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第88回 ─ 高橋幸宏

連載
Discographic  
公開
2009/04/02   08:00
更新
2009/04/02   15:28
ソース
『bounce』 308号(2009/3/25)
テキスト
文/岡村 詩野、桑原 シロー、土田 真弓、村尾 泰郎

サディスティック・ミカ・バンド 『黒船』 EMI Music Japan(1974)
世界を熱狂させたクリス・トーマス制作によるこの傑作は、高橋が素晴らしい演奏家だということも証明してみせた。プログレやファンキー調など多彩な楽曲に合わせてスタイリッシュでシャープなドラミングを披露。そのカッコ良さはまったく古びない。
(桑原)

『Saravah!』 キング(1978)
YMOのデビュー前夜にリリースされたソロ1作目。坂本龍一が共同プロデュースを務め、細野晴臣がベースを担当したほか、加藤和彦、山下達郎、高中正義など錚々たる面々が参加した。ヨーロッパをコンセプトにしつつ、ちょっとフェイクなシティー・ポップ・サウンドが心地良い。
(村尾)

イエロー・マジック・オーケストラ 『イエロー・マジック・オーケストラ』 アルファ/ソニー(1978)
シンセを使ったキッチュな音楽を作りたいと考えていた彼の元に届けられたYMO結成話。好奇心を膨らませて新しいテクノロジーに挑戦したのが本デビュー作だ。“中国女”はこのバンドで初めて作曲を手掛けた名曲。
(桑原)

『音楽殺人』 キング(1980)
YMOのブレイク後にリリースされた2枚目のソロ。前作に引き続き坂本龍一が全面参加しているが、サウンド面ではUKニューウェイヴが全開。テクノ・ポップ、スカ、モータウンなど、さまざまなスタイルを詰め込んだポップ玉手箱だ。独特のヴォーカル・スタイルは本作で完成された。
(村尾)

『Neuromantic』 ソニー(1981)
ロンドンと東京での録音。フィル・マンザネラやアンディ・マッケイといった海外からのゲストと渡り合い、前作同様にニューウェイヴ色の濃いビート・ナンバーを連発している。“Drip Dry Eyes”などで放出されるポップなテイストが良い混ざり具合をしているのもミソ。
(桑原)

THE BEATNIKS 『EXITENTIALISM』 バップ(1981)
ムーンライダーズの鈴木慶一と結成したユニットのファースト・アルバム。ビートニク的な文学ロマンと、高橋のクリエイトする強烈なビート、この2つの〈ビート〉が交差した、アヴァンギャルドでアダルト・オリエンテッドな作品に仕上がっている。
(村尾)

『What, Me Worry?』 YEN/ソニー(1982)
ビル・ネルソンやトニー・マンスフィールドらと共に作り出したヨーロッパっぽい雰囲気に、浮遊感溢れる彼の歌声が見事にマッチ。初期の高橋幸宏ワールドが完成を見たアルバムだ。“It's All Too Much”でビートルズ・カヴァーに初挑戦しているのにも注目!
(桑原)

『薔薇色の明日』 YEN/ ソニー(1983)
これまでのカラーを引き継ぎつつ、より日本的なポップスを意識してみせたエポックな作品。“蜉蝣”など日本語詞曲ではダンディーぶりを発揮しているが、それはどこか自己の音楽の成熟を表しているようにも感じられて。とにかくうっとりとするメロディーが詰まっている。
(桑原)

『Wild & Moody』 YEN/ソニー(1984)
前作にあった安定ラインをぶった切り、攻撃性を剥き出しにした冒険的作品。ここではメロディーメイカー色をグッと押さえ込んで硬質な手触りのダンス・ビート作りを追求している。それには制作当時に彼が聴いていたプリンスの影響もあるという。仕上がりは大変にクール。
(桑原)

『Once A Fool...-遥かなる想い-』 TENT/ポニーキャニオン(1985)
鈴木慶一と立ち上げた新レーベル、TENTの第1弾。ここで掲げられたコンセプトは〈新しい青春歌謡ポップス〉だった。高品質ながら親しみやすいサウンドに宿った、温かなメロディー。トッド・ラングレン“I Saw The Light”のカヴァーもハマってる。
(村尾)