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第139回 ─ 映画「コントロール」から振り返る、ジョイ・ディヴィジョンの軌跡

ジョイ・ディヴィジョンを知るための必要不可欠盤

連載
360°
公開
2008/03/27   14:00
更新
2008/03/27   18:07
ソース
『bounce』 297号(2008/3/25)
テキスト
文/ヤマダ ナオヒロ

『Unknown Pleasures』 Factory/London/ワーナー(1979)
歴史的初作。“Disorder”や“Interzone”あたりの冷徹なストゥージズ風ナンバーからは、パンク直結の衝動をまだまだ感じさせる。が、“She's Lost Control”で見せる突出した陰鬱のダンス・ビートは、荒々しいパンクとはあきらかに異質の黒い輝きを放つもの。それは以降の音楽シーンで花開くゴス/ポスト・パンク・サウンドの原石だといえよう。

『Closer』 Factory/London/ワーナー(1980)
イアンの自殺後に発表された2作目。荒々しさが削ぎ落とされ、多彩なビートとシンセによる色付けが増した楽曲群は、ダークでダンサブルなポスト・パンクとして完全に確立。鋭利に研ぎ澄まされたイアンの暗黒歌唱も、まるで終焉に向けて一直線であるかの如く不気味に冴え渡る。発表から30年近くを経た現在も冷ややかな漆黒の煌きを放ち続ける名盤だ。

『Still』 Factory/London/ワーナー(1981)
悲劇の結末から1年半後に登場した、未発表デモ+80年5月のライヴを収めた編集盤。ワルシャワ時代からの性急ナンバー“Ice Age”や、ナイン・インチ・ネイルズも取り上げた“Dead Souls”など裏名曲を網羅しているデモ・トラック群はもちろん、自殺直前のイアンの鬼気迫るライヴ音源も必聴。前2作のみでは捉えられないバンドの輪郭は、本作でより明確になる。