今回のSKETCH SHOWのアルバムには細野晴臣、高橋幸宏の2人のベテランがちょっとルーツを振り返る(Return)ことで新生を思案する姿が見え隠れしている。たとえば“Flying George”はジョージ・ハリソンに対する、“Wilson”はブライアン・ウィルソンに対する二人の敬愛が、これまでにないほどはっきりと。“Wilson”で聴ける、〈教えてよ、ウィルソン/夢ばかり見てないで〉なんてフレーズには泣けてくる。サークル“Turn Down Day”のカヴァーなんてのも、そのフォーキーなテイストとタイトルに含まれた〈TURN〉という言葉が印象的。また“Gokigen ikaga 1,2,3”のミニマルでファンキーなリズムに耳を傾けた時、思い出すのが二人の出会い。学生時代に軽井沢のダンパでそれぞれのアマチュア・バンドが対バンしたのが始まりというが、その時、高橋のバンドが演奏していたのが、スライ&ザ・ファミリーストーン“Dance To The Music”(!)で、そこに細野は共通のセンスを感じたとか。以来ウン十年、2人はこの先にどんな風景を見ているのだろうか。