カスタマーズボイス一覧

モーツァルト:交響曲 第24番/第25番/第26番 第27番/第32番 / ネヴィル・マリナー

モーツァルトは深い川のようで恐ろしい。表面上は優雅に流れているのに、その底にはすべてを引きずり込むようなデーモンがある。そのように考える私にはマリナーの演奏は物足りない。そこを考えずに聞くなら爽快で清潔だが…どんな録音を聴いても、マリナーには心揺さぶる一番大事な何かが欠けているような気がしてならない。

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タスマニアさんが書いたカスタマーズボイス

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(全44件)

オケの上手さや造形美を求める方はこのセットは手に取らない方が良い。
今、心が凍りついている人よ。このCDセットをお求めになられよ。
あなたの凍り付いてしまった魂を、シェルヘンとベートーヴェンが溶かしてくれることだろう。
何をベートーヴェンに求めるのか。このセットはその答えを見つける一つの重要な指針だ。
尚、付け加えると録音状態は非常に良い。当時の優秀録音と言って良い。

祖国への愛、などどと言うときな臭くて何だかなと思う。それでもこの共感に満ちた美しい演奏はそれ無くしては紡ぎだされる事のなかった音だ。そう何度も聞く事の出来ない特別な演奏の一つ。
アンチェルの波乱に満ちた生涯を思うと、この美しさ・益荒男ぶりに心が正される思いがする。

ブリュッヘンの演奏を聞いていると、カザルスの指揮を思い出す。彫刻のように音符を「刻み付ける」ような感覚。どちらも個のプレイヤーとして誰にもまねの出来ない境地に達した偉大な「個」を持った演奏家であった。意志、鳴り、男性的な音符の刻印。なぜだかそんな点が共通しているように思う。1番はそういった良さが特に出ている。

理由は不明だがこの盤はすぐに廃盤になった。もしこの盤を中古で見つけた方がいたら手に入れる事をお薦めする。驚異的な復刻。新鮮で瑞々しく鮮明だ。これで味をしめた私はGSを含めた復刻物を何枚か買ったが、遂にこの盤を超える様な復刻には出会えなかった。平林さんに再販をお願いしたい。

ナチに愛娘とヨーロッパを奪われたワルター。病に未来を奪われたシューベルト。だが両巨匠共に不屈だった。この盤に刻まれた音を聞くと晩年まで両巨匠共に(誤解を恐れずに言うなら)精進の道を歩んでいたのだとわかる。彼岸の風から訣別したシューベルト。慈愛ですべてを包んだワルター。両巨匠今頃天国で談笑しているのでは。

前を向いて歩いていくシューベルトだ。哀しみを胸にしまって歩くからこそにじみ出る哀しみもあるのだと思う。何より音楽の愉悦があふれ出て、シューベルトが少し微笑んでいるような気さえする。ガーディナーらしい先鋭なアタックをウィーンフィルの美音が包みこんで、この長大な曲を見通しよく洗練された形で私たちの耳に届けてくれる。

素晴らしい生命力に満ちた演奏で朝比奈氏の隠れた名盤。荒れ狂った爆演と言えるほどパンチのある演奏。この時期にシベリウスの全集を作って欲しかったと思うのは私だけだろうか。異端の力強いシベリウスが出来たに違いない。タワーさんいつかこの大演奏、復刻してください。

SPからの復刻。元々EMIの録音が良くない為、見違えるような音の復刻とはならなかった。だが…とても誠実な復刻で、丹念に低音を拾い実に重厚な全体像を作りあげている。蔵さんの復刻は鮮明さや広がりよりも、自然で力強さを前面に出すものが個人的には多いと感じる。

こんなに素晴らしい演奏がずっと廃盤とは…バルビローリの愛が隅々にまで満ちた心温まるマーラー。ポルタメントも多用され表情たっぷり。どこもかしこもバルビローリの歌と愛に満ちている!併録のパーセルもあきれるほど美しい。ハレOほど愛に満ちたオケはなかなかあるまい。ダットンも入魂のリマスタリング

マーキュリーの録音は本当に凄い。奥行きは狭いが、音が拡散せずに凝縮され、目には見えない音が掴めそうなほどだ。パレーの指揮も明快、知的なのに生命力が迸る。ただ1番に春のイメージを求める私には、春の大気がたゆたうような繊細さが欲しいと思った。アポロ的な明快さを第1とする人にはこれ以上の名盤はないと思います。

