カスタマーズボイス一覧

Mobb Life / BAD HOP

破竹の勢いで活動領域を拡大し続ける川崎のクルー。現行のUSのトレンドを最も上手く消化しているアーティストであり、また工業地帯での底辺の暮らしを仔細に伝えるリリシストであり、色んなネガをポジに変え、それを更に若い世代に伝えようとするメッセンジャーであることが本作を聴けば分かります。現行の日本ヒップホップシーンを知りたいならば、まず聴かなければならない1枚。

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pumaniacさんが書いたカスタマーズボイス

(全68件)

今ではレア音源となった1stも素晴らしい名作で、それがライトにサラッと聴ける1枚だとしたら、この2ndはズッシリ、そして意義深い重みのある名盤といった印象です。ソングライティングの方法、バンマスとしての指揮法を更新し、自身の声を楽器として配置するという編曲においてのメタ視点。怖いくらい理論的にこなされている部分と、ハートフルな歌心が不思議と共存している、そんな中村さんの魅力が詰まった1枚でした。

海外の人に薦めたい日本のバンド作品第一位です。これまでサイケというのはサウンドスケープでしか表現できないものと思ってましたが、本作では歌やらリフやらリバーブやらグルーヴやらで表現されている、つまりあらゆる音のアンサンブルによって音像が緻密に組み上げらています。キャッチーなんだけど、見事に掴みどころのない、この感じをサイケの、いやロックの現在地とするならこれらのジャンルはまだ面白いなと思えました。

どんどんサウンドの深度が増していきます。1stと比べると目覚しい進歩。ただ音が伸びているだけの瞬間ですら浸れる。それに加えてVo.小原の作曲家としてのセンスがずば抜けている。新たにAAAMYYYが参加したことで、型が良い意味で崩れた気が、サイケとの相性がとても良いです。BTSのリーダーRMをも魅了したM3を是非聴いてみて下さい、芯はキャッチーだけど枠組みがオブスキュアで新感覚!

M1を聴けば全てが分かる。挑戦的なギターリフによるイントロ、ダンサブルなファンクネス、で進み続けると思ったら不意に襲ってくる超スウィートなメロディ。数多ある音楽玄人しか相手にしないインディバンドから、一線を画すに至ったのには、このメロディメイカーとしての才能にあります。そしてそれはM4にて爆発している、この才能は日本の至宝だと確信できます!

5曲

Tempalay

4:

★★★★

1stから1年で目覚しい進歩です。前作の全体として冗長な流れに比べて、起伏に富んでいます。バンドアンサンブルが進化し、よりグルーヴィーなサウンドになってます。ロック、サイケの枠を超えて、よりファンクに、よりブルージーに。彼らのミュージシャンとしてのポテンシャルが存分に示された1枚でした。

本作以降のディスコグラフィーと比べると、どうしてもTempalayという型を世に出すに留まった作品という感じがします。がやはり1年で大型フェスに出演するほどに彼らは早熟で、本1stもサイケな空間作りに、Vo.小原の浮遊感ある歌声を乗せるというスタイルは完成しており、M9なんかは彼らのディスコグラフィーには外せない名曲ですね。

VVORLD

VaVa

4:

★★★★

まさしくHip-Hopの第七世代、サウンドは最先端ですが、テーマはドラクエやらMotherやれゲームへの偏愛に溢れている。全体的にChillで通底させながら、ライムは熱く、でもリリックの中身はボンクラ臭漂うという...お洒落オタク感が滅茶苦茶ツボです。ビートメイカーとしての才能は超一流だと思います。

1stから本作までの3年間で殆どのメンバーがソロを発表しているためか、本作にはオールスター感があります。とにかくラッパーそれぞれに箔がついてます。ビートの面では本作ではMIKIが全く関わってないのでオースク好みには物足りないかも。ただその分NEETZが覚醒して、オリジナリティ溢れるビートメイキングをしています、今っぽいのが好みの人は断然こっちのがオススメ!

