉え方や見え方の違いを浮き彫りにしていく手法も湊さんならでは。久しぶりに堪能しました。この事件(自殺)は、どこかで止められたはずであり、やるせない読後感も湊さんならではでした。それにしても、「痩せている」ことが美の基準のようになったのは、一体いつからでしょうか?私が子供の頃は、今ほど酷くなかったような気がします。

30の課題をクリアすることで成功習慣を身につけていく趣向の自己啓発本。キーマンは関西弁を話す一見胡散臭い神様のガネーシャ。退屈させない展開で一気に読了。とても面白かったですが、そろそろ老後の準備を始める年齢となった私には今更感が…。やはり人生経験の浅い若い世代に読んでもらいたい本でした。特に印象に残ったのは、『失敗しても「運が良い」と口に出して言う』。これは似たようなことを欽ちゃんも言っています。また、『人間が変われるのは、行動して経験した時だけ』。知識ベースでは通用しないということ。

ちいかわも、もう第五弾。勢いは止まりません。デブリンに捕まる話、入れ替わり話、タイムループの話は連続もので、その他はショート話という構成。タイムループは、最初は本の誤植かと思いました。ちいかわの不思議な世界は危険と隣り合わせで、単なる癒し漫画やメルヘンではありません。とにかく、かけがえのない仲間たちとの日常は、とても大切なものだと伝わってきます。第六巻は今年の夏発売です。

代々、17歳になると、長男が親を殺した上で自殺するという菅田家。血塗られた惨事が、繰り返されるのか。それとも惨事を防ぐ手立てはあるのか。解明していく間にも、ヒタヒタと迫ってくる魔の手・・・。解説によると、怪異の原因を一族の過去に遡って解明するゴシックロマンス、様々な手掛かりから怪異の仕組みが徐々に明らかになる本格ミステリー、圧倒的な無慈悲な存在が命を奪っていくホラー。この3つの要素を堪能できる極上の作品とのこと。そして、この小説は30年前に書かれたものと知り、びっくりしました。とにかく面白かったです。

伏見の酒蔵をはじめ、京都の酒を特集。酒好きにはたまらない2月号でした。私はほとんど飲まないので、酒の良さや違いは全く分かりませんが、最近のお酒は瓶の形やパッケージが随分とお洒落になってますね。「寺社探訪」は「寂光院」、ふしぎの玉手箱(第44回)は「京の町の鬼門除け」。町歩きの参考になりました。歩いて発見は「島原から壬生寺・八木家」。「京都ニュース(11月分)」では、三条大橋の改修工事の記事に注目。2024年の春に新しい高欄に替わり、歩道と車道の間に防護柵も取り付けられるとのことです。

ちいかわの様々なシーンを四字熟語で説明。112の熟語を紹介。「小心翼翼」「忘形之交」「医食同源」「美酒佳肴」といった知らない熟語もありました。とても役に立つ「ちいかわ本」です。特に子供にはお勧めです。

一人暮らしの5人の女性の「おうち時間」を描いた作品。休日はずっと過ごしたくなりそうな部屋ばかり。食が充実しているササさん宅、炬燵があって、押入れをベッド代わりにしているカエさん宅、映画好きで姉妹仲良し、窓から春には満開の桜が見えるナナコさん宅、書斎が充実して本に囲まれた作家のミドリさん宅、今から始まる一人暮らしのワクワク感が伝わるアキラさん宅。そして、それぞれのラストには部屋の間取りが。何だか羨ましくて、癒される作品でした。私は炬燵生活のカエさん宅か書斎のあるミドリさん宅が良いかなぁ。

母の死、父の再婚を機に、一人暮らしを始めた高校生。程なくして借りたアパートで次々に起きる怪現象。加えて、窓から見える神社に抱く意味不明の忌避感。封印していた過去の記憶が徐々に蘇り、怪現象に結びついていく。そしてラストのバトルへ。見事などんでん返しと救われるラストに爽やかな読後感でした。ホラーなのに、
何故か「小学校時代の友達は今どうしているだろうか?」と思わせる小説でした(特に会いたいわけではありませんが)。小野先生のホラー系ミステリーに外れなし。面白かったです。

京都で出会うことができる仏像特集。清涼寺、大覚寺、三十三間堂、神護寺、平等院、浄瑠璃寺をはじめ、愛宕念仏寺の石仏等の様々な仏像が紹介されています。「寺社探訪」は「法輪寺」、ふしぎの玉手箱(第45回)は「京都府庁旧本館」、歩いて発見は「高瀬川」と、いずれも気軽に行ける近場。月刊京都を片手に行ってみたいと思います。「京都ニュース(12月分)」では、今宮神社の大鳥居が約4年ぶりの復活という記事と京都市内の神社で授与されるお守りの値上げの記事に注目。原材料の高騰の影響がお守りにまで及んでいるとは・・・。

安定した面白さの万城目エッセイ。本書はやや真面目?な話(瓢箪栽培記、東京電力株主総会リポート、ブラジルW杯リポート、遠投の思い出等)が多かった印象。また万城目学氏、綿矢りさ氏、森見登美彦氏の3人の対談もとても興味深い内容でした。本書で私がお気に入りのエッセイは、冒頭のナチュラルボーンの話と3日間の台湾でのサイン会の話です。前者では何をなすべきか悩んだ20代の頃を思い出しましたし、後者では「しゅららぼんコール」で始まり盛り上がる様子が、生き生きと伝わってきて良かったです。