先日LSOとの5番が復刻されティントナーの波乱に満ちた生涯に想いをはせた。この全集は最初NZSOが反抗的でSNOが手を差しのべたらしい。病魔との戦い。そして漸く晩年にこの全集で成功するも病苦が彼を鬼籍に…演奏は虚飾ない人柄そのものの演奏。3番1番次いで2番6番をよく聞く。この全集を聞きながらポストや富ばかりが成功ではないと思った。

タワーさん×テスタメントとくると、ボールト指揮のブライアン交響曲第1番を思い出します。タワーさんの復刻物や初CD化には「志」がある!クラシックにもっと活気を取り戻そう、良質な演奏を良心的な値段で楽しんでもらおうという志が。試みに考えてみて下さい。タワーさんの復刻がなくなったら?随分寂しくないですか?ティントナーの全集中、5番は物足りない出来だった。この盤がその渇を少しでも癒す物である事を願います。

タワーさんの復刻にはいつも感謝。クナのブル8。何故長い間廃盤なのか不思議でした。良質な復刻といわれたビクターの(ユニバーサルではなく)音源をリマスタという事で音質も楽しみ。ジャケットはやはりこれでしょう。(緑色のジャケットは違和感が…) 解説も福島さん、ベト序曲のおまけもあり。永久保存盤決定です!

無駄のない切り詰めた造型だがニュアンスやテンポが刻々変化し飽きさせない。感傷抜きの早いテンポなのに豊かな感情がそこかしこからにじみ出る。鋭い金管、いぶしたような弦。硬派で辛口な演奏だ。私は演奏の良さがわかるまで時間を要した。練達のリスナーなら一聴名演と判断なさるだろう。

ブルックナーよりマゼールの人生を聴く1枚。7番は「起死回生の大ホームラン」「マゼールに一体何が起こったのか」と評論家に言わしめた清澄な演奏。8番はBPOを存分に鳴らした「らしい」演奏。巨匠的な7番枠にはまらぬ8番。どちらもできて尚、彼は自分らしさを生きたのだ。7番8番組になってこそマゼールの誤解がとける素晴らしい企画

死を予感していたであろうフリッチャイの思いが、切実に音化されている。現実の酷薄さを思わせる青白い冷たい炎と、過ぎさった暖かい日を思わせる赤い生命の炎が交互にあらわれては消えていく。

第9が生命力に満ちた名演。堂々とした風格もあり巨匠時代の名演が好きな私にも安心して聞けた。ハイドンが得意なラトルだけあり、1番もなめらかで知的な心地よさがある。運命はアグレッシブな解釈で迫力がある。他Noはラトルの目指す所からは遠いと感じた。

何ともカラフルでスタイリッシュな演奏。強奏部の狂暴さ、テンポの快適さ、オケの名技。聞いていて痛快この上ない。この上ないが、多少派手すぎないか。内面を見つめる深い眼差しはこの演奏にはない。何か違うと首を傾げてしまう。

この未完成は知る人ぞ知る名盤では。地の底からわき上がってくる死への恐怖、彼岸の世界への甘美な憧れ…引き裂かれそうなシューベルトの魂をリアルにあぶり出している。やはりベームはライブの人。スタジオ録音を基準とした最近のベームの低評価が苦々しい。

一見何の特徴もないようでいて、きちんと耳をすませば熱い演奏。ゴリゴリ弦が弾いていて、ためや絶妙な間合いが凄味を感じさせる。落ち着いたオケの音色もショスタコーヴィチにふさわしい。派手すぎると喧騒が過ぎたり、悲しみがパロディに聞こえたりしてしまう。極めて真面目。質実剛健な演奏といえるだろう。ただ真面目すぎ、この阿鼻叫喚の世界を描ききるにもう一つ食い足りないものを感じた。

巧者都響。しかし私にはいつも自由な芸術家集団というより優秀なサラリーマン集団の音楽に聞こえる。このディスクに聞かれる熱さも、芯から沸き上がってくる熱さではなく、最後まで押し込めた感情が開放されないもどかしい熱さだ。もっとアンサンブルが整っていなくても、心に残る何かが欲しかった。録音が悪いのかもしれない。また、朝比奈氏と大阪POではもっと音が開放されている。

