
ベートーヴェン: 弦楽四重奏曲全集 / エベーヌ四重奏団
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東京のライブでこのカルテットの演奏にはじめて接し、あまりの巧さと美しさにショックを受けて以来、かれらの演奏を注視し、追いかけてきた。古典もジャズも分けへだてなくプログラムでとりあげる新世代カルテットである。 技術レヴェルの高さは過去のすべてのカルテットを凌駕する。第一ヴァイオリンはそのカルテットのカラーを左右するものだけれど、コロンベは過去のズスケや原田やピヒラーなどに勝るとも劣らぬリーダーであるばかりか、テクニックも表現力も至高であろう。いや、コロンベだけではない。ライブ(およびリハーサル)でここまで緊密で完璧なアンサンブルが実現できるカルテットの技量は恐るべきものというほかない。奏者のブレス音が象徴するすさまじい気迫は背筋をブルっとさせずにいないし、音色の美しさは尋常ではない。ときに蠱惑的であり陶酔的でさえある。硬軟あわせもつ表現力の豊かさたるや瞠目するばかりで、全編が歌にあふれ、シルクのような柔らかな肌触りを見せるかとおもうと嵐のような激しさに唖然とする。古くはベルリン四重奏団、東京カルテット、アルバンベルク四重奏団、近年ではゲバヴァントハウス四重奏団やタカーチ四重奏団、ベルチャ四重奏団、ミロ四重奏団などの名演、美演がカタログをにぎわせているけれど、この作品集をここまで再現できた例を寡聞にして知らない。クラシック歴、約半世紀にしてめぐりあった奇跡的な演奏の記録である。 「アラウンド・ザ・ワールド」の副題どおり、ウィーン、東京、パリ、サンパウロ、メルボルンなど世界各地でライブ(およびリハーサル)収録されていながら、会場の差異がわずかに感じられる程度に調整されているのはプロデューサーとエンジニアの功績であろう。左右のスピーカーいっぱいに展開される音場で音像は近め、各奏者の配置は明瞭で、豊かな低域からさわやかな高域までみごとにとらえた録音はじつに美しく、演奏ともども欠点のない最高の全集である。
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夏男さんが書いたメンバーズレビュー
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最高の演奏にして最高の録音、そんな讃辞がもっとも似合う名盤である。レコード時代からCD全盛期になっても他社を圧倒するすばらしい録音を数多く残したフィリップス。いまはもうレーベルがなくなってしまったけれど、当時レコードで購入し、胸を熱くして聴いた記憶をたぐり寄せ、懐かしさでいっぱいになる。
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ありがとうございます。SACD化してくださり、感謝感激です。なんと繊細でのびやかなサウンドでしょうか。学生時代にレコードで聴いたとき以来、モーツァルト後期交響曲の愛聴盤となったものの、CD化された音は薄っぺらくなってしまい、ほとんど聴くことがなくなっていました。それが今度のSACD化によってリニューアルされた音は、かつて聴いていたレコードの記憶を呼び覚ます豊かさをとりもどしたばかりか、みごとに分解された弦の美しさにうっとりします。同曲群を聴く際は、お気に入りのマリナーにクリップス、スイトナー、マッケラス、レヴァインなどのCDよりも、当盤にまず手がのびることはあきらか。SONY&タワーレコードさんから届いた早春の幸せな贈り物です!
