毎年12月に東京文化会館小ホールで開催される小林道夫氏のゴルドベルク変奏曲演奏会。昨年2021年の公演は小林氏が体調を崩されて中止となり、この8月に結果的に延期された形て開催される。本CDの演奏は中止となった昨年の前年の演奏であるが、とても端正で真摯な演奏だと思う。最近はピアノによる表情豊かな演奏に接することが多いが、チェンバロでのこの演奏はなつかしい、心が温まるものである。第25変奏もさらりとした感じで人によっては物足りなさを感じるかも知れないが、筆者は、もたれない大変見通しの良い演奏として好印象をもった。
録音も大変鮮明であるが、編集がいただけない。曲間が無音なのである。不気味なまでの無音。ライブ録音を謳っているなら曲間の会場の空気感も演奏の一部として大切にして欲しいと強く感じた。曲目がゴルドベルクならばなおのこと、曲間の間合いも演奏の重要な要素といえる。編集者はセッション録音のような完成品を目指したのかもしれないが、アリア・ダ・カーポの後にはアンコールの曲名紹介をする小林氏の声を収めるためか拍手が収録されており、こうなると一貫性がない。星の減点はこれが理由。願わくば、曲間の会場ノイズをカットしない完全なライブ録音盤を出して欲しいと願う。