あい・らぶ・かり・いな・さまたぁ~いむ! トークボックスを効果的に用いたメロウかつファンキーなウェッサイ・サウンドとメロディーメイカーとしての絶妙なセンスを武器に、チカーノ界隈を中心に多くの作品を手掛けているフィンガズは、冒頭のフレーズで知られるロスコーのビッグ・ヒット“I Love Cali(In The Summertime)”で日本でも注目されはじめ、さらにリル・ロブやMrカポーン・E、ブラウン・ボーイといった人気チカーノ・アクトのプロデュースでその名を上げたプロデューサー/トークボクサーだ。2007年に初のオリジナル・アルバム『The Late Night Hype Vol. 1』をリリースして日本で本格的にブレイクすると、2008年には『Brown Connection』なるミックスCDシリーズを始め、フィンガズの名をソウル・ファンにも広めたオールド・ソウルのトークボックス・カヴァー集〈Classics For The O.G.'s〉と先述した〈The Late Night Hype〉の各第2弾、自身の仕事を集めた多様なコンピなど多くの関連作品をリリース。また、このジャンルとしては異例の全米TOP40入りを果たす大ヒットとなったダウンa.k.a.キロの“Lean Like A Cholo”など、本国USにおけるプロデュース・ワークも絶好調でヒットメイカーとしての絶対的なステイタスを築き上げつつある。
そしてこのたびタワレコ先行でリリースされた『The Next Episode』は、日本のファンへのギフト的な趣で作られたスペシャルな作品であり、これまでも彼とのタッグで多くの名曲を生み出してきたロスコーやフロスト、リル・クウェテといった面々との新録/未発表ジョイントを収録したCDと、一昨年、昨年と行われた日本でのツアーの模様をドキュメント調で収めたDVDという2枚組でのリリースだ。特にフィンガズにとって初の映像作品となるDVDサイドには、トークボックス・プレイに思いっきりフォーカスしたライヴ・パフォーマンスも大々的にフィーチャーされている。トークボックス・サウンドを視覚的にも楽しめる仕様になっているのでフィンガズ・ファンならずともチェックすべし、だろう。今年もこの周辺からは目(耳)が離せなさそうだな。
▼2008年にリリースされたフィンガズの作品。