90年代末にアイオワ州から登場し、凶暴極まりないステージングとヘヴィー・ロック/メタル・サウンドで一躍スターダムに駆け上がったスリップノット。以降、メンバー間の不和から一時は解散の危機に追い込まれるも、名実共にレーベルの顔役としてシーンの第一線を爆走し続けている。そんな彼らが4年ぶりとなるニュー・アルバム『All Hope Is Gone』を発表した。長いブランクにも関わらず、本盤は全米チャート1位を獲得。マゴッツ(彼らの熱狂的なファンのこと)は変わらずに新作を渇望していたというわけだ。カオティックさを若干薄めて、歌メロを強調した今作では、コリー・テイラー(ヴォーカル)とジェイムズ・ルート(ギター)が別バンド=ストーン・サワーで展開してきたメロディック・ハード・ロックの影響が反映されている。一方でそれらはメロディーを支えるジョーイ・ジョーディソンの独創的なドラミング──メタリカやコーンとの共演を通じてさらに進化を遂げた──なくして生まれ得なかったものでもあるだろう。ここには各メンバーが培った経験が凝縮されているのだ。
▼スリップノットの作品。