日本語ラップの遺産をBEATという面で引き継いでるのがKANDYTOWNだと思います。本作のBEATを手がけるのはメンバーのNeetz、MIKI、Ryohuで全員当時20代半ばです。この若さでこの渋さはヤバ過ぎる。勿論ラップも格好いい、ここからほぼ全員がソロを発表していきますが、それが出来るほどに各々が個性的で表現したいビジョンがあるという、まさにオールスターです。

集まったメンバーがヤバ過ぎます、メジャーからマイナーまで。話題性の獲得というマーケティングの観点でも満点でかつ、音楽性を深化させるにもこれ以上ない面々。個人的にはLEX、Daichi Yamamotoがこの面々に並んだという事実にすでに興奮してます。そしてラストのTohji、間違いなく令和を代表するラッパーです。Teenage Vibes、曲名も最高だし令和のアンセム確定です。

REGULAR

AKLO

5:

★★★★★

AKLOの最新作は超ヤバイです。AKLOが今の流行りをやったらどうなるんだろう、という疑問に期待以上のクオリティで応えてくれた本作。全体として落ち着いたトーンにも関わらず、そのライミングのスキルだけで全編興奮させてくれる、そんなラッパー僕は他に知りません。特にTrapぽいのはM3,M4,M7、メロウなのが聴きたければM5、絶対聴いて損しない!

両名の相性が良すぎます。どちらも英語が達者で言語感覚が普通と違い、日本語詞でも英語のように歌ったりライムすることが出来るので、聴いていて気持ちいいしとてもクセになります。BACHLOGICのトラックもメロウなものが多く、二人の雰囲気もとてもアダルトなので、お洒落な邦楽を推せと言われたら、私は迷わず本作を推します。1曲選べと言われたらM4、切なくて、ユニークで、キャッチー。

アルバム3作目にして、日本語ラップの新境地に到達したと感じされられた1枚です。日本語でも韻の踏み方が日本語的でないという彼の強みが全面に出ています。オススメはM-3,4,5,8,11です。言わずもがななレジェンドBACHLOGICと、現在若手の間で引っ張りだこのJIGGが共同でプロデュース、彼らのクレジット作品の中でもベストジョブです。

ラップゲームを制さんとボースティングするリリックの数々、それは彼のスキルにしてみれば有言実行でしかありません。本作は彼のディスコグラフィーの中で最も野心に満ちたものであり、それだけ聴き手を熱くさせる作品でもあります。特に盟友SALUとレジェンドK DUB SHINEを迎えた「RGTO」はテン年代の空気を決定付けたほどシーンに影響がありました。後年にコレクティブされるのは間違いない1枚です!

メキシコ人の父と日本人の母をもつトリリンガル・ラッパーの1作目。ライミングが化け物でそれはライムスター宇多丸をして、「本場アメリカのラップと並べて聴いて遜色が無い」と言わしめました。今でこそアジアのHip-Hopにはグローバル・スタンダードなものが生まれてきていますが、日本ではSALU,AKLOの登場が一つの潮目だった気がします。オススメはM-3,9,12,13。

ベストアルバムと言いつつ、この作品は一つのアルバムとして高い完成度を誇っているのでオススメです。抜粋された楽曲は勿論のこと、オリジナルには収録されていなかったM-2,6,7,16も含め、全てキャッチー。シリアスからコミカルなものまで、エミネムの卓抜したスキルと共に楽しめるので、入門編には最適。

21世紀に入ってから3番目に売れたアルバムらしいです。1位がアデル、2位がノラ・ジョーンズなので、ヒップホップのアルバムとしては1位。聴けば納得、他の追随を許さないスキルと限度を知らない毒舌、当時のUSがいかに熱中したかが分かります。前作に引き続き勿論Dr.Dreが全面バックアップ。大ヒット曲「Without Me」「’Till I Collapse」を収録です。

Eminemの半自伝的作品で、MCバトルを題材にした映画としては初の(唯一の?)大ヒット作。アングラのカルチャーだったMCバトルを一般に知らしめた功績は言わずもがなですね。バトル出身のEminemだからこそフリースタイルで披露されるラップはリアルで素晴らしく、それを観るだけでも価値があります。小ネタとしては最後のバトルの相手がMCUで大活躍中のアンソニーマッキー、本作が初クレジットらしいです。

K-POPではデビューまでに厳しい下積み期間があるため、アイドルにアーティスティックな表現力があることは珍しくありません。日本においては事情が異なりますが、鈴木愛理は唯一その条件を満たす実力があると思います。前作も意欲的なものでしたが、本作ではいよいよ表現力が追いついてきたという感じがします。M1、M2、M5を聴いてもらえれば言いたいことが伝わると思います。