この録音がケルテスのデビューだったとは彼の実力に舌を巻く。彼が早世しなければとは良く言われることだが、この一枚が彼の最後の録音といわれても納得できるほど完成された逸品。・60年代のWPO・デッか黄金期のサウンドもポイント。

リパッティがこの日どんなに重い症状だったか、クラシックの名盤ー演奏家編(文春新書)で福島氏が詳しく述べている。ここになる音は気高く高貴な精神の音だ。リパッティの症状を考えると本当に信じられない。私は病に苦しんだ時、この盤に生きる勇気を与えられた。精神の輝きは肉体を越えるのだ。月並みだが命の尊さに改めて思い至る1枚。人類の遺産と言いたい。

第2楽章が美しい残響に消え入るように終わると奇しくも鐘の音が聞こえてくる。心一杯の名演を響かせる大poと朝比奈を神が祝福したとする感想に私も同意。記録によれば第1楽章が終わった時拍手がわき起こったという。奏者、聴衆双方の感激が伝わってくる臨場感のある名録音。生の感動、芸術の美、神の恩寵…あらゆる感動がこの演奏から伝わってくる。レコード史に残る絶美の奇跡的な名演。

常ながらの辛口。聞きながらもっと歌って欲しいと思う事も一度や二度ではなかった。所で7番は個人的に8番程の魅力を感じていなかったが、この盤に出会い7番の良さに開眼。7番の第1楽章は今まで何だか掴み所がなかった。だがダンディズムとでもいおうか…ボヘミアの郷愁に背を向けた辛口さが曲に確かな骨格を与えている。逆に8番がつまらなく聞こえる程。7番なんて…と思っている人にこそ聞いて頂きたい。

クリュイタンスとは正反対。ほの暗く、柔らかでドイツ的な低い重心から描かれるアルルの女。荘長だが不思議と重たすぎることはない。レーグナーは本当に聞かせ上手。たくさん小品を録音してほしかった。

クレスト1000の中から選抜されブルースペックとして登場したCDこそ廉価盤最高峰。ジャケの質感、録音場所、エンジニアの明記。非常に丁寧である。録音のクオリティも当然高い。インバルの繊細で知的な、そのくせ微かに弦が粘りをおびた官能的な響きを良く捉えている。マッシブに鳴る所も余裕で鳴る。日本コロムビアさんの誠実な企業努力に心からの賞賛を贈りたい。

39番は間違えて英雄をかけたか?と思ったほど雄大に始まる。さすがに全楽章を通すと朝比奈のスタイルとモーツァルトが合致しない場面も出てくるが、不思議と透明感があり時折取りだして聞きたくなる。ラインは朝比奈が完全に音楽を手中におさめた大演奏。懐深く、最終楽章には特に勇気づけられる。朝比奈氏はオプティミストだったのではないだろうか。音に人を勇気づけるものが宿っている。

ルービンシュタインのタッチには心を安定させてくれる何かがある。「オプティミスト。愉悦の心から音楽が湧き出る」という評を読んだが、まさに。燦然と煌めくタッチから人生を肯定する音楽がスピーカーから流れてくる。評論家の柴田氏が「年をとることは怖いことだろうか」とルービンシュタインの演奏を評されていた。疲れた時にはこの録音を聞いて一生青春!と私は思うのです。伴奏も温かで彫りが深く、皇帝にぴったり。

マタチッチのライブは凄かったらしいが、CDに残されたライブものはその良さをまるで伝えてないように私には思われる。本盤はライブではないが、マタチッチの素晴らしさはこの盤にこそ刻みこまれていると言いたくなるような名演。まずもって録音が素晴らしい。アナログの温かみが存分に感じられる名録音!深々と良く歌い、深い心の声が全編に鳴り響いている。

クールでありながら温かく、クリアでありながら素朴さを失わず、明晰でありながらも奥深い…相反する要素が何の矛盾もなく併存し、深い祈りのようなブルックナーが現出している。ヴァントはインタビューで「最後は神にまかせるしかない。これは笑うことではありません」と言っているが、神様がおりてきた、そんなふうに言いたくなるような神々しい演奏。BPOがヴァントを尊敬しているんだなとわかる演奏をしています。

