4時間目――カリプソ
吾妻「1920年代ぐらいからあるトリニダード・トバゴのすごい古い音楽。カリプソの良さは歌詞、すごく日常的な話が歌われててさ。誰にでもわかる世界なんだよ」
荒木「吾妻さんの歌詞もそうじゃないですか!」
吾妻「俺はあそこまでいけない。あまりに身近で聴いてると泣きそうになるんだよ」
荒木「吾妻さんの歌詞も、聴いてて平和な気持ちになりますよね」
吾妻「日常を歌えているってのは、平和だからだよねぇ。そうそう、マイティ・テラーって人の“No Carnival In Britain”って曲が好きでね。ダァダァダァ~(ハミングする)、あ~チクショウ! 泣いちゃいそうになるね。〈ロンドンに来たけどカーニヴァルがないんだなぁ〉ってとくとくと歌うわけ。最高の郷愁があるんだ。すっごい身近なことを綺麗なメロディーで歌うんだよ。ところで、矢野ちゃんは天野ちゃんだっけ?」
荒木「もうわけわかんないですよ(苦笑)。私、新作に入ってた“しかしまぁ何だなぁ”が好きなんです。さらっと何気ない日常が歌われてるところが。最初重くなりそうな話だったのが、〈俺のメガネ知らないか?〉ってのどかな歌詞が来て」
吾妻「パーシー・メイフィールドの世界をわかってくれる人がここにいた! あれは俺の“Please Send Me Someone To Love”なんだよ。この人はブルースの詩人だね。〈神様お願いです/全人類に理解と心の平和を送ってください/そしてもしよければ俺に愛する人をください〉って歌詞なんだ。どうだい、これ? かっこいい~! 言いてぇ~!(……そして曲の2番の歌詞解説に入り、楽しい講義は夜中まで続くのでした……)」