ハロプロ卒業後、1年の休止期間を経て完成されたソロ一作目。安室ちゃんと自身との距離をテーマに作られたM1や、K-POPの代表的作家であるDuble Sidekick参加のM3などは、アイドル時代とは違って最先端のダンスミュージックをしています。逆にかつてのアイドルらしさを、メタ的な視点で見つめたM4では赤い公園が全面バックアップ。表現者としての鈴木愛理のポテンシャルを存分に味わえる1枚です。

制作ペースが早く、クオリティは安定、だけど緩やかにトレンドに寄る余裕も見せつける。KOWICHIは本作でも最高です。同じく川崎をHoodとするT-pablowや、フライボーイの面々がゲストで参加、DS455のKayzabroまで引っ張ってきてます。この作品でKOWICHIがBMWに乗っていることを知ったのですが、「現金で買う」というボースティングが最高でした。

元AeLL.のリーダーのソロ作品。本作はそれまでに積み上げてきたシティポップ路線がいよいよ本格化し、それを結実するために豪華なプロデューサー陣が集まっています。G.rinaやフレンズなどインディシーンで当時活躍していた作家陣毎にテイストは違えど、「soiree」に込められた夜/踊りといったテーマに沿った形で統一感があり、浸れる1枚となっております。

今や若手シーンのフィクサーとして認知を得ているDJ2人組のファーストアルバムです。有名どころ以外でも、VIGORMAN、Jin Doggといった存在感ある若手をいち早くフックアップしており、本作の客演を眺めるだけでも現行シーンの理解が大分深まります。彼らは演者からベストパフォーマンスを引き出すのが非常に上手く、どの曲も最高に仕上がっており、クオリティの面でもお勧め出来ます。

ジャズに類されるアーティストですが、本作は意識してJ-POPに寄せられており、SPANK HAPPYで同様のアプローチをしていた菊地成孔がプロデュースするというのも納得です。どの楽曲もキャッチーながら、ジャズ畑のコードのためかハズしが絶妙で、全編通して聴いて全く飽きません。特にM6はメロディは王道ながら、プロダクションがJ-POPのそれとは全く違うのが面白く、多くの人に聴いて欲しい大名曲です。

ここまでメジャー感あるメロディを作曲できるアーティストが、あまり認知されていない現況を虚しく思います。M2「4分半のマジック」などはこれ一曲だけでドカンと売れてもいいレベルの名曲だと思いますが。全体としてアーバンなメロウチューンが多く、どこかボンクラ感のある歌詞・歌い方とのミスマッチが良い意味でクセになります。M2以外だとハイトーンとオートチューンが上手く掛け合わされたM5がオススメ!

本作は最も彼らが目指した日本語ラップが実践されている1枚であり、現時点での最高傑作です。日本語ラップへの造詣が深い2人がその嗜好を前面に押し出してきたといった感じで、多種多様なライミング、トラックの渋さに歴史への敬意が溢れています。特にオードリーのラジオをテーマに作られたM1は詞のレトリックが神懸かっていて、全ラップファンに聴いて欲しい楽曲です。ラジオ盤まで出してくれて本当にツボを突いてくるなあ!

良い意味でラップシーンと一線を画す路線を突っ走ってきた彼らですが、その活動の軌跡でもあるこのメジャー1作目は、非常に門戸の広い作品となっております。M2の「ぬえの鳴く夜は」などは大型フェス出演を見越してのロックテイストで2人の器用さに脱帽させられました。その他だとM4「紙様」が、言葉遊びやライミングの点で、R-指定の本領発揮といった感じがして好きでした。

Creepy Nutsの方向性を決定づけたインディーズ時代の2枚がコンパイルされています。また音源化されていなかった楽曲、UMB3連覇を成し遂げたR-指定が、MCバトルに纏わる葛藤や苦悩をライムした「刹那」も収録されています。ライムスター直系の自虐系ラップが持ち味の彼らですが、とにかくスキルフルなので、笑えて格好いい!ラッパーのパロディかましまくりの「みんなちがって、みんないい。」最高です!

