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第10回 ─ 70'sフュージョン

70'sフュージョン名盤選――あなたはどちらのお味がお好き?

連載
Discographic  
公開
2003/02/20   16:00
更新
2003/04/09   12:48
ソース
『bounce』 239号(2002/12/25)
テキスト
文/今村 健一、西岡 孝倫、松沢 康晴、吉村 健

STUFF 『Stuff』 Warner Bros.(1976)
「俺たち6人が集まればNY中のスタジオは開店休業状態さ」――当時そう話していたというファースト・コールのミュージシャンたちが、スタジオワークのうっぷんを晴らすために毎夜行っていたギグをきっかけにして結成されたスタッフ。今作は人間味溢れるファースト・アルバム。(松沢)

BOB JAMES 『One』 Blue Thumb/GRP(1974)
ヒップホップにおけるサンプリング・ネタの宝庫としても有名なボブ・ジェイムスの作品。透明感溢れるピアノの音色、クラシックやR&Bなどの要素も入り混じった幅広い音楽性。DJシャドウやビースティー・ボーイズがネタにしたフュージョンって? そんなアナタもぜひ。(吉村)

QUINCY JONES 『Sounds...And Stuff Like That!!』 A&M(1978)
クインシーのA&M時代の最高傑作といえばこれ。彼の思い描いたサウンドを実現させるため、全曲のリズム・セクションをスタッフが担当。曲ごとにヴォーカリストやソリストを変えるも、非常に統一感のとれた極上のポップス・アルバムに仕上がっている。(松沢)

RICHARD TEE 『Strokin'』 ビクター(1979)
ファンキー・ピアノの代名詞、リチャード・ティーのソロ・デビュー作にして最高傑作。スティーヴ・ガッド、チャック・レイニーなど気の合う仲間たちとのリラックスしたセッション、ガッドとのデュオ曲“Take The A Train”も凄いが、その他もメロディアスな名曲揃い。(松沢)

ROY AYERS UBIQUITY 『Mystic Voyage』 Polydor(1975)
照りつける真夏の日射し、灼熱のアスファルト、寝苦しい夜に窓の隙間から入り込んでくる生ぬるい風……。彼らの音楽が持つファンクネス&メロウネスにはそんな光景を喚起させる生々しさがある。血沸き肉踊るグルーヴと究極のメロウに彩られた一枚。(吉村)

RONNIE LAWS 『Pressure Sensitive』 Blue Note(1975)
ポップ・センス溢れるサックス奏者、ロニー・ロウズによる本作は、メンバーにクルセイダーズを迎え、心地良いグルーヴが聴くものの体をひたすら揺らし続けるような一枚。インコグニートがカヴァ-したことでも知られる“Always There”を収録。(西岡)

NOEL POINTER 『Phantazia』 Blue Note(1977)
アール・クルーをプロデュースしたデイヴ・グルーシンが次なるアコースティック・フュージョン路線としてデビューさせたのが、ヴァイオリン奏者のノエル・ポインター。ア-ル・クル-のほか、当時の精鋭たちをバックに迎えて、美しく爽快なヴァイオリンの音色を響かせる。(西岡)

CORNELL DUPREE 『Teasin'』 Atlantic(1973)
R&B系ミュージシャンのバックで歌心溢れるプレイを披露してきたコーネル・デュプリーのソロ・アルバムは、後にスタッフを結成する面々と繰り広げられるファンキー&ブルージーなセッション。よく歌うギター、レイドバックした雰囲気がたまらなく心地良い。(吉村)

深町純&ニューヨーク・オールスターズ 『ライヴ』 Roving Spirits(1978)
キーボード奏者、深町純がリチャード・ティーやブレッカー・ブラザーズなど、NYの超一流ミュージシャンたちを迎えた東京でのライヴを収めた一枚。70年代フュージョンの集大成ともいえる魅惑的な演奏がこれでもか!というほど繰り広げられる。(西岡)

JEFF LORBER 『The Definitive Collection』 Arista
キーボード奏者であるジェフ・ローバーが、アグレッシヴなフュージョンを作り出していたアリスタ時代の音源を集めたベスト盤。スムース系で人気の現在も悪くはないけれど、作品の質やフュージョン特有のパッションという点で比べればこの時期が文句なしにベスト!!(西岡)

笠井紀美子 『Butterfly』 ソニー(1979)
日本ジャズ・ヴォーカル界の第一人者的存在である笠井紀美子が、ハービー・ハンコックの名曲たちに歌詞を付けて歌ったアルバム。クラブ・シーンでも再評価されたこの盤、ハービー本人の参加でバックの演奏は強力。エレピ煌めく“I Thought It Was You”は永遠の名曲。(吉村)