8月15日(後編)
K10 ジュンスカの後はBARBEE BOYSですね。全員観てるっていうのが凄いなあ(笑)。
土田 私は3曲ぐらいで移動しちゃいましたけどね。
K10 僕は電気が終わってから行ったから半分も観られなかったんですけど、〈EARTH TENT〉から人が溢れ出していて入れなかったですね。
土田 私は逆に出られなくて(笑)。「出たい」ってスタッフの人にアピールして、やっと出してもらったみたいな。周りがホントに怖かったんですよね(笑)。
桑原 いろんな意味でねえ。
K10 どういう意味ですか?
桑原 そりゃあ、16年ぶりの復活ですからね。僕は何でジュンスカに行ったかっていうと、BARBEE BOYSでいいポジションを取るためっていう(笑)。
K10 なるほどー。
桑原 ライヴが始まる前の、お客さんの雰囲気が異様で。まず隣で、ある集団がある曲を歌い始めるわけですよ。
土田 いくつぐらいの集団?
桑原 30代後半ぐらい。で、そうしてると、今度はそれに対抗して別の集団が別の歌を歌うわけですよ。
土田 それは、いくつぐらいの集団?
桑原 やっぱり30代(笑)。なんかねえ、当時のバービー・ファンって、〈お洒落をして聴く〉みたいな、尖った人たちが多かった。その名残がありましたね(笑)。ファン同士で仲良く、みたいな感じは無かったです。あと音楽的な話をすると、当時はメン・アット・ワークっていうバンドがサックスをフィーチャーしたニューウェーヴ的なサウンドをやってたんですけど、そこに男女のヴォーカルを立ててやるっていう、いろんな複合技で出来上がってたバンドがバービーだったんですよね。だから簡単にルーツが見えなかった。
K10 それにしても、彼らは遠目から観ても華がありましたね。
桑原 似たようなバンドが出てきてないからね。まだまだ新鮮さを持って聴けるみたいなところがあったと思うんですけどね。で、その繋がりで言うと、藤井フミヤを観たというK10くんはどうだったの?
K10 印象的だったのが、2曲目に入る前のMC。「藤井フミヤなので“TRUE LOVE”やります」って(笑)。ヒット曲を全然やらなかった翌日のMr.Childrenと対照的で、4曲目には“Another Orion”、5曲目で“女神(エロス)”みたいな(笑)。
桑原 芸能って感じだね。
K10 ダンスもカッコ良かったですよ。キレがいい。途中から尚之さんが出てきたらしいんですけど、そこまでは観られなかったです。
桑原 で、ミドリを観たのが土田さん。
土田 もの凄い集客で、最初はメンバーの頭しか見えない状態でした。後藤まりこが角刈りか坊主か、ぐらいのベリー・ショートになってて。「ちょっと理由があって、髪切りました」って言ってましたけどね。ちなみに、予習編の時に話した〈モーゼ〉は今回なかったんですけど、やっぱり後藤まりこのパフォーマンスは圧倒的で。パンツ見えるとか関係なくステージの端までセットを乗り越えて行ったりとか、錯乱状態に入ってるんじゃないか、ぐらいに鬼気迫る感じで歌に入り込んでたりとかで、お客さんをガッチリ掴んでました。物凄くハードコアなんですけど、同じくらいポップなんですよねえ。
K10 桑原さんの行程表にあるムッシュかまやつ&沼澤尚は?
桑原 この〈CRYSTAL PALACE〉はライヴ・ハウスなんですけど、入場規制がかかってたんですよね。ただ、外にいても聴けるんですね。スパイダースの“ノー・ノー・ボーイ”って曲を演ってまして、〈ドアの外で~ちょっとだけ~〉っていう歌詞なもんで、外でちょっとだけ聴いて帰りました(笑)。でも、かなりパンキッシュな音が聴こえてきましたよ。ドラムとギターでホワイト・ストライプスか、みたいな(笑)。
K10 ムッシュがディストーションをかましてたわけですか?
桑原 ムッシュはスパイダースの頃からガレージの人ですからね。まともなギターを弾きませんよ。フェスっていうことで、気合も入ってたんじゃないでしょうか。
土田 沼澤さんとだったら、物凄いことになってたんでしょうね。
桑原 間近で観たかったなあ。悔しくて、僕はここでキレて帰りました(笑)。
▼文中に登場した出演アーティストの作品