曲のよさに★5つです。クチャルの指揮は曲の紹介に充分なものの、NAXOS初期らしい個性のない演奏(★★★)それにしても素晴らしいメロディだ。次から次へと作曲者の夢が駆け巡る。貧困のうちに早死にしてしまったカリンニコフ。嗚呼!現実もこの曲の様に楽しいものであったら良かったのに。ところでこんなに良い曲なのに録音が少ない。もっと聞かれてしかるべき曲。

モーツァルトは深い川のようで恐ろしい。表面上は優雅に流れているのに、その底にはすべてを引きずり込むようなデーモンがある。そのように考える私にはマリナーの演奏は物足りない。そこを考えずに聞くなら爽快で清潔だが…どんな録音を聴いても、マリナーには心揺さぶる一番大事な何かが欠けているような気がしてならない。

真っ暗な背景に浮かび上がるカルロス。このジャケット通りの演奏。勝利などない。漆黒の闇の中を刀一本で切り開く孤独な闘い。名門VPOが必死に弾いている。強烈なドライブ。

浅田彰氏の解説に「この1枚のためにすべてのディスクをなげうっても良い」とある。繰返し何度聴いても深く、重い感動におそわれる。失恋した人は聞かない方が良い。窓から雪を見ながら聴いているとこれまでの人生の来し方を嫌でも考えさせられてしまう。数あるブラームスの名盤の中でも出色の名盤。

ヴァントのクリスタルな造形とは反対にある昔ながらの花も実もあるブルックナー。ヴァントが新幹線ならヨッフムは鈍行。味わいならこちらが上でしょう。一生をブルックナーに捧げた巨匠ならではの美しく時に凄絶なブルックナー。モーツァルトも麗しき婦人のよう。気品があります。

私が所有するのはTDK盤です。ベームの29番の美しいこと!かけ値なしの5つ星です。優雅なVPOの響きにじっくり浸っていると時の経つのも忘れるほど、ただひたぶるに美音の反乱。「ベームのふるVPOが一番VPOらしい音がする」という小石忠夫氏の文を見たことがあるが、成る程と思う。現今失われた「気品」がここにはあります。

あのベーム/VPO盤が好きな方なら間違いなくこの盤にも感銘を受けると思います。溢れる共感の涙だけが死者の鎮魂になる。そんな熱い思いがこの演奏からは伝わってきます。それにしてもこの時期のジュリーニは柔軟かつ豪快。

優しい慰めに満ち、繊細。慈父の眼差しに見守られる様な心震える絶美の名演。90年代にこんな重厚な練り上げられたドイツの音が残されるなんて…奇跡。心の内面から暖められるような実に暖かい演奏です。多くの人生経験を積んだ老巨匠だからなし得た偉業です。

4番8番10番などは流石の名演。ショスタコーヴィチの皮肉を描くよりも苦悩、絶望、絶叫を真摯に受け止め共感をもって演奏している。ムラヴィンスキーやコンドラシンと並んで後世にこの全集は残っていくのではないか。派手さのないオケの音色も冷えたショスタコの世界観にマッチしている。星5つは私財を投じたバルシャイに敬意を込めて

エルガー交響曲第1番のみ。熱気溢れる名演。エルガー特有の弦楽と管楽がバラバラになる感じをどう処理するかは課題の一つと思いますがデイヴィスとSKDは力業で最後まで聞かせてしまいます。 それにしても、壮大な夕日が沈んでいく様な最初の主題には胸打たれます。最終楽章でその主題が戻り曲がクライマックスに向かう箇所の素晴らしいこと!風雪に耐えたジェントルマンの心の勝利とでもいいましょうか…

オケの響きがいつも通り雑然としているが、パワフルでマッチョな響き。バレンボイム、老いてますます尚盛んなのだ。僕はこのオケが好きだが、バレンボイムの解釈はいささか一本調子。もっと繊細な心理に踏み込んで欲しかった。

ワルター・コンセルトヘボウ・ホロヴィッツに唯一匹敵する怪物的な演奏。ジュリーニが吼えまくって、この青春のあつくるしいまでの純情を歌い上げている。ワイセンベルクは、叙情的な表現力にやや弱いが、立派。この曲には老練な演奏では逆に表現できない青春の迸りがあるように思う。それが感じられるのはこの演奏とワルター・ホロヴィッツ。

どっしりとした四つ相撲。クーベリックのORf盤が好きな方にはお薦めです。 なんというか…音の一つ一つに誠実に向かい合う様がこちらに伝わってきます。

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