「種の起源」を発表する30年前に、ガラパゴス島で起きた殺人事件に、ダーウィンが探偵として挑むという設定。絶海の孤島に上陸した9名を襲う連続殺人。閉ざされた空間で次々に起きる惨事。島にはスペイン人の人殺しが潜んでいるという噂は本当なのか?一体、誰が犯人なのか?そしてその動機は?徐々に犯人に迫っていくダーウィンの探偵ぶりは圧巻でした。一方で、進化論の核心的な部分にも迫っていき、単なる推理小説以上の作品に仕上がっています。この手法は柳氏の真骨頂、面白かったです。

小さな神社の縁結びの神様の優しい物語。千年にわたって、地味に地道に人間の望みを叶えてきた神様が主人公。出世のチャンスを棒に振るような決断をしたり、自分を犠牲に人間を助けた師匠のように担当地区の人間を守ろうとしたり、とても優しい神様です。4話の連作短編で構成。私は最初の縁結びの話(はじめの一歩)が一番良かったです。ちょっとした心がけや生活習慣の変化で人生が劇的に変わるという教訓。やっぱり頭よりも身体だと教えてくれる話でした。解説にあるとおり「どんな気分の時にでも読める本」です。

警察一家の長男坊と伝説の泥棒一家の長女との恋愛模様を描く一方、ある殺人事件の真相を追う本格的な推理もので、コメディとミステリーが楽しめる贅沢な作品に仕上がっています。スピーディーな展開の上に、終盤のドンデン返しに意表を突かれ、大変面白かったです。また、ラストは新たな物語の展開を予想させ、続編が楽しみです。ところで、テレビドラマは人物設定だけを借りた別物と認識した方が良さそうです。夢の世界を現実に引き戻させる深田恭子の学芸会並の演技力には驚きますが、小説とは全く別物と思えばそれなりに楽しむことができます。

炎上騒動を振り返った内容。炎上というものは、すぐ忘れてしまうものだと実感しましたが、流石に後半は読むのに疲れました。個人的には年代順に纏めてもらった方が読みやすかったかな。また、所々で著者の私的感情や独断と偏見の論評が顔を出すところは飛ばし読みしました。結論は「ネットで情報発信などすべきではないな」ということ。読書メーターに感想を上げる以外、LINEもTwitterもblog等も一切関心のない私としては、そういうものか程度の感想です。とにかく、忘れていた様々な炎上を思い出させてくれる本でした。

ビッグ3の登場からダウンタウンを経て第七世代までの約40年間の「笑い」を振り返り、その変遷を丁寧に追った本。具体的には「毒ガスギャグ」に代表される「攻める笑い」から、人を傷つけない「優しい笑い」に。その結論はともかく、40年を笑いで振り返る試みは、大変面白かったです。と同時に、個人的には「ビッグ3」の笑いで止まっていることが分かりました。第七世代の漫才は全く知りませんし、知りたいとも思いません。いずれにしても「熱海は終わった」と軽口叩くような浅はかな芸人は天下を取れないでしょう。

これは面白かったです。過去のテレビ・ラジオ・書籍・インタビュー等の発言やエピソードを抽出し、偽善・アドリブ・意味・言葉・家族・他者・仕事・希望等々の10の視点から掘り下げた労作。つまり「ウラ話」的なものは一切なく、表に出ているものをまとめ、深い考察に仕上がっています。「俺のやることに意味なんかあるわけがない」「反省なんかしない」「やる気のある奴は去れ」「一番恥ずかしいのは立派になるということ」。そして、タモリさんが掲げる『五無主義』は、過去や未来にこだわらず、今を生きろということ。意味深長な人生論でした。

まさに旬の本です。現状を深掘りした第四章だけでも一読の価値があります。ロシア軍の予想外の弱さ、ロシア経済の予想外の耐久力、時代遅れの戦車と空母、一枚岩ではないNATO、戦争の長期化で重要なのは「兵器の生産力」、引くに引けない米国等々、日本の評論家とは一味違う分析でした。一方、第一章は親ロシア学者らしいロシア寄りの論評。橋下徹や鈴木宗男や佐藤優の主張と変わりませんが、複眼的に捉えるために親ロシア派の理屈を知っておいて損はありません。また急激に変化する世界情勢にアンテナを高くしておく必要があると思いました。

私が最も注目している歴史学者トッド氏の最新本。同氏はソ連崩壊、アラブの春、トランプ勝利、英国EU離脱等を予言。本書でも注目すべき主張を連発。例えば、「米国の核の傘は幻想」「中国が世界の覇権を握ることはない」「日本の最大の課題は少子化問題であり、自己の存亡に直結する課題」等々。いずれも、とても示唆に富んだ主張でした。ただロシア贔屓のトッド氏は今回のウクライナ侵攻を全く予想していなかったのか、ロシアの軍事に関しては極めて楽観的です。一体、同氏は今回の事態をどのように考えているのか、次の本が楽しみです。

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