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この録音がもう8年以上も前のものとは、月日のたつのははやいものだ。カスタマーボイスが登録されていないので、いまさらながらではあるけれど、感嘆せざるを得ないイブラギモヴァの演奏と優秀な録音に敬意を表しておきたい。細部まで神経の行き届いたきわめてデリケートながら、芯がぴーんと通った透明度の高い美音で、J.S.バッハの自作と編曲作品をみごとに表現しえている。その巧みさは数ある同曲録音のなかでも絶品であろう。イブラギモヴァは古楽奏法をとりいれているとのことだけれど、たとえば古楽バージョンの名演シュレイダー盤(ホグウッド&エンシェント)とも一線を画し、色彩や艶が濃厚で演奏の自在さはきわだっている。コーエン指揮アルカンジェロも美しい合奏で名演に華を添えている。しかも、録音がこれまたすばらしい。適度なホールトーンで弦の音は生々しく、解像度は申し分ない。低域も豊かでなんとも心地よくさせてくるCDである。
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低域が薄い。これは初期盤からの不満だ。SACD化されても変わらなかった。超のつく優秀録音のヤング盤やいまいち録音のスイトナー盤など、20種類ほどのCDと比較したけれど、やはり低域が薄い。いうまでもなく周波数特性うんぬんではなく聴感上の話である。耳を愛撫するかの美しい弦の響きも輝かしい金管の叫びも、土台となる低音域あってこそである。実際の演奏もこうだったのだろうか、と疑問が湧いてきてしかたない。SACDが登場すると知り、小躍りしたのもつかの間、実際にCDを手にし、期待を胸に再生しておおいなる失望を味わった。わが家の再生環境が貧しい可能性も否定しない。が、このCDは早々に手放すことになりそうだ。とにかく無念である。
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他の演奏にくらべ快速なのは、バロック本来の舞踊としての姿を具現したもので、とりわけ第4番にそれが顕著に見てとれる。そのパフォーマンスには驚きのほかない。圧倒的な音と技巧は作品の正確な表現のためだけに捧げられており、あまりのみごとさに、これまで聴いてきた数十種類の演奏が過去のものとなってしまった(とはいえ、同曲異演を聴くのが、クラシックの楽しみでもある)。チェロの旧約聖書とも呼ばれる本作の演奏史に欠かすことができないカザルス以後に現れた、まさにエポックメーキングな記録といえるだろう。また、とびきり優秀な録音がもたらす生理的快感は感嘆のほかない。こんなすばらしい演奏家を世界は喪ったのだ、と感慨をあらたにせずにいられない。
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他の演奏にくらべ快速なのは、バロック本来の舞踊としての姿を具現したもので、とりわけ第4番にそれが顕著に見てとれる。そのパフォーマンスには驚きのほかない。圧倒的な音と技巧は作品の正確な表現のためだけに捧げられており、あまりのみごとさに、これまで聴いてきた数十種類の演奏が過去のものとなってしまった(とはいえ、同曲異演を聴くのが、クラシックの楽しみでもある)。チェロの旧約聖書とも呼ばれる本作の演奏史に欠かすことができないカザルス以後に現れた、まさにエポックメーキングな記録といえるだろう。また、とびきり優秀な録音がもたらす生理的快感は感嘆のほかない。こんなすばらしい演奏家を世界は喪ったのだ、と感慨をあらたにせずにいられない。
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他の演奏にくらべ快速なのは、バロック本来の舞踊としての姿を具現したもので、本CDには未収録だけれど、とりわけ第4番にそれが顕著に見てとれる。そのパフォーマンスには驚きのほかない。圧倒的な音と技巧は作品の正確な表現のためだけに捧げられており、あまりのみごとさに、これまで聴いてきた数十種類の演奏が過去のものとなってしまった(とはいえ、同曲異演を聴くのが、クラシックの楽しみでもある)。チェロの旧約聖書とも呼ばれる本作の演奏史に欠かすことができないカザルス以後に現れた、まさにエポックメーキングな記録といえるだろう。また、とびきり優秀な録音がもたらす生理的快感は感嘆のほかない。こんなすばらしい演奏家を世界は喪ったのだ、と感慨をあらたにせずにいられない。
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少年時代からビーチャム卿の大時代そのものといえる大管弦楽による名盤(迷盤?)に親しんできたので、古楽合奏による本盤を聴いたときには透きとおるような異次元の清楚・澄明な美しさに驚いたものです。少年合唱にはいつもながら心が洗われますし、ソリストの男声・女声ともに好演です。ソプラノがエマ・カークビーだと最高なのになぁ、とついつい欲ばりなことを考えてしまいがちですけど、本盤のドウソンもなかなかステキです。録音はライブ収録の瑕疵らしきものはあまりなく、観客の立てる物音がたまに聞こえるくらいで、演奏とおなじく透明感高く、のびやか。会場の残響がいたって心地よい。ピリオド楽器がお好きな方にはお買い得盤といえそう。
