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第92回 ─ 〈ハイフィー〉は熱いうちに聴け!! 噂のムーヴメントを大解剖してみたよ!!

連載
360°
公開
2006/06/22   23:00
ソース
『bounce』 276号(2006/5/25)
テキスト
文/池田 貴洋、出嶌 孝次

あなたがもしハイフィーをまだ知らないのなら……


 ベイエリアのヒップホップというと、極度にアングラな作品か単にG好きがギャアギャア騒いでるだけ、みたいなイメージがあったかもしれません。サウンドについても昔ながらのファンクを思い浮かべる人がいまでも多いようです。ただ、知らない間にその音はNYともLAとも南部とも異なる、極めてアグレッシヴでキャッチーな大興奮サウンドへと変貌していたのです。ここではそんなハイフィーの現状を広く俯瞰して眺めていきましょう。こんなにスペースを使っていいのでしょうか? いいんです。


B

BAY AREA:
直訳すれば〈湾岸地帯〉。が、USヒップホップの話で〈ベイエリア〉とあったら、たいていはカリフォルニア州のサンフランシスコ湾岸をさす地域だと思ってもらってOKよ。オークランド、リッチモンド、サンフランシスコ、サクラメント、そしてヴァレホなどが主要なラップ都市です。上掲の地図は拡大コピーして部屋の壁に貼っておくこと!!

B-LEGIT 『Block Movement』 Block Movement/SMC(2005)


シック・ウィド・イットを従兄弟のE-40と運営し、クリックの一員としても名を馳せたB・レジットが新興レーベルからドロップした意欲作。リック・ロック製の激熱ハイフィーな“Boyz Is Hard”など華やかな側面を見せつつ、ヘンプ・ミュージアムの館長らしいユルさも随所でアピール。キャリア史上最高傑作かも?
(出嶌)

BALANCE 『Young & Restless』 Ayinde/SMC(2006)

サクラメント産のコンピなどに登場していたバランスの2作目。オークランドっぽいファンク・スタイルをハイフィーなニュアンスでコーティングしたようなトラックに、キーク・ダ・スニークや恩師ブラザ・リンチ・ハングら個性の強い先輩とも渡り合うラップが良い。ダジャレじゃなく、バランスの取れた好作だ。
(出嶌)

C

C-BO:
98年より自主レーベルのウエスト・コースト・マフィアを運営し、サクラメントを仕切る大ボス・ラッパー。ベイエリアのなかではドロドロした暗いファンクが目立つサクラメントにおいて、C-Bo自身の作品は鬼太ファンクが主体ですが、舎弟連中の個性に合わせたタイトかつソリッドなサウンドは以前からハイフィー寄りな側面も見せていましたね。

C-BO'S BLUEZ BROTHERZ 『The C-Section』 West Coast Mafia(2005)

ユニット名の由来は不明だが、中堅のI・ロックと俊英スミッグ・ダーティーのコンビ。トリッキーなバウンスの出来が抜群で、アコギでハイフィー(?)するヴァーサタイル製の“Get Fucked Up”が過激。C-Boが絡むと重たいファンクになるのもおもしろい。
(出嶌)

CELLY CEL 『Slaps, Straps & Baseball Hats』 Realside(2006)


コンスタントにリリースを続ける、ヴァレホのヴェテラン・ラッパーの最新作。タイトルどおり“Bay Classics”を繋いだ地元讃歌もありつつ、ミスターFABとのシングル曲“Shake Sumthin'”や、ターフ・トーク参加のウネウネ・スペイシーな“Open Doors”など、ハイパーでエレクトロなハイフィー・チューンが炸裂! ゲームやリル・フリップ、元B2Kのラズ・Bも参加。
(池田)