Jazz×Rapが聴きたい人、良質な音楽が聴きたい人、名盤が聴きたい人は是非。聴いて100%失敗しない1枚です。当時にしては革新的な生バンドをバックに携えてのレコーディング作品で、名うてのジャズプレイヤーが参加しています。Gang Starrとしてプロップスを得ていたGuruが”やらずにいられなかった”プロジェクト。方法は異端ながら、却ってHip-Hopのルーツに肉薄している辺りが流石です。

ライムスターの作品で1番最初に聴いた作品なので思い出深いです。また、今でも本作がベストです。ボースティングに固執せず、またサグライフでも無い彼らの素の言葉が、正直どのラッパーよりも一番刺さります。色んなネガを出発地として紡がれるリリックの数々は、劣等感を抱えるボンクラが存在する限り、そんなリスナーに"POP LIFE"を提示するのに有効であり続けると思います。

「Hypnotize」「Mo Money Mo Problems」のようなヒット曲も最高ですが、Trap全盛の現代に聴くなら本作で最も重要なのは「Notorious Thugs」ではないでしょうか?元祖"歌ラップ"のボーン・サグズン・ハーモニーが参加しており、ビギーもそのマナーに則ってラップしています。まさにフロウの頂点が集結した本曲は正直、現代のそれをも凌駕しているなと感じてぶっ飛びました。

EDM全盛の時代の活動しか知らなかったので、このハウス路線には驚きました。が、元々はこちらの雰囲気で活動していたみたいですね。当時にして(というか今も)、トップアーティストが集結しています。普段Trapをやっているラップスター達が、見事にポップスにハマっているのが痛快でした。音楽の好みが分からない相手とのドライブでも、本作をかければ間違いなし。

アイズレー・ブラザーズをサンプリングした#13の「Big Boppa」は、ギャングスタ・ラップ×メロウバースの走りだったのでは。ビギーには天性のフロウがあるので、ハードな曲も、甘い曲もどちらも聴きやすいです。#13以外だと、ヒットした#10、2Pacとの因縁を生んだ#18、JBサンプリングの#19辺りがオススメ!同年リリースのNas「Illmatic」と合わせて聴きたいクラシック!

一般に思い浮かぶラップのイメージはこの作品で型作られたのでは無いかと思うほど、ザ・ラップな作品です。1曲目のAmbitionz Az a Ridah〜2曲目のAll Bout Uの流れ、ギャングスタから一転してメロウなトラック上でマイクリレーが繰り出されるこの流れだけでこの作品を愛せます。この大作が2Pacの出所後、わずか3週間で制作されたというのが信じ難いです。

後にFNCYを結成する、鎮座DOPENESS & G.RINAとの相性がやはり最高です。本作は客演が多岐にわたり、それこそレジェンドがいたりコリアン、ハードコア、R&B、エビダンと世代や国籍、ジャンルを超えるコラボばかり。その中で堂々とふざけた調子のZEN-LA-ROCKのスタイルは文字通り堂に入っており、どの曲も聴いていて飽きない、バラエティ豊かで愉快な作品でした。

ハードコア・ユニットと紹介文にありますが、音楽は非常にスタイリッシュです。トラックは全体的にNasとATCQの中間といった感じですが、ラップは両者よりも洒脱です。お洒落過ぎず、ハード過ぎない、中庸を求める方には打ってつけの1枚、つまりずっと聴けるやつです。8mileにも使用された代表曲「Shook Ones, Pt Ⅱ」を収録。

破竹の勢いで活動領域を拡大し続ける川崎のクルー。現行のUSのトレンドを最も上手く消化しているアーティストであり、また工業地帯での底辺の暮らしを仔細に伝えるリリシストであり、色んなネガをポジに変え、それを更に若い世代に伝えようとするメッセンジャーであることが本作を聴けば分かります。現行の日本ヒップホップシーンを知りたいならば、まず聴かなければならない1枚。

B BOY PARKからフリースタイルダンジョンまで、MCバトル史に深く関わる著者の現場目線で歴史を追体験できるので、非常に勉強になりました。何よりも本として抜群に面白かった。バトルで負け続けた著者の失敗の物語であり、またいちヘッズ目線でのMCバトルの変遷(主にスポーツ化に焦点を当てている)の仔細なレポートであり。正しくバトルシーンを捉えたい人の必読書です。

5曲目のAFTER HOURSが本当に名曲。ベッドタウン周りの開けた国道沿いで聞くのにぴったりです。人工的な部分と自然が妙に混じった景色によく合います。Vo.夏目知幸は震災後の浦安の埋立地への思いを本作に込めたとのことですが、そういった刹那的なものへの感傷からでしょうか。テン年代前半の日本のインディシーンの空気感が密封された1枚。

新体制で初お披露目された「消えない」で既にぶっ飛ばされてるのですが、本作ではその衝撃が立て続けに襲ってくるので脱帽です。長い準備期間の中でしっかりクオリティコントロールされている本作は、サウンドプロダクションにおいて多くの挑戦がされてました。天才な上にクレバーな津野米咲が、全曲で野心を剥き出しにしている感じがして胸がすく思いです。

言わずもがななヒップホップにおけるど定番のクラシック。今聴いても超絶クールなNasのラップとトラックですが、本作の意義深い点の一つが、プロデューサーをオールスターで揃えた走りの作品だったことでは無いでしょうか。Large Professor、DJ Premier、Pete Rock、Q-Tip...まじ凄いっす。リマスターされた本盤は勿論のこと他にもファン垂涎の特典多し!

