MR. CAPONE-E 『Dedicated 2 The Oldies』 Hi Power(2003)
もはや定着した感すらある日本のチカーノ・ラップ熱は、本作をきっかけに始まったんじゃねえか? ドゥワップやチカーノ・ソウルなどへの敬意をGマナーの楽曲と具体的に融合する大胆なアイデアも素晴らしく、甘く切なくやるせない大名曲の連打で骨抜きにされちまうぜ。
KNOC-TURN'AL 『The Way I Am』 Elektra(2004)
ドレーがエミネムの次にブレイクさせるはずだった(?)超リラクシン・フロウのラッパーだ。不幸な音源流出を経て登場した本作は、大ヒットには至らなかったものの、新世代ならではの歌うようなマイク捌きが病みつきになる! いま聴けばチンギーあたりとの共振性も感じられるな。
FINGAZZ 『Classics For The O.G.'s Volume 1』 Eastside(2005)
チカーノ・ラップに軸足を置きつつ、プロデューサー/トークボクサーとして幅広いフィールドに進出しているフィンガズ。これはアル・グリーンらのソウル名曲を全編トークボックスでカヴァーしたヤバすぎる一枚で、夕暮れ時が似合うエロい風情が醸されているね。
THE GAME 『The Documentary』 G Unit/Aftermath/Interscope(2005)
ウェッサイに新時代到来を告げたエースのメジャー・デビュー作だ。東海岸モノからも巧みにアイデアを採り入れ、ドレーの手掛けたハイブリッド・ビートとガッチリ融合。当時は〈西っぽくねえな~〉と思ったけど、やっぱりウェッサイの薫りは濃厚だよな。
ROSCOE 『I Luv Cali』 Streetlight/SMC(2006)
コラプトの弟で、ウェッサイ・アンセムとなった“I Love Cali(In The Summertime)”で知られるロスコー。このソロ2作目では全編のプロデュースをフィンガズに委ね、甘酸っぱさが込み上げてくるようなビートに乗せて色気のある語り口を聴かせる。曲名はアレだが、“Sex Buddy”が最高!
『COAST II COAST 02』 HOOD SOUND /ユニバーサル(2008)
日本全国に存在するご当地ウェッサイ(?)アーティストをDS455がピックする形で作り上げたコンピ。今後の青田買いにも参考になるな。いまや本場のウェッサイ以上に多様なカラーを備えたアクトが各々の活動を繰り広げている……そんな状況はオレらも誇るべきものだぜ!
NORTH COAST BAD BOYZ 『ANALOG』 DIG DA GOOD I.M.C.(2008)
最後はウェッサイ流儀を個性的に発展させている札幌の彼らを挙げておくぜ。定番のメロウものも男気ファンクもガッチリ披露し、トークボックス・レゲエなんて独自色まで見せてくるんだから凄いよ。これは劇的な曲を選りすぐった一枚で初心者にもオススメだね。