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第83回 ─ ウェッサイ・クルージング

第83回 ─ ウェッサイ・クルージング(3)

連載
Discographic  
公開
2008/08/21   20:00
ソース
『bounce』 301号(2008/7/25)
テキスト
文/DGノックアウト

WESTSIDE CONNECTION 『Bow Down』 Priority(1996)
序文で触れたアイス・キューブの怒りユニットがこれ。仲間のWCとマック10も眉間に縦皺を寄せて吠えまくりさ! ただ、そんなコワモテでも音楽としては非常にスムースで楽しませてくれるのがウェッサイの良いところだね。こんなジャケでもメロウ曲はしっかり用意されてる!


SOUTH CENTRAL CARTEL 『All Day Everyday』 GWK/Def Jam(1997)
現在もサウス・セントラルで活動する20年選手チームだが、ひとつのピークが本作にあったのは誰もが認めざるを得ないだろうよ。贅沢にソウルのネタ使いを凝らし、ストリート感たっぷりのラップに甘~いLVのヴォーカルをトッピング……いますぐ聴いてみな!


N2DEEP 『The Golden State』 40 Ounce(1997)
ベイエリアのヴァレホから登場した大物チカーノ・デュオのヒット作だ。片割れのジェイ・ティーは現在も活躍中だが、ザップなどのファンク曲を楽しく引用する術はこの頃に培われたんだな。本作には準メンバー的な位置付けで、この後ブレイクするベイビー・バッシュも参加してるぜ!

TQ 『They Never Saw Me Coming』 Epic(1998)
ウェッサイ・シーンではラッパーもシンガーも同じスタンスで活動することが多いんだが、TQはまさに〈歌うギャングスタ・ラッパー〉ってとこかな。この初作からは地元愛を情感たっぷりに歌い上げた“Westside”が大ヒット。狂おしいほどの哀愁に胸がギュッとなるね……。

WARREN G 『I Want It All』 G Funk/Restless(1999)
義兄のドレーとは違う方向から自己流のAOR的なGファンクを作り出した才人だ。この3作目はどこを切っても完成度の高いメロウ・チューンしか出てこない驚異の名盤で、ウェッサイ復権を印象付けたんだ。デバージ“I Like It”をこれ以上ないほどスムースに響かせた表題曲で悶死せよ!

DJ QUIK 『Balance & Options』 Profile/Arista(2000)
スヌープの最新作でも腕を振るっていたグルーヴ・マスターの最高傑作がこちら。トニ・トニ・トニあたりにも通じる艶やかな生音使いに、エロくて柔和な高音のラップ、さらにはトークボックスまで使いこなすんだから……この甘味王ぶりには酔わされるしかないだろ!


CHICO & COOLWADDA 『Wild 'N Tha West』 MCA(2001)
ドレーの弟子だったグローヴが見い出したデュオ。イヴリン“シャンペン”キング使いでネイト・ドッグが歌いまくる軽快な“High Come Down”、ミニー・リパートンを声ごとベタ使いした反則悶絶メロウな“Inside My Love”などの名曲揃いだし、クルマに標準装備すべきだね。

DAZ DILLINGER 『This Is The Life I Lead』 DPG(2002)
クラシック! スヌープやコラプトらの仲間から距離を置かれていた時期のダズがほぼ独力で作り上げた別格の逸品だぞ。ボトムを現代的にアップデートしながら、Gファンクとしての快楽性を格段にアップさせる手腕の凄さといったら……まずは“Keep It Gangsta”を流して街へ出ろ!