過激かつスタイリッシュな視覚表現で、つねに世界の注目を浴びてきたグラフィック・デザイナー、田名網敬一。最近ではスーパーカーのアートワークでも話題になったこのリヴィング・レジェンドが、アニメーション作家、相原信洋とコラボレートした2
枚組DVD『SCRAP DIARY＋ANIMACTIONS!!』を緊急リリース! 今回は、〈ANIMACTIONS!!〉を監修した〈21世紀のメディア異常者〉、宇川直宏との濃密対談をたっぷりお届けします!!
──まず「SCRAP DIARY」についてなんですが、以前にも相原さんとはコラボレーションをされています。2人でやろうと思ったキッカケは何だったんですか？
（写真左より）田名網敬一、宇川直宏
田名網「学校（京都造形芸術大学）でしょっちゅう顔あわせるしね、彼はアニメーションの専門家だからアニメーションの話もよくするんですよ。それで往復書簡みたいな形式で何かやろうってことになったんです。往復書簡ってホラ、文学作品はもちろん、寺山修司さんが亡くなるまで谷川俊太郎さんとビデオで往復書簡をされていたこともあったりしたけど、アニメの往復書簡ってのはあまりないでしょ。だからやってみようか、ってことになったんです」
──実際の作業はどんなふうに進めていったんですか？
田名網「往復書簡だからね、前もってどんな風にするかなんてことをお互い話してたらおもしろくないわけですよ。だから、僕がまず〈こういうものをやりたい〉っていうメッセージを相原君の机の上に置いておく。そうすると、次の日にはそのメッセージに彼が書き込みをして、それが僕の机に置いてある。そういうやりとりが2、3か月続くともの凄い量の書き込みがたまって、それがそのままシナリオ～原画みたいになっちゃうんです」
──自分が最初に描いていたイメージからどんどん変化していくわけですね。
「SCRAP DIARY」映像より
田名網「そうそう。文学者の往復書簡だったら相手の手紙に加筆することなんてできないじゃないですか。それができるのが映像のおもしろいところでしょうね。例えば相手が描いたものを消したり、さらにそこに手を加えて返すとする。そうするとまたそれを消して元通りにしてきたりするわけです（笑）。そういうやりとりが、まさに
〈アニメーション・バトル〉なんです。最初は〈バトル〉っていうイメージでもなかったんですけど、消したり描いたりしているうちに段々とね」
──それってまさに、互いの感情のやりとりがアニメを通じて伝わってくるようですね。
田名網「そう。すごくオモシロイと同時に、2人で作っていく意味がそこで明確になっていくんです。それはもう驚きの連続ですよ。だって裸を描いてたら向こうが服を着せたりね（笑）。僕が表そうとしていたものが、そこでなくなってしまうわけじゃない。だから結局、僕と相原君みたいに信頼関係がないと途中でダメになっちゃうと思う。だって自分が描いたものを直されたりするのってヤじゃない。コノヤロー!って思ったりさ。だから昨日今日知り合った者同士じゃうまくいかないと思うね」
▼ 「SCRAPDIARY+ANIMACTIONS!!」と田名網敬一の作品をご紹介
