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第184回 ─ デバージ・ファミリーの栄光と没落、そして……

ディスクガイド (その1)

連載
360°
公開
2009/08/26   18:00
更新
2009/08/26   18:09
ソース
『bounce』 313号(2009/8/25)
テキスト
文/出嶌 孝次

SWITCH
『The Best Of Switch』
 Motown
年長の2人、ボビー&トミーが中心人物として名を連ねたファンク・グループのベスト盤。ディスコからブラコンへと流れ込む時代の空気感をいっぱいに吸い込んだライトなグルーヴはいま聴いても心地良い。ボビーのペンによる“I Call Your Name”以外にもフレッシュな佳曲が大盛りだ。

DEBARGE
『All This Love』
 Motown(1982)
長兄ボビーが援護したデバージズ名義でのデビュー作に続く2作目。本作から加入したジェイムズが“I'll Never Fall In Love Again”でリードを取るなど個々の見せ場もあるが、全曲のプロデュースを担当したエルのしなやかな美意識が表題曲や“I Like It”など全編を支配している。


DEBARGE
『In A Special Way』
 Motown(1983)
粒揃いのスムースな楽曲がバランス良く並んだ傑作。ほぼエルのソロと化したシンプルで情熱的なバラード“Love Me In A Special Way”など、グループである意味が徐々に失われていく様子も垣間見えてしまう。ただ、自作の“A Dream”でリードを取ったバニーの才も見逃せない。

DEBARGE
『The Definitive Collection』
 Motown
ベストだけは何種類も出バージ。これはバニーのソロやチコの初期ヒット“Talk To Me”も確認できる手軽な定番だ。ずっと廃盤の『Rhythm Of The Night』に収められた“Who's Holding Donna Now”や“The Heart Is Not So Smart”といった甘口路線はAORファンにも推したい爽やかさ。

EL DEBARGE
『Ultimate Collection』
 Hip-O-Select
オリジナル作はすべて廃盤だが……この編集盤はバカラックの書き下ろしを含むスマート路線から自作自演ファンク期、ベイビーフェイスやデュプリとのコラボといったソロ・ステップを一通り網羅。好き勝手にマーヴィン化した“Heart, Mind & Soul”だけでも聴いてほしい。