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現代ではこうしたフルオーケストラでモーツァルトを演奏することはないだろう。だからこそ、往年の名演・名録音は選択肢を増やしてくれ、聴くよろこびをゆたかにしてくれる。もっとも、往年の演奏だからといって、けっして大時代的ではない。アクセントが強めではあるものの重すぎることはない。全体にゆったりとした運びは心地よくもある。ただ、第40番の第1、3、4楽章はリズムが重く食傷気味になる。レヴァイン&ウィーン・フィルやマリナー&アカデミー、マッケラスの演奏に慣れているせいだろう。それより問題は音質である。タワレコさんの企画盤はリマスタリングで高域が強調され、弦がすこし刺激的になる場合があるようで、本CDも残念ながらそうである。しかたなくグライコで調整する(4KHzあたりを1.8~1.9dbほど抑える)と、コンセルトヘボウのえもいわれぬ弦の美しさとオーケストラのゆたかな響きが至福の時を約束してくれる。
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シフのチェロで感銘を受けるのは、なんといっても音の豊かさと美しさである。あたたかく艶やかで深々とした響きがもたらすカタルシスはこの楽器の醍醐味でもあるとはいえ、高度な演奏技術なしでは当然うまれえないその美音に、ついつい聴きほれてしまう。つねに気品ある軽みを保ちつつ、作品におうじて繊細・優雅にもなれば豪快にもなるし、官能的・蠱惑的にもなれば辛辣にもなる。が、あいまいさはいっさいなく、その変幻自在ぶりには瞠目させられ、ときにのぞかせる豪腕ぶりには驚かされもする。本CDのバロック作品とハイドン、ベートーヴェン、ブラームス、シューマン、そしてきわめて優秀な録音のショスタコーヴィチやルトスワフスキなどの現代曲は、かっこうの見本となろう――バロックのソナタとハイドンの協奏曲でのパフォーマンスは圧巻というほかないし、名盤の誉れたかいコリン・デイヴィスとプレヴィンの指揮による2種類のドヴォルザークのチェロ協奏曲では、演奏が比較できる点でも聴きものとなっている。また、マズア指揮するリヒャルト・シュトラウス『ドン・キホーテ』もじつに美しい名演。いずれも録音は超のつく優秀さだ。ただ、サン=サーンスの協奏曲もステキな演奏だけれど、残念なことに低域は伸びないし、弦の音がトゥッティで刺激的になる。室内楽では、ベートーヴェンをはじめとする諸作品は演奏、録音ともに申し分ない。異色なのはグルダの作品と演奏が収録されているCD。ジャズの大家ラロ・シフリンの『燃えよドラゴン』を連想させる曲調を奏でるチェロとブラスに頬をゆるめていたら、スッペ『軽騎兵』序曲やウェーバー『魔弾の射手』序曲のようなメロディが流れ、かとおもえばコダーイばりの無伴奏チェロが鳴り響き、聴きほれているとビゼー『アルルの女』風へと転じ、最後はブラスとチェロが大活躍するスーザばりのパレードへとなだれ込む。なかでも小刻みに奏でられる軽快なチェロは、愉悦に満ちこころよい。よくもわるくもジャンルを超えたこのクロスオーバー作品は、名演ぞろいの本CDセットの「薬味」といえるかもしれない。なお、録音は豊潤な音の旧フィリップ盤が勢揃いしているとはいえ、ブラームス&エルガーの協奏曲などでは高域がやや刺激的で、2枚含まれているグラモフォン盤のハーゲン四重奏団とのコラボは演奏ともども優秀だけれど、もう1枚は上記のサン=サーンス。惜しくも、画竜点睛を欠いた。
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販売方法が許せないとお怒りの方がおられますけど、製造元が異なるので仕方ないか、と。タワーさんは独自企画商品と他社商品の両方を販売されているので、こうしたダブりのようなこともおこりうるでしょう。ただ、本盤はタワーさんのSACDハイブリッド盤とはマスタリングが異なり、収録曲数も少ないのであきらかな別物です。わたしなどは、こうした類似商品の登場はクラシック音楽文化のにぎわいの一局面として喜んでいます。なにはともあれ、発売点数がどんどん減ってゆく凋落は眼にしたくないものです。
