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第83回 ─ ウェッサイ・クルージング

FOESUM 最高のクルージングを約束してくれる、ロングビーチの重鎮トリオ!!

連載
Discographic  
公開
2008/08/21   20:00
ソース
『bounce』 301号(2008/7/25)
テキスト
文/升本 徹


〈ロングビーチの伝説〉なんて仰々しい言い回しは、彼らの繰り出す心地良いサウンドには少々似つかわしくないかもしれないが……96年に名盤の誉れ高いアルバム『Perfection』でデビューして以降、トレンドの移り変わりが激しいヒップホップ・シーンにおいて頑固なまでに己のスタイルを貫き続け、いまなおマイペースな活動を継続しているロングビーチ・ヒップホップの重鎮グループ、それがフォーサムだ。

「こちらの言うことを理解しないレコード会社とのトラブルなんかで大変な頃もあったけど、音楽活動をやめようとは思わなかったね。そんな時はファンからのコンタクトに励まされたよ。Gファンクが俺たちのスタイルだし、いま誰が流行っているからソレ風に、なんてことはしないぜ。俺たちはGファンクを続けていて、みんながそれを気に入ってくれているんだからな」。

 そう語るのはメンバーのT・ダブだ。かつてはスヌープ・ドッグも構成員だったとされるクルー=パーフェクションを母体とするフォーサムは、T・ダブの言葉にもあるようにGファンク・スタイルをベースとしている。〈レイドバック〉〈クルージング〉なんて言葉がストレートに頭に浮かんでくるような、西海岸ヒップホップ・サウンドの伝統をいまでも迷いなく守っている彼らは、間違いなくかの地の伝説的な存在なのだ。現在ではグループみずからパーフェクションというインディー・レーベルを立ち上げ、自身たちの作品だけに留まらずクルー周辺や地元アーティストのフックアップにも尽力している。それゆえに彼らは、スヌープやDPGと並ぶロングビーチの代表として、シーン内でリスペクトを集め続けているのだろう。そんなストイックな気質と永久不変なウェッサイ・サウンドに魅了されるファンは本国だけでなくヨーロッパ、そしてわが国にも多く存在する。そしてこのたび日本独自企画盤『Still Runnin' Game : Best Mellow Collection』がリリースされた。これがまた彼らの魅力を集約した決定盤になっているのだ!  

 彼らの作品群の中でも、日本独自の視(聴)点で〈メロウ〉なサウンドにフォーカスしてコンパイルされた本作は、DJグレイズのソロ作『Ultimate Collaborations』からも選曲されたり、彼らと親交が深くアルバム中での共演歴もあるDS455のDJ PMXによるリミックスが収録されていたり……と随所にこだわりを感じさせ、単なる寄せ集めの編集盤として括ることはできない内容になっている。インディー流通ということもあって、入手困難なブツも多いフォーサム周辺作品だけに、新しいウェッサイ・ファンにとっては今回の編集盤がマスターピースとして後世に伝えられていく一枚になるだろう。ウェッサイ初心者や未体験者はこの機会にぜひ!

▼関連盤を紹介。


フォーサムの最新オリジナル・アルバムとなる2005年作『U Heard Of Us』(The Perfection)