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第86回 ─ ロードランナー

TRIVIUM レーベルの、いやメタル・シーン全体の明日を担う〈将軍〉に震えろ!

連載
Discographic  
公開
2008/10/16   23:00
ソース
『bounce』 303号(2008/9/25)
テキスト
文/宮原 亜矢


  ブレット・フォー・マイ・ヴァレンタイン、アヴェンジド・セヴンフォールドと並び、新世代メタル・シーンを担う存在として注目を集めるフロリダ出身の4人組、トリヴィアム。すでにメタリカやアイアン・メイデンとの共演を経験、今秋にはスレイヤーとツアーを行う彼らは、ロードランナー移籍後に放った2枚のアルバム『Ascendancy』『The Crusade』でブレイクし、80年代メタルを継承する伝統的な音楽性と卓越したテクニックで幅広い年齢層のメタル・ファンに一目置かれている。

 ツアー三昧の日々を経て、このたび約2年ぶりとなるニュー・アルバムがリリースされたわけだが、まず『Shogun』というタイトルにビックリ。ズバリ〈将軍〉である。邦題ではなく、世界中にこの表題が響き渡るのだ。加えて、本作に先駆けて24時間限定で配信され、約3万人が無料ダウンロードしたシングル名も“Kirisute Gomen”……〈斬り捨て御免〉ときた! これは母親が山口県は岩国市出身という、日本人の血が流れるマシュー・キーフィ(ヴォーカル/ギター)ならではのこだわりなのだろう。

「確か2度目の来日時だったと思う。いっしょに日本に来ていた母親と観光バスに乗ったんだ。その時に、〈将軍〉という言葉が国を統一した者を言い表しているって聞いてさ。とても勇壮でパワフルだなって思った。それに音の響きもいいしね。ただ、その時は前作『The Crusade』を出したばかりだったこともあり、アルバムのタイトルに使うなんて思ってなかったけど、今回のアルバム用に作った曲が〈将軍〉に対して感じた印象と同じだったんだ。で、他のメンバーに提案したら、賛成してくれた。俺は神話や歴史が好きで、縁のある日本の歴史には特に興味がある。それを作品にも反映したかったんだよね。あとは、日本のファンにも繋がりを持ってもらえるんじゃないかと思ってね」。

 大平原での合戦が眼前に浮かぶかのような表題曲を含め、壮観な一大絵巻を表現する相応しい作品タイトルだと実感させられる。ただ、それ以上に〈国を統一した者〉というよりも、〈さらなる頂上をめざそうという意志を宣告する者〉のように感じたのが……。

「そのとおり! マシューが13歳、俺が17歳だった99年からバンドをやっているけど、俺たちは常に最高をめざしてきた。〈前よりももっともっと〉ってね。そうやって進化してきたんだ。この時点で新作が最高傑作。まぁ、それはずっと更新されていくんだけどね」(トラヴィス・スミス、ドラムス)。

 彼らの戦いはどうやらまだ始まったばかりのようだ。

▼トリヴィアムの作品を紹介。

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