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予約を見つけたとき、うれしくて小躍りした。そして、ついに落掌。SACDシングルレイヤーによる望みうる最良の再生音では緻密でなめらか、アナログっぽいというか暖かい。すーっと尾を引き消えてゆく残響がなんとも心地よく、つい耳をそばだててしまう。分解能が高くなっているのだろう、それもあって演奏がいちだんと魅力を増していることはまちがいない。ズスケとメンバーが奏でる美しく清潔な音は、あるときは艶やかでたおやかに、またあるときは力強く激しく、またあるときはさびしく悲しく、聴き手にせまってくる。徳間の従来盤でこれまで音に不満を感じたことはなかったけれど、アナログレコードの音をめざしたというリマスタリングをほどこした本盤と聴きくらべると、従来盤はあきらかに大味で雑味が感じられる。CDの登場以降、アナログレコードは聴いていないので音の記憶はないけれど、愛聴する真空管アンプから出てくる本盤の音は、熟成したまさに馥郁たるワインの豊かな味わいやコクとでもいったらいいだろうか、飲みはじめたら、いや聴きはじめたら止まらない、もう虜だ。異次元の音によるズスケ四重奏団によるベートーヴェン弦楽四重奏曲全集の決定版である。
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東京のライブでこのカルテットの演奏にはじめて接し、あまりの巧さと美しさにショックを受けて以来、かれらの演奏を注視し、追いかけてきた。古典もジャズも分けへだてなくプログラムでとりあげる新世代カルテットである。 技術レヴェルの高さは過去のすべてのカルテットを凌駕する。第一ヴァイオリンはそのカルテットのカラーを左右するものだけれど、コロンベは過去のズスケや原田やピヒラーなどに勝るとも劣らぬリーダーであるばかりか、テクニックも表現力も至高であろう。いや、コロンベだけではない。ライブ(およびリハーサル)でここまで緊密で完璧なアンサンブルが実現できるカルテットの技量は恐るべきものというほかない。奏者のブレス音が象徴するすさまじい気迫は背筋をブルっとさせずにいないし、音色の美しさは尋常ではない。ときに蠱惑的であり陶酔的でさえある。硬軟あわせもつ表現力の豊かさたるや瞠目するばかりで、全編が歌にあふれ、シルクのような柔らかな肌触りを見せるかとおもうと嵐のような激しさに唖然とする。古くはベルリン四重奏団、東京カルテット、アルバンベルク四重奏団、近年ではゲバヴァントハウス四重奏団やタカーチ四重奏団、ベルチャ四重奏団、ミロ四重奏団などの名演、美演がカタログをにぎわせているけれど、この作品集をここまで再現できた例を寡聞にして知らない。クラシック歴、約半世紀にしてめぐりあった奇跡的な演奏の記録である。 「アラウンド・ザ・ワールド」の副題どおり、ウィーン、東京、パリ、サンパウロ、メルボルンなど世界各地でライブ(およびリハーサル)収録されていながら、会場の差異がわずかに感じられる程度に調整されているのはプロデューサーとエンジニアの功績であろう。左右のスピーカーいっぱいに展開される音場で音像は近め、各奏者の配置は明瞭で、豊かな低域からさわやかな高域までみごとにとらえた録音はじつに美しく、演奏ともども欠点のない最高の全集である。
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リヒターの畢生の大作がこうしてまとめられ、安価で提供されるとは! 少年時代に小遣いを貯めて買った3枚を宝物のように聴き、次がなかなか買えなかった思い出がなつかしい。秋冬の楽しみができました。いまからワクワクしています。
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ワイセンベルクの硬質で宝石のようなピアノの音とキレのある運指とタッチがみごとだ。ことに聞き物は9番だろう。耳の快感である。録音もS/Nよく実に美しい。傑作CDだ。
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こんなに美しいモーツァルトのピアノ協奏曲第17番の演奏を知らない。融通無碍で美の極致のゆくピアノ、しなやかで甘美なウィーン・フィルの音。プレヴィンの最高傑作ではないだろうか。これ以外の演奏を聴く気がしない。聴くたびに幸福感に包まれる希代の名演奏だ。
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颯爽として軽やか。最高の聴きものはなんといってもバレンボイムの自在きまわるピアノだ。どこまでも純粋で透明感あふれる美音で弾かれた夢見るようなモーツァルト。これ以上なにを望むことがあろう。モーツァルトを実感し、その音楽がますます好きになることうけあい。やっぱりバレンボイムは最高!
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ハイドン作品の豊かさと美しさが懐かしい楽器の響きの中からたちのぼってきます。こんな美しく素敵な演奏がこの破格値で買えるなんて嘘みたい。録音も申し分ない。すばらしいの一言に尽きますね
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安いからと買ってしまったが失敗。音のよさはともかく、演奏自体となると、とても最後まで聴きとおせない。考えさせられる商品だ。
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