アクモンやThe 1975を手がけるプロデューサーがついてたり、マスタリングも海外に依頼してるだけあって日本のバンドとは思えないサウンドスケープをしています。それでいてVo.尾崎の作詞曲にはJ-POPリスナーを置いていかないキャッチーさがあります。Galileo Galileiとしてのオリジナルアルバムとしては最後の作品となりましたが、そういう刹那的な空気感も含めて思い入れの深い作品です。

彼女の作品の中で最高傑作です。自分の中ではこれまで聴いたポップスの中で、10本の指に入る完成度だと評価しています。これまでの作品のようにアルバム全編を通して統一感があり、これまでと違うのはラッパーとしてのアイデンティティが歌唱に色濃く出るようになったこと。しっかり歌い上げる部分とフロー重視の歌節のコントラストが色鮮やかで、R&B色強めのサウンドプロダクションとの相性が完璧です。

確かな歌唱力、万人に愛されるメロディーを生み出す点などで、aikoが思い浮かびますが比肩する才能だと思います!ジャケットとタイトルを見事に内容とリンクさせる能力も類似点でして、本作も一曲一曲が素晴らしい上に、全編を通して秋ぴったりの統一感があります。GIRIBOY prod.の5曲目は息を飲む美しさなので、上質なポップスを求める方にはぜひ聴いて欲しい1曲!

前作までのR&B路線は影を潜め、しっかりとした歌モノに仕上がっております。韓国稀代のメロディメイカーであるセンスは健在で、OST女王と言われるテヨンに負けず劣らずの、世代を問わないポップスが作り上げられています。とは言うものの、ラッパーとしての彼女もやはり魅力的で、だからこそ6曲目「ミヤネ」まで溜めに溜めて披露されるライムにはアツくなります。

Pushin'

STUTS

4:

★★★★

今では客演として引っ張りだこ、あの星野源とまで共演するトラックメーカーとなったSTUTSの初作。デビューまでの活動の集大成である本作は、アルバムとして纏まりこそ無いものの、幾多のサンプリングと自身で弾くMPCのビートをコラージュさせるという、彼の作家性を雄弁に伝えています。後にアルバムでコラボするに至るビーサンとの10曲目、テン年代を代表する名曲13曲目など聴きどころ多し。

ヒップホップ初心者にもオススメ出来る1枚。特にオススメなのはコトリンゴ参加の④、PUNPEE参加の⑩です。コサもフレシノも卓越したスキルの持ち主なので単純に聴いていて気持ちいい、NYを活動拠点とするラッパーなので、なんとなくそういう空気感がありお洒落ですね。jjjやOMSBらが手がけるトラックも素敵です。

『カタルシス』というタイトルに込められた「ネガティブを打ち消す」というメッセージの通り、聴くと前を向ける、そんな内容になっています。他のラッパーとは異なる経歴を持つSKY-HIだからこそ、人一倍ヒップホップマナーを意識して楽曲制作をするし、また聴きやすさも忘れていません。そんな姿勢が実を結んだ1枚だと思います。

思っていたよりもメロウで聴きやすいです。2Pac、ビギー、NASとこの時代のトラックの雰囲気はどれも好きですね。洒脱なBEATと血気盛んなライムの塩梅がいい!本作は「Dear Mama」など内省的な楽曲が多い気がします。ギャングスタと敬遠すること勿れ!

メンバーのQ-Tipは納得のいかないBEATを、他のメンバーが良いといってもボツにしていたそうなのですが、それだけ拘り抜かれただけあってどの曲も国宝級。当時画期的だったベースの比重が高いサウンドは、ヘッドフォンで聴くととてつもない心地よさが。認知されるきっかけとなったBusta Rhymesによる「Scenario」のバースが好きです。

(全68件)