1時間目――ジャズ
荒木「『Seven & Bi-decade』を聴かせていただいて〈ジャズ〉がベースになってるのかなぁと。ジャズっていうと大人の音楽ってイメージで」
吾妻「古いからね、音楽自体が。俺らの先輩の団塊の世代には、すごい人気があったんだから。ジュディマリかアート・ブレイキーかってもんだよ(笑)。ただそういうジャズは俺がバッパーズでやっているものよりはるかに後のものだけどね……(しばらく日本での世代別のジャズ観の違いについてのお話が続く)」
荒木「でもお話を伺ってると、どこかで〈ジャズでありたい〉というこだわりを感じるんですが」
吾妻「ホントは心の奥底にちょっとあるのかも……恐ろしいことを訊くね、矢野ちゃんは」
荒木「荒木です。でも、ジャズなのかなぁと思いつつも、大人の音楽って感じはしませんでした」
吾妻「それは子供の音楽だって言いたいのか!(机をひっくり返そうとする)。よし、ジャズだな。この一枚、ということでナット・キング・コールを挙げよう。最初トリオをやっててね、ハーレムの大スターだったわけ。彼の良さはね、歌、サウンド、歌詞が洒落ている。それでいて熱いんだな(歌を交えつつ歌詞の講釈が続く……)」
ナット・キング・コール・トリオの編集盤『The Best Of Nat King Cole Trio -The Vocal Classics(1942-46)』(Blue Note)