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第170回 ─ おはようからおやすみまで、あなたを見つめるバート・バカラック

バカラック・ナンバー古今20傑! その2

連載
360°
公開
2009/03/26   17:00
更新
2009/03/26   18:16
ソース
『bounce』 308号(2009/3/25)
テキスト
文/桑原 シロー

11. 『The Look Of Love』 
ビター・スウィートな感触はバカラック曲の大きな魅力だが、その妙味を堪能できるのがこのマイナー調バラード。ダスティ・スプリングフィールドがハスキー・ヴォイスを聴かせる、67年のサントラ『Casino Royale』(RCA)収録のオリジナルが絶品だ。後に同曲を用いた映画「オースティン・パワーズ」にはBB本人も出演。

12. 『Make It Easy On Yourself』 
まるで雲を突き抜けていくような爽快な感覚を持つサビのメロディーが素晴らしい。ダイナミックに展開する曲構成のせいか、カヴァーは大抵がスケールのデカイ仕上がりで、ジェリー・バトラー版がよく知られる。しかし75年作『No Regrets』(Polygram)でのウォーカー・ブラザーズ版は質も大仰さもダントツNo.1。

13. 『On My Own』 
パティ・ラベルのベスト盤『The Essential Patti LaBelle』(Epic)に収められた、バカラックを崇拝するマイケル・マクドナルドとの86年のデュエットは、バカラックの80年代を代表するヒット・チューンだ。キャロル・ベイヤー・セイガーと手掛けたライトなブラコン・アレンジが甘美なメロディーをいっそう艶めかせている。

14. 『Raindrops Keep Fallin' On My Head』 
陽だまりを思わせる温かなメロディーと全体を包むノスタルジックなムード。サイケの時代に生み落とされたこのソフトな一曲は、和み系バカラック・ソングの最高峰だ。カヴァーも山ほどあるが、オスカーを獲得した69年のサントラ『Butch Cassidy And The Sundance Kid』(A&M)で聴ける、BJ・トーマスのジェントルなオリジナルがやはりベスト。


15. 『That's What Friends Are For』 
ディオンヌ・ワーウィックがスティーヴィー・ワンダーやエルトン・ジョンらとエイズ基金のチャリティーのために吹き込んだこのナンバーは、80年代を代表する名曲という評価が与えられている。オリジナルを歌ったのはロッド・スチュワート。彼ひとりによる歌唱はベスト盤『Encore』(Warner Bros.)で聴ける。

16. 『(They Long To Be) Close To You』 
カーペンターズによる70年の2作目『Close To You』(A&M)に収録された彼らの代表曲は、またバカラックの代表曲でもある。クールで大人っぽく仕上げられたこちらは、バカラック・メロディーと70年代サウンドの関係を考えるための良いサンプルであるかもしれない。やはりこの曲にはカレンの陰のある歌声がもっともよく似合う。

17. 『This Guy's In Love With You』 
恋する男の情けなさを描いたバラードは、旋律による哀愁の形象化が見事。この曲を賞賛するノエル・ギャラガーはメロディーを拝借して“Half The World Away”を作ったっけ。最高なのは68年作『The Beat Of The Brass』(A&M)でのハーブ・アルパート&ティファナ・ブラス版。歌声&ペットの朴訥とした響きに涙。

18. 『Walk On By』 
メロディーが纏うただならぬエレガントさや洒落たコード展開など、63年作とはにわかに信じがたい新しさに溢れた曲。どんな調理法でも味が変化しないことはパンキッシュなストラングラーズのカヴァーで証明されているが、なかでも『Hot Buttered Soul』(Stax)に収められたアイザック・ヘイズの焦げ付くような演奏が美味。

19. 『What The World Needs Now Is Love』 
憂いの要素がたっぷりと染み込んでいるのに、親しみやすさがあってお茶の間で聴くのにも適しているという、まさにバカラック・マジックが効きまくった一曲。そんな魅力が存分に発揮された65年にジャッキー・デシャノンが歌ったオリジナルは2in1の『Don't Turn Your Back on Me/This Is Jackie De-Shannon』(Beat Goes On)で。

20. 『What's New Pussycat?』 
ウディ・アレンの映画「何かいいことないか子猫チャン」の主題歌はコミカル・ソングの傑作。とことん猥雑に押し通したうえ、突如甘~いメロディーを挿み込む作りはアヴァンギャルド極まりない。これはぜひトム・ジョーンズのベスト『The Millennium Collection』(Poly-gram)収録のダイナマイト歌唱版で楽しみたい。