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第9回 ─ 〈ライジング〉復習編 Part.1 参加した3人が語る、石狩での2日間!!

第9回 ─ 〈ライジング〉復習編 Part.1 参加した3人が語る、石狩での2日間!!(3)

連載
オレら の 夏 フェス 予習・復習帳 '08
公開
2008/08/21   18:00
更新
2008/08/22   00:59
テキスト
文/bounce.com編集部

8月15日(前編)

桑原 では、1日目の各アクトの話に移りましょう。夕方までで印象的だったものは?

土田 安藤裕子ですね。初日は最初、雨が降ってたじゃないですか。でも、彼女のステージが始まった途端に止んだんですよ。これがフェス・マジックか、と。さらには、めちゃくちゃ可愛いのに歌はわりとタフで。 “のうぜんかつら”のような聴かせどころもありつつ、ピアノ・ロック的な曲を中心にアゲていく感じで、フェスのはじまりに相応しい、開かれたステージでした。

桑原 それからShing02ですが。

K10 バンド・セットというのが良かったですね。DJとドラムのリズム・セッションみたいのがあったり、ヴァイオリンのソロがあったり。羽織っていた赤いマントの意味はよくわからなかったですけど。あんなマントが似合う人は、王様かShing02ぐらいでしょう(笑)。

桑原 矢野顕子さんはどうでした?

K10 新曲を多めにやってたんですけど、渋かったですね。ピアノの弾き語りで、いわゆるサービス・タイムっぽいのは最後の方だけ。ストイックな感じでしたね。

桑原 2日目に取材で怒髪天の増子さんにお会いした時も、「矢野さんはヤバかった」って言ってましたよ。で、僕ですが、曽我部恵一ランデヴーバンドを観ました。個人的にはサニーデイより良かったですねえ。ゆるさ加減がシチュエーションにフィットしていて。メシ食いながら観てたんですが、泣きました。泣きながらメシ食ったのって、小学生の時に親父に叱られた時以来ですよ(笑)。すごい幸せな気分にさせられましたね。では、19時以降のアクトに移りましょうか。

土田 私は東京事変を観ました。男性陣はみんな着流し姿で、粋に着崩していて。林檎さんは着物に羽織で出てきて。基本的に最新アルバム『娯楽(バラエティ)』からの曲が中心で、ジャズとかソウルとかファンクとかのグルーヴで盛り上げていく感じでしたね。パフォーマンスとしては、流し目をキメてみたりとか、ステージ上を姐さん風に練り歩いてみたりとか、歌の世界をシアトリカルに表現していて、そこが凄いなと。音楽家であると同時に、表現者としても一流なんだなって思いましたね。あと、亀田誠治さんに向かって普通に「気持ち悪い」って言い放ってたのが新鮮というか……。

K10 プレイですね、それは(笑)。

土田 メンバー感の親密さが感じられて良かったです(笑)。楽しいステージでした。

K10 で、僕が観た會田茂一ですが、彼はこの〈ライジング〉で3ステージに出演していて。ソロとEL-MALOとLOSALIOS、全部追いかけました。ソロでは〈BOHEMIAN GARDEN〉に出演したんですが、〈LOOK〉って書いてある七色のヘアバンドをして出てきて、客席がざわついてて。本人はボヘミアンっぽくしてみようと思ったらしいです(笑)。演奏は、打ち込みに乗せた弾き語りで演ってたんですが、声が甘くてジェントルでヤバかったですよ。女性ファンも多くて。虹色のヘアバンドをしてる男に向かって、「アイゴーン!」ってキャーキャー言ってました(笑)。その後は電気グルーヴを観たんですけど、最新作の『J-POP』からは“ズーディザイア”“モノノケダンス”だけで、あとはヒット・メドレー。“かっこいいジャンパー”とか“あすなろサンシャイン”とか、“NO”“虹”“Cafe de 鬼”。あとトピックとしては、〈まりん復活〉でしょうか。ハンドマイクで“ママケーキ”を歌ったりしてましたね。

土田 あと、お客さんをステージに上げたとか。

K10 そうだ。二十歳ぐらいの男性をステージに上げて、カオスパッドみたいのを擦らせたあと、石野卓球が彼に何か耳打ちしてるんですよ。そしたら、その男の人が「ありがとう! 電気グルーヴでした!!」って言って、ライヴ終了(笑)。完璧なエンターテインメントでしたね(笑)。

桑原 次のJUN SKY WALKER(S)はどうでした?

土田 私、観たんですけど……東京事変が終わって「さあ、どうしようか」って思ってたら、宮田和弥の歌声が〈EARTH TENT〉の方からビンビン響いてくるわけですよ(笑)。これは行かなきゃなんないなと。

K10 呼ばれてると(笑)。

土田 で、着いたらほぼ満員の状態で、ギリで入れたんですけど。たぶん、彼らの音をリアルタイムで聴いてたのは、いま30代とか40代の人だと思うんですよね。そういう人たちは、自分の子供を連れてきたりしていて。だから小学生ぐらいの子もいるんだけど、普通に10代とか20代前半ぐらいの子たちもいて、お客さんの年齢層が幅広い。そういう人たち全員が、最初から最後まで大合唱しているっていうのにビックリしました(笑)。

桑原 ブルーハーツみたいに、カラオケに行ったら誰かが歌うとか、そういう感じで耳馴染みがあるっていうことでしょうか。

土田 “MY GENERATION”とか、下手したら“リンダリンダ”と同じなのかなっていう。

K10 どうしてジュンスカの歌にはそんなに普遍性があるんでしょうね?

桑原 その後に〈SUN STAGE〉でKen Yokoyamaを聴いてたら「あっ、ここら辺に繋がるんだな」って思ったんですよね。元々はアングラな印象だったパンクを、ブルーハーツとかジュンスカがメジャーなものに押し上げたじゃないですか。そこから線は途切れてないんだな、って思いましたね。

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