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第89回 ─ トークボックス

連載
Discographic  
公開
2009/05/21   10:00
更新
2009/05/21   17:42
ソース
『bounce』 309号(2009/4/25)
テキスト
文/出嶌 孝次、升本 徹

そろそろ太陽が眩しい季節になってきましたね……っていうことで、行楽の計画も楽しげな皆さま、爽やかな朝のクルージングに、物憂い午後のひとときに、艶めかしい夜の○○○に、トークボックスの歌声はいかがでしょう。えっ、夏のモンじゃないのって? いやいや……こんな気持ち良い音楽が溢れているのに、夏まで待たなくてもいいよ!!


  かぁりふぉぉにゃ・らぁ~ぶ!から早15年。すっかり市民権を得た魔法の箱、トークボックス。昨今のミュージック・シーンで多用されているオートチューン≒ロボ声とは、音色の生み出し方からしてまったく異なる。大雑把に言ってしまえば、録音物の修正/加工用ソフトであるオートチューンが比較的容易に使用できるヴォイス・エフェクトなのに比べ、トークボックスはチューブをくわえたプレイヤーの見た目もインパクトがデカいのだが、キーボードやギターで弾いた音色がトークボックスを経由してチューブを通り、口内で共鳴することであの超人的なサウンド、ヴォイスに生まれ変わる、という仕組みもかなり異質。当然それを習得するまでには鍛錬を要し、またプレイヤーにはスキルとセンスも求められるだけに、もはや楽器の一種と言えるのかもしれない。

 もともとトークボックスはジェフ・ベックやピーター・フランプトン、エアロスミス、ボン・ジョヴィらのロック・アクトを中心に、ギターのエフェクターの一種として、まさに効果音的な脇役として使用されてきたのだが、その歌心が一躍クローズアップされるキッカケとなったのが、冒頭のフレーズでも知られる故ロジャー・トラウトマン~ザップの登場だった。トークボックス・ヴォイスを主役とする楽曲を多く放って人気を博したザップ以降、そのサウンドはソウル/ファンク/R&Bシーンに広く浸透してテディ・ライリーらのフォロワーを生み、そしてロジャー自身の参加した2パック“California Love”によってヒップホップ・シーン、とりわけウェッサイ方面では人気が爆発。DJクイックやボスコらが積極的に導入し、やがてフィンガズの登場によって特にチカーノ・ラップ界隈ではトークボックスをフィーチャーした楽曲が多くリリースされるようになった。

 その人気はヨーロッパ方面にも飛び火して、フランスのDJ AK(パス・パス)やドッグ・マスターら遺伝子を継ぐアーティストが現れ、T・ペイン以降のオートチューン人気も相まって、ふたたびそのサウンドに大きな注目が集まっているのだ。本項ではロジャー以降の存在にスポットを当てて、トークボックス・サウンドの魅力を紹介していこう。
